ウェブデザイン技能検定ってどんな資格?合格率・難易度からおすすめテキストまで紹介
「ウェブデザイン技能検定とはどのような資格?」
「ウェブデザイン技能検定の合格率・難易度は?」
ウェブ業界やウェブデザインに興味のある人で、このような疑問を抱いている人が多いのではないでしょうか?
ウェブデザイン技能検定に合格すれば、ウェブ業界唯一の国家資格である「ウェブデザイン技能士」の資格を取得できるのですから、多くの人から注目を集めて当然かもしれません。
この記事では、ウェブデザイン技能検定の概要から、その難易度・取得メリットまで幅広く解説していきます。
ウェブデザイン技能検定についてざっくり説明すると
- 国際標準規格に基づくHPの制作やシステム構築などの知識および能力を認定する検定試験
- 1級から3級までの3つのレベルに分かれた国家資格の試験
- 合格率は3級が60~70%、2級が30~40%、1級が10~20%
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ウェブデザイン技能検定はどんな資格?
ウェブデザイン技能検定は、ウェブサイトのデザインに必要な、国際標準規格に基づくホームページの制作・システム構築・セキュリティ対策などの知識および能力を認定する検定試験です。
この検定試験に合格すれば、ウェブ業界唯一の国家資格である「ウェブデザイン技能士」の資格を取得できます。
ここでは、ウェブデザイン技能検定の概要を紹介しましょう。
ウェブデザイン技能検定の主催団体
ウェブデザイン技能検定は、中立的な立場で人材育成に取り組んでいる『特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会』が主催団体です。
この協会は、「ウェブデザイン」職種が技能検定試験に追加された2007年度に、厚生労働省管轄のウェブデザイン職種の指定試験機関として承認されました。
それ以降、「ウェブデザイン技能検定」は同協会が主催しています。
そもそもウェブデザインって何?
ウェブデザインとは、ネット上に掲載して情報発信するためにウェブサイトのデザインをすることです。
サイト提供者には、そのページや画像で伝えたい情報(目的)をわかりやすく伝えられるようデザインする必要があります。
またユーザーには、レイアウトや導線などを適切に設定することでユーザーにとって使い易く、また分かり易く情報を伝えることが必要です。
こうしたユーザーに求められ、使いやすいサイトをデザインするのが、ウェブデザインの役割と言えます。
Web業界唯一の国家資格として注目を集めている
ウェブデザイン技能検定は国家資格の試験として現在大きな注目を浴びている試験です。
試験は2007年からの累計受験者数は1~3級で合計33,000人を突破しており、数多くの人たちがウェブデザインを学ぶ場としてウェブデザイン技能検定を選んでいることがわかります。
合格者も17,000人を突破していることから、多くの人が知識を効率よく身に着けていることも同様にわかるでしょう。
ここから、ウェブデザイン技能検定の高い信頼性が伺えます。
ウェブデザイン技能検定のメリット・デメリット
ウェブデザイン技能検定には、メリットもあればデメリットもあります。以降では、ウェブデザイン技能検定のメリットに関連して解説します。
就職・転職でのアピールになる
ウェブデザイン技能士の資格を取得する最大のメリットは、自分のスキルを客観的に示すことができ、就職や転職の際のアピールポイントとして有効なことです。
就職や転職をする際、求められる知識やスキルを身に着け業務への意欲を持っていても、実務経験がなければ会社側には伝わりません。
しかし、資格を取得していれば、知識やスキルを持っていることの証になるうえに、就職や転職後の業務への意欲をアピールできます。
未経験者は特に有利
就職や転職の際、ウェブデザインに関連した実務経験がないのであれば、ウェブデザイン技能士の資格を取得していないよりも資格を取得しているほうが圧倒的に有利です。
採用する会社側では、未経験であってもその人の「伸びしろ」や「やる気」を重視することから、実務経験がなくても資格を取っていることでやる気を効果的にアピールできます。
Webデザインは実力主義の世界の側面も
ここまで、ウェブデザイン技能検定のメリットとして、「就職や転職の際に有利である」と紹介してきました。
しかし、 ウェブデザインのようなクリエイター系の職種では、資格を取得していることが、そうしたメリットにはつながらない可能性があります。
ウェブデザインは実力主義の世界で、もっぱらデザインスキルのレベルを重視するため、履歴書に記載された学歴・職歴・保有資格などはほとんど注目しないのです。
