公認会計士になるのに学歴は関係ある?合格者の出身大学別ランキングから徹底考察!
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公認会計士
白井敬祐
公認会計士は様々な国家資格の中でも特に高い人気を誇る資格です。何か資格を取得したいと考えている人の中には公認会計士に興味を持っている人も多いと思います。
しかし公認会計士は難易度が非常に高いというイメージが先行していて、イメージだけで「高学歴でないと公認会計士にはなれない」と勘違いする人も少なくありません。根拠もなく「自分が公認会計士を目指すのは無理だろう…」などと思っていないでしょうか?
そこで今回は公認会計士と学歴の関係について解説していきます。
この記事を読めば公認会計士を目指す際や実際に公認会計士として働く際に学歴は関係ないことが理解できるので、公認会計士を目指す上で是非参考にして下さい!
公認会計士と学歴の関係をざっくり説明すると
- 合格者の内訳を大学別に見ると早慶などが多いが必ずしも高学歴者だけではない
- 公認会計士試験は受験資格がないので学歴に関係なく誰でも受けることができる
- 公認会計士を目指すには「今までの学歴」よりも「今から身に付ける知識」が大事
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公認会計士は高学歴ばかり?
公認会計士は医師・弁護士と並ぶ三大国家資格の1つで経済界最高峰の資格です。財務諸表の内容が適正かどうかをチェックして不正やミスがないように監査を行う財務会計の専門家で、知名度・社会的地位ともに非常に高い資格となっています。
社会で重要な役割を担う職業なだけに試験は非常に難しく、様々な士業系資格の中でも特に試験の難易度が高い資格です。
世代に関係なく人気があって毎年多くの人が試験を受験していますが、合格するのは決して簡単ではありません。
そのため「公認会計士は学歴が高い人がなる職業」という印象を持つ人も多くいますが、実際はどうなのでしょうか?まずは公認会計士の出身大学について確認してみましょう。
超高学歴の公認会計士は一定数いる
公認会計士試験の合格者の中に超高学歴の人が一定数いることは確かです。慶応大学や早稲田大学など学生数自体が多い大学では合格者の人数も多く、東京大学や京都大学など有名国立大出身者からも毎年ある程度の人数が合格しています。
そもそも公認会計士は国家公務員などと並んで高い人気を誇る資格なので、出身大学に関係なく多くの人が試験を受ける資格です。
高学歴の人の中にも公認会計士を目指す人は当然いて、結果的に学歴の高い人たちも合格者の中に一定数は含まれることになります。

私はそこまで高学歴というほどではありませんが、少なくとも会計士資格を取れば学歴がなくても一発逆転できる資格だと思います。
そして社会に出て学歴で悩むことはほとんどないでしょう。私も10年間実務に出て学歴で何か苦労したことは全くありません。
周りを見れば高卒で前職が料理人、運転手など、学歴がない方・会計に関係ない職種出身の方でも会計士としてご活躍されています。
出身大学別合格者ランキング
次のグラフは大学別の公認会計士試験合格者数を示しています。
グラフを見てわかるように、大学によって公認会計士試験に強いかどうかに差があることが分かります。
合格者数のトップは早慶出身者
公認会計士の大学別合格者数で特に多いのが早慶大出身者で、この2大学は合格者数ランキングで長年1位と2位に位置し続けています。また明治大学や中央大学をはじめとしたMARCH出身者の合格者数も多く、明大・中央大の近年の合格者数は毎年50名以上です。
なお大学卒業後にその地域で就職することも多いため、関東の公認会計士では早慶大出身者が多く、関西では立命館大学などの出身者が多くなる傾向にあります。
公認会計士試験に強い大学については以下の記事でも紹介しています。
公認会計士試験の合格率と学歴は比例するのか
合格者の中に高学歴の人たちが一定数いることは事実でも、高学歴でなくても合格を勝ち取っている人はたくさんいます。
「公認会計士試験の合格率と学歴は比例するのだろう」などと勘違いする人も多いのですが、決してそのようなことはありません。
試験に合格するために大切なのは学歴ではなく今から如何に勉強して努力するかです。
学歴を気にして「合格できないかも…」と不安になったり勉強のモチベーションを下げる必要はありません。まずは以下で紹介する点を正しく理解・認識するようにしましょう。
受験資格に学歴は全く関係ない
資格試験の中には試験を受けるために受験資格を満たさなければいけない場合がありますが、公認会計士試験には受験資格の定めはありません。学歴や職歴などに関係なく誰でも受験でき、公認会計士になるチャンスは全員に平等に与えられています。
高卒、大学生、高齢の方など、最終学歴や年齢に関係なく取得を目指せるのが公認会計士という資格です。実際に合格して公認会計士になった方の最終学歴は様々であり、学歴が高い人ほど試験に受かっているなどとは言えません。
