日商・全経・全商簿記の違いは何?簿記の種類ごとの特徴や受験者数を徹底解説!

更新

「簿記の資格を取ろうと思ったらたくさん種類があって困った」

「どの簿記検定を選べば良いのか分からない」

このように、せっかく簿記の勉強を始めようと思ったのに、どの簿記検定を選べば良いのか分からなくて困っている人はいませんか?

実は簿記検定には有名な検定が3つあります。

そこで今回は3つの簿記検定の違いを説明しながら、どの簿記検定が一番おすすめなのか、徹底的に解説していきます。

この記事を読めば、それぞれの検定の違いが分かることで、どの検定を目指せば良いのかが分かるはずです。

簿記の種類の違いについてざっくり説明すると

  • 簿記検定には主要な検定が3種類ある
  • もっとも認知度が高いのは「日商簿記」
  • 専門学校生むけの「全商簿記」と高校生むけの「全経簿記」
  • 同じ級数でも検定によって難易度が異なる
  • 目指すなら日商簿記がおすすめ

簿記の種類は3種類

3つの扉の前に立つ電球

一言に簿記検定と言っても「日商簿記」「全商簿記」「全経簿記」などのさまざまな検定がありますが、主要なものはこの3つです。

名前を見ただけでは違いが分かりにくい上に、微妙に似ているのでややこしいのですが、それぞれの違いをひとつずつ見ていきましょう。

簿記の種類は3つ

まずこの3つの検定の大きな違いは、実施団体と対象としている受験者です。

日商簿記は「工会議所」が実施しているため、略して日商簿記と呼ばれています。

商工会議所は国内の企業と地域を活性化することを目的としている組織なため、日商簿記の対象は主に社会人・大学生となっています。

全商簿記は「業高等学校協会」が実施しています。実施団体名を見ると分かりやすいですが、全国の商業高校の協会がおこなっている検定のため、主な受験対象は商業高校の学生です。

全経簿記は「理教育会」が主催しています。こちらは専門学校生を主な対象にしています。

簿記検定 実施団体 主な対象
日商簿記 日本商工会議所 社会人
全商簿記 全国商業高等学校協会 商業高校などの学生
全経簿記 全国経理教育会 専門学校生

それぞれの簿記検定の級数は?

いずれの検定も難易度が上がるごとに数字が小さくなるようになっています。

日商簿記と全経簿記には3級よりもさらに優しい初級や基礎が用意されています。

さらに全経簿記には1級よりも難しい上級もあります。

簿記検定 級数区分
日商簿記 簿記初級・原価計算初級・3級・2級・1級
全商簿記 3級・2級・1級(会計・原価計算)
全経簿記 基礎・3級・2級・1級・上級

日商・全商・全経簿記の特徴と違い

日商・全商・全経簿記の特徴と違い

もっとも有名なのは日商簿記検定

ここまで紹介した3つの検定の中でもっとも有名で人気があるのが日本商工会議所が主催する日商簿記検定で、会社などで簿記検定の話が出ればほぼこの「日商簿記」です。

先ほど説明した通り、主な受験対象者は社会人と大学生です。

日商簿記の1級から3級までの総受験者数は毎年約40万人で、英検やTOEICと同じくらいの圧倒的な受験者数を誇っています。

試験は毎年1級が6月・11月の年2回、2級と3級は6月・11月・3月の年3回おこなわれています。

簿記初級、2級、3級、と原価計算初級はネット試験会場にて随時開催されています。

なお、簿記2級3級の統一試験の前後には、ネット試験の停止期間が設定されています。 2023年度の日商簿記2・3級の停止期間は以下のようになります。

  • 2023年4月1日(土)~2023年4月13日(木)
  • 2023年6月5日(月)~2023年6月14日(水)
  • 2023年11月13日(月)~2023年11月22日(水)
  • 2024年2月19日(月)~2024年2月28日(水)

