公認会計士の人数はどれくらい?受験者数・合格者数から需要まで徹底解説!

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公認会計士

白井敬祐

「公認会計士の人数はどれくらいなのだろう?」

「数が多すぎて供給過多になっていないだろうか…」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

公認会計士は合格率に対しての需要が高く、弁護士、司法書士と同様に受験者数も多い人気の士業です。

その理由の一つとなっているのが、公認会計士は仕事の幅が広く、就職先に困らないという特徴です。

なぜならば、公認会計士は会計士として、公正な立場から企業経営の正しさを保証する監査業務を専門に行うことができるだけでなく、税理士としても仕事を行い、登録することができるためです。

近年、合格者数の増加により、公認会計士を目指しても就職が難しいと囁かれることがありますが、その実態についてわかりやすく説明します。

公認会計士の人数についてざっくり説明すると

  • 公認会計士と公認会計士合格者は2022年5月31日時点で全国に約41,000名
  • 公認会計士には準会員・未入会会計士補という呼び名がある
  • 簿記経験のある高卒生も合格している
  • 修了考査を受けていない公認会計士試験合格者も多い

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公認会計士の人数

タブレットと書類

2022年5月31日時点の公認会計士の会員数を見ると、公認会計士・準会員・未入会会計士補を合わせて41,756人となっています。

そのため公認会計士と公認会計士合格者は全国に約4万1000人に上ると見られます。

人数の推移

公開されている会員・準会員数を表にまとめてみました。当初から比べると、人気の士業であることを受けて、増加傾向であることが伺えます。

年度 会員・準会員数
1950年 285人
1960年 1,977人
1970年 4,745人
1980年 8,234人
1990年 11,320人
2000年 17,413人
2010年 30,092人
2018年 37,243人
2022年 41,756人

特に、2000年度からは毎年の増加傾向が強くなり、約1,000人の会計士が毎年誕生している計算になります。

受験者が増加傾向を辿る一方で、合格率には大きな変化が生じていないことから、合格者の人数が上昇していることが会員・準会員数の上昇の一因と考えることができます。

公認会計士法が施行された1948年当時と比べると、その人数は爆発的に増えたと言えますが、それと正比例を示すように日本国内の企業も増加傾向を辿ったことから、経済拡大の一翼を担ってきたことが伺えます。

また、時代背景として急激なインターネットの普及によるベンチャー企業の進出も、十分な需要としての追い風となったと言うことができます。

男女別・年齢別公認会計士人数

男女別の公認会計士の割合についても触れておきたいと思います。

男性 女性
1950年 261名 0名
1960年 1,504名 4名
1970年 4,137名 25名
1980年 5,968名 68名
1990年 8,586名 227名
2000年 13,232名 991名
2010年 18,738名 2,547名
2018年 26,806名 4,406名
2021年 28,322名 4,891名

公認会計士試験の開始直後は、圧倒的に男性の合格割合が多く、公認会計士と言えば、男性の職業というイメージでした。

しかし、最近では簿記の学習普及とともに、女性にとって働きやすい士業であると言う認識が広がり、合格者割合にも反映されている結果となっています。

特に、高校在学中に簿記を扱った経験のある女性にとっては、キャリアアップにつながる有力な資格として注目を集めています。

年齢別の公認会計士の割合

続いて、2021年の年齢別の公認会計士会員・準会員の割合について確認してみましょう。

年齢 人数 割合
30歳未満 4,875名 5%
30代 11,805名 36%
40代 11,463名 29%
50代 6,012名 14%
60代 2,837名 9%
70歳以上 2,771名 7%

やはり30・40代の働き盛りの世代の人数が一番多いことが伺えます。

また、近年は20代前半の若い世代の合格者が増加してきていることから、30歳未満の人数も非常に多くなっていることが伺えます。

地域によっても人数の差は生まれる

独立開業という事務所での仕事を行う際に、忘れてはならないのが地域指数の存在です。

実際のところ、公認会計士も、それぞれの地域ごとに人数に偏りがあります。例えば、東京での登録人数は17,770人(計測時)と、全体の過半数を占める状況にあります。

これは首都圏に事業者が集中する傾向を反映していると言えますが、それと同様に、事業規模の多い企業が本店、支店を問わず、多数出店していることを受けての業務集中の緩和を目的としています。

逆に、公認会計士の少ない都道府県としては、19人(計測時)の秋田県などをあげることができます。

公認会計士は主にどの会社で働いているのか?

