FPの独立は上手くいくの?開業手順や年収・集客のポイントを解説!

この記事は専門家に監修されています

ファイナンシャルプランナー

FPこう

「FPとして実力がついてきたので、独立も視野に入れてみたい!」

「FPの資格を取ってみたいけど、将来的に独立することってできるの?」

そう考えている人もいるのではないでしょうか?

最近人気の職業のうちの一つである、ファイナンシャル・プランナー(以下FP)。

FPは収入、保険、年金などの、主にお金の分野で活躍する職業です。

FPの資格を、銀行、証券会社、保険会社などの金融業で役に立てている人も多いようです。

しかし、企業の中でFPとしての技術・知識を使うだけでなく、FPとして独立開業し、直接顧客の相談に乗ることもできます

この記事ではFPが独立開業するまでの流れや、実際に独立系FPとして働いている人の仕事内容なども紹介しつつ、FPの独立について考察していきます

独立するべきなのかどうか、独立することでどのようなメリット、デメリットがあるのかなど、参考にしてみてください。

FPの独立についてざっくり説明すると

  • FPとして独立するためには最低でもFP2級以上は必須
  • 独立前には事業計画や貯金など入念な準備が必要
  • 1000万を超える年収が目指せるが、実際安定した収入を得るのは簡単ではない
  • 他のFPとの差別化にはダブルライセンスも有効

独立系FPの仕事内容

指導をしている様子

FPとは、「ファイナンシャル・プランナー」の略で、その名の通り、お金を扱う仕事のプロフェッショナルです。

お金の中でも、収入、年金、保険、資産管理といった、主に個人のお金に関する知識を持ち、経済的な面からライフプランを提案するという職業です。

FPは、銀行や生命保険会社、証券会社など、金融機関に属して業務を行う企業系FPと、フリーとして業務を行う独立系FPの2種類に分けられます。

この2種類のうちでも、独立系FPは特に、このようなライフプランを設計したいという顧客を相手に、各種相談に応じることが多く求められるのです。

また、FP資格を取得してると財産運用に関する専門的な知識を活かして独立してM&Aアドバイザーとして活躍することも期待できます。

ただし、実際のFP試験ではM&Aの実務については専門的に学ぶ機会はありません。そこでM&Aの基礎について知るには以下のM&A総合研究所の記事を参照するとよいでしょう。

具体的な仕事内容としては、以下の内容を行うことになります。

独立系FPの業務内容とは

  • 契約先の官公庁、民間企業、学校法人等の福祉厚生を盛り込み、源泉徴収票の見方、保険の見直しなどについての企業研修やセミナーの講師を務める

  • 企業や団体だけではなく、個人のお客様に対しても、収入、貯蓄、ローン、資産運用などの相談を承り、ライフプランニングのお手伝いをする

  • 一般の方向けにもライフプランニングに関するセミナーを行う

  • 企業、法人・団体の顧問となり、経済的な面からサポート・アドバイス・アフターフォローなどを担当する

  • M&Aアドバイザーとしての活躍も目指せる

FPとして独立するためには

独立を志すイメージ

FPとしての独立を希望している人でも、いざ独立・起業となると、開業するまでの準備・資金・手続きなど、お金と手間と時間がかかるのです。

それでは、実際にFPとして開業するために必要な内容の詳細について詳しく見ていきましょう。

FP資格は必要?

FPとしての相談業務は、FP資格保有者による独占業務というわけではありません。

つまり、「自分はFPです」と名乗りさえすれば、資格を持っていなくてもFPの業務を行うことができるのです。

しかし、独立し、顧客を確保できるようにするためには、FP資格を持っていた方が有利であることには違いありません。

資格を取るためには、ある程度高い水準のFPの知識や技術を必要としますし、それらの知識・技術は実際の業務において役立ちます。

また、FP資格を保有しているのとしていないのとでは、顧客からの信頼度に大きな差が出ます。

資格を持っているFPであれば、顧客は安心して相談することができるのです。

FPとして独立・起業まで至りたいのであれば、より幅広い知識と、経験に基づいた確かな技術が必須です。

仕事をするうえで困ったことが起こったとしても、相談できる上司はいないのですから、自分の知識と技術に頼るしかありません。

よって、独立する場合は最低でもFP2級資格を、できれば1級資格を取って盤石の土台を築いていきたいところです。

独立するための手順

FPとして開業するまでの流れは、以下のようになります。

  1. 独立計画を立てる

  2. (資格を取得する)

