登録販売者の合格点は?試験の難易度や合格基準、東京での開催概要を徹底解説!
「登録販売者になりたいけど、難しいのかな」
「登録販売者の試験に合格するためのコツってあるのかな」
このような疑問を抱いている人はいませんか?
登録販売者は難関試験ではないので、独学でも十分に合格を狙えます。しかし確実に合格を目指すならコツや対策を知ることも重要です。
そこでこの記事では登録販売者の合格点や難易度に加えて、合格するための対策についても丁寧に解説していきます。
この記事を読めば、登録販売者の試験のことや、合格するコツが分かるはずです。
登録販売者の合格点についてざっくり説明すると
- 平均合格率は40%程度だが、都道府県や年によって異なる
- 合格基準の点数や出題問題は都道府県によって異なる
- 最新版の手引きを反映しているテキストや問題集を選ぶことが大切
登録販売者の合格基準は?
どの資格の勉強を始めるときも、合格基準を確認しておくことは大切です。登録販売者には2つの合格基準があるので、しっかり確認しておきましょう。
合格点は70%以上の正解が目安
登録販売者に合格するためには以下の2つの合格点をクリアする必要があります。
-
総出題数に対して70%以上正解する
-
各項目で35~40%以上正解する
試験はマークシート方式で1問1点。全120問出題されるため、84問以上の正解が合格ラインということになります。
また登録販売者の試験は5項目に分かれていて、合格点を越えない科目がひとつでもあれば合格できません。
項目ごとの合格点が何割になるかは各都道府県によって異なり、試験が終了後に公表されることになっています。
合格率は都道府県・年ごとに異なる
登録販売者の合格率は受験する都道府県や年によって異なります。
ここでは2018年度の都道府県ごとの合格率と、ここ数年の年ごとの全国平均合格率を表で紹介していきます。
都道府県別の合格率
まずは2018年度の各都道府県ごとの合格率を紹介します。
合格率が一番高いのは北海道の58.6%、低いのは福井県の19.5%。受験者数が異なるとは言え、各都道府県によって差があることが分かります。
全国平均合格率は41.3% でした。
都道府県 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
北海道 | 1,937人 | 1,136人 | 58.6% |
青森県 | 655人 | 326人 | 49.8% |
岩手県 | 589人 | 298人 | 50.6% |
宮城県 | 1,106人 | 626人 | 56.6% |
秋田県 | 439人 | 215人 | 49.0% |
山形県 | 502人 | 265人 | 52.8% |
福島県 | 1,826人 | 867人 | 47.5% |
茨城県 | 1,813人 | 676人 | 37.3% |
栃木県 | 1,213人 | 432人 | 35.6% |
群馬県 | 1,354人 | 487人 | 36.0% |
埼玉県 | 3,222人 | 1,035人 | 32.1% |
千葉県 | 2,622人 | 945人 | 36.0% |
東京都 | 5,001人 | 1,769人 | 35.4% |
神奈川県 | 3,442人 | 1,357人 | 39.4% |
新潟県 | 989人 | 413人 | 41.8% |
山梨県 | 382人 | 142人 | 37.2% |
長野県 | 925人 | 347人 | 37.5% |
富山県 | 806人 | 286人 | 35.5% |
石川県 | 838人 | 290人 | 34.6% |
福井県 | 915人 | 178人 | 19.5% |
岐阜県 | 1,280人 | 476人 | 37.2% |
静岡県 | 2,240人 | 1,061人 | 47.4% |
愛知県 | 2,789人 | 1,170人 | 42.0% |
三重県 | 930人 | 411人 | 44.2% |
滋賀県 | 1,000人 | 293人 | 29.3% |
京都府 | 1,992人 | 768人 | 38.6% |
大阪府 | 5,012人 | 2,425人 | 48.4% |
兵庫県 | 3,504人 | 1,268人 | 36.2% |
奈良県 | 1,121人 | 466人 | 41.6% |
和歌山県 | 645人 | 199人 | 30.9% |
鳥取県 | 249人 | 71人 | 28.5% |
島根県 | 265人 | 81人 | 30.6% |
岡山県 | 1,204人 | 342人 | 28.4% |
広島県 | 899人 | 309人 | 34.4% |
山口県 | 834人 | 255人 | 30.6% |
