公認会計士には英語力は必要?監査法人から海外業務まで英語事情を解説!

更新日時 2020/04/01

あらゆる企業にて英語の実力が問われています。英語はできないよりも得意で知識があり、会話もスムーズに交わせればいいのですが、英語の習得は一朝一夕にはいかないものです。

公認会計士にとっても英語は重要です。しかしどのレベルまで理解していれば通用するのでしょう?

今回は公認会計士にとっての英語力についての特集です。監査法人や海外業務に関わる場合も考えた上で、公認会計士の英語の必要性を考えていきます。

公認会計士に英語力をざっくり説明すると

  • 日本人相手のクライアントであればさほど必要はない
  • 英語力をレベルアップすることで業務が有利に展開する
  • 転職する場合も英語力があれば即戦力とみなされる
  • TOEICなどを自主的に受験する公認会計士は意外と多い

公認会計士は英語を使えないといけない?

ノートとペン 公認会計士として業務をする際、どの程度の英語力が問われるのでしょうか?英語を自由に使えないと、公認会計士として通用しないものなのでしょうか?ここでは公認会計士にとっての英語のレベルに関してをご紹介します。

監査法人における英語力

原則として監査法人では、新卒のジュニア時代に高い水準の英語力を要求されることはないと判断できます。監査法人の国際部に配属された場合でも、往査先が日本企業もしくは外資系日本支社というケースがほとんどです。

概ね日本人を相手に業務することになるため英語のみの仕事ということはなさそうです。 採用時には面接試験でも英語力を必要以上に問うことはありません。

ただしエントリーシートにてTOEICのスコアを記載する箇所があり、英語のレベルを把握されます。また四大監査法人の中のPwC系列といった特定部署を希望する場合は別です。通常業務でも英語を使用することがあります。

他にも、公認会計士業務の中に海外監査人とやり取りするシーンがあり、海外文書を交わす際に英語力は必要になりますが、それも英語が得意な公認会計士が代行します。

いきなり新人の公認会計士に一任することはあり得ません。できれば英語の精通した仕事仲間を増やすことで良好な交流が実現できます。

英語力は公認会計士試験で問われる?

公認会計士として資格を取得するために、どれくらいの英語力が要求されるのでしょうか?なるべく英語の勉強も併せて行っておくほうが有利だろうと考えがちです。

実は資格取得のための国家試験の中では、英語の力量について一切問われません。 あくまで公認会計士としての資格試験なので、英語が苦手だという方でも受験をし問題なく資格取得を目指せます。

もし海外などを視野に入れた公認会計士という目標があれば、それはまた別な方法で英語力を高める努力が要ります。

英語力があると有利な公認会計士の業務

時計塔 公認会計士になるためには、必ずしも英語ができなければならないわけではありません。面接試験や資格試験の取得についても、取り立てて英語だけで合否を判断することなどあり得ません。

しかし英語を習得してレベルアップしていくことで、公認会計士の業務の中で有利に展開する機会が増えていくことは事実です。

国際部では外資企業がクライアントになる

公認会計士といっても、どのような配属でどんなクライアントを顧問にするのかによりけりで、英語力の必要性が変わってきます。一般的な金融系企業などの業務では、さほど英語を使うこともないのが現状です。

その一方、国際部になるとグローバル企業を相手に顧問となるので、一定の英語力が必要になってきます。

主な内容としては、海外監査人へのコミュニケーションや海外文書系の調べものをするという場面もあり、レベルの高い英語力が要求される場合があります。

監査法人内で英語を使えるメリットは?

英語ができたほうがより有利な業務展開ができます。監査法人にて英語が使えると、より仕事の幅を広げられるというメリットが期待できるからです。

そのメリットとして「グローバル企業より花形なアサインをされる可能性が高まる」「英語を使うスピードも高まる」「原文に触れる機会が多くなりブラッシュアップできる」「海外転勤の可能性が高まる」といったことがあります。

英語力は転職に有利

公認会計士としての資格は持っていても併せて高い英語力を備えている人材はまだ少ないのが現状です。そのため高い英語力があれば転職にも有利になります。

転職先企業で求められる英語力がどの程度のレベルなのかにもよりますが、より年俸の高い企業に転職を希望するのであれば、特にビジネス英語の力やコミュニケーションを高める勉強をするほうがよいでしょう。

あるいは企業に入らず独立した場合も同じです。海外のM&Aや国際税務の業務を手掛けることも想定すれば、英語のコミュニケーション力は必須と言えます。英語力が高ければ即戦力と見なされ、結果的には幅が広がって有利です。

外資系企業の転職に英語力は活かせる

公認会計士として外資系企業への転職をする際にも、ハイレベルな英語力はとても有利に働きます。外資系企業の日本法人でも、全く英語に一切触れないということは考えられません。

少なくとも一定の語学力は問われるはずです。最低でもビジネスレベルで通用する英語力を持っておくことは当然だと思ったほうがよいでしょう。

英語が使える公認会計士の将来性

平積み書籍とメガネ 公認会計士の資格は国内にて活用できますが、何もそれだけに留まったものではありません。

中には米国のビジネススクール経由でMBA(経営学修士)を取得したり、渡米して海外企業へ就職したり、監査法人からの出向で海外へ赴任するといった公認会計士も存在します。

