登録販売者の合格率は?試験の難易度や試験の合格基準・受験資格まで徹底解説!

登録販売者試験の合格率ってどのくらいなの?

と疑問をお持ちの方もいるでしょう。

登録販売者は、一般用医薬品の大半を販売できるとして、様々な職場で需要の高い資格です。

その試験は各都道府県によって行われるため、合格率については不明な点も多いはずです。

今回は、登録販売者の合格率について、試験の難易度や合格基準、受験資格などを詳しく解説します。

これを読めば、登録販売者がそれほど難しい試験ではないことはよく分かるはずです。

登録販売者の合格率についてざっくり説明すると

  • 全国平均合格率は40%前後の比較的易しい試験
  • 70%以上の正答率で合格だが各項目でボーダーラインも存在
  • 受験資格はないが正規の販売者になるには実務経験が必要

合格率は都道府県・年ごとに異なる

腕を組む少年 登録販売者の試験は各都道府県で実施されるため、それぞれで合格率は異なります。

また全国平均合格率に関しては、実施年度によって若干の違いがあるようです。

都道府県別の合格率

以下は、平成30年度における登録販売者試験の都道府県別の合格率です。

都道府県 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
北海道 1,937人 1,136人 58.6%
青森 655人 326人 49.8%
岩手 589人 298人 50.6%
宮城 1,106人 626人 56.6%
秋田 439人 215人 49.0%
山形 502人 265人 52.8%
福島 1,826人 867人 47.5%
茨城 1,813人 676人 37.3%
栃木 1,213人 432人 35.6%
群馬 1,354人 487人 36.0%
埼玉 3,222人 1,035人 32.1%
千葉 2,622人 945人 36.0%
東京 5,001人 1,769人 35.4%
神奈川 3,442人 1,357人 39.4%
新潟 989人 413人 41.8%
山梨 382人 142人 37.2%
長野 925人 347人 37.5%
富山 806人 286人 35.5%
石川 838人 290人 34.6%
福井 915人 178人 19.5%
岐阜 1,280人 476人 37.2%
静岡 2,240人 1,061人 47.4%
愛知 2,789人 1,170人 42.0%
三重 930人 411人 44.2%
滋賀 1,000人 293人 29.3%
京都 1,992人 768人 38.6%
大阪 5,012人 2,425人 48.4%
兵庫 3,504人 1,268人 36.2%
奈良 1,121人 466人 41.6%
和歌山 645人 199人 30.9%
鳥取 249人 71人 28.5%
島根 265人 81人 30.6%
岡山 1,204人 342人 28.4%
広島 899人 309人 34.4%
山口 834人 255人 30.6%
徳島 354人 115人 32.5%
香川 483人 187人 38.7%
愛媛 517人 186人 36.0%
高知 320人 111人 34.7%
福岡 4,425人 2,330人 52.7%
佐賀 775人 378人 48.8%
長崎 524人 291人 55.5%
熊本 791人 451人 57.0%
大分 609人 311人 51.1%
宮崎 471人 217人 46.1%
鹿児島 915人 402人 43.9%
沖縄 776人 358人 46.1%

近年の全国平均合格率

以下は2013年〜2019年までの登録販売者試験における全国平均合格率をまとめたものです。

実施年 受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
2019年 65,288人 28,328人 43.4%
2018年 65,500人 27,022人 41.3%
2017年 61,126人 26,606人 43.5%
2016年 53,369人 23,330人 43.7%
2015年 49,864人 22,901人 45.9%
2014年 31,362人 13,627人 43.5%
2013年 28,527人 13,381人 46.9%

上記より、全国平均合格率は例年40%台で推移していることが分かります。

平均合格率は約40%という難易度

上記の7年間における合格率の平均は44%程度です。

平成30年度試験における各都道府県の合格率を見れば、最も高いのが北海道の58.6%、最も低かったのが福井の19.5%になります。

登録販売者試験では、各都道府県が問題を作成します。ボーダーラインの設定等も各都道府県次第です。

そのため、合格率および難易度に上記のような差が生まれます。

ちなみに都道府県によって試験内容に差が出過ぎないように、厚生労働省が「試験問題作成に関する手引き」というガイドラインを公開しています。

よって試験内容に大きな差はありませんが、合格率を見れは19〜60%もの幅があるため、難易度に差があるのは明らかです。

登録販売者になるのは難しい?

夕暮れと人影 登録販売者試験に合格するのは難しいのでしょうか。

合格基準は全体で70%の正解

登録販売者の合格基準は以下の二つです。両方を満たすことで合格となります。

  • 総出題数に対する正解率が70%以上

  • 各試験項目の正答率が35〜40%以上

登録販売者試験はマークシート方式で実施され、問題数は120問です。そのため一つ目の項目を満たすには、120問中84問以上に正解することが必要になります。

また、試験は5つの項目で構成されており、それら全てでボーダーラインを越えなければいけません。

ボーダーラインを何パーセントにするのかは、各都道府県が決定します。合格基準は試験後に公表されるため、試験前にそれを知ることはできません。

試験日は都道府県ごとに異なる

登録販売者試験は、各都道府県で年に1回実施されます。

ただし都道府県によって試験日は異なるため、都道府県をまたいで複数回受験することは可能です。

そのため、確実に合格したいという人は、近隣で合格率の高い都道府県を狙って何度か受験するのも良いでしょう。

そもそも登録販売者ってどんな資格?