徳島県 | 354人 | 115人 | 32.5% |
香川県 | 483人 | 187人 | 38.7% |
愛媛県 | 517人 | 186人 | 36.0% |
高知県 | 320人 | 111人 | 34.7% |
福岡県 | 4,425人 | 2,330人 | 52.7% |
佐賀県 | 775人 | 378人 | 48.8% |
長崎県 | 524人 | 291人 | 55.5% |
熊本県 | 791人 | 451人 | 57.0% |
大分県 | 609人 | 311人 | 51.1% |
宮崎県 | 471人 | 217人 | 46.1% |
鹿児島県 | 915人 | 402人 | 43.9% |
沖縄県 | 776人 | 358人 | 46.1% |
なお、2020年度試験では広島県の合格率が58.1%と最も高く、埼玉県の合格率が30.1%で最低でした。また2020年の平均合格率は41.5%でした。
近年の全国平均合格率
続いて近年の全国平均合格率です。
2013年から2019年の間に受験者数が2倍以上になっていますが、合格率は毎年40%程度で推移しています。
実施年 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2019年 | 65,288人 | 28,328人 | 43.4% |
2018年 | 65,436人 | 26,996人 | 41.3% |
2017年 | 61,126人 | 26,606人 | 43.5% |
2016年 | 53,346人 | 23,321人 | 43.7% |
2015年 | 49,864人 | 22,901人 | 45.9% |
2014年 | 31,362人 | 13,627人 | 43.5% |
2013年 | 28,527人 | 13,381人 | 46.9% |
平均合格率は約40%
上記で紹介した登録販売者試験の全国の合格率の平均は約43.9%で、例年そこまで大きな変化は見られません。
一方の各都道府県の合格率は同じ年でもずいぶんと差が見られます。
これは登録販売者試験の問題は、各都道府県によって異なることが関係しています。
どの都道府県も各項目の出題問題数や、厚生労働大臣が定める「試験問題の作成に関する手引き」から出題することは定められていますが、出題される問題の内容は異なるのです。
さらに項目ごとの合格基準も各都道府県によって異なり、35%以上か40%以上と定められるため、難易度に差が生まれます。
登録販売者試験の受験を考えるときは、受験を考えている都道府県だけでなく、近隣の都道府県の合格率も併せて確認してみましょう。
受験資格は問われず難易度はそこまで高くない
登録販売者の試験は受験資格が不要なため、受験資格が必要な介護福祉士や栄養士に比べると挑戦しやすい資格と言えます。
また登録販売者の試験は相対評価ではなく==絶対です。合格基準さえクリアすれば合格できるわけですから、受験者数が増えても自分の成績には影響しません。
さらに全国の平均合格率は約43.9%で、ほぼ2人に1人が合格できる計算になることからも、合格率は比較的高いと言えます。
もちろん勉強しなくても合格できるような簡単な試験ではありませんが、しっかり対策をすれば十分に合格を狙える試験です。
試験合格のための対策
適当に登録販売者の勉強に取り掛かると、合格までに無駄な時間を使ってしまうことになるかもしれません。重要なポイントや勉強のコツを抑えて、効率良く合格を目指しましょう。
一発合格のコツ
登録販売者の試験は例年8月上旬から12月中旬の間に実施されますが、 試験日も都道府県ごとに異なります。そして都道府県ごとに年1回しか行われません。
異なる都道府県まで行けば何回か試験を受けることも可能です。しかし試験の申込締め切りが試験日の2カ月以上前という都道府県が多いため、結果を知ってから申し込もうと思っても、スケジュールが合わないことも考えられます。
もし試験に落ちてしまうと、もう1年勉強しないといけなくなるので、できれば1回の試験で合格したいですよね。そこでここでは一発合格を狙うコツを紹介します。
合格しやすい試験を狙うのも手
先述の通り、登録販売者の試験は各都道府県によって試験日も問題も合格率も異なります。
自分が受けたい都道府県だけでなく、近隣の都道府県の合格率も確認してみましょう。もし近隣の都道府県の方が合格率が高いなら、合格率の高い都道府県で受験するのも手です。
また、試験日は毎年4~5月ごろに発表されます。複数の都道府県の日程を確認すれば、自分の都合の良い日程を選ぶこともできます。
例えば「1回で合格する自信がないから、初めから複数の都道府県で申し込んでみる」や、「勉強時間を確保するために、できるだけ遅い時期に実施される都道府県を選ぶ」などです。