  3. 開業のための資金を貯める)

  4. (独立に専念する場合は)現在の仕事を退職する

  5. 開業届出を提出する

開業届出とは

個人事業主として開業する際に、「個人事業の開業届出」が必要となります。

開業届出は、事業を開始してから1か月以内に、納税地を所轄する税務署に提出しなければなりません。

手数料は無料になります。

開業届出についての詳細は、国税庁のホームページで知ることができるので、ぜひチェックしてみてください。

独立開業に必要な費用

独立に当たってまず先に考えなければならないことは、資金の問題です。

自宅で既にお持ちのパソコンや机などを使って開業する場合は必要ありませんが、オフィスなどを借りる場合は賃貸料や備品代、さらに、人を雇う際はその分の賃金が必要となります。

まずは独立前に初期費用を貯蓄しつつ資金計画を練りましょう

具体的には、人にはよりますが、開業届出等で30万円程度必要になると考えてよいでしょう。

しかし、開業して間もない時点では、顧客をなかなか確保できず、仕事を軌道に乗せることができない…という状況に陥ることも十分にあり得ます。

そのような事態も予測しておき、初めの顧客が集まらない状況を乗り越えられるように、最低でも100万円の資金は準備しておきたいところです

FPとして独立するメリット

FPとして独立するメリット

FPとして独立するためには、あらゆる準備が必要であるということがわかりました。

さて、それでは実際に独立するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

超高収入を狙える

独立系FPの中には年収が数千万円に達している方もいらっしゃいます

企業に勤めている時ではなかなか達成できない年収なので、この点は独立の際の大きなメリットといえるでしょう。

正しい方向に努力を続けることでFPとして大成功を収めることもできるのです。

自分の裁量で仕事を行える

独立し、自分の事務所を持つため、会社や企業などのルールに縛られるということがなくなります。

それにより、働く量やタイミングなど全てを、自分で自由に決めることができるようになります

顧客から頼られる存在になる

企業や会社を通してではなく、人と人とで直接お客様の相談に乗るので、面と向かって頼られ、感謝されることもあります。

その喜びは非常に大きく、とてもやりがいのある仕事だと感じることができるでしょう。

FPで独立するデメリット

迷っている人

収入が安定しない

個人で事業を行う以上、いかにして収入を得るかが最も大事になりますが、自分で顧客を確保できるのかどうか不安を感じている方も多いです。

当然ながら、顧客を確保できない限りは収入を得ることはできませんし、会社から給与や賞与という形で報酬を受け取る企業系FPとは異なり、安定した収入を得ることは難しいでしょう。

また、企業の下で顧問契約を結んでいるという独立系FPの方は、固定報酬として安定した収入を得ることができていますが、このようなケースはまだまだ一般的ではないというのが現状になります。

まずは、常に自分の手で集客を成功させ続ける努力をしていくことが必要です。

集客の方法については、次項でも解説していきますが、インターネットやSNSを利用したネット集客、あるいは会社員時代に確保していた人脈を生かしての集客など、自分の得意な方法を中心に行っていきましょう。

独立に専念する場合は退職する必要がある

独立して自分の事務所を持つとなれば、今務めている会社を退職しなければなりません。

すでに会社で良いポジションについているという方は、会社を辞める決断に至るのにはかなりの抵抗があるでしょう。

家族の反対なども受けたりなどして、非常に難しい決断となります。

そのため、FPの資格を持っていたとしても、それをFPとして独立するために使うとまでは考えず、社内での業務のスキルアップや昇格・昇給に生かしたいと考える人は多いですし、その選択も当然のものです。

とはいっても、職業によっては週末などの休日を利用して副業的に開業することも可能であるため、この場合は退職する必要に迫られるということはありません。

実際、副業として自宅などでFPの仕事を行い、収入を増やしているという方も多く見受けられます。

独立系FPの割合

比較データの説明

ところで、実際に独立系FPとして活動しているFPはどのくらいいるのでしょうか?

