公認会計士資格は就職難って本当?主な就職先から求人動向まで詳しく解説!
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公認会計士
白井敬祐
「公認会計士は就職難って聞くけど本当?」
「公認会計士はどんな働き方がオススメなの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
公認会計士は監査法人などに勤めることが多いですが、他にはどのような求人や就職先があるのか、気になりますよね。
こちらの記事では、公認会計士の就職難の噂や、求人や就職率などの情報をお伝えしていきます!
公認会計士の就職状況についてざっくり説明すると
- 就職率は非常に高く、需要も高い
- 監査業務をする際には必須の資格である
- 年齢に関係なく働くことができる魅力的な資格
- 独立開業もしやすい
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公認会計士の就職の実態とは?
公認会計士の就職市場は需要が大きい
公認会計士は難関資格ですが、2006年の制度変更に伴い合格者が大きく増えた結果、供給が大きく増えてきています。
しかし、経済のグローバル化に伴って企業の海外進出・会計基準の導入や法律の見直しが活発になっていることや、M&A案件の増加や経営等に関するコンサルティング需要の増加に伴って、公認会計士の需要が増加傾向にあります。
供給と需要が共に増えている中で、現在は需要が供給を上回る状況が続いており、多くのビジネスチャンスがあります。
このことから、公認会計士は人手不足の傾向にあるため、今後しばらくの間は売り手市場の状況が続くと見られています。
公認会計士の人数や、これからの需要について興味がある人は以下の記事を御覧ください。
公認会計士の就活と学歴の関係性
一般的には学歴が少し関係あるかもと言われてますが、私の実体験として10年実務に出て学歴で苦労することは全くありませんでしたし、周りを見ても同様だと思います。
監査法人で学歴で差がつけられることはなかったですし、高卒の方でもマネージャーで優秀な方はたくさんいました。
ただ一般企業にいくと一部の会社では未だ採用や昇進などで学歴が必要になってくるパターンもありますが、会計士の資格は学歴のビハインドを打ち消せるだけの力はあると思います。
詳しくは私のYouTubeでもお話ししてますのでご参考にしてください。
公認会計士の就活をこなす上で、学歴の影響はあまりありませんが全くないとは言い切れません。
例えば、大手監査法人などでは選考の過程において公認会計士資格の他にも、学歴や実務経験も評価していると言われています。
ただし、一般の就活に比べたら圧倒的に学歴よりも資格を評価してくれるため、心配する必要はありません。
学歴の低さがネックとなり就活が上手くいかないと言うケースは珍しく、多くの場合は公認会計士の資格を持っていることで高評価をしてくれます。
また、選考過程では人柄などと重視されるため、学歴に関しては大きく心配する必要は無いと言えます。
公認会計士と学歴の関係に興味がある人は以下の記事も御覧ください。
年齢が高いと就職しにくい?
一般的な転職市場や就職市場では、年齢が若いほうが就職率が高く採用されやすく有利なのは間違いありません。
その理由としては、若くて優秀な資格取得者を育てたほうが将来的に活躍する可能性が高く、会社の利益にダイレクトにつながるためです。
また、年齢が上がるにつれて役職が上がる機会も少なくなり、結果として不利になる可能性も高いです。
しかし、年齢が高いからと言ってデメリットばかりではありません。
例えば、これまでに経営戦略や会計業務に携わっていた人のように、業務経験がある場合であれば、それらの経験を生かして就職できる可能性があります。
実務経験があれば即戦力と見なしてもらえるため、年齢が高いことが有利に作用するケースもあるのです。
独立の場合は年齢は関係ない
独立する場合であれば、クライアントを確保して業務のノウハウを持っていれば年齢関係なく働くことができます。
また、独立した場合は資格の知識を生かして、企業の経営コンサル業務を行う人も多くいます。
独立した場合は年齢よりもこれまでの実績が最重要となります。
前職で会計や経理に携わった経験があれば、経験と知識をフル活用して様々な立場を理解した人材として重宝される場合も多いでしょう。
公認会計士の主な就職先
公認会計士の主な就職先や転職先は「監査法人」「一般企業」「コンサルタント」「ベンチャー企業の4つです。
監査法人
公認会計士の資格を取得した後の就職先として9割の人が監査法人を選んでおり、高い就職率を誇っています。
そもそも、監査法人とは企業の財務などを客観的に監視・検査する組織のことで、主な業務は監査となります。
監査以外にも、企業の会計やコンサルティングも行っている監査法人も多く、仕事は多岐に渡ります。
監査法人には明確な役職区分が存在しており、最上級にあたるパートナーになれば、平均年収は2000万円以上と言われています。
このように、公認会計士はかなりの高年収が狙える面でかなり魅力的な仕事です。
ただし、全員が高収入というわけではなく、企業規模によって年収の水準は異なるため条件面やキャリアプランなどの確認は必ず行うようにしましょう。
ビッグ4への就職は?
