公認会計士の短答式試験の特徴・難易度は?合格率やボーダー・免除制度まで解説!

更新日時 2020/04/06

「公認会計士の短答式試験ってどんな試験?」

「担当式試験の合格点や難易度が知りたい!」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

公認会計士になるためには1次試験と2次試験の両方に合格する必要がありますが、そのうちの1次試験が短答式試験と呼ばれます。短答式試験は公認会計士試験の最初の関門と言えるでしょう。

公認会計士試験を突破するためには、短答式試験に対する正しい理解が不可欠です。

そこで資格Timesでは公認会計士短答式試験について、試験の特徴から難易度、効果的な対策法までわかりやすく解説します

これを読めば短答式試験についてはバッチリです!

公認会計士短答式試験についてざっくり説明すると

  • 公認会計士試験は1次の短答式試験と、2次の論文試験で構成される
  • 短答式試験の出題科目は企業法・管理会計論・監査論・財務会計論である
  • 合格点は総得点の約70%だが、毎年変動する
  • 合格者に対する免除制度等も存在

公認会計士の短答式試験について

科目の説明

短答式試験は、例年12月中旬に行われる第Ⅰ回短答式と、5月末に行われる第Ⅱ回短答式として年に2回開催されます

短答式試験の配点は全科目の合計で500点です。これに対して二次試験の論文式は全科目の合計で700点です。

短答式と論文式の配点比率は5:7と、論文式試験の配点の方が高いのですが、そもそも短答式の合格者しか論文式試験を受験できませんので、論文式を語るならまずは短答式をクリアする必要があります。

短答式試験の試験形式・配点

短答式試験では、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4つの科目が択一式のマークシート形式で出題されます。

配点については、財務会計論200点・管理会計論100点・監査論100点・企業法100の計500点満点です。

特に財務会計論は短答式で500点中200点を占めます。参考までに、論文式でも財務会計論は700点満点中200点の配点があるので、最重要科目ということができます。

公認会計士は学習範囲が膨大ですから短答式対策はメリハリをつけて頻出論点を落とさないようになるレベルになるまでの対策が必要になります。

合格率・合格点

次のグラフは2012年から2018年までの短答式試験合格率の推移を示しています。

グラフを見てわかるように、短答式試験の合格率は近年12~15%の間で推移しています。以前は5%を割ることもあったのですが、近年は合格率が上がってきています

また一次試験の合格率は第Ⅰ回の試験の方が合格率が高く、第Ⅱ回の合格率は低い傾向にあります。

合格基準点は、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の択一式4科目の合計で7割の得点をすることです。すでに述べたとおり短答式の満点は500点ですので、これの7割以上は、350点以上となります。

ただし、4科目のうち1科目でも正答率が40%を下回った場合はそれだけで不合格となる場合があります

免除制度も存在

短答式試験は一回合格すればその合格が2年間有効となるので、その間は短答式を受験せずとも論文式試験にチャレンジすることができるようになります。

他にも、一定の資格を持っていたり国家試験に合格していること、また、学歴や職歴などでも免除の優遇を受けることができる場合があります。以下は一例ですので、詳細は受験要綱の確認をすることをおすすめします。

・資格による短答式の免除

一定の資格を持っている者 免除対象科目
税理士となる資格を有する者 財務会計論
税理士試験の簿記論及び財務諸表論合格者など 財務会計論
司法試験合格者 短答式試験免除

・職歴による短答式の免除

大会社の従業員・公務員が一定の仕事をした場合 免除対象科目
国・地方公共団体などで会計又は監査に関する業務に従事した期間が通算で7年以上の者 財務会計論

・学歴・学位による短答式の免除

会計専門職大学院にて、一定の科目の修士の学位を授与された者 免除対象科目
財務会計・管理会計・監査論につき一定の単位を持った修士 財務会計論・管理会計論・監査論

短答式試験の科目と特徴

成功

財務会計論

財務会計論は、簿記の知識を計算として、財務諸表論の知識を理論として出題されます。

計算のイメージは日商簿記1級の商業簿記・会計学をイメージしていただくと分かりやすいでしょう。もちろん、問題の質と量は公認会計士の方が格段に上です。

そのため、予備校や通信講座等で公認会計士レベルの学習ができる教材を手に入れ、講義を聴く必要があります。日商簿記1級の問題くらいは余裕を持って解けるレベルに達することが必要ですが、市販の問題集はあまり出版されていないので、独学の方は注意が必要です。

