管理業務主任者試験の合格点は何点?合格ラインと合格率の推移を徹底解説!
「管理業務主任者試験の難易度ってどれくらいなんだろう?」
「管理業務主任者試験の合格ラインや合格率を詳しく知りたい!」
管理業務主任者は毎年多くの人が受験する大人気の資格です。マンション管理士や宅建士とのダブルライセンスを目指して勉強する人も多く、管理会社への就職が有利になるなど多くのメリットがあります。
管理業務主任者資格に興味を持っていたり、合格点や合格率など試験の難易度について詳しく知りたい人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は管理業務主任者試験の合格ラインと合格率の推移について詳しく解説します!
資格を取得するためには、まず試験の特徴をしっかり理解することが大切です。勉強する際に自分が目指すべきラインを明確にして、効率的な学習につなげましょう!
管理業務主任者試験の合格点についてざっくり説明すると
- 合格点は7割前後で今後も同じ水準で推移することが予想される
- 合格者の8割は男性だが合格率は男女ともに20%台前半で同じ
- 初学者でも合格を狙えるが見た目の合格率ほど簡単ではない
管理業務主任者って?
マンションの管理は住人自身で行うことも可能ですが、多くの場合は外部のマンション管理会社に管理を委託することになります。
管理業者がマンション管理の委託を受ける際に必要な手続きのうち、一定のものについては管理業務主任者でないと出来ません。
管理業務主任者は、2000年に設立された国家資格で、管理会社がマンション管理業務を受託する時に必要な業務を任せることができます。
特に「マンション管理を受託する前の重要事項の説明」「重要事項に関する書面への記名・押印」「受託契約書への記名・押印」「管理事務に関する報告」は管理業務主任者しかできない独占業務です。
管理業務主任者試験は12月実施・1月合格発表で、試験範囲は以下のようになっています。毎年15,000人以上が受験する人気資格です。
- 管理事務の委託契約に関すること
- 管理組合の会計に関すること
- マンションの構造と修繕に関すること
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
- 上記に掲げるもののほか、管理事務の実施に関すること
管理業務主任者試験の合格点
大人気の資格である管理業務主任者試験に合格するためには、一体何点取る必要があるのでしょうか?
以下では管理業務主任者試験の合格点や合格者数がどのように推移しているのかを紹介していきます。
合格点は7割程度で安定
まず管理業務主任者試験の合格点ですが、50点満点の試験に対して直近17年間の合格点や合格率は以下のように推移しています。
年度 | 合格基準点 | 合格率 |
---|---|---|
平成18年度 | 33点 | 20.2% |
平成19年度 | 33点 | 22.3% |
平成20年度 | 34点 | 20.3% |
平成21年度 | 34点 | 20.5% |
平成22年度 | 36点 | 20.1% |
平成23年度 | 35点 | 20.7% |
平成24年度 | 37点 | 21.9% |
平成25年度 | 32点 | 22.5% |
平成26年度 | 35点 | 21.0% |
平成27年度 | 34点 | 23.8% |
平成28年度 | 35点 | 22.5% |
平成29年度 | 36点 | 21.7% |
平成30年度 | 33点 | 21.7% |
令和元年度 | 34点 | 23.2% |
令和2年度 | 37点 | 22.2% |
令和3年度 | 35点 | 19.4% |
令和4年度 | 36点 | 18.9% |
出典:マンション管理業協会より
問題は全て4択形式で、1問1点で50問解答する形式です。上位の一定割合が合格者となる相対評価の試験になっています。
そのため直近17年間の合格率は18.9%~23.8%の僅か5%程の間に収まっていて、年度によって大きな差はありません。
同様に合格点も狭い範囲で推移して32~37点となっていることが分かります。35点前後で推移している状況なので、管理業務主任者試験に合格するには7割以上の得点を取ることが1つの目安です。
また管理業務主任者試験では出題ミスが少なくありません。例えば平成24年~26年にかけては3年連続で出題ミスがあり、いずれも複数選択肢が正解になりました。
直近では平成30年にも出題ミスがありましたし、出題ミスによって全体的に得点が上がる可能性があることにも注意が必要です。
難易度としては今後も7割前後の得点で合格できるレベルが続くと予想されますが、出題ミスによって得点が上がって合格できる場合もあります。試験当日には最後まで諦めないようにして下さい。
管理業務主任者の合格率と受験者層
管理業務主任者試験の合格率や合格者に関する情報は、毎年マンション管理業協会から詳細な内容が発表されています。
まず合格者の男女の内訳ですが、令和3年度試験の合格者3,203人のうち男性は76.9%の2,462人、女性は23.1%の741人でした。
合格者に占める割合では男性が女性の3倍以上で圧倒的に多いものの、男女それぞれの合格率は男性19.4%・女性19.4%となっていて、合格率には男女による差は見られません。
定年後を見据えた取得者も多い
合格者の平均年齢や最高年齢を確認することで管理業務主任者試験の特徴を知ることもできます。以下はマンション管理業協会が発表している令和4年度の合格者の年齢に関するデータです。
平均年齢 | 最高年齢 | 最低年齢 | |
---|---|---|---|
男性 | 45.3歳 | 82歳 | 17歳 |
女性 | 39.0歳 | 74歳 | 18歳 |
全体 | 44.0歳 | 82歳 | 17歳 |
合格者の平均年齢が比較的高く、ある程度年齢が高い方が受験して合格しているケースも少なくありません。
年齢を重ねると実際にマンションで生活することもあるでしょうし、管理組合の理事長などに就任して、マンションの管理や管理業務主任者試験に興味を持つ場合もあるからです。
また30個の管理組合に対して1人以上の管理業務主任者を設置することが法律で義務付けられているので、管理業務主任者という資格は社会的にも需要があり必要とされている資格と言えます。
資格の中には試験合格までに時間がかかって年齢が上がると資格取得後の就職・転職活動にマイナスの影響が出る場合も多いのですが、管理業務主任者は定年後も需要がある点が大きなメリットです。
そのため定年後も見据えて管理業務主任者の資格を取る方が多くなっています。
合格率は高いから簡単なの?