話し込む二人 登録販売者の概要について、仕事内容や勤務先、給料などを解説します。

登録販売者とは

登録販売者は国家資格ではなく、公的資格になります。2009年の薬事法改正によって新設された資格です。

薬剤師や薬種商の人手不足解消のため、新たに医薬品を販売できる人材を育成する目的で設立されました。

登録販売者の主な仕事は、一般用医薬品の販売です。扱えるのは第二類医薬品と第三類医薬品だけですが、それらは一般用医薬品の約9割を占めます

登録販売者が新設されたおかげで、調剤業務と販売業務の分業が進み、業務が効率化されました。

また、登録販売者がいれば薬剤師が不在でも一般用医薬品の大半を販売できるため、コンビニやスーパー、ホームセンターでも医薬品の購入が可能になったのです。

登録販売者の仕事内容

登録販売者の主な業務は、第二類医薬品と第三類医薬品の販売です。それらは副作用のリスクが少ないかぜ薬や鎮痛剤などになります。

一方で、第一類医薬品は副作用のリスクが高いため、薬剤師でなければ取り扱うことはできません。第一類医薬品で有名な例としては熱消炎鎮痛薬の「ロキソニン」が挙げられます。

また、消費者からの薬や健康に関する質問や相談に応じ、適切なアドバイスをすることも登録販売者の重要な仕事になります。

登録販売員の主な職場

登録販売者の主な勤務先は、調剤薬局やドラッグストアです。

また、一般用医薬品を販売するコンビニやスーパー、家電量販店、ホームセンターなどでも働くことがあります。

登録販売者は、薬剤師なしで一般用医薬品の販売ができるため、様々な場所で重宝される資格です。

薬剤師は給料が高いため、登録販売者を雇用すれば、企業にとっては人件費削減になります。

そのため、登録販売者は全国どこでも求人数の多い職業です。

登録販売者になるには

登録販売者になるには、各都道府県で実施される登録販売者試験に合格する必要があります。

試験合格後に各都道府県で登録を行えば、晴れて正規の登録販売者です。

ただし、正規の登録販売者になるには直近5年間で2年以上の実務経験が必要です。

試験自体には受験資格がないため、実務経験がなくても受験可能ですが、その場合は合格後2年間は研修期間となります。

研修中は薬剤師もしくは正規の登録販売者の管理・指導のもとでなければ、登録販売者としての業務はできません。

登録販売員の給料

登録販売者の給料は職場によって異なりますが、平均年収は330〜350万円程度と言われます。

また、店長クラスになると平均年収は400〜450万円です。

職場によっては資格手当が支給されるため、上記の年収にその分が上積みされます。

一般の登録販売者の平均年収はそれほど高い水準ではありませんが、独立開業すれば高年収を得ることも可能です。

登録販売者を取得すれば自らの店舗を開業することができます。薬剤師を雇うことにより、調剤薬局を経営することも可能です。

他の国家資格、医療関連資格との比較

登録販売者と薬剤師、調剤薬局事務とはどう違うのでしょうか。

薬剤師との違い

薬剤師は販売業務に加えて、調剤業務を行うことができます。

また、登録販売者では扱えない第一類医薬品に関しても販売することが可能です。

しかし、登録販売者が扱う第二類医薬品、第三類医薬品は、一般用医薬品の約9割を占めるため、登録販売者であってもそのほとんどを販売することができます。

そのため、ドラックストアやスーパーなどでは、人件費の安い登録販売者の方がむしろ重宝されるようです。

ちなみ薬剤師になるには、薬学部で6年間学んだ後に薬剤師試験に合格しなければなりません。

調剤薬局事務

調剤薬局事務は、特定の資格を必要とする職業ではありません。調剤管理士などの民間資格は存在します。

ただし、試験は持ち込みが可能な難易度の低いものが多いです。

調剤薬局事務の主な仕事は、受付での対応やレセプト業務などになります。薬剤師の管理・指導のもとで簡単な補助作業を行うこともあるようです。

しかし、登録販売者と違い、単独で一般用医薬品の販売に従事することはできません。

薬剤師や正規の登録販売者の管理・指導の元で働くことになります。

試験について

スピーチする女性 ここからは、登録販売者試験に関する基本情報をお伝えします。

受験資格はあるの?

登録販売者試験に受験資格はありません。年齢や性別、学歴などに関わらず、誰でも受験することが可能です。実務経験も問われません。

実務経験は必要?