理論は企業会計原則などの会計基準を覚えるところから始まり、なぜそのような結論になるかなどの、思考力を問われます。

管理会計

管理会計では、企業が商品を作る過程でいくらの財を費消したかという「原価計算」と、原価計算を基にして経営者が経営計画を立てるために有用な情報を提供する会計システムを学びます。

管理会計は計算が複雑だったり、そこそこの数学的な素養がないと導きだせない数字を求める問題が出題されることもあります。

そのため、最初は計算の方法を身につけることを第一に考えましょう。 数学は時間が空いたときに高校レベルの基礎的な本を確認するといいでしょう。

企業法

公認会計士で出題される法律のほとんどは会社法と商法が占めます。これらの法律は日常生活で馴染みがあまりないため、最初は何をすればよいか戸惑う受験生が多い科目です。

何をすべきかといえば、最終的には条文レベルの出題となるため、条文をしっかり頭に入れることが大切です。会社法は1000条にもなる膨大な法律ですが、裏を返せば1000条しかないということもできます。

忘れた回数以上に覚える回数を増やし、記憶に磨きをかければ得点源となる科目といえます。

監査論

監査は公認会計士の独占業務です。そのため試験では監査とはどのようなものかが徹底的に聞かれます。

しかし、理論の対立はあるものの決定的に解答が割れるような出題のされ方ではなく、監査基準などの基本的事項を理解していれば、合格点を取ることは容易でしょう。

ただし、知識の丸暗記だけでは手に負えない場合もあることを知っておいていただきたいです。

公認会計士監査は財務諸表の異常点を見つけ、不正や会計ミスを防ぐために行われますので、ある程度監査に関して鋭い出題(推理力を試すなど)がされることもあります。

短答試験の勉強時間と勉強法のポイント

試験 ポイント

短答式試験の勉強時間

ここからは短答式を突破するための勉強時間などについて述べていきます。当然ながら知識の習得には個人差があるため、大まかな目安と思って読み進めてください。

一般的に短答式試験に合格するには1,500時間の学習時間が必要だといわれています。その中でも特に重点を置いて学習すべき科目が財務会計分野です。

先にも述べましたとおり、短答式試験では財務会計論が500点満点中200点です。その後の論文式試験でも、「会計学」として財務会計論と管理会計論が併せて出題され、700点満点中300点を占めています。

このように配点が高いため学習範囲は極めて広くなります。また、学習範囲が広いということは知識の維持が問題となります。

通常は財務会計論を学習した後に管理会計論、監査論、企業法の順に学習していきます

多くの受験生が直面する課題として、管理会計論の後半になると財務会計論の知識があやふやになってきているなど、進めば進むほど過去の記憶の維持が難しくなるため、多くの受験生は短答突破がならないのです。

なお解答の形式はすべてマークシートとなります。問題に印刷されている選択肢に必ず答えがありますが、難しい問題があるのも事実です。難しすぎる問題は多くの受験生が分からないので合否に影響しません。

基本から標準レベルプラスαを確実に取れるように学習していくことが大切です。

インプットから始めるのが王道

短答式の勉強法としては、まずは基礎的な知識のインプットから始めるのが一般的です。

公認会計士の受験生の多くは予備校や通信講座を利用しているため、インプットは予備校の講義を聴くということになります。独学の方は書店で基本書を購入し、読み進めて進捗度に応じて問題を解くという方法がおすすめです。

予備校等を利用する方はインプットもアウトプットも予備校任せで問題ありません。しかし、独学の方は予備校が持っているノウハウを受けられませんので、書店で合格体験記を購入して勉強法を学ぶことも大切です。