複数の試験会場から検討する時の注意点
複数の試験会場を検討するなら、注意すべきことが3つあります。
- 願書は都道府県ごとに郵送で取り寄せないといけない
- 申込期限も都道府県ごとに異なるので間違えないようにする
- 複数の受験をする時は日程が重なっていないことを必ず確認する
せっかく「この都道府県で受験しよう」と計画しても、願書の取り寄せ・申込期限・試験日程などを間違えたら受験できなくなる恐れがあります。
しっかり確認しましょう。
公式問題習・通信講座を使って勉強する
先ほども触れたように登録販売者の試験問題は、厚生労働省が公開している「試験問題作成に関する手引き」をもとに各都道府県が作成します。
しかしテキストや問題集は(書店やインターネットで購入することができます。
「試験問題作成に関する手引き」に準じて作成されたテキストや問題集を購入して、勉強をしましょう。改訂されることもあるため、最新の「試験問題作成に関する手引き」の内容が反映されているか確認することも大切です。
試験は午前と午後に分けて行われますが、それぞれ120分しかありません。問題集や過去問を徹底的に解いて、スピーディーに解答できる力を身に付けましょう。
スピード以外にも、本番の試験で力を発揮できるように意識しておきたいポイントがあります。
- 時間内にすべての問題に解答できるように、時間配分に気を配る)
- 足切りにひっかからないように、すべての科目に満遍なく取り掛かる
- マークミスをしないように、マークシート方式の記入や消去などに慣れておく
しっかりと勉強するのはもちろんのことですが、「苦手な問題に時間を掛けすぎて最後の問題まで辿り着けなかった」「回答欄を間違えていた」などというミスをしないことも大切です。
登録販売者はテキストや問題集が販売されているため、独学で合格を目指すことも可能な試験です。しかし医薬品の名称や成分など覚えることが多いため、薬学について初めて勉強する人は難しく感じるかもしれません。
薬学初心者の人は通信講座などの受講も検討してみましょう。登録販売者の通信講座は、多くの場合3~8か月の期間で35,000~50,000円ほどに設定されています。
通信講座を利用すればスケジュールを管理しやすくなるだけでなく、重要ポイントがまとまっていて効率よく勉強が出来るためおすすめです。
そもそも登録販売者とは?
ここまで登録販売者の試験について説明してきましたが、そもそも登録販売者がどのような資格かきちんと理解出来ていますか?
改めて、登録販売者はどうのような資格なのかについて確認しておきましょう。
登録販売者にできること
医師の処方箋がなくてもドラッグストアなどで購入できる薬を「一般用医薬品」と言い、第一類医薬品から第三類医薬品まであります。
第一類医薬品は薬剤師しか販売することが出来ません。一般用医薬品の中で副作用が生じる可能性がもっとも高いためです。
しかし第二類薬品と第三類薬品は薬剤師がいなくても登録販売者が販売することが出来ます。
ただ薬を販売するだけでなく、お客様に薬についての適切なアドバイスをしたり、副作用や効能について分かりやすく説明することも大事な業務のひとつです。
需要が高まっている
2017年に「セルフメディケーション税制」が開始されたことによって、登録販売者の需要はますます高まっています。
セルフメディケーション税制は、健康診断を受診している人が利用できる制度で、予防のために特定の一般用医薬品を購入した場合、医療費控除に含めることができます。
セルフメディケーション税制の開始により、一般用医薬品の購入が促進されることになったため、登録販売者のニーズが高まったのです。
そのため、登録販売者の就職の場は薬局やドラッグストアはもちろんのこと、一般用薬品を取り扱うスーパーや量販店などにも広がっています。
東京での開催概要
繰り返しになりますが、登録販売者の試験は各都道府県によって試験日・申し込み期間・合格発表日が異なります。
ここでは東京都の開催概要を紹介しますが、東京都以外での受験を考えている人は必ず受験を希望する都道府県の情報を確認してください。
受験日程
2019年度(令和元年度)の登録販売者の試験は2019年9月8日(日)に実施されました。試験は10:00から15:30までで、午前と午後に120分ずつ行われました。
ちなみに午前と午後の試験の間には休憩時間が設けられているので、食事や勉強などを行うことが出来ます。
申し込み期間は2019年5月27日(月)から6月7日(金)までで、受付最終日の当日消印有効でした。
試験日の3か月前に申し込みの締め切りになっている上に、申し込み期間は12日間しかなかったことになります。忘れることがないよう、確実に申し込みましょう。
