公認会計士試験の免除制度とは?科目から短答式・論文式の違いまで徹底解説!

更新日時 2020/04/01

難易度が高いことで知られている公認会計士試験。合格のハードルを下げる方法の一つに試験免除制度がありますが、複雑な要件もあり調べ切れていない方も多いのではないでしょうか。

この記事では公認会計士試験の免除について、免除制度の詳細や申請方法、申請する場合の注意点など、分かりやすく説明しています。

免除制度の内容を正確に理解することで、公認会計士試験対策を有利に進めましょう。

公認会計士試験の免除制度についてざっくり説明すると

  • 試験願書提出前に、あらかじめ免除申請を済ませておく
  • 免除申請には審査がある
  • 短答式試験免除と論文式試験免除の2種類がある
  • 複雑な免除要件もあるのでよく確認することが必要

公認会計士試験の免除制度について

ノートへ書き込み

公認会計士試験では、規定の経歴や実務経験等に対して、それらを証明する書類の提出など一定の条件を満たすことで、全部または一部の科目が免除される制度があります。

まずはじめに、試験免除制度の概要を確認しておきましょう。

免除申請をするには

公認会計士試験において、試験科目の一部免除等を受けたい場合は、受験願書の提出より前に、あらかじめ免除申請の手続を済ませておく必要があります。

免除申請は、次の1.2.いずれかの方法で手続きをすることができます。

  1. 書面による免除申請

申請書様式は、「公認会計士・監査審査会」のホームページからダウンロードできます。郵送(簡易書留又は特定記録郵便扱い)に限ります。万が一、郵送料金が不足していると受理されないので注意しましょう。

  1. インターネットによる免除申請

受験願書と併せて配付される受験案内に従って申請します。

旧公認会計士試験制度の下で、平成17年以前に免除を受けている場合は、再度の免除申請が必要です。 平成18年以降に免除手続が済んでいる場合は、再度の免除申請は不要です。

免除資格は事前確認ができる

公認会計士試験で免除を受けるためには、受験願書に免除通知書のコピー等を添付しなければなりません。

免除事由によっては、免除申請の審査(後述)に時間がかかることがありますので、免除通知書の発行が試験出願に間に合うように、余裕をもって申請を行ってください。免除申請は通年できます。また、発行された免除通知書に有効期限はありません。

まずは、ご自分が公認会計士試験の免除資格があるかどうかを確認することが大切です。具体的な免除対象者については、後述の2種類の免除制度と該当科目で詳しく解説しています。

免除申請後には審査がある

公認会計士試験の免除は、公認会計士になろうとする人が、「必要な学識及びその応用能力を確実に有し、試験によってその有無を判定することを要さない」場合に適用されます。

免除申請書には、免除の要件に該当することを証明する書類等を添付する必要があります。これらの提出書類から免除の要件と合っているかどうかを判断し、免除の可否を決定するために審査が行われます。

審査において必要があれば、申請者に対して、提出された申請書類の記載内容の確認を行ったり、追加書類の提出が求められたりする場合もあります。

2種類の免除制度と該当科目

積み上げた本

公認会計士の試験免除制度には、短答式試験免除論文式試験免除の2種類があります。

いずれも試験で免除を受けるためには、申請を行って免除通知書を発行してもらい、受験願書に免除通知書のコピー等を添付する必要があります。

短答式試験免除

短答式試験免除には、「全部免除」「一部科目免除」の2種類があります。

免除申請が認められると、短答式試験の全部または一部科目免除に係る「公認会計士試験免除通知書」の交付を受けることができます。

短答式試験の全部免除該当者

次の1~4のいずれかに該当すると認められた場合、短答式試験が免除され、論文式試験から受験することができます。

このほか、5.過去2年以内の短答式試験合格者に対する免除もあります。

  1. 大学等において商学に属する科目教授または准教授の職歴が3年以上ある者、又は商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者

  2. 大学等において法律学に属する科目教授または准教授の職歴が3年以上ある者、又は法律学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者

  3. 高等試験本試験(司法科もしくは行政科)合格者

  4. 司法試験合格者及び旧司法試験第2次試験合格者

  5. 過去に短答式試験に合格しており、その短答式試験の合格発表の日から起算して、2年を経過する日までに行われる短答式試験を受験する場合

短答式試験の一部科目免除該当者

次の1~3のいずれかに該当すると認められた場合、該当科目に係る短答式試験が免除されます。複雑な要件もあるので、よく確認することが大切です。

  1. 税理士資格を有する者、又は税理士試験の指定試験科目について基準以上の成績を得た者(別途要件あり)・・・免除科目「財務会計論」

  2. 会計専門職大学院において、規定の科目に関する研究および指定以上の単位数を履修した上で、修士(専門職)の学位を授与された者・・・免除科目「財務会計論、管理会計論及び監査論」