よって、資格を取得する場合はあらかじめ活用方法を考えておくことが必要であるといえるでしょう。
ウェブデザイン技能検定の難易度
以降では、ウェブデザイン技能検定の難易度に関連した事項について解説していきます。
ウェブデザイン技能検定の出題形式
ウェブデザイン技能検定は1~3級まで分かれており、レベルに応じて徐々にステップアップできる仕組みとなっています。
試験は学科試験と実技試験の2つに分かれており、それぞれの出題形式と試験時間は次表のとおりです。
級 | 項 目 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|---|
3級 | 出題形式 | マーク方式(多岐選択法・真偽法) | 課題選択方式 |
試験時間 | 45分 | 60分 | |
2級 | 出題形式 | マーク方式(多岐選択法・真偽法) | 課題選択方式 |
試験時間 | 60分 | 120分 | |
1級 | 出題形式 | マーク方式(多岐選択法・真偽法) | 課題選択方式 |
試験時間 | 90分 | 180分・ペーパー実技60分 |
各級の出題範囲
試験の「出題範囲」は1級~3級で大項目は共通しており、等級ごとの違いは質問の難易度だけです。
以降では、各級の出題範囲を大項目・小項目ごとに紹介します。
3級
3級の出題範囲は、大項目・小項目ごとに次表のとおりです。
学科試験・大項目 | 学科試験・小項目 |
---|---|
インターネット概論 | ・インターネット |
・ネットワーク技術 | |
・インターネットにおける標準規格・関連規格と動向 | |
・ウェブブラウジング | |
・ワールドワイドウェブ(WWW)セキュリティ技術 | |
・インターネット最新動向と事例 | |
・ワールドワイドウェブ(WWW)法務 | ・知的財産権とインターネット |
ウェブデザイン技術 | ・ハイパテキストマーク付け言語および拡張可能なハイパテキスト付け言語(HTML・XHTML)とそのコーディング技術 |
・スタイルシート(CSS)とそのコーディング技術 | |
・スクリプト | |
ウェブ標準 | |
ウェブビジュアルデザイン | ・ページデザインおよびレイアウト |
・マルチメディアと動的表現 | |
ウェブインフォメーションデザイン | ・インフォメーションデザイン |
・インターフェースデザイン | |
・ユーザビリティ | |
アクセシビリティユニバーサルデザイン | |
ウェブサイト設計・構築技術 | |
ウェブサイト運用・管理技術 | |
安全衛生・作業環境構築 |
実技試験・大項目 | 実技試験・小項目 |
---|---|
ウェブサイト構築 | ・ウェブサイトデザイン |
・ウェブサイト運用管理 |
2級
2級における出題範囲は、大項目は3級と同じで、次の小項目だけが学科試験に追加されます。
大項目 | 小項目 |
---|---|
ワールドワイドウェブ(WWW)法務 | インターネットに関わる法令等 |
ウェブデザイン技術 | サーバーサイドアプリケーション |
ウェブインフォメーションデザイン | 各種データベースとの連携によるダ イナミックなサイトデザイン |
1級
1級における出題範囲は、学科試験は2級と同じで、次の小項目だけが実技試験に追加されます。
1級実技試験 | |
---|---|
大項目 | 小項目 |
ウェブサイト構築 | ウェブサイト設計・計画 |
なお、1級は学科試験に合格していないと、実技試験を受けられません。
ウェブデザイン技能検定の合格率、合格点
ウェブデザイン技能検定の合格率・合格点・偏差値などは、次のとおりです。
項 目 | 3級 | 2級 | 1級 |
---|---|---|---|
合格率 | 60~70% | 30~40% | 10~20% |
偏差値 | 38(簡単) | 44(簡単~普通) | 52(普通~やや難しい) |
合格点については、各級の学科は70点以上、実技は70点以上(試験要項に示された作業分類においては配点の60%以上が必要)が必要です。
片方だけの合格もあり
ウェブデザイン技能検定には、「試験免除基準」があります。
具体的には、次のようにある基準を満たせば学科試験・実技試験の片方もしくは両方の試験が免除されるものです。
主な免除要件は以下のとおりです。
試験免除基準 | 免除内容 |
---|---|
1級の学科試験合格者(※1) | 1級学科試験の全部 |
1級または2級の学科試験合格者(※1) | 2級学科試験の全部 |
1級から3級の学科試験合格者(※1) | 3級学科試験の全部 |
2級の実技試験合格者(※2) | 2級実技試験の全部 |
3級の実技試験合格者(※2) | 3級実技試験の全部 |
