登録販売者は男性に不利?口コミや給料からわかる仕事の大変さを解説
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「登録販売者は男性には向いてないの?」
「登録販売者では家族は養えない?」
などの疑問をお持ちの方もいるでしょう。
登録販売者が主に勤務する薬局やドラッグストアでは、従業員に女性の方が多い印象があります。
そのため、男性には不向きな仕事だと思われることも多いようです。
今回は男性が登録販売者になることについて、口コミや給料事情から大変さを検証します。
男性が登録販売者になることをざっくり説明すると
- 必要なのは勤勉さとコミュニケーション能力
- 性別による向き不向きはない
- 平均年収は低めだが「仕事がない」というのは間違い
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登録販売者は男性に向いている?
登録販売者の主な勤務先である薬局やドラッグストアは、男性が少ない職場です。
そのため登録販売者は男性向きの職業なのか、疑問を覚える人もいるでしょう。
医薬品に興味があれば性別は関係ない
登録販売者の仕事は一般用医薬品の販売です。
またお客さんの薬や健康に関する質問・相談に応じることも求められます。
よって登録販売者には、薬に対する興味を持って日々勉強を続けられる人に向いていると言えるでしょう。
さらに登録販売者の取得者には、薬学部などの理系学部出身者が多いという特徴があります。
それらの学部では構成員の目立った男女差はないため、その点でも問題ないと言えるでしょう。
向いているのは人と話すのが好きな人
登録販売者は、第一類医薬品を除く大半の一般用医薬品を扱えます。
登録販売者がいることによって、薬剤師は調剤業務・登録販売者は販売業務という分業が進んでおり、登録販売者はお客さんと接する機会が非常に多い職業です。
お客さんに薬の使い方を説明したり、様々な質問に答えなければなりません。
そのため登録販売者にはコミュニケーション能力が必要です。人と接するのが得意な人に向いていると言えるでしょう。
接客の際は一方的に話しかけるのではなく、相手から疑問や悩みを引き出すような聞き上手になる必要があります。
男性と女性で向き不向きは関係ない
結論を言うと、登録販売者は男女によって向き・不向きが分かれる職業ではありません。
上記で説明した通り、大切なのは薬に対する興味関心とコミュニケーションスキルです。
ドラッグストアなどでの業務はたち仕事が多いため、体力がある分男性も方が有利という意見もあります。
一方で、高齢者や子供とコミュニケーションを取ることには女性の方が向いているという声もあり、結局有利・不利は一概に決められません。
ただし、店舗によっては極端に男女比が偏っているところもあります。
そのため、男性ばかり・女性ばかりという職場に抵抗のある人は、他の店舗を選ぶと良いでしょう。
販売者の口コミをチェック
ここからは登録販売者に関する口コミを元に、男女により有利・不利を考察してみましょう。
女性だと化粧品が扱えるから有利
ある口コミでは化粧品販売の面において、女性の有利さが語られていました。
化粧品は女性の方が馴染みがある分野のため、その接客・販売においては確かに女性が有利と言えるでしょう。
化粧品の販売成績は売り上げに大きく影響するため、化粧品に強い登録販売者は職場内の地位も上がりやすくなります。
この口コミの女性は発注や店作り、接客などに楽しさを感じ、お客さんから感謝されることにやりがいを覚えると述べています。
男性は体力面がしっかりしているから有利
別の口コミでは男性目線から、体力面の重要性が指摘されています。
登録販売者の業務の中には、体力や根性が必要な仕事も存在します。その代表的な例が品出しです。
品数が多い時は朝から閉店まで様々な商品を運びしなければなりません。
また登録販売者は全体的に人手不足なので、長時間労働が多くなりがちです。
特に営業時間の長いドラッグストアでは、開店から閉店まで勤務しなければならないこともあります。
正社員となれば従業員の指導・フォローから商品の補充まで幅広くこなさなければならないので、仕事の大変さを考えれば男性の方が向いているというのがこの口コミの意見です。
男だと家族を養えない?
この口コミはパート勤務の女性からの意見です。
登録販売者の平均年収は315万円程度と言われています。日本人の平均年収が440万円前後のため、比較的低い水準です。
登録販売者として400万円以上稼ごうとと思うなら、ドラッグストアの店長クラスにならないと難しいでしょう。
一般の登録販売者では家族を養うにはやや不十分とも言えるため、男性には不向きの職業であるというのがこの口コミの意見です。
登録販売者の給料は安いって本当?
