公認会計士の試験科目は?科目ごとの試験範囲から試験内容まで徹底網羅!
「公認会計士の試験内容ってどんなものなの?」
「どれくらい難しくて、どれくらいの勉強時間が必要なの?」
公認会計士を目指すなら、試験内容や難易度については絶対に知っておきたいですよね。
そこでこの記事では公認会計士の試験形式や科目、試験範囲といった試験内容と、それぞれの科目に必要なおおよその勉強時間について徹底的に解説していきます。
この記事を読めば公認会計士を目指すためには、どんな科目をどのくらい勉強すれば良いかが分かるはずです。
公認会計士の試験科目についてざっくり説明すると
- 公認会計士に合格するためには3000時間近い勉強時間が必要
- 数年かけて合格を目指す人が多い
- 免除制度の条件を満たしていれば特定の科目が免除になる
- 範囲が広いので計画的に勉強を進めることが大切
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公認会計士試験の試験形式・試験科目
公認会計士の試験は1次試験の短答式試験と2次試験の論文式試験の2段階選抜です。そのため、短答式試験に合格しなければ論文式試験の受験資格は得られません。
短答式試験は毎年5月と12月の年2回、論文式試験は毎年8月の年1回実施されています。
試験科目は短答式試験は財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の4科目、論文式試験は会計論(短答式試験の財務会計論と管理会計論を併せたもの)・監査論・企業法・租税法の必須科目に選択科目を加えた5科目です。
短答式試験 | 論文式試験 | |
---|---|---|
実施月 | 5月・12月(年2回) | 8月(年1回) |
科目 | 財務会計論・管理会計論・監査論・企業法(4科目) | 会計論・監査論・企業法・租税法・選択科目(5科目) |
論文式試験の選択科目は経営学・経済学・民法・統計学の4科目から1つ選んで受験します。
免除制度が存在
一定の条件を満たせば短答式試験・論文式試験ともに試験科目の一部またはすべての免除を受けられます。
具体的な免除内容は以下の表のとおりです。
短答式試験合格者と論文式試験合格者が免除を受けられる期間は、合格発表の日から起算して2年間です。
また免除を受けるためにはあらかじめ申請をした上で、出願時に免除通知書のコピーを添付しなければいけません。
科目免除が受けられればその分の学習時間を減らした上で受験することができるため、当然負担が減ります。忘れないように必ず申請しましょう
短答式試験
対象者 | 免除科目 |
---|---|
短答式試験合格者 | 全科目免除(2年間) |
司法試験合格者 | 全科目免除 |
税理士 | 財務会計論 |
税理士試験の簿記論及び財務諸表論の合格者 | 財務会計論 |
大会社・国・地方公共団体等で会計・監査に関する業務を通算7年以上行った人 | 財務会計論 |
会計専門職大学院の学位取得者 | 財務会計論、管理会計論、監査論 |
論文式試験
対象者 | 免除科目 |
---|---|
論文式試験科目合格者 | 合格した科目(2年間) |
司法試験合格者 | 企業法および民法 |
税理士 | 租税法 |
不動産鑑定士試験合格者 | 経済学または民法 |
公認会計士試験の免除制度について詳しく知りたい方は以下の記事も御覧ください。
合格点はどれくらい?