日本FP協会のホームページには、AFP・CFP認定者がどのような職業についているかについてまとめたデータが載せてあります(AFP・CFP認定者業種別属性データ参考)。

そのデータをグラフにまとめると、以下のようになります。

※データは2018年8月のものです。

このグラフにおいて「独立系FP」が含まれる業種は、「FP事務所・士業事務所」になりますが、全体の7%にとどまっています。

さらに言えば、独立系FPが運営しているFP事務所に勤務しているFPも数多く存在するため、実際には7%よりも低い数字になってしまいます。

以上のように、独立系FPの割合は非常に少ないということがわかります。

しかし、この現状に対して、お金に関する問題を相談したいという顧客は非常に多くなっています。

特に、昨今の年金問題の影響もあり、老後のお金に関する相談をしたいという人がますます増えつつあるという状況です。

つまり、FPの需要・市場は大きいわりに、ライバルとなる独立系FPの数は極めて少ないのです

FPという職業に対する一般の人の認知度はそこまで高いというわけではなく、銀行や保険会社などにお金の相談に行くという個人のお客様も多いです。

FPは個人のお金の運用に関するより専門的な知識を持ち合わせており、適切にアドバイスできるということをアピールできさえすれば、 顧客を獲得するチャンスは巡ってくるはずです。

時流にも合っていますし、今は独立するのに絶好のタイミングと言えるかもしれません。

独立開業したFPの年収

金銭のイメージ画像

前項でも述べたように、大手の独立系FPには年収数千万円を稼ぐ人もいらっしゃいますし、中には1億円に達するという場合もあります。

ただし、そのようなケースは極めて稀です。一般的な独立系FPがどのくらい稼げるのか知りたい人も多いでしょうが、残念ながら現在FPの年収に関する有効なデータは出ていません

ちなみに、約10年前のデータになりますが、2010年の調査の時点では独立系FPの平均年収は300万円という結果でした。

ただしこのデータは、かなり誤解を生む数字となっているため、注意が必要です。

FPとして独立している方の中には、主婦の方が副業的に行うものや、本職を定年でリタイアされた方が少しだけ活動しているというものも全て含まれているからです。

そのような方々のFPとしての年収は50万円にも満たないため、全体の平均を大幅に引き下げているのです。

なお、これらのケースを排除した年収を計測することは残念ながら難しく、一概にどの程度稼げると結論を出すことはできません。

FPが開業して成功するためには

チェックを入れている様子

いざ独立開業したとしても、計画的に予定を立てておかなければ失敗してしまいます。

集客がうまくいかない、慣れない仕事に手間取って滞るなどの事態は、できるだけ避けられるようにしておくべきです。

そこでこの項では、独立・起業までに最低限やっておかなければいけないことについて解説していきます。

集客の計画を綿密に立てる

企業や会社で働いていれば、自社の商品販売に携わるという形になりますから、集客に困るということはまずないでしょう。

しかし独立した以上は個人事業なのですから、集客ができなければ収入を得ることもできず廃業確定となってしまいます。

まずはいかにして集客するかに重点を置いて、しっかり戦略を立てましょう。

ネット集客か、人脈による集客か

集客方法は、ネット集客、あるいは会社員時代に作っておいた人脈を生かした集客といった方法などがあります。

ネット集客は、ホームページを制作したりSNSを利用したりして、インターネット上で集客する方法です。

一方、人脈による集客は、会社員時代にある程度の信頼関係を築いていた延長上のものなので、信頼度も高いです。

しかしながら、一人のお客様だけに集中して対応する、というやり方は、継続的に集客するには向いていません。

いずれのやり方でも、具体的で、長中期的に継続して集客できる戦略を練ることが必要となります

自分の得意分野を明確にする

得意な分野があるということは独立の上で非常に大きな強みとなります。

例えば、独立するまでは保険会社に勤務していて、保険のことについてより詳しければ、実際に保険で困っている顧客に対してより適切なアドバイスをすることができ、顧客の満足度も高いものになるでしょう。