  3. 金融商品取引法に規定する上場会社等、「公認会計士試験規則第7条」に定める法人において、会計又は監査に関する事務又は業務に従事した期間が通算7年以上ある者・・・免除科目「財務会計論」

論文式試験免除

次の1~10のいずれかに該当すると認められた場合、該当科目に係る論文式試験が免除されます。

このほか、11.旧公認会計士試験に対応する免除、12.過去2年以内の論文式試験の成績に係る免除もあります。

  1. 大学等において商学に属する科目の教授または准教授の職歴が3年以上ある者、又は商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者・・・免除科目「会計学及び経営学」

  2. 大学等において法律学に属する科目の教授または准教授の職歴が3年以上ある者、又は法律学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者・・・免除科目「企業法及び民法」

  3. 高等試験本試験(司法科もしくは行政科)合格者・・・免除科目「高等試験本試験において受験した科目」

1.司法試験合格者・・・免除科目「企業法及び民法」

  1. 旧司法試験第2次試験合格者・・・免除科目「旧司法試験の第2次試験において受験した科目」

  2. 大学等において経済学に属する科目の教授または准教授の職歴が3年以上ある者、又は経済学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者・・・免除科目「経済学」

  3. 不動産鑑定士試験合格者及び旧鑑定評価法の規定による不動産鑑定士試験第2次試験合格者・・・免除科目「経済学又は民法」

  4. 税理士となる資格を有する者 (弁護士を除く)・・・免除科目「租税法」

  5. 企業会計に関する事務又は業務に従事した者で、公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会が認定した者 ・・・免除科目「会計学」

10.監査制度に関する事務又は業務に従事した者で、公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会が認定した者 ・・・免除科目「監査論」

11.旧公認会計士試験第2次試験論文式試験において、免除を受けた科目がある者・・・免除科目「旧第2次試験論文式試験で免除を受けた試験科目に対応する試験科目」

12.過去に受験した論文式試験に関して「公認会計士試験論文式試験一部科目免除資格通知書」が交付されている。かつ、その論文式試験の合格発表の日から起算して2年を経過する日までに行われる論文式試験を受験する場合・・・免除科目「公認会計士・監査審査会が相当と認める成績を得た一部の科目」

公認会計士と税理士との違いは

クエスチョンマーク

税理士は公認会計士とよく比較される会計系の資格です。両資格試験の受験資格や試験の概要を、参考として確認してみましょう。

公認会計士の受験資格と試験内容

公認会計士に受験資格の制限はなく、年齢・学歴・国籍等にかかわらず誰でも受験できます。

公認会計士の試験内容

公認会計士試験は、まず短答式試験(年2回実施:12月と5月)を受験し、短答式試験合格者及び短答式試験免除者は、論文式試験(年1回実施:8月)を受験します。論文式試験に合格すると、公認会計士試験の合格証書が郵送されます。

短答式試験の試験科目は、財務会計論、管理会計論、監査論及び企業法の4科目で、試験はマークシート方式です。短答式試験は年2回ありますが、全科目免除を受ける方は出願できる日程が決まっているので注意しましょう。

論文式試験は、会計学、監査論、租税法、企業法及び選択科目(経営学、経済学、民法、統計学のうちあらかじめ選択した1科目)の5科目です。

税理士試験の受験資格と試験内容

ここで、税理士の受験資格と試験内容につて確認していきましょう。

税理士の主な受験資格

(1)学識による受験資格

  • 大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者

  • 大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者

  • 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者

  • 司法試験合格者

  • 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者に限る)

(2)資格による受験資格

  • 日商簿記検定1級合格者

  • 全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る)

(3)職歴による受験資格

  • 法人又は事業行う個人の会計に関する事務に通算2年以上従事した者

  • 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に通算2年以上従事した者

  • 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に通算2年以上従事した者

税理士の試験内容

税理士試験の試験科目は次のようになります。

  • 会計学に属する科目(簿記論及び財務諸表論)の2科目

  • 税法に属する科目(所得税法、法人税法、相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、住民税又は事業税、固定資産税)のうち受験者が選択した3科目(所得税法又は法人税法のいずれか1科目は必須)

税理士試験は科目合格制であり、一度に5科目全てを受験する必要はありません。合格科目が会計学に属する科目2科目及び税法に属する科目3科目の合計5科目に達した方が合格者となります。

税理士試験の免除制度と比べると

鉛筆

税理士にも試験免除制度があります。公認会計士の試験免除制度との違いを見てみましょう。

税理士の免除制度について

以下は、税理士試験の免除制度についてまとめました。

学位取得による試験科目の免除

平成14年4月1日以後に大学院の修士課程または博士課程に進学し、税法または会計学に属する科目の、修士学位または博士学位取得者は試験科目が一部免除されます(平成14年3月31日以前に進学している場合は要件が異なります)。