記述式ではなく4択マークシート方式で且つ合格率が20%を超えていると聞くと取り組みやすい試験のように感じる人もいると思います。
しかしその分逆に注意すべき点もあるので、管理業務主任者試験の合格を目指す上で気を付けるべきポイントを以下で紹介していきます。
実務経験者や有資格者が多い
試験勉強をする場合には、実務経験がある人とそうでない人では勉強の始めやすさや合格する確率が大きく変わってきます。
前述の通り管理業務主任者試験の合格者の平均年齢はかなり高く、社会人経験や何らかの実務経験がある人が多く受験している試験です。
不動産業界に勤めていて試験範囲となる分野について既に前提知識を持っている人も多く、そのような人たちと競争することになるので見た目の合格率より競争は激しいと考えたほうが良いでしょう。
さらに管理業務主任者以外の資格を既に持っている有資格が管理業務主任者試験を受験するケースも多いので、初学者は注意が必要です。
不動産系資格へのチャレンジが初めての方やそもそも不動産業界に馴染みがない方が受験する場合には、これらの人たちと競うことになるので思ったほど合格は簡単ではありません。
宅建士の取得者が多い
宅建士試験の合格者の平均年齢は35歳前後となっています。これは管理業務主任者試験の合格者の平均年齢よりも少し低い年齢です。
不動産業界に勤務している人の中には、まず宅建士の資格を取得し、実務経験を積む中でさらなるスキルアップを目指して管理業務主任者を取得する人が多くいます。
そのため管理業務主任者試験の受験者の中には宅建士の有資格者もいて、既に不動産関連の知識が一定以上あるこのような人たちと合格の枠を争わなければいけません。
マンション管理士とのダブル受験が多い
管理業務主任者と同様にマンション関連の資格として思い浮かべる人が多いのがマンション管理士です。合格者の平均年齢は46歳程なので、平均年齢が高い点も管理業務主任者と共通しています。
さらにマンション管理士と管理業務主任者では試験範囲も似ているので、ダブルライセンスを目指してダブル受験する人も多い資格です。
しかし難易度の面では違いがあり、マンション管理士のほうが管理業務主任者よりも難しくなっています。ダブル受験したものの管理業務主任者試験にだけ受かったというケースも少なくありません。
ダブル受験をする人たちは難易度が高いマンション管理士試験の対策をした上で試験に臨む人たちなので、管理業務主任者試験で求められる知識レベルは十分に備えている可能性があります。
管理業務主任者試験のみを受ける人にとっては、より高い知識水準を備えた上で試験を受験するダブル受験生は強敵です。管理業務主任者試験はこのような人たちと競って合格を勝ち取る試験と言えます。
マンション管理士とのダブル受験の詳細は下記の記事をご覧ください。
初学者でも合格を狙える
見た目の合格率ほどには簡単ではないことを解説してきましたが、受験資格がなくて誰でも受験できることや全て4択問題のマークシート方式であることを考えれば初学者でも十分に合格を狙えます。
文章の正誤判定や空欄に当てはまる単語の選択など、初学者でも実務経験がある人と遜色なく解くことができる試験形式です。
マンション管理会社への就職が有利になる等、メリットがある資格でありながら、初学者でも合格を狙える点は大きな魅力と言えるでしょう。
もちろん受験生の中には他資格の有資格者も多くいるので「5人に1人は受かる簡単な試験」などと油断してはいけませんが、「初学者では合格できないだろう…」などと過剰に身構える必要はありません。
初めて資格取得にチャレンジする方やこれまで不動産業界に馴染みがない方でもしっかり勉強すれば合格を狙えるので、ぜひ管理業務主任者試験にチャレンジしてみて下さい。
合格ラインを超えるための勉強法
管理業務主任者試験では契約や会計、マンションの構造に関する内容等が問われますが、合格するには各分野について深い知識と理解が必要です。
以下では必要な知識を身に付けて合格ラインをしっかりと超えるための勉強法について紹介していきます。
ライバルの点数は気にしない
受験者のうち上位の一定割合が合格となる相対評価の試験では、他の受験生が一体どれだけ得点を取れているのか気になるはずです。
しかし管理業務主任者の合格点は前述の通り35点前後で安定しているので、相対評価の試験と言っても実質的には自分が確実に7割以上を得点すれば良いことになります。