上表の※1は「学科試験合格日から2年以内」、※2は「実技試験合格日から2年以内」の略号です。
上表から、学科試験と実技試験のいずれか一方だけ合格した場合は、次に他方だけの受験ができます。
1・2級の受験資格のハードルは高い
ウェブデザイン技能検定の各等級における受検資格は、次のとおりです。
等級 | 受験資格 |
---|---|
1級 | ●実技試験 |
・1級の学科試験合格者(※1) | |
●学科試験 | |
・7年以上の実務経験を有する者(※2) | |
・職業高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校卒業または普通職業訓練修了(※3) | |
5年以上の実務経験を有する者(※2) | |
・大学卒業後(※3)、3年以上の実務経験を有する者(※2) | |
・高度職業訓練修了後(※3)、1年以上の実務経験を有する者(※2) | |
・2級技能検定合格者で、その後2年以上の実務経験(※2)を有する者 | |
2級 | ・職業高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校卒業または普通職業訓練修了者(※3) |
・大学(※3)を卒業した者 | |
・高度職業訓練(※3)を修了者 | |
・2年以上の実務経を有する者(※2) | |
・3級の技能検定合格者 | |
3級 | ・ウェブの作成や運営に関する業務に従事している者および従事しようとしている者 |
- ※1:当該実技試験が行われる日が、学科試験の合格日より2年以内である場合のみ
- ※2:実務経験とは、ウェブの作成や運営に関する業務に携わった経験
- ※3:学校卒業、訓練修了については、卒業あるいは修了した該当科に協会が定めたウェブの作成や運営に関する科目等が含まれると協会が認めたものに限る。
上表のとおり、3級は誰でも受験できますが、1級と2級には実務経験などのハードルがあります。
特に1級は多くの実務経験が必須となるので、受験の際には自分が受験資格を満たしているか気を付けるようにしましょう。
ウェブデザイン技能検定のおすすめ勉強法
ウェブデザイン技能検定の勉強に関連して、まず、原則を押さえておきましょう。
- 3級と2級は、公式の参考書と過去問集で独学
- 1級については公式の参考書がないので、過去問集だけでの独学かオンライン学習などを利用
これを前提に効果的な勉強をするには、「参考書による知識のインプットと過去問によるアウトプットを繰り返す勉強法」がおすすめです。
具体的には、次のよう手順で行います。
- 適当な章・節・項などで区切り、参考書を精読して知識をインプット
- 学習した範囲に該当する過去問を解いて知識をアウトプット
- 足りなかった知識と誤っていた知識だけを、参考書を読み直してインプット
- l2.で解いた過去問に再挑戦してインプットした知識をアウトプット
特に3・4番目の過程を軽視する人が多いため、この点の重要性を認識しておくことは大事です。
苦手箇所の克服は得意箇所を伸ばすことよりも得点を飛躍的に伸ばせるため、資格を取得したいなら、確実にこなしておくべき箇所であるといえるでしょう。
おすすめテキスト・問題集
ここでは、ウェブデザイン技能検定におすすめのテキスト・過去問集(問題集)を紹介します。
なお、テキストや問題集は2・3級用しか出版されていないので、1級の受験者は注意が必要です。
インプット用の参考書は、「ウェブデザイン技能検定2・3級ガイドブック」を活用が基本です。
ただ、内容がかなり古いため、あくまで参考程度にとどめておいた方が賢明でしょう。
アウトプット用の参考書は「ウェブデザイン技能検定 過去問題集2・3級」がありますが、年度が平成24・25年度とかなり古いため、基本的には公式HPで公開されている過去問題を使って勉強するのが無難になります。
ウェブデザイン技能検定の試験日程・会場・申し込み方法
各級の申込方法・試験日程・試験会場は次のとおりです(2級と3級は同一であることから、1つの欄で表示)。
3級および2級 | 1級 | |
---|---|---|
申込方法 | インターネットまたは郵便 | インターネットまたは郵便 |
試験日程 | 2・5・8・11月の年4回 | 学科11月・実技翌年2月 |
試験会場 | 全国主要都市 | 東京・大阪のみ |
1級は、11月の学科試験合格者だけが翌年2月の実技試験を受けられます。
ウェブデザイン技能検定の受験料
ウェブデザイン技能検定の受験料は、次のとおりです。
学科試験 | 実技試験 | |
---|---|---|
3級 | 5,000円 | 35歳以上: 5,000円 35歳未満:3,000円 |
2級 | 6,000円 | 35歳以上:12,500円 35歳未満:7,000円 |