簿記初級と原価計算初級に関しては上記の期間でもネット試験を受けることが可能です。

専門学校生向けの全経簿記検定

2番目に有名なのは全国経理教育協会が主催する全経簿記検定で 、こちらの主な受験対象者は専門学校生です。

2番目と言っても、全経簿記検定の上級から基礎までの総受験者数は毎年約5万人ほどで、日商簿記に比べると8分の1程度になってしまいます。

試験はどの級数も毎年1月・6月の年2回実施されています。

高校生向けの全商簿記検定

3番目の全国商業高等学校協会が主催している全商簿記検定のおもな受験対象者は商業高校に通う高校生です。

そのため受験者の99.5%が高校生という年もあるくらいなので、社会人が受験することは基本的にありません。

受験者数は15万人程度で、試験は基礎から1級までなら年4回、上級のみ年2回実施しています。

それぞれの資格の難易度を比べてみると

?を囲む人形 「実は高校生のときに全商簿記を受けていた」という人もいるかと思います。試験に合格していれば、もちろん履歴書に記載することも可能です。

でも履歴書に記載するときに「全商簿記って日商簿記と比べると、どれくらいのレベルなんだろう」と気にする人も多いです。

会社などで簿記の資格の話をするときは日商簿記が基準になることが多いためです。

そこでここからは、全商簿記や全経簿記がどのくらいのレベルで、どのような評価をされているのかについて紹介していきます。

日商2級と全商1級の難易度は同程度

高校生のときに言われるがまま全商簿記を取得したものの、日商簿記の存在を知ってから「全商簿記の資格って日商簿記でいうと、どれくらいのレベルなんだろう?」という疑問を抱く人は少なくありません。

大まかな目安ですが、難易度が同じくらいと言えるのは以下です。

全商簿記1級≒日商簿記2級

全商簿記2級≒日商簿記3級

残念ながら全商簿記で1級を取得していても日商簿記の1級に値するわけではないのです。

日商1級は全経上級より難しい

次に日商簿記試験と全経簿記試験を比べてみましょう。

日商簿記でもっとも難しいとされる1級の合格率は10%程度。対する全経簿記でもっとも難しいとされている上級の合格率は20%程度です。

このことから、単純に比較すると日商簿記1級>全経簿記上級という難易度関係が成立します。

しかし試験範囲や試験問題が異なる上、日商簿記の受験生には公認会計士や一流大学の学生がいるため受験者の全体的なレベルも高いということもあるため、合格率だけで簡単に比較することは難しいのが実情です。

全商・全経の過去問は活用できる

全商簿記や全経簿記がまったく意味がないかというと、そんなことはありません。

例えば学生時代に全商簿記や全経簿記を取得した人は、その範囲はすでに勉強しているわけですから、一から日商簿記の勉強を始める人よりは当然有利になります。

さらに日商簿記の勉強を進めていく中で「日商簿記の過去問を解き終えてしまった」という時には、全商簿記や全経簿記の試験問題を活用することで、新しい問題を開拓することも可能です。

日商簿記の勉強をしていたけど、今持っている日商簿記の過去問に慣れてしまった場合は、全商簿記や全経簿記の試験問題も活用してみましょう。

簿記の資格なら断然日商簿記

星を指さす男性 この記事をここまで読んできたあなたなら気づいているかもしれませんが、「簿記資格どれを取ろうかな」と悩んだ場合は迷わず日商簿記を選びましょう!

理由は日商簿記は知名度が高く、就職活動や進学の場で大きなブランドを持っているからです。

以下で、もう少し細かく理由を説明していきます。

日商はネームバリューが一番

日商簿記は3つの検定の中でもっとも受験者数が多いだけでなく、大きなネームバリューも持っています。

そのため企業の面接官や経理担当者からの信頼も非常に厚く、評価も得やすいです。

さらに転職就職サイトなどで出てくる求人条件は「日商簿記」で記載されています。全商簿記や全経簿記を取得していたとしても、時間があるなら日商簿記を取得することをおすすめします。

日商なら受験しやすいネット試験もある

日商簿記には「簿記初級」や「原価計算初級」もあり、これらは商工会議所が指定する会場でパソコンを使用して受験するネット試験です。

この試験はとても気軽だと言われていて、その理由は以下の3つです。

  • 試験時間が40分と短い

  • 試験終了と同時に合否が分かる

  • 試験回数が多い

ほかの級数は年間におこなわれる試験回数が決まっていますが、この2つの試験は会場によって異なりますが、毎月実施していたり、随時おこなっていたりと試験回数が多いです。

試験時間が短い上に、開催回数が多いと主婦・学生・社会人など、他にも予定があってなかなか試験日に合わせられない人でも気軽に受験できますね。

もちろん試験範囲も日商簿記3級よりも狭いため、簿記3級に取り掛かる前に挑戦してみたい人にもおすすめです。

全商全経は知らない経理マンも多い

残念ながらせっかく取得した全商簿記や全経簿記は採用担当者の立場からすると「学生さんが取る簿記資格」という認識の場合があります。

さらに先でも触れた通り、日商簿記の方が有名なため「全商簿記や全経簿記ってどんなレベルなの?」と内容を知られていないケースもあります。

受ける会社や面接担当者にもよりますが、全商簿記や全経簿記のことをしっかりと認識していない人もいるため、場合によっては実力や簿記資格の実績を正当に評価してもらえない可能性も十分に考えられます。