ちなみに税理士試験と勘違いする人がいますが、学歴要件などの受験資格が規定されている税理士試験とそうではない公認会計士試験では試験制度の仕組み自体が異なります。税務会計を扱う資格という点では似ていますが混同しないように気を付けましょう。
学歴の高さと合格率の関係
そもそも学歴の高さと公認会計士試験の合格率の相関関係を示すようなデータはありません。 合格者の内訳を見ると難関大学出身者がある程度いることは事実ですが、受験資格がなくて誰でも試験を受けられるので合格者の学歴は実に様々です。
文系出身者だけでなく工業大学や医科大学出身の人が合格しているケースもあり、最終学歴としてどこで何を学んだのかは試験に合格する上で関係ないことが分かります。
逆に言えば学歴による差が付きにくい分だけ努力次第で誰にでも合格するチャンスがあるということです。
公認会計士試験の受かりやすさの指標として学歴を気にする必要はなく、学歴を気にしている暇があったら試験勉強に集中したほうが良いとさえ言えます。
合格者のほとんどが大学・大学院の在校生
公認会計士試験の特徴の1つが、合格者のほとんどを大学生・大学院生が占めていることです。合格者の学歴別の内訳が毎年公表されていて、論文式試験合格者に占める大学在学中(短大含む)の人の割合や合格者の平均年齢は以下のようになっています。
年度 | 大学在学中の人の割合 | 合格者の平均年齢 |
---|---|---|
2008年 | 17.0% | 27.0歳 |
2009年 | 23.2% | 26.8歳 |
2010年 | 25.8% | 26.3歳 |
2011年 | 31.0% | 25.6歳 |
2012年 | 22.1% | 26.6歳 |
2013年 | 29.5% | 26.2歳 |
2014年 | 28.6% | 26.8歳 |
2015年 | 29.2% | 27.1歳 |
2016年 | 37.2% | 26.2歳 |
2017年 | 38.4% | 26.3歳 |
2018年 | 43.1% | 25.0歳 |
2019年 | 39.6% | 25.2歳 |
2020年 | 41.6% | 25.5歳 |
2021年 | 44.4% | 24.5歳 |
[出典:公認会計士・監査審査会HPの各年度試験結果資料より作成]
大学生の占める割合は徐々に上昇していることが分かります。合格者の中で大学生の割合が最も多いこともあり、2021年度試験では合格者のうち20代の割合は86.0%でした。
また2021年度試験の合格者の平均年齢は24.5歳で、過去5年間の合格者平均年齢は25.3歳と非常に若いことも試験の特徴の1つです。
合格者の中には20歳未満や60歳以上の人もいるので年齢層は幅広いものの、大学在学中に合格する人が多くなっています。
高卒だと合格できない?
公認会計士試験の難易度・ハードルの高さを過剰に捉えてしまい、「高卒では無理で大卒しか合格できない…」と勘違いする人がいますが、決してそのようなことはありません。
そもそも公認会計士の試験範囲は財務会計という非常に専門的な内容です。大卒者が大学入学試験のために中学や高校で勉強した内容とはほぼ関係がなく、大学入学後にもほとんどの人は学ぶことがない分野となっています。
つまり財務会計の知識がない状態から勉強して試験合格を目指す時のスタートラインは誰でも一緒です。「自分は高卒だから…」などと気負う必要は全くないと言えるでしょう。
学生のうちから公認会計士を狙うべき?
公認会計士を目指すことを大学在学中に決めた場合には試験合格も大学生のうちに達成しておいたほうが良いのは間違いありません。
仕事に時間を取られる社会人に比べて大学生は勉強に集中しやすい環境にあり、比較的短期間で合格を狙うことができるからです。
ただし公認会計士は非常に難易度が高く、合格までに数年かかる場合もあります。大学在学中から勉強しても合格するのが社会人になってからになる場合もあるので、相当な覚悟を持って臨まなければいけません。
ちなみに2021年度試験の合格者の職業別割合では無職の方が16.8%を占めています。大学在学中に受からず、卒業後も勉強に集中するために就職せずに合格を目指すケースもそれなりに見られるのが公認会計士試験です。
公認会計士は専門学校だけで目指せる
公認会計士を目指す場合には予備校などの専門学校に通って合格を目指すのが一般的です。
その点でもどこの大学や高校に通っていたかという学歴や過去の話は関係なく、専門学校などで今から必要な知識を身に付けられるかどうかが重要になります。
もちろん大学で経済学部や経営学部に通っていれば会計の授業もあって有利に働く場合はありますが、公認会計士に必要な高度な専門知識は専門学校でないと身に付けるのが難しいのが実情です。
今までの学歴ではなく、今から身に付ける学力が大事と言えるでしょう。
実務において学歴や学部は関係する?