独立する前に自分の得意分野を明確にしておき、他のFPとの差別化を図るのがおすすめです。

実務経験を積んでから独立する

何の経験もなしにいきなり独立開業してもうまくいく可能性は極めて低いです。

ある程度の実務経験を積み、基本的な業務をこなすことができるようになってから、ようやく独立のスタートラインに立つことができるのです。

独立を考えていたとしても、まずは企業や会社などでFPとしてしっかり実務経験を積みましょう。

FP事務所で働く

手っ取り早く経験を積むためには、実際に独立系FPのもとで働くことがおすすめです。

FPとしての実力向上が見込めるのはもちろんのこと、事務所を運営するためのノウハウも同時に学ぶことができます

ただし地方の場合はFP事務所自体が少ないので、求人を探すのに苦労する場合も多いです。

保険代理店などで働く

保険代理店などに勤務し、FPに関わりの強い業務を実践することで、能力を身につけてから独立するのも良いでしょう。

業務の経験を積むにつれ、それが自分の得意分野になるということもあります。

まずは副業的に始めてみる

「いきなり退職して独立するのはリスクが大きい」と感じる場合は、自宅などを事務所として、休日を利用したFP業務を行ってみるのも良いでしょう。

副業として行うものですから、失敗してもそれほどダメージは大きくありませんし、独立系FPとしての感覚をなんとなく掴むことができます。

ネット集客を利用して、申込から相談までオンラインで解決することも可能なので、比較的気軽に試すことができます。

FPの独立にダブルライセンスは必要?

知識をアウトプットしている様子

ダブルライセンスを取得することは、自分の得意分野を明確にするためには有効な手段です

というのも、FPの分野は非常に幅が広いため、専門分野を突き詰め住み分けするためにはダブルライセンスが最も分かりやすい方法だからです。

税理士や公認会計士といった超難関資格の場合、ダブルライセンスに極めて有効であることには違いありませんが、これらのような資格を取得しているのであればむしろ税理士や公認会計士として独立した方がいい場合が多いため、おすすめとは言えません。

FPとして独立するのであれば、難易度がそこまで高いわけではなく、かつFPとの親和性も高い証券外務員などの資格がおすすめです

あるいは、難易度は上がりますが、社労士の資格もFPとのダブルライセンスには非常に有効です。

FPの独立についてまとめ

FPの独立・開業まとめ

  • 独立系FPの仕事内容は、個人のお金の運用についてアドバイスするものであり、官公庁、企業、法人に向けたものから個人へ向けたものまで幅広く求められる

  • FPが独立するためにはFP資格は必須で、最低でもFP2級、できればFP1級が良い

  • 独立・開業までのプロセスにおいて必要な資金繰り、手続きに加え、安定した集客方法について戦略を綿密に立てる必要がある

  • FP独立は、仕事の量や時間を自分の裁量で決めることができ、さらに仕事内容によっては高収入を狙えるというメリットがあるが、逆に集客ができなければ収入も得られず、仕事も退職することになるためリスクも大きい

  • 現在独立系FPの数はとても少ないが、それに反してライフプランニングの需要は増している

  • 独立・開業する前に、FP事務所や企業・会社、あるいは副業でFP業務を行うことで、FPとしての豊富な実務経験を積むことが必要

  • 専門分野を明確にすることでより具体的な集客を望むことができ、ライバルFPとも差をつけることができる

FPが独立・開業するまでの流れや、メリット・デメリットについて解説してきました。

独立を考えているFPの方や、FPの資格を取得しようと考えている方は、この記事を参考にして、自分に合った就業方法を検討してみてください。

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