公認会計士の多くは、主にビッグ4と呼ばれる大手監査法人に所属し、業務を行っています。

そのため、経験年数を積んでからの独立を果たすまでの間は、公認会計士として監査法人へ就職先を求めるのが主流となっていると言うことができます。

また、監査法人以外の職務先としては、経営の技術を提供するコンサルティング会社や、多くの取引先を抱える商社等の一般企業で専任経理として、社内公認会計士の立場から企業の会計を預かる職務につくことも。

いずれの場合も、会計業務を中心に企業全体の流れを把握し、円滑に動かすための人財として力を発揮することになります。

監査法人名 試験合格者含む公認会計士人数
有限責任監査法人トーマツ 4,338人
EY新日本有限責任監査法人 4,176人
有限責任あずさ監査法人 4,291人
PwCあらた有限責任監査法人 1,630人
14,435人

公認会計士の呼び方の違いについて

準会員と未入会会計士補の方は、厳密には公認会計士とは異なりますが、既に公認会計士試験に合格されている方ですので、公認会計士全体の人数に把握に役立ちます。

準会員とは

準会員とは、公認会計士試験に合格した方の中で、現時点では実務補習、業務補助等のいずれかの内容が終了していない方がなることが出来る身分を表しています。

既に会計に関わる業務に携わっている方がほとんどですので、身分としては公認会計士に準ずる立場であることを明確にするため、準会員と呼称されています。

ただし、現場では厳密に呼び合う必要性は薄いため、公認会計士として声をかけられることの方が多いでしょう。

未入会会計士補とは

これに対して、未入会会計士補とは、2005年以前の試験合格者の方で、現時点では、日本公認会計士協会への入会をされていない方を指します。

未入会であるため、準会員という名称を名乗ることはできません。そのため、名刺での肩書きとしては『公認会計士(未登録)』と表記するのが一般的と言えます。

税理士業務を主とする公認会計士の方も、『公認会計士(未登録)』と表記することがあります。

学歴別合格者数の違い

黒板に描かれた記号

公認会計士試験の合格者は、2022年現在においては、日本全国に約4万1,000人に上ると見られていますが、学歴別の合格者数(2022年度試験)では、次の通りとなります。

最終学期 合格割合
大学院修了 2.7%
会計専門職大学院修了 1.5%
大学院在学 0.9%
会計専門職大学院在学 1.0%
大学卒業(短大含む) 43.4%
大学在学(短大含む) 44/1%
高校卒業 5.2%
その他 1.2%

割合別に見てみると、大学卒業と大学在学中での合格割合が、全体の80%超を占めていることがわかります。

しかし、特筆すべき点は、世間一般では知識量が少ないと見做されやすい高校卒業での合格者の割合が、大学院卒業と大学院在学の両者を足した割合と、ほぼ同じくらいの合格者を輩出している点です。

これには、次の様な理由が考えられます。

高校卒業者の合格割合が高い理由

その当時の時代背景にもよりますが、高校当時の風潮として、大学受験にむけた勉強を中心に励んでいたことが考えられます。

そのため、高い学力と見識を持ちながらも、金銭的な理由や、その他の理由で大学進学を断念せざるを得なかった高校卒業生の方々が公認会計士として力量を発揮した結果が反映している場合が考えられます。

会計分野への経験の差が現れている

公認会計士試験は、その性質上、ほとんどの人が初見になります。そのため、試験そのものへのスタートラインは、大学卒業であろうとも、高校卒業であろうとも、大きな違いが生じにくいという特徴があります。

また、実務の面からすれば、会計分野への経験が問われると言うことになります。そのため、他の資格試験である日商簿記1級と重複する部分が、公認会計士試験には比較的多く出題される傾向にあります。

商業高校で簿記を習っていた方は、それだけ馴染み深いと言うことができます。総じて、経験分野からの出題となると、高校卒業の方の合格率が高いことに、素直に肯くことができます。

公認会計士と学歴の関係性は、以下の記事でも詳しく解説しています。

公認会計士の受験者数・合格者数

公認会計士の受験者数に対する合格者数について考察します。まず、忘れてはいけないのが、論文合格者と、修了考査の違いについてです。

少し複雑に感じられるかもしれませんが、修了考査を終えて、初めて公認会計士試験の合格者と呼ばれるようになります。

イメージが先行してしまうと、公認会計士を公認会計士試験(論文式試験合格者)と思われがちですが、実際には、修了考査を終えなければ合格者にはなりません。

また、全体の傾向として、論文式試験の受験者数が大きく変化する2008年と2009年は、世界規模での出来事であるリーマンショックによる需要見込みが関わっていると考えられます。