そう簡単に海外勤務が実現できるとはいえませんが、公認会計士が英語をブラッシュアップすることで、海外で働くルートを開拓することも夢ではありません。

公認会計士が海外で働くとき

海外で働きたいという考えを実行するためには、一般企業なら国内からの出向、もしくは現地法人へ就職するという2つの選択肢があります。

さらに公認会計士になった場合には、企業で働くパターンと監査法人で働くパターンも複合されるため4つの選択肢が想定されます。

国内監査法人から出向

国内の「四大監査法人」と称されているあずさ、EY新日本、トーマツ、PwCあらたでは、世界中のグループ法人などへ派遣する研修や海外赴任プログラムを設けています。

これら国内の有数な監査法人に就職して優秀な成績を収めれば、海外赴任の門戸が開かれます。現地でも監査や税務、アドバイザリー業務を担当したり日系企業の営業を担当するケースも考えられます。

国内企業から出向

日系企業へ入社し、海外の子会社などへ出向するという方法があります。 近年アジア諸国へ進出する企業が目立つため、新設子会社の経理部門責任者を任せられる人材が必要とされています。

約5年前後は国内の経理部門などに配属されその後子会社へ出向するというのが流れです。ただし専門職というよりゼネラリストとして幅広い能力を要求されます。

現地監査法人に就職

海外の監査法人の求人に応募し直接入るという方法も考えられます。現地事務所のウェブサイトや日本公認会計士協会による「JICPA Career Navi」という求人情報サイトを閲覧してみましょう。

また「会計・監査ジャーナル」など雑誌に掲載される求人案内をチェックするとよいでしょう。

比較的に長く働けるというメリットがありますが、国内の監査法人へ戻って転職することが難しくなります。常に日本の動向もチェックしながら、日本の会計基準から離れないことがポイントです。

現地企業に就職

実際に現地企業の求人に応募する方法です。自分が行きたい転職先の選択肢が広がります。ただし国によって法規制など差があり、なかなかビザが下りないといったデメリットもあります。

また給与は現地の水準になります。もし日本よりも所得水準が低い国へ転職すると、国内企業と比べて半分以下になってしまうことも覚悟しておくべきです。

米国公認会計士は取るべきか

米国公認会計士(U.S.CPA)とはアメリカの資格 ですが、日本を含めた世界各国のビジネスパーソンが習得を目指せる資格でもあります。日本の公認会計士とは大きく異なり、合格難易度は高くありません。

その分何十倍もの公認会計士が存在するため、仕事としての競争率がかなり高いという特徴があります。

また州ごとに資格が規定され日本では公認会計士としての監査業務ができず、受験資格は大卒であること、当然英語力が重要視されることなど、それなりにハードルもあります。

もし日本と海外の両方で公認会計士として働くのであれば、まずは国内の公認会計士試験を目指して、その上で付加価値として米国公認会計士の資格を取ることが順当な方法です。

中国語も業務に活かせる

公認会計士が英語を使うという場面は、とてもグローバルな印象があります。しかし世界には英語圏以外の国もたくさんあることは言うまでもありません。

中でも中国語をつかう会計系の仕事というのも選択肢に入れることが可能です。中国に本社がある事業での経理や、中国の現地法人にて会計系業務を行うなど、中国との接点も多くなっています。

会計用語レベルの中国語を理解していれば仕事として成立します。 中国語自体をフルに使う機会はごく限られますが、今では日本国内に多くの中国企業が進出する時代です。

コミュニケーションの観点からも中国語を使える公認会計士ともなれば、かなり窓口も広がることでしょう。

AIの登場で語学力は無意味に?

近年では、AIの技術開発が目覚ましいこともあり、公認会計士の語学レベルをAIが察知して代行できる時代になるのでは?という考え方が出てきました。

確かに語学を端的に捉え、便宜上で一部をAIで補えるような時代になる可能性が高まっています。今現在高度な英語が堪能であればそのまま活かせます。

しかし今後のAIの発達次第ですが、これから英語を勉強して業務の幅を広げたい、英語がただ使えるからというだけでは強みとはいえなくなるでしょう。

コミュニケーション能力という見方をすると、まだまだAIで代行するのは困難です。しばらくは英語力に加味した専門性やコミュニケーションスキルがあれば、生身の人が行う英語での会計業務は活躍の場が期待されています。

現役公認会計士の英語への取り組み

女性とパソコン では、実際に今現場で働いている現役の公認会計士は、英語を駆使しているのでしょうか?会計業務の経験値が高まるとともに、当人たちの英語のスキルも向上し、仕事の中で活用しているのかどうかが気になります。

シニア以上の会計士のすべてが、英語を自由に扱えているとは必ずしも言い切れません。また監査法人入社段階でも、英語力が高いという傾向もありません。

TOEICで500~600点程度、よくても700~800点くらいというのが一般的です。ただし、公認会計士になって以降も、自主的にTOEICを受験してスキル向上を目指している人は次第に増えている様子です。

理由はさまざまですが、社内で必要性がある場合や、自分磨きの意味でチャレンジしている方が多いようです。

公認会計士の英語事情についてのまとめ

公認会計士の英語力まとめ

  • 基本的には英語力と資格取得との関係性はない
  • 公認会計士としてグローバルに働くのであれば英語力が必要
  • 付加価値として米国公認会計士にチャレンジするのがベター
  • 英語力向上を意識する公認会計士が増えている傾向

今回は、公認会計士と英語についての向き合い方や事情などにスポットをあててお送りしました。

どのような顧客と環境に身を置いているのかによって、英語を実践的に使っている会計士もいれば、さほど必要性がない会計士もいるというのが現状です。

ただしグローバル社会が叫ばれている今の世の中ですから、英語を勉強してスキルとして活かすこと自体は、どのような仕事にも必ず役立つはずです。

それは公認会計士の世界でも同じだといえます。会計の専門性とともに英語のスキルも付加価値として備えることは、決して無駄なことではないでしょう。