上記の口コミで、登録販売者の給料は安いため、男性では家族を養えないのではという意見がありました。
以下ではその真偽を検証してみましょう。
登録販売者の給料は月給20万円が目安
登録販売者の給料は雇用形態によって様々です。
以下は、正社員の場合の月給及び年収を勤務先別にまとめたものになります。なおこのデータは資格手当を含めた平均値です。
勤務先 | 月給 | 年収 |
---|---|---|
薬局 | 24万円 | 380万円 |
ドラッグストア | 22万円 | 350万円 |
コンビニ | 28万円 | 430万円 |
パート・アルバイトの時給は1200円
以下はパート・アルバイトの平均時給を勤務先別にまとめたものです。こちらも資格手当を含む数字になります。
勤務先 | 時給 |
---|---|
薬局 | 1300円 |
ドラッグストア | 1200円 |
コンビニ | 1000円 |
資格手当の金額はどれくらい?
登録販売者の資格手当の額は勤務先によって異なります。
正社員の登録販売者の場合は、月給プラス1万円〜2万円程度が相場です。
一方でパート・アルバイトなら、時給に200〜300円が上乗せされる程度でしょう。
登録販売者の給料については下記の記事をご覧ください。
登録販売者は仕事がない?
登録販売者の資格取得者の数は、総計26万人に近づきつつあります。そのため、昨今は仕事がないと噂されることが多いです。
しかし、一般用医薬品販売の市場は拡大しており、登録販売者は今後も需要が見込める資格と言えます。
登録販売者の需要及び将来性が十分だと言われる理由には、以下の5点が挙げられます。
-
かつては薬剤師にしか認められていなかったOTC医薬品の販売が、登録販売者の仕事になった
-
法改正により、一般用医薬品がコンビニなどでも扱われるようになった
-
インターネットなど薬局以外でも医薬品が購入できるようになった
-
高齢化に伴い医薬品業界の需要が拡大している
-
薬局には、薬剤師よりも人件費がかからない登録販売者を積極的に採用する動きがある
この話題については以下の記事で詳しく取り上げています。
そもそも登録販売者とは
登録販売者は男性にもおすすめできる資格です。
以下では登録販売者の仕事内容を解説します。
登録販売者の仕事内容
登録販売者の仕事は一般用医薬品の販売です。
一般用医薬品の中でも、第二類医薬品と第三類医薬品を取り扱うことが認められています。
それら2つで一般用医薬品の約9割を占めるため、登録販売者はほとんどの医薬品を販売することが可能です。
ちなみに登録販売者が扱う医薬品は、副作用の少ないかぜ薬や鎮痛剤などになります。
また、お客さんの質問や悩み相談に応じて適切なアドバイスを行うことも登録販売者の役割です。
薬剤師との違い
薬剤師は、第一類医薬品を含めた全ての一般用医薬品を取り扱うことができます。
第一類医薬品は副作用のリスクが高いため、薬学の専門家である薬剤師のみが販売を認められているのです。
第一類医薬品の有名な例としては、「ロキソニン」や「ガスター」などが挙げられます。
これらの説明を登録販売者が求められた場合は、薬剤師を呼ばなければなりません。
また薬剤師は販売業務に加え、調剤業務も行います。現在では販売業務は登録販売者、調剤業務が薬剤師という分業が一般的です。
薬剤師との違いについては以下の記事で詳しく解説しています。
調剤薬局事務との違い
調剤薬局事務も登録販売者と同様に、薬局で勤務する職業です。
調剤薬局事務の業務は女性向きと言えるものが多いため、主婦などに人気があります。
調剤薬局事務が登録販売者と異なる点は、働くのに特別な資格が要らないことです。
民間資格はいくつか存在しますが、資格なし・未経験でも働くことはできます。
ちなみに調剤薬局事務の主な業務は、受付対応やレセプト業務、薬剤師の補助などです。
独立開業が可能な資格
登録販売者の資格を取得すれば、自らの店舗を開業することができます。
薬剤師を雇えば、調剤薬局を経営することも可能です。その場合は保険薬局指定や薬局開設許可の手続きを行い、店舗に調剤室を設ける必要があります。
決して高所得とは言えない登録販売者ですが、独立開業して成功すれば高収入を得ることも可能です。
また独立開業には、訪問販売やフランチャイズなど様々な選択肢があります。
登録販売者になるには
登録販売者になるには、登録販売者試験に合格し、各都道府県で登録を行う必要があります。
登録販売者試験に合格
登録販売者試験は都道府県ごとに実施されます。
そのため、各都道府県によって試験内容及び試験日程は異なります。
試験は各都道府県で年に1回の実施ですが、都道府県をまたいで複数回受験することは可能です。
また登録販売者試験に受験資格はありません。年齢や性別、学歴を問わず誰でも受験できます。
試験形式はマークシート方式です。
登録販売者の全国平均合格率
登録販売者試験の全国平均合格率は、例年40%前後で推移しています。
近年の全国平均合格率のデータは以下の通りです。
年度 | 合格率 |
---|---|
2019 | 43.4% |
2018 | 41.3% |
2017 | 43.5% |