日商は大学受験でも役立つ

日商簿記試験の合格実績は就職活動のときだけでなく、大学の推薦入試にも役に立ちます。

実際、全国には中央大学や日本大学など、日商簿記検定を取得していることで入試時に優遇される大学が78校あります

それに対して、中には全商簿記や全経簿記を優遇条件としている大学もありますが、日商簿記を優遇条件にしている大学の数に比べるとその数は非常に少ないのが実情です。

日商簿記は「大学受験の際になにか強みが欲しい」といった高校生にもおすすめの簿記検定なのです。

日商簿記の試験ごとの勉強時間

日商簿記には簿記初級から1級まで様々な試験があります。それらの試験に合格するために要するおおよその勉強時間をお話しします。

簿記初級

2017年以降、簿記4級の廃止に伴い、新たに簿記初級試験が導入されました。この試験は、簿記の基本的な用語や企業の日常業務における複式簿記の仕組みに関する問題を含んでいます。対象は経理担当者に限らず、あらゆるビジネス関係者を対象としており、決算に関する内容は出題されません。

この試験は「ネット試験」としてインターネット上で実施されます。商工会議所が主催するPC教室や民間のPCスクールなど、商工会議所が認定した「商工会議所ネット試験会場」で受験することができます。

原価計算初級

原価計算初級試験は、2018年から開始され、原価計算の根本的な考え方について試問し、原価計算の計算問題などが試験の対象となります。これまでの慣行とは異なり、原価計算はこれまで2級以上で取り扱われるテーマでしたが、原価計算初級試験では、簿記の学習経験がない方でも、原価計算の基本原則を習得できる内容となっています。

3級(試験範囲:会計学・商業簿記)

3級試験では、簿記の根本的な原則から始まり、さまざまな取引の処理手法や決算書の作成など、小規模な株式会社を対象とした商業簿記の基本的な知識が問われます。この資格は商業簿記や会計学の基本を学ぶためのものであり、経理担当者に限らず、様々な業界や職種の人々が受験しています。

なお、試験に合格するために必要な勉強時間の目安は約100時間ほどと言われています。初心者でも、自己学習で取り組みやすいレベルと言えるでしょう。

2級(試験範囲:会計学・工業簿記・商業簿記)

2級試験に進むと、商業簿記に加えて、工業簿記・原価計算も試験範囲に組み込まれます。商業簿記と工業簿記の幅広い知識が求められるため、経理や会計分野を専門とする人々にとって、2級の資格取得は重要です。実務経験と共に日商簿記2級を持つことで、転職の際にも有利に活用できるでしょう。

なお、試験に合格するためには200時間以上の学習が必要と言われています。

1級(試験範囲・会計学・工業簿記・工業簿記)

1級試験においては、専門的な商業簿記・工業簿記に加えて、会計基準および企業会計に関連する法令についての知識も要求されます。経営管理や経営分析など、専門領域のエキスパート志向者が追求する、非常に高度な段階です

合格すれば、税理士試験の受験資格を獲得でき、税理士や公認会計士を目指す人々の入り口としても名高い試験です。合格には約1,000時間の学習が必要とされています。

簿記資格を取ることのメリット

ピースを合わせる人々 ここまでは日商・全経・全商の3つの簿記の違いについて詳しく説明してきました。

違いが分かったら次は「簿記の資格を取得することでどんな良いことがあるのか」も気になりますよね。

上記の中で少し触れた部分もありますが、ここからは簿記資格を取るメリットについてさらに具体的に紹介していきます。

就職・転職・進学に有利

簿記の資格を取得しているということは、経理に関する知識や能力を持っていることを証明できるということです。

特に日商・全経・全商の資格は知名度もあるため、取得していれば経理の知識を持った即戦力のある人材ということをアピールする材料になり、就職の際に有利に働きます。

さらに先ほども触れたように、全国には簿記を取得していることで入試の際に優遇してもらえる大学もあります。

簿記を取得することは就職や転職をおこなう際だけでなく、進学の時にも有利になるのです。

ただし、履歴書や調査書に簿記資格を記載する際には日商簿記2級以上であることが求められます。

資格手当がつくことも

簿記の力は就職するときだけでなく、一般企業に勤めた場合にも力を発揮することがあります。

担当が経理業務ならもちろんすぐに簿記の知識が必要となるのは言うまでもありません。

しかし、一見簿記とは関係のない業務であっても、簿記の知識があることで自社の業績を把握して、業務改善や営業力強化に結び付けることが可能です。

例えば企画や営業などの仕事の際には、コストなどの計算に簿記の知識を役立てることで、より良い案を提出することもできるようになります。

さらに会社によっては日商簿記検定2級以上の資格を持っていることで月3000円ほどの資格手当が付くこともあります。

税理士試験の受験資格を得られる

税理士試験を受験するためには受験資格があり、最終学歴が高校で会計事務などに従事していない人が受験するのは難しいです。

しかし日商簿記