「公認会計士は高学歴の人しかなれない」といった間違った捉え方をする人が多い中、試験だけでなく公認会計士として働く時も学歴や学部が関係あると勘違いする人がいます。
しかし公認会計士の場合、試験を受ける際に学歴が関係ないのと同じように、合格後の実務でも学歴や学部は関係ありません。
以下ではこの点について解説していきます。公認会計士の業務や就活についても正しい認識を持つようにしましょう。
業務で生きるのは学歴よりも試験勉強
公認会計士に必要な知識は財務会計に関する専門的な知識であり、試験勉強を通じて知識をしっかりと身に付けることがその後の業務でも大いに役立ちます。
逆に専門的な知識だからこそ学歴や学校で学んだことが何なのかはあまり関係がなく、試験の出来・不出来と学歴や学部に関連はそれほど見られません。
実際に公認会計士になった後の業務で役立つのはあくまで試験勉強で得た知識であり、学歴ではないということです。
そもそも学歴が高くて学校の勉強ができることと実務遂行能力が高いかどうかは別次元の話になります。
公認会計士として業務を適切に行えるかどうかや活躍できるかどうかに関しても、学歴・学部と結び付ける必要性も根拠もないと考えたほうが良いでしょう。
監査法人への就活でも心配なし
公認会計士試験に合格した後の就職先として圧倒的に多いのが監査法人です。監査法人での採用において学歴は関係なく、面接で的確な受け答えができるかが大事になります。
公認会計士を目指す上では就職面でも学歴を気にする必要はないので、就活での心配などせずにまずは確実に試験に合格できるように勉強に集中するようにして下さい。
公認会計士は慎重さと正義感が大切
公認会計士の実務において学歴が関係ないことは上述の通りですが、実務で本当に大切なのは慎重さと正義感です。
企業を財務会計面から支える公認会計士の社会的役割は非常に大きく、日本経済全体の健全性を維持する上で欠かせない職業になっています。
そのような社会的使命をしっかりと果たせるだけの正義感の強さが必要ですし、ミスなく正確に日頃の業務を遂行する慎重さも求められるのが公認会計士という資格です。
また数字に強い人や根気がある人も公認会計士に向いています。間違っても学歴だけで向き不向きを判断しないようにして、資格取得に向けて積極的にチャレンジして下さい。
公認会計士試験に向けた勉強で意識すべきこと
公認会計士試験に合格するために必要なのは「今までの学歴」ではなく「今から身に付ける知識や学力」であることが理解できたと思います。
しっかりと勉強して必要な知識を身に付ければ、努力次第で誰にでも合格できるチャンスがあるということです。
ただし公認会計士に受かるには4,000時間ほどの勉強時間が必要と言われています。
まず最初に勉強法や学習スケジュールなどをしっかり検討することが大切です。ただ闇雲に勉強しても的を得ない形になってしまって時間を無駄にする可能性が高くなります。
また長期間に及ぶ学習期間をしっかりと乗り切るためのモチベーションの維持も重要ですし、広い試験範囲を漏れなくカバーして効率的に学習を進める意識も欠かせません。
独学・通信講座・予備校のいずれを選択するかはその人の状況次第ですが、予備校や通信講座を活用すればプロの講師の指導によって効率よく合格を目指せるでしょう。
試験に合格するのは簡単ではありませんが、途中で諦めることなく合格を是非勝ち取って下さい。
公認会計士と学歴の関係まとめ
公認会計士と学歴の関係まとめ
- 公認会計士試験の合格のしやすさと学歴の高さはっきり言って関係がない
- 合格者の中には文系だけでなく理系出身者もいて誰にでも合格のチャンスがある
- 受験資格がないので学歴に関係なく誰でも試験を受験でき、実務でも学歴は関係ない
- 大事なのは学歴ではなく試験合格に必要な知識を身に付ける勉強をしっかりすること
今回は公認会計士と学歴の関係について紹介しました!
公認会計士を目指す上で学歴は関係なく、実際に資格を取得して公認会計士として活躍する際にも学歴は関係ありません。
努力次第で誰にでも合格できるチャンスがあるので、魅力あふれる公認会計士の資格取得を是非積極的に検討してみて下さい!