短答式試験はマークシート方式による択一式試験で合格基準ラインは4科目の総得点が70%以上が目安となっています。論文式試験は科目別筆記試験で5科目の総得点が52%以上が合格基準となっています。
特に短答式試験は、年度によって合格ラインは大きく変動しているので注意が必要です。
ただし、短答式試験・論文式試験ともに40%に満たない科目が1つでもあると不合格になる可能性があるので注意が必要です。
すべてを完璧に勉強しなくても頻出範囲を中心に対策すれば十分に合格を目指せます。しかしすべての科目で40%以上得点できるようにそれぞれの科目をしっかり勉強しましょう。
また先ほども触れたように公認会計士の試験は2段階選抜のため、短答式試験を突破しなければ論文式試験を受験することはできません。
科目別の試験内容・難易度・勉強時間について
公認会計士の試験勉強と言っても科目によって難易度が異なり、必要となる勉強時間の目安の差も大きいです。
公認会計士試験に合格するには数年かけて勉強をするのが普通で、計画を立てた上でしっかりと継続して勉強を進めることが重要です。
それぞれの科目の勉強時間の目安は以下の表を参考にしてください。
試験科目(必須科目のみ) | 短答式 | 論文式 |
---|---|---|
財務会計論(論文式試験では会計学) | 900時間 | 300時間 |
管理会計論(論文式試験では会計学) | 400時間 | 50時間 |
監査論 | 200時間 | 80時間 |
企業法 | 350時間 | 120時間 |
租税法 | ー | 350時間 |
続いてそれぞれの科目の詳細を見てみましょう。
会計学
会計学は短答式試験では「財務会計論」と「管理会計論」 という2つの科目に分かれますが、論文式試験では「会計学」 という短答式試験の2つが合体した科目で出題されます。
試験の中でもっとも配点のウエイトが大きく、勉強時間も要する科目です。
財務会計論
財務会計論は「簿記」と「財務諸表論」に分かれ、簿記では計算手順、財務諸表論では理論を勉強します。
勉強時間の目安は短答式試験で約900時間、論文式試験で約300時間とされ、公認会計士の試験勉強の中でもっとも多くの時間を要する科目です。
特に「簿記」は貸借対照表や損益計算書などの作成方法を勉強する科目で、公認会計士試験のベースとなる科目でもあるため、絶対に避けては通れません。むしろ得意科目にできるようにしっかり勉強しましょう。
「財務諸表論」は簿記で学ぶ計算方法や財務所表などの作成方法の背景を学びます。
簿記で作成方法などの手順を学びながら、財務諸表論で背景を学ぶというように並行して学習することが重要です。
管理会計論
経営者や工場長などの管理者に「企業の将来的な計画を立案したり、その計画が正しく実行されているかを分析するのに必要な情報」を提供できるように学習する科目です。
財務会計論と同じく計算と理論を学びますが、管理会計論の計算はおもに製品の原価計算方法や財務分析で「工業簿記」と呼ばれる内容です。理論では経営管理に関する経営意思決定方法を学びます。
勉強時間の目安は短答式試験で約400時間、論文式試験で約50時間です。財務会計論に比べれば勉強時間は少ないものの、試験範囲の中では2番目にボリュームのある科目です。
監査論
監査論は公認会計士の独占業務である監査業務について勉強する科目です。
検査の手法をはじめ監査業務の実施法を決める諸制度や公認会計士に必要な能力・価値観を学ぶため非常に大切ではあるものの、ボリュームが少ない割に、実務経験がないと深く理解するのは難しい科目でもあります。
試験対策としてはあまり得点できる科目とは言えないので、勉強時間の目安は短答式試験で200時間程度、論文式試験で80時間程度にとどめて、時間を節約するのがおすすめです。
企業法
企業法はその名の通り企業を取りまくさまざまな法律を学習する科目で「会社法」「商法」「金融商品取引法」の3つの法律を学びます。
メインとなるのは「会社法」で、中でも株式会社に関する規定や株式会社を中心とした企業の活動や組織などに関する諸規定の学習が重要です。
勉強時間の目安は短答式試験で350時間程度、論文式試験で120時間程度です。暗記に加えて周辺知識の理解もしっかり深めるようにしましょう。
法律特有の言い回しもあって苦手意識を感じる人も多いですが、しっかり勉強すれば点数を上げやすい科目です。
租税法
租税法は必須科目の中で唯一、論文式試験でしか出題されない科目です。おもに「法人税法」「所得税法」「消費税法」などといった税金の仕組みを学びます。
公認会計士試験で株式会社を中心とした会社全体を取り巻く税金の勉強が重要ですが、中でも「法人税法」がメインとなります。計算と理論を問われる問題が出題されます。
勉強時間の目安は350時間程度です。出題範囲が広く、暗記することも多いので論文式試験では重きを置いて学習すべき科目のひとつです。
選択科目
選択科目は経営学・経済学・統計学・民法の4科目の中から1つを選びます。選ぶ科目によって目安となる勉強時間が異なり、労力にも差が生まれます。
選択科目もそれぞれの科目の詳細を確認しておきましょう。
経営学
経営学は大きく「ファイナンス論」と「経営戦略論」の2つに分けることができ、計算と理論の両方が必要とされる科目です。
とは言え出題範囲は狭く、さらに基礎的な部分からの出題が多いため、選択科目の中でもっとも難易度が低い科目とされています。事実、受験生の中で選択する人がもっとも多いです。
企業や企業経営の在り方について研究する科目です。
経済学
経済学も計算と理論の両方が出題されますが、特に計算がメインとなる科目です。企業や個人など小さな単位での経済の動きを分析する「ミクロ経済学」や、国単位や世界全体の経済の動きを分析する「マクロ経済学」を学びます。
出題範囲が広く、数学に近い科目であるため、数学や経済学が苦手な人にはおすすめできない科目です。
微分積分などの数学知識も必要になります。
民法
民法は試験範囲がとても広い上に覚えることが多いため、勉強時間を要する科目です。法学部出身者や法律関係の資格など、法律科目に自信がある受験者が選択することが多いです。
個人の財産に関する財産法や家族に関する家族法など、国民の日常生活にも関係する法律について学習する科目です。
判例や条文を理解することが重要になります。
統計学
統計学も理論も出題されますが計算がメインとなる科目です。試験範囲は広くなくて、暗記すべき内容も少ないのですが、専門性が高くて計算内容も高度なため難易度が高いです。
標準偏差や回帰分析などの統計の手法を学ぶため、試験合格後のキャリア形成にも知識を生かせる科目ですが、試験で小さなミスが致命的になりかねない科目でもあります。
選択科目はどれを選んだほうがいい?