監査法人の中でもビッグ4と呼ばれている法人は特に人気の就職先です。
ビッグ4とは、
- EY新日本有限責任監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ
- 有限責任あずさ監査法人
- PwCあらた有限責任監査法人
これらを指しています。
これらビッグ4監査法人では、リーマンショックを受けて2010年~2011年に大規模リストラを実施しました。
また、試験の受験者も減少したことから、現在は公認会計士の不足が続いている状況です。
なお、試験合格者に対しては将来性やポテンシャルへの期待を込めて、6割程度に内定を出している状況が続いています。
そのため、ビッグ4への就職を目指しているのであれば今は狙い目と言えるでしょう。
コンサルティング企業
コンサルティング企業は、監査法人に次いでセカンドキャリアとして人気の高い就職先です。
コンサルティング業務の特徴として、創造性が求められるためクリエイティブな作業が得意な人が向いている点が挙げられます。
また、クライアントとのやり取りを通してクライアントへの貢献を直接実感できる機会が多く、やりがいを感じることが多いでしょう。
クライアントの業績が上がることで、自分の貢献がわかりやすく実感できるため、仕事を通して大きなやりがいを求めている人は向いていると言えます。
実際にコンサルティング業務を行っている公認会計士の中で、結果を出している一流コンサルタントの人は年収数千万円稼いでいる人もいます。
一般企業
公認会計士の資格を生かして一般企業で活躍することもできます。
監査法人で経験を積んだ後に、次のキャリアとして人気の就職先が大企業の経理・財務などを中心とした一般企業への転職です。
近年では、企業が大規模化し、企業構造も複雑化していることから、財務諸表を作成する会計基準も複雑になってきています。
そこで、企業内に公認会計士を採用して事務を任せるなど、公認会計士の需要が非常に高まってきているのです。
一般企業の中でも、特に外資系や商社に就職することで1000万円以上の年収も期待でき、高収入も十分狙うことができます。
一般企業であれば雇用も安定しているため、安心して働きたいと思っている人にとっても一般企業はおすすめの就職先です。
ベンチャー企業
近年人気が高まってきている選択肢が、ベンチャー企業への転職です。
ベンチャー企業は成長途上の会社であるため、事務や会計などに関わる高度な専門知識を有している人材がいないケースが多いです。
そこで、経営・財務の専門知識を有している公認会計士のニーズは非常に高く、多くのベンチャー企業から引っ張りだこです。
またCFO(最高財務責任者)になることで、上場した時に役員になれる可能性が高く、そうなることで役員報酬がもらえるでしょう。
総収入を合計すると、若くして1000万円以上の高年収も稼ぎ出せる夢のある仕事と言えます。
ただし、ベンチャー企業は経営ノウハウに乏しいため激務になりやすく、また基盤も不安定なので倒産する確率が普通の企業よりも高いことには注意を払う必要があります。
独立開業の選択肢も
上記で挙げた勤務型の働き方以外にも、事務所を作って独立開業していく選択肢もあります。
公認会計士は独占業務がある上に、顧問契約も結びやすいの資格なので、非常に独立がしやすい資格なのです。
開業した公認会計士の平均年収は1000万円以上とも言われており、徐々に信頼を高めていき、実力をつけることで2000万円~3000万円の高収入を得ることができる可能性もあります。
ただし、もちろん無計画に開業しても顧客獲得は難しいため、入念な事業計画や営業努力は必須となります。