過去問対策も大切

短答式試験の過去問は大手予備校のTACや大原などから発売されています。個別論点の問題集は手に入れにくいのですが、過去問ならば入手しやすいでしょう。

短答式試験には出題傾向があり、それは過去問を分析していくことで解明できます。

これが試験勉強を進めるうえで大切であり、本試験の問題によっては過去の問題の焼き直し(数字を変えただけの問題)ともいえるものが出題されることもあります

過去問学習の方法としておすすめなのは、短答式は全て選択問題なので選択肢ごとに、正解は○、あやふやは△、間違いは×などと印しをつけていけば、自分の得意分野と苦手分野が分かります。

最初は会計的思考が乏しく受験テクニックもないため、一問解くのに相当時間がかかり、分からない問題も多く大変ですが、徐々に正答率は上がってくるものです。

そうすると過去問の2周目、3周目には過去問や予想問題を解くことが楽しくなってきます。学習をその境地を目指して努力をしていけば合格という目標は近いものになります。

法改正には要注意

予備校生も独学組も法改正には要注意です。会計基準などはあまり変わりませんが、変わった場合には最新版のテキストなどで常に知識をアップデートする必要があります。

特に短答式試験では企業法が要注意です。会社法はかなり頻繁に改正がある法律なので、細心の問題集と条文を網羅的に学習していかなければ、改正があった年の問題には対処できなくなるので注意しましょう。

短答式試験と論文式試験の違い

違いは何か?

論述試験の試験形式と内容

論述試験は会計学(財務会計論と管理会計論を合わせたもの)、監査論、企業法、租税法、選択科目の5科目に分かれています。

選択科目は経営学、民法、経済学、統計学の4科目の中から1科目を選択することになります。

配点は会計学300点、監査論100点、企業法100点、租税法100点、選択科目100点の、合計700点満点です。

なお、民法は平成29年法律第44号で総則編と債権編が大改正され、平成30年法律第72号で相続編も大改正されました。

そのため予備校によっては試験傾向が安定するまで選択科目の民法を開校していないところもあるので、よく確認しましょう。

独学で挑戦することも不可能ではありませんが、多くの受験生が出題傾向が安定し範囲も狭い経営学を選ぶ中、あえて民法を選択する方々は法律既修者の強者揃いであることに注意して、勝てる見込みがあるかをよく検討する必要があります。

論文式試験対策の勉強時間はどれくらい?

論文式試験合格には短答式試験の倍の勉強時間が必要というのが通説です。

理由としては、試験形式が択一式から記述式に変わり、知識量に加えて一つの分野の理解を深めつつ、それを表現するためのテクニックも習得する必要があるためです。

公認会計士試験のトータル勉強時間が4,000時間以上であるといわれることから、2,500時間の勉強時間が一つの目安となります。人によっては短答式により時間がかかることもありますし、その逆もありえるので、2,500時間はあくまでも目安です。

要領のいい受験生は、短答式学習の段階から無理のない範囲で論文試験の学習を始めています。

勉強期間のどこかで余裕が生まれたときに論文対策をするということは、短答合格まで論文対策を全くしない人よりも一歩進んでいるといえます。

短答式試験と論文式試験の難易度比較

短答式の合格率は全受験生の12~15%です。

一方、短答式試験合格者のみが受験できる論文式試験の合格率は全受験者の34~38%です。

一見数字だけで比べると短答式試験の方が難しいように見えますが、論文式試験は短答式をクリアした集団であり、母数のレベルが非常に高いといえるので、合格率だけでは判断できません。

また試験科目の面では短答式試験では財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目であるのに対し、論文式試験では会計学・監査論・企業法・租税法の4科目に加え、選択科目1科目の計5科目の試験が課されます。

日程的にも短答式試験は1日で終わりますが、論文式は3日間で行われます。

以上のことから、総じて短答式よりも論文式の方が難しいといえます。

公認会計士短答式試験まとめ

公認会計士の短答式試験まとめ

  • 公認会計士の試験制度を知ること
  • 難しすぎる知識は深追いせず、普通のレベルプラスαで十分
  • 短答式試験のうちに可能であれば、論文式の準備も始める

公認会計士の短答式試験について解説しました!

短答式試験は公認会計士試験の第一関門です。試験の特徴をしっかりと把握して、効率的に学習を進めていきましょう!