正規の登録販売者として単独で売り場に立つには、直近5年間で2年以上の実務経験が必要です。

そのため実務経験なしで受験する場合は、合格して2年間は薬剤師や正規の登録販売者の元で、研修中の登録販売者として働くことになります。

実務経験と見なされるには、月に80時間以上働かなければいけません

実務経験の条件を満たすことで、店舗管理者になることも可能になります。店舗管理者は従業員の監督や医薬品の管理、店舗の運営などを行う役職です。

店舗管理者になれば、一般の登録販売者よりも高収入が期待できます。

出題範囲

登録販売者試験では、医薬品に関する幅広い知識が必要です。

試験は以下の5項目から出題されます。

項目 問題数
第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 20問
第2章 人体の働きと医薬品 20問
第3章 主な医薬品とその作用 40問
第4章 薬事に関する法規と制度 20問
第5章 医薬品の適正使用と安全対策 20問

登録販売者試験の山場は、第3章の「主な医薬品とその作用」です。この項目は登録販売者としての業務に深く関わる内容が出題されます。

問題数・試験時間ともに他の倍で、難易度も最も高い項目です。

勉強法を教えて

ジャンプする女性 登録販売者試験の勉強法には、通信講座の利用がおすすめです。

対策

登録販売者の試験時間は、午前と午後を合わせて120分しかありません。そのため試験本番では、素早く正確に問題を処理していく必要があります。

得意分野を短時間で済ませ、苦手分野に集中するような時間配分にするよう心がけましょう。

試験はマークシート方式で行われるため、マークミスを避けるためにも問題形式に慣れる努力をするべきです。

また、各項目でボーダーラインが存在するため、なるべく苦手分野を作らないように満遍なく勉強することをおすすめします。

通信講座の活用がおすすめ

登録販売者試験には、市販のテキストや問題集も存在するため、独学でも合格は可能です。

ただし専門的な内容のため、薬学に馴染みのない方には、通信講座で体系的に学ぶことをおすすめします

通信講座の受講料の相場は35,000〜50,000円程度です。受講の期間は3〜8ヶ月に設定されています。

通信講座では試験対策に特化した効率的な講義を受けられることに加え、質問や相談などのサポート体制も整っているため、利用する価値は十分です。

おすすめの通信講座は

登録販売者の勉強をする上で、資格Timesがイチオシする通信講座は「ユーキャンの登録販売者講座」です。

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資格を取得するメリットは?

スマホを見る女性 資格を取得するメリットを知ることは大切です。それは試験勉強における大きなモチベーションとなります。

取得しやすくたくさんのメリットがある

登録販売者試験のメリットは、受験資格がないことです。また合格率が比較的高いため、合格しやすいことも魅力でしょう。

試験は記述式ではなく、マークシート方式であるため簡単な部類と言えます。

さらに、ドラッグストア等での医薬品の販売業務は成長産業の一つです。取得すれば全国どこに住んでいても、働き口に困ることはないでしょう。

調剤薬局においても登録販売者は優遇される傾向にあるため、様々な職場で活躍できます。

都道府県をまたいで複数回受験できるため、1年以内に取得できる可能性が高いこともメリットと言えるでしょう。

ボーダーラインはあるものの合格基準をクリアすれば良いので、満点を取る必要はありません。全ての項目をある程度理解できていれば、合格することができます。

登録販売者は更新制

対談する二人 2015年に薬事法が改正されたことにより、登録販売者試験から受験資格が撤廃されました。

その代わりとして設けられた規定が、直近5年間で2年以上という実務経験の条件です。

この条件によって、実質登録販売者の資格は更新制になりました。

資格を保有していても、直近5年間で2年以上の実務経験がなければ、正規の登録販売者とは認められないからです。

これから取得を目指す場合の実務経験

新たに正規の登録販売者になるには、以下の3パターンが考えられます。

  • 実務経験の条件を満たして試験に合格

  • 試験合格前後の実務経験を合算して条件を満たす

  • 試験合格後に2年間の実務経験を積む

すでに実務経験がある程度あってこれから試験を受ける場合は、試験前後の実務経験を合算することができます

ちなみにここで言う実務経験とは、薬剤師や正規の登録販売者の管理・指導の元で、月に80時間以上研修中の登録販売者としての勤務に従事することです。

登録販売者の合格率まとめ

登録販売者の合格率まとめ

  • 合格率は40%前後なので難易度は高くない
  • 総合で70%以上かつ各項目で35〜40%以上の正答率が合格基準
  • 受験資格はないが一人で売り場に立つには2年以上の実務経験が必須

登録販売者の合格率について解説しました。

全国平均合格率は40%前後の試験なので、比較的合格しやすい試験だと言えます。

都道府県をまたいで複数回受験することが可能なので、1年以内に合格できるでしょう。

一人で売り場に立つには実務経験の条件を満たす必要がありますが、取得のメリットは十分にある資格です。

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