そのため、反動が大きく働き、その後は徐々に減少傾向が続いていることが伺えます。

ところが、近年になって、再び受験者人数が増加傾向へと動き始めています。これは女性の受験希望者が増えていることも関係しています。

その一方では、論文式試験に受かったものの公認会計士資格を必ずしも習得するには至らずに、最終の修了考査を受けない人も増加しています。そのため、修了考査の受験者数は減少する傾向を示しています。

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白井様

最近では、自由な働き方を求めて手に職をつけるため会計士試験を目指される方が多く、受験者も増加傾向にあります。

まだまだ会計業界は人手が足りていない状態なのでどんどん目指される方が増えていってほしいですね。私もCPA会計学院で多くの合格者の方々を輩出できるよう精一杯サポートいたします。

年齢別・男女別公認会計士合格者数

近年の傾向として、令和4年度の男女別合格者数では、男性が1,129名、女性が327名という合格割合となっています。

単純な計算ながら、合格者の男女比はおよそ3:1となり、社労士など一般的な国家資格と比較して、女性の資格取得者は増え始めてはいますが、全体の比率は低い傾向が続いています。

年齢 合格者数
20歳未満 21人
20歳以上25歳未満 929人
25歳以上30歳未満 337人
30歳以上35歳未満 117人
35歳以上40歳未満 26人
40歳以上45歳未満 19人
45歳以上50歳未満 5人
50歳以上55歳未満 1人
55歳以上60歳未満 1人
60歳以上65歳未満 0人
65歳以上 0人

上記の表の通り、もっとも厚い層は、20代の合格者と言うことができます。

次いで、30代の合格者も多く、比較的若い世代にとって取得がなされている人気の士業と言うことができます。

公認会計士の需要は高い

新聞を読む人

公認会計士は、2006年の制度に行われた大幅な制度の変更に伴い、合格者が大きく増加し、供給が増えてきたと言えます。

しかし、経済のグローバル化に伴い、企業の海外進出・会計基準の導入や法律の見直し、またM&A案件の増加や経営等に関するコンサルティングニーズの増加による更なる需要の発掘が進んでいます。

昨今では、規模の大小に関わらず、企業が適正な会計を求める傾向が続いており、その追い風を背景に、現在は需要が供給を上回る状況が続いていると言えます。

そのため、現在は公認会計士は不足傾向にあり、常に需要が見込まれるため、就職に困ることはないと言えるでしょう。

また、後々になって公認会計士をやめ、次の仕事に向かって転職すると言う場合でも、その専門的な見地から、一般企業の経理などの部門での監査業務で重宝されることになります。

ベンチャーや、コンサルティング会社などでも、経営面や財務面のアドバイスを求められることもあり活躍の舞台は広く、転職でも十分需要は期待できます。

他の士業と人数を比較

パソコンを使う人たち

公認会計士以外の士業との人数も比較してみます。

2022年現在の資料を表にしてみました。

資格 人数
弁護士 44,056人
税理士 80,054人
行政書士 51,041人
司法書士 23,059人
社労士 44,203人
公認会計士 41,756人

公認会計士は、その専門性の高さと、資格所有者の割合の低さから、士業全体から見ても、人気の高さに反して、取得している人数は少ないと言うことができます。

また、公認会計士は、税理士として登録することで、税理士業務を行うことができます(税理士は、公認会計士としての登録を行うことはできません)。

いずれの場合であっても、企業の会計に対して大きな貢献をすることが見込まれる公認会計士は希少性が比較的高く、価値の高い資格であると言うことができます。

公認会計士の人数まとめ

公認会計士の人数まとめ

  • 全国の公認会計士の人数は約41,000人
  • 他の士業と比べると人数は少ない
  • 簿記の経験が活かせる人気の国家資格である
  • 企業内士業として女性から人気を集めている

公認会計士の人数と、その役割、期待されている業務を中心に、具体的な数字を交えながら紹介しました。

公認会計士ならではの魅了は多く、独立開業が可能な士業であることに加えて、職務の幅が広いため、企業内士業としての活躍の場が広がっていることをご理解いただけたのではないでしょうか?

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