自分の公認会計士としての能力や経歴をうまくアピールすることも心掛けなければなりません。
また、顧問契約を獲得するためには実務能力と、それを裏付けする経験が必要です。
そのため、独立を目指している人はしっかりと監査法人等で勤務経験を積んで実務を身に着け、入念な準備をした上で独立しなければすぐに廃業してしまう可能性が高いです。
公認会計士としての独立に興味がある人は以下の記事も御覧ください。
公認会計士は就職・転職に強い資格
公認会計士が就職や転職に強い資格である理由が3つあります。
財務関係の仕事に抵抗がない
公認会計士資格を持っていることで、財務や会計に関してはエキスパートであることが対外的に証明できます。
財務の世界では数字と論理が複雑に絡んでおり、財務に関する高い専門性を持っているのは貴重な存在です。
これまでに数字を扱う仕事をしてこなかった人に関しては、財務の仕事は辛いものがあるため、抵抗なく業務を行える公認会計士は貴重な人材なのです。
しっかりと企業の状態や経営の方向性を読み取れることで、企業の健全性や将来性が理解できることになります。
この能力があることで、企業の現状を把握し課題の解決策を提示したり、様々な面で活躍できるのです。
勤勉さを強みにできる
公認会計士試験は試験範囲が膨大な難関試験であるため、合格までには多くの勉強時間が必要となります。
そのため、資格取得者は目標に向かって長い期間に渡って粘り強く努力を続けることができる人間であることをアピールでき、選考の場において有利になるでしょう。
公認会計士には、粘り強く資料を集め読み解くなどの地道な仕事が多くあります。
つまり、資格を取得する過程で培った粘り強さなどのスキルを実務でも活かしやすく、仕事も飽きることなく真面目に行ることができる能力があることを証明できるでしょう。
企業としても、長く勤めてもらえる人を採用したいと考えるため、大きな強みとなります。
高い考察能力・問題解決能力をアピール
論文式試験では、知識の暗記も活用しながら深い理解と知識同士を相互に結びつけていく応用能力が問われます。
この難しい試験を突破した資格取得者は、業務に必要な高い思考力を身に着けており、それを活かしていけることを証明できます。
また、公認会計士試験は難関であるため、不合格の経験を経てから就活に臨むケースもあります。
例えそのような状態でも、これまでの過程でどのように失敗から学び試行錯誤し、問題解決に繋げることができたか、というプロセスをアピールすることで相手に良い印象を持ってもらえます。
実際に様々な工夫を重ねて困難を乗り越えていることで、社会人が会社に入ってから一番必要な能力といわれる「問題解決能力」があることを証明する格好の材料になるのです。
転職の際には必ず複数の求人サイトをチェック
公認会計士の転職の際には、複数の求人サイトをチェック・活用するようにしましょう。
掲載媒体によっては、取り扱っていない求人も存在するため、一つの求人サービスに頼り切ってしまうと、視野が狭まる恐れがあるからです。
また、心強いパートナーとしてともに転職活動を戦い抜くエージェントにしても、一つのサービスに依存すると、そのサービスと馬が合わない場合に行き詰ってしまい、セカンドチョイスを失いかねません。
このことから、複数のサービスをチェックしておくことをお勧めします。
公認会計士はAIによってどうなってしまうか?
公認会計士は「将来的にAIに仕事を奪われる」という懸念をする人がいます。
実際に、AIが発展すると公認会計士の仕事は無くなってしまうのでしょうか?