1級 | 7,000円 | 25,000円(ペーパー実技受験料を含む) |
受験料は学科試験と実技試験に分かれており、年齢が35歳を境に料金が異なります。
ウェブデザイン技能検定と合わせて取りたいおすすめ資格
ウェブデザインの知識を学べる資格は、ウェブデザイン技能検定以外にもあります。
以降では、それらの資格のうちの4つを紹介しましょう。
Webクリエイター能力認定試験
Webクリエイター能力認定試験とは、ウェブページやサイトを構築するための専門知識や実務的な技術を評価し認定する民間資格です。
サイトの制作能力からサイトデザインの手法までウェブサイトの基本を一通り学べることから、累計で14万人以上の受験者数を誇る信頼性のある資格と言えます。
試験はエキスパートとスタンダードに分かれており、学歴や年齢などの受験資格が設定されていないので誰でも受験できます。
受験料はエキスパートが7,435円でスタンダードが5,806円です。
なお、主催者発表によれば2018年の合格率は89.9%ですから、難易度は易しめであるといえるでしょう。
試験の詳細は以下の記事も併せてチェックしてみてください!
Webデザイナー検定
Webデザイナー検定とは、準備段階のコンセプトづくりからウェブページのデザインやテスト運用・評価まで、さまざまな知識が問われる検定試験です。
検定は基礎知識が必要な問題が出題される「ベーシック」と、専門的知識が必要な問題が出題される「エキスパート」の2種類に分かれています。
エキスパート資格を取得すれば、ウェブデザイン業界全体のフローの理解も可能になりますし、実務にもすぐに生かせるので、魅力的な資格と言えるでしょう。
Webデザイナー検定の試験概要は、次のとおりです。
項目 | 概要 |
---|---|
主催団体 | 公益財団法人 画像情報教育振興協会 |
合格ライン | 100点満点中70点以上 |
合格率 | ベーシック・64.4% エキスパート・29.8% |
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Photoshop®クリエイター能力認定試験
Photoshop®クリエイター能力認定試験は、グラフィックツールであるPhotoshopを用いた画像編集や加工の技術に関するスキルの認定試験です。
この認定試験はPhotoshopに特化した資格試験であるため、ツールを使いこなす実践的なスキルが身にきます。
PhotoshopはWebデザインをするために欠かせないツールであるといえるので、ぜひこの資格を通じて使い方をマスターすることがおすすめです。
この認定試験の概要は、次のとおりです。
項 目 | 概 要 |
---|---|
資格のレベル | スタンダード・エキスパート |
出題形式 | 知識問題、実技問題(エキスパートのみ実践問題もあります) |
合格ライン | 65%以上の点数(実践問題は70%以上) |
合格率 | 75%(2019年度平均) |
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Illustrator®クリエイター能力認定試験
IllustratorはAdobe社が開発した商品で、現在、DTP業界でデザインやイラストなどのグラフィックデザイン作成における事実上の標準ソフトウエアです。
このIllustratorの実務能力を測定・評価する試験を、Illustratorクリエイター能力認定試験と言います。
こちらも、Webデザインの際によく使うツールであるため、Photoshop®クリエイター能力試験とともに取得するとよいでしょう。
この認定試験の概要は、次のとおりです。
項 目 | 概 要 |
---|---|
資格のレベル | スタンダード・エキスパート |
出題形式 | 知識問題、実技問題(エキスパートのみ実践問題もあります) |
合格ライン | 65点以上 (実践問題は70点以上) |
合格率 | 68.9% |
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ウェブデザイン技能検定とはどのような資格かについてのまとめ
ウェブデザイン技能検定についてのまとめ
- ウェブ業界唯一の国家資格であるウェブデザイン技能士の資格を取得できる試験
- 2・3級の難易度は易しく、1級はやや難
ウェブデザイン技能検定の試験と資格について、さまざまな側面から解説してきました。
この検定試験に合格すれば、ウェブ業界唯一の国家資格であるウェブデザイン技能士の資格を取得できます。
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