もちろん合格点が35点よりも上振れする年度もありますが、8割の40点を取れるようにしておけば安心です。
周囲のライバルの出来栄えを気にせず自分は40点を取って合格できるという自信を持つことが大切です。
また人によっては何が何でも満点を取りにいこうと考える人もいますが、そもそも比較的難易度が高い問題も含まれています。満点狙いは簡単ではありませんし狙いにいく必要もありません。
合格する確率を高めるには難易度が低い問題を落とさないようにして、確実に8割の40点を確保する意識で臨むのがおすすめです。
法改正ポイントは必ず押さえる
法改正は必ず押さえておかなければいけません。法改正された箇所は重要なポイントとして出題されやすく、他の受験生も意識して勉強してくるので確実に得点すべき箇所と言えます。
勉強する際に古い教材を使っていると法改正に関する記述がそもそも含まれておらず、法改正があったこと自体に気付かない可能性もあるので注意して下さい。
法改正も含めて網羅された最新のテキストを使えば法改正内容に関する確認問題も掲載されていることがあり、最新の法改正に関して理解できているかどうかチェックもできるのでお薦めです。
ただし法改正に関する箇所は過去問がなく、正しく理解できているか確認しにくい事項になります。法改正の箇所は基礎知識をインプットする最初の段階から丁寧に取り組むようにしたほうが良いでしょう。
独りよがりな勉強法は推奨しない
法律の勉強でよく起きるのは、一見理解できたようでも問題が解けなかったり、文章から汲み取ることのできるニュアンスの読み取り方を間違えたまま本番まで気が付かず試験当日を迎えてしまうことです。
これではいくら勉強しても得点に結び付かず合格点にも達しません。自己流の勉強法はそれなりのリスクがあり、自分が間違った勉強法をしていること自体に気付けない可能性もあるので注意して下さい。
管理業務主任者試験は独学での合格も十分に可能な試験ですが、独学で勉強する場合には何らかの確認問題を解いて、自分の勉強があっていたか確認する時間が必要です。
具体的には、得点に結び付く形で知識を吸収できているか、自分の解釈が間違っていないかを確認する時間が必要です。
そうすることで得点が確実に伸び、合格ラインを超えられるようになります。
通信講座の受講も検討する
管理業務主任者のような難易度の高い試験では、自分一人で勉強していても点数が伸びず、いつまで経っても合格できないという事態に陥りやすいです。
そのため、特別な理由がない限りは通信講座を受講して講義を受講するのがおすすめとなります。
特に、フォーサイトの管理業務主任者講座であれば全国平均の3.73倍という破格の合格率を叩き出しているので、安心して指導を任せることができるでしょう。
5問免除制度も活用しよう
管理業務主任者試験の範囲のうち「マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること」はマンション管理士試験と同じです。
マンション管理士試験に既に合格している場合にはこの5問分が免除されて正解扱いとなり、他の45問を解いて合計で合格点に達すれば良いことになっています。
そして逆に管理業務主任者試験の合格者がマンション管理士の試験を受験する場合にも、同様に重複する箇所が5問分免除されて正解扱いになる仕組みです。
まずは相対的に簡単な管理業務主任者試験を受験して、合格したら5問免除制度も活用しながらより難しいマンション管理士試験にチャレンジしてみることをおすすめします。
複数の資格を取る際に相互に免除制度があるのは他の資格ではあまり見られない制度です。勉強時間を短くできてダブルライセンスを早く達成するのに役立つ非常に便利な制度となっています。
管理業務主任者試験の合格点まとめ
管理業務主任者試験の合格点まとめ
- 合格ラインは7割前後で8割を目指す意識で取り組むと良い
- 合格率は20%程で推移していて今後も同じ水準が予想される
- 合格者の平均年齢が高く合格率に男女差は見られない
- 初学者でも合格を狙えるが自己流の勉強法はおすすめできない
今回は管理業務主任者試験の合格点や合格率について紹介しました!
20%という見た目の合格率ほどには簡単ではありませんが、管理業務主任者は初学者でも十分に合格を狙える資格です。
資格の取得に向けて積極的にチャレンジしてみて下さい!