合格発表日は10月8日(火)で試験日からちょうど1か月後でした。
試験会場
2019年度の登録販売者の試験は以下の4会場で実施されました。
受験会場は希望の会場を指定することが出来ません。願書提出後に受験者それぞれの試験会場が決定し、受験票にてお知らせされるのでしっかり確認しましょう。
会場名 | 住所 | 最寄り駅 |
---|---|---|
日本大学法学部神田三崎町キャンパス | 東京都千代田区神田三崎町2丁目3番1号 | 水道橋駅から徒歩約4分 神保町駅から徒歩約7分 |
武蔵野大学有明キャンパス | 東京都江東区有明3丁目3番3号 | 国際展示場駅から徒歩10分 ゆりかもめ 国際展示場正門駅から徒歩9分 |
首都大学東京南大沢キャンパス | 東京都八王子市南大沢1丁目1番 | 南大沢駅から徒歩15分 |
早稲田大学早稲田キャンパス | 東京都新宿区西早稲田一丁目6番1号 | 東京メトロ東西線 早稲田駅から徒歩10分 都電荒川線 早稲田駅から徒歩10分 |
受験料について
東京都の受験手数料は13,600円で、これは他の都道府県に比べると比較的安い方です。
受験料は願書に同封されている納付書を使用して、指定されている金融機関に納付します。
この際、現金自動振込機(ATM)からは振り込めないので注意が必要です。
なお、一度納付した受験手数料はどんな理由があっても返還されません。「せっかく手数料を振り込んだのに、受付期間中に願書を出すのを忘れた」なんてことのないように気を付けましょう。
願書について
願書も受験する都道府県から取り寄せなければいけません。
東京都の場合は郵便で取り寄せるか、配布場所まで直接受け取りに行くかのどちらかです。インターネットなどから手に入れることは出来ません。
直接受け取りに行く場合は都庁にある東京薬務課か都内の各保健所へ。
郵便で取り寄せる場合は返信用封筒を同封して、東京薬務課に送ります。
2019年度の東京都の合格ライン
2019年に実施された登録販売者試験で東京都が発表した合格基準は、総合得点の70%以上かつ各科目で35%以上の得点でした。
登録販売者試験は1問1点で全120問の出題なので、総合得点の合格点の基準は84点です。
各科目の合格点は以下の表の通りです。
科目 | 基準点 | |
---|---|---|
第1章 | 医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20点中7点以上 |
第2章 | 人体の働きと医薬品 | 20点中7点以上 |
第3章 | 主な医薬品とその作用 | 40点中14点以上 |
第4章 | 薬事関係法規・制度 | 20点中7点以上 |
第5章 | 医薬品の適正使用・安全対策 | 20点中7点以上 |
受験者数と合格者の推移
東京都の登録販売者の受験者数と合格者数の推移を以下の表にまとめました。
実施日 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
---|---|---|---|
2019年9月8日 | 5,126人 | 1,334人 | 26.0% |
2018年9月9日 | 5,001人 | 1,769人 | 35.4% |
2017年9月10日 | 4,556人 | 1,946人 | 42.7% |
2016年9月11日 | 5,344人 | 1,732人 | 32.4% |
2015年9月13日 | 5,169人 | 2,098人 | 40.6% |
2014年10月12日 | 3,948人 | 1,890人 | 47.9% |
上記の6年間の合格率の平均は37.5点で、全国平均と比べると少し低めです。しかし合格率が一番低い2019年度を除いた平均点は39.8%なので、そこまで全国平均と離れているわけではありません。
では2019年度の試験が特別難しかったのかと思うかもしれませんが、合格基準は変わっていないことから、試験の難易度が上がったというよりは、準備不足の受験者が多かったためだと考えられます。
登録販売者の合格点についてまとめ
販売登録者の合格点についてまとめ
- 各都道府県によって試験問題や合格ラインが異なるため、合格率も異なる
- 受験しやすい日程や合格率で受験する都道府県を選ぶのも手
- 薬学初心者は通信講座などを受講するのもおすすめ
登録販売者の試験は試験問題・合格ライン・試験日などが、各都道府県によって異なります。
より確実な合格を目指すなら、自分に有利そうな都道府県で受験したり、複数受験も検討してみましょう。
一般用薬品を取り扱うお店が増えていることもあり、登録販売者は今後も需要の見込まれる資格です。ぜひ登録販売者の資格取得を目指してみてはいかがですか?