公認会計士は将来なくなる?
近年のAIの発達は凄まじく、今後更なるAI化に伴って公認会計士の仕事がなくなってしまうことが懸念されています。
実際に指摘されているように、公認会計士の仕事は単純作業や手続きが一定割合存在するため、このような業務はAIなどに代替されやすいと言えます。
とはいえ、単純作業だけが公認会計士の仕事ではありません。
AIはきめ細かい相談業務やコンサルティング業務は不可能であるため、このような点でAIに仕事を奪われないようにする工夫をすれば、簡単に仕事がなくなることはありません。
また、監査業務に関する専門家として、人の手による相談業務やアドバイスは必要であり、公認会計士の仕事が全て無くなることはあり得ないのです。
公認会計士は企業の信頼を集めている
公認会計士は誰もが知っている有名な士業であるため、様々な場面で高い信頼を集めている仕事です。
つまり、弁護士や司法書士などのように困ったときは各方面から頼られる、非常に需要が高い仕事なのです。
財務などに関して相談したいことがあるとき、経営者・自営業者の相談相手として最も多いのが顧問税理士や公認会計士です。
このことから分かるように、公認会計士は企業の財務をサポートする上で欠かせない存在なのです。
公認会計士の専門性はこうしたコミュニケーションを軸にした業務にも生きてきますが、コミュニケーション能力を生かした業務はAIでの代替は不可能です。
つまり、企業が人間によって運営される限りはこのような相談役は必須であり、公認会計士の需要は依然として高いままで推移していくと考えられています。
IT化によって仕事を効率性が向上
ITやAIの技術とうまく付き合うことで、これまでの仕事を効率化してくれるでしょう。
煩雑な事務作業は機械化し、自分は生産性の高い仕事に集中できるようになるため、仕事にさらなる可能性を与えてくれるようになるでしょう。
具体的には、AIが公認会計士の仕事の効率化してくれることで、人間は顧客に寄り添った付加価値の高いきめ細かいサービスを提供できるようになるため、AIをうまく導入する公認会計士は今後周囲と差別化できるようになるでしょう。
時代の変化についていけずに、新しい技術を遠ざけていると今後は生き残っていくことはできません。
今後は最新技術を導入し、他の公認会計士との差別化を図ることも大切になってきます。
公認会計士とAIの関係について、もっと詳しく知りたい人は以下の記事も御覧ください。
数字に強く財務や会計を苦にしない人は公認会計士に向く
公認会計士は企業の財務状況などの数字を、見落としがないように細かく見ていかなくてはなりません。
そのため、数字に弱い人や計算ミスなどの基本的なミスの多さは公認会計士としては致命的な欠陥になってしまいます。
監査業務を行うときには、企業が提出してきた資料の数字が正確なものなのかどうかを徹底的にチェックしなければならず、ここでミスがあると粉飾決算を見逃してしまう可能性があります。
特に決算期は繁忙で膨大な情報を取り扱うことになりますが、小さなミス一つですべての計算が狂ってしまう危険があるため、慎重に仕事に取り組まなければなりません。
公認会計士は、間違いや不正を見逃すことは許されず、強い責任感を持って仕事をしなければならないため、数字に強く財務の知識が豊富でないと向かないでしょう。
公認会計士の就職状況のまとめ
公認会計士の就職状況のまとめ
- 様々な求人があり、活躍できるフィールドは広い
- 学歴や年齢はあまり選考の過程では関係ない
- 実務経験を積んで独立開業することも十分に可能
- 高年収が狙えるため、非常に魅力的
公認会計士は就職難ではなく、むしろ就職率が高く様々なフィールドで活躍できます。
財務や会計に詳しい人材はどこでも重宝されるため、就活や転職活動の際には大きな強みとなるでしょう。
公認会計士は魅力たっぷりな資格なので、ぜひ取得を目指してみてください。