  • 修士学位取得者は、税理士試験の分野ごとに、いずれか1科目の試験に合格した後==、自己の修士学位等取得に係る研究について国税審議会から認定==を受けた場合、税法科目であれば残り2科目、会計学科目であれば残り1科目にも合格したものとみなされ、試験が免除されます。

  • 税法に属する科目等に関する研究による博士学位授与者は、国税審議会に免除申請を行うことにより、税法に属する科目3科目の試験が免除されます。

  • 会計学に属する科目等に関する研究による博士学位授与者は、国税審議会に免除申請を行うことにより、会計学に属する科目2科目の試験が免除されます。

職歴による試験科目の免除

  • 大学等において税法に属する科目等の教授、准教授または講師の職歴が通算3年以上ある者は、税法に属する科目が免除されます。

  • 大学等において会計学に属する科目等の教授、准教授または講師の職歴が通算3年以上ある者は、会計学に属する科目が免除されます。

  • 10年又は15年以上(職務内容により異なる)税務署に勤務した国税従事者は、税法に属する科目が免除されます。

  • 23年または28年以上(職務内容により異なる)税務署に勤務し、指定研修を修了した国税従事者は、会計学に属する科目が免除されます。

公認会計士の方が厳格

両資格試験の免除規定の似ている部分には、次のような違いがあります。

  • 学位による免除

公認会計士・・・博士に限る

税理士・・・修士または博士(要件は異なる)

  • 過去の受験結果による免除

公認会計士・・・合格発表より2年以内(旧公認会計士試験第2次試験論文式試験における免除を除く)

税理士・・・永年(科目合格制)

他にも、公認会計士論文式試験には一部免除しか認められていないことなどから、税理士試験よりも公認会計士試験の免除規定の方が厳格であることが分かります。

免除が受けにくいとハードルが高く感じるかもしれませんが、その分公認会計士の資格を取得するメリットは大きいと言えるでしょう。

免除制度は利用するべき?

チェック

公認会計士試験は難しく試験科目も多いので、時間のない社会人の方などにとって免除制度はメリットになると言えます。

一方で免除制度を利用することが、結果としてマイナスに働くこともあります。メリットとデメリットの両方を比較して申請を考えると良いでしょう。

免除申請をするメリット

公認会計士の短答式・論文式試験の全てを同時に受験すると、試験科目が非常に多くなります。当然受験科目は1つでも少ないほうが負担は少ないので、免除の条件に当てはまる場合は積極的に免除申請をするのも良いでしょう。

最近は、学歴や職歴による免除制度を利用して公認会計士を目指す方が多く、全科目受験する方はむしろ少数と言われています。

公認会計士試験で一部免除を利用している場合の合否判定は、免除科目を除いた試験科目の合計得点の比率によって判定されます。免除を受けること自体が合格のハードルを上げることはないので、安心して免除申請をしてください。

免除申請をするデメリット

免除申請がデメリットになる可能性として、次のようなケースが考えられます。

公認会計士試験の合格基準は、例えば論文式試験であれば総点数の52%を基準として、審査会が相当と認めた得点比率とします。免除を受けた場合は、免除科目を除いた科目の合計得点の比率によって合否が判定されます。

このため、免除可能な科目が得意科目である場合、あえて受験して全体の得点比率を上げることで、合格しやすくなることも考えられます。

ただし合計得点比率がどれだけ高くても、満点の40%に満たない科目が一つでもあると不合格になるので注意が必要です。

もちろん免除制度を利用してもしなくても、合格すれば公認会計士として何の違いもありません。

免除制度はあまり認知されていない

公認会計士試験に免除制度があるということは、実は一般的にはあまり知られていません。

難しい試験科目の全てに合格しないと公認会計士にはなれない、という印象が強くありますし、一方で受験資格に制限がない点も、その分免除もほぼないだろうというイメージを与えているかもしれません。

ましてや公認会計士試験を考えたことがない、身近に受験した方がいない、という方なら知らなくても無理もないでしょう。

短答式試験が免除であったり、あまり得意ではない科目が免除されたりと、免除制度が有利に働くならば積極的に利用すると良いでしょう。

公認会計士試験の免除制度まとめ

公認会計士試験の免除制度まとめ

  • 免除申請は通年でき、発行された免除通知書に有効期限はない
  • 免除申請は審査に時間がかかることもあるので注意
  • あえて免除申請せず全体の得点アップをねらう方法もある
  • 試験免除が有利と判断されるなら積極的に申請するのがおすすめ

公認会計士の試験には、あまり知られていない多くの免除要件があることが分かりました。

これらの免除制度を有効に利用し、公認会計士試験の勉強を効率的に進めてみてはいかがでしょうか。