2016 | 43.7% |
2015 | 45.9% |
2014 | 43.5% |
2013 | 46.9% |
合格率を見ると比較的合格しやすい試験と言えるでしょう。
合格率の高い都道府県を狙う
実施される都道府県によって合格率が異なるというのが登録販売者試験の特徴です。
以下は平成30年度試験における都道府県別の合格率になります。
都道府県 | 合格率 |
---|---|
北海道 | 58.6% |
青森 | 49.8% |
岩手 | 50.6% |
宮城 | 56.6% |
秋田 | 49.0% |
山形 | 52.8% |
福島 | 47.5% |
茨城 | 37.3% |
栃木 | 35.6% |
群馬 | 36.0% |
新潟 | 41.8% |
山梨 | 36.9% |
長野 | 37.5% |
埼玉 | 32.0% |
千葉 | 36.0% |
東京 | 35.4% |
神奈川 | 39.4% |
富山 | 35.5% |
石川 | 34.6% |
岐阜 | 37.2% |
静岡 | 47.4% |
愛知 | 42.0% |
三重 | 44.2% |
福井 | 19.5% |
滋賀 | 29.3% |
京都 | 38.6% |
兵庫 | 36.2% |
和歌山 | 30.9% |
大阪 | 30.9% |
奈良 | 41.6% |
鳥取 | 28.5% |
岡山 | 28.4% |
広島 | 34.4% |
山口 | 30.6% |
徳島 | 32.5% |
香川 | 38.7% |
愛媛 | 36.0% |
高知 | 34.7% |
福岡 | 34.7% |
佐賀 | 48.8% |
長崎 | 55.5% |
熊本 | 57.0% |
大分 | 51.1% |
宮崎 | 46.1% |
鹿児島 | 43.9% |
沖縄 | 46.1% |
上記を見ると、北海道の合格率は58.6%なのに対し、福井県の合格率は19.5%です。
よって各都道府県でかなりの難易度の差があると言えるでしょう。
一年で確実に合格したい場合は、近隣で合格率の高い都道府県を狙って複数回受験することをおすすめします。
登録販売者試験の出題項目
登録販売者試験では5項目が出題されます。
各項目の詳細及び問題数は以下の通りです。
試験項目 | column2 |
---|---|
第1章:医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20問 |
第2章:人体の働きと医薬品 | 20問 |
第3章:主な医薬品とその作用 | 40問 |
第4章:薬事に関する法規と制度 | 20問 |
第5章:医薬品の適正使用と安全対策 | 20問 |
問題数が他の2倍ある第3章が、登録販売者試験の山場になります。
この項目では、登録販売者の日頃の業務に深く関わる内容の問題が出題されます。
登録販売者試験の合格基準
登録販売者の合格基準は、全体で70%以上の正答率となります。つまり120問中84以上に正解すれば合格です。
また登録販売者試験では各項目ごとにボーダーラインの設定があるため注意しましょう。
具体的には全ての項目で35〜40%以上の正答率がなければ不合格です。
ボーダーラインは各都道府県によって異なります。合格基準は試験後に公開されるため、事前にボーダーラインを確認することはできません。
登録販売者の実務経験
登録販売者試験には受験資格がないため、実務経験なしでも受験は可能です。
しかし正規の登録販売者となるには、直近5年間で2年以上の実務経験が必要というルールがあります。
また実務経験として認められるのは、月に80時間以上勤務した場合のみです。
そのため、実務経験なしで登録販売者試験を受験する場合は、合格後の2年は研修期間になります。
その期間は薬剤師や正規の登録販売者の管理・指導がなければ、医薬品販売業務が行えません。
なお、試験前に実務経験をある程度積んでいる場合は、試験後の実務経験と合算することが可能です。
実務経験の合計が2年以上となった時点で、一人で店頭に立つことができます。
登録販売者試験は更新制
直近5年間で2年以上という実務経験のルールは、全ての登録販売者に適応されます。
そのため一度正規の登録販売者になっても、実務経験の条件を満たさなくなれば正規の登録販売者とは認められません。
つまり現在のルールでは、登録販売者の資格は更新制であり、長期のブランクは許されないということです。
男性が登録販売者になることまとめ
男性が登録販売者になることまとめ
- 体力を使う仕事ではむしろ男性の方が有利
- 男性に向いていない仕事ではないが給料は決して高くはない
- 需要が高まっている職業なので「仕事がない」というのは真逆
男性が登録販売者になることについて解説しました。
登録販売者に必要なのは勤勉さとコミュニケーション能力であり、男女による向き・不向きはありません。
平均年収が決して高くないことや勤務自体の大変さは男女平等です。
今後さらに需要が拡大することが見込まれるため、「仕事がない」という噂は事実ではありません。
将来性は十分な職業なので、男性にもおすすめできる資格です。