多くの受験生におすすめする選択科目は経営学で、実際もっとも多くの受験生が選択しています。
なぜなら選択科目も必須科目と同じく、科目によって必要となる勉強時間の目安が異なるからです。
その点、経営学は他の選択科目に比べて必要な勉強時間が少ないです。さらに経営学で学ぶ知識は合格後にもっとも使う知識でもあるため、受験のために勉強したことを大いに生かせます。
せっかく自分で選べる選択科目なので、勉強時間が少ないものを選んで他の大事な科目に時間を割くようにするのがおすすめです。
勉強計画はどう練ればいい?
ここまでは公認会計士の試験内容や試験の特徴について解説してきました。
しかし試験に合格するための勉強のポイントは分かりませんよね。そこでここからは試験に合格するためにはどのように勉強したら良いか解説していきます。
勉強スケジュールを決める
先ほど各科目に必要な勉強時間の目安を紹介しました。いつ試験を受けるかを決めたら逆算して1日の勉強時間を割り出しましょう。試験までの期間が短ければ、当然それだけ1日に必要となる勉強時間が増えます。
逆に1日に確保できる勉強時間が決まっているなら、勉強が終わるのはいつ頃になるかを計算して、いつ受験するか決めましょう。
ただし途中で挫折することがないように余裕を持たせた計画にすることが大切です。一つひとつのステップに必要な目安時間をしっかり把握して、無理なく勉強を進めましょう。
さまざまな勉強方法がありますが、目安として基礎知識を詰める入門期は1日6時間程度、過去問などの演習をおこなう段階では1日9時間程度の勉強時間が必要だとされています。
独学合格ってできるの?
独学で勉強するメリットは、自分が好きな時に学びたい科目を自分のペースで進めることができることです。しかしそれは逆に言えば、スケジュール管理や学習の進捗をすべて自分で管理しないといけないということでもあります。
残念ながら独学で公認会計士の勉強をするにはデメリットが多いです。まず多くの受験生は予備校などに通うため、市販されているテキストは多くありません。
またネットにも情報が少ないため、他の資格などの勉強に比べて内容を理解しづらいです。
そしてこのように勉強しにくい環境でモチベーションを維持し続けるのは簡単なことではありません。
独学は予備校などで学ぶように効率的に学習するのが難しいため、より多くの時間がかかってしまいます。独学で合格を目指すとかなり厳しい道になることを覚悟してください。
正しい勉強法のマスターが重要
独学者にありがちな傾向として、とにかく勉強をたくさんすればいいと思ってしまい我流の勉強を進めてしまうことです。
これだとかなりの確率でつまずくことが予想され、合格の可能性が低くなってしまうことにつながります。
そのような事態を回避して実力をグングン伸ばすために、クレアールの「非常識合格法」で正しい勉強法を知ってみてはいかがでしょうか。
この本には、合格のために必要な要素や試験の実際の難易度の詳細など勉強するうえでためになる情報がたくさん掲載されています。
そんなためになる本が現在無料で先着100名様にプレゼントされています。
1度手にすれば目からうろこの勉強法で勉強がはかどること間違いないので、この機会にぜひ手に入れてみてはいかがでしょうか!
公認会計士の試験科目まとめ
公認会計士の試験科目まとめ
- 重要な科目を見分けて効率よく勉強を進めることがポイントになる
- 合格するためには必要な勉強時間を把握したうえで計画的に勉強を進める
- 選択科目は「経営学」を選ぶのがおすすめ
- 独学で合格するには相当の覚悟と努力が必要になる
公認会計士試験は非常に試験範囲が広く、勉強しなければいけないことが多い試験です。
しかし試験内容について計画的に学習を進めれば十分に取得を目指せる資格でもあります。
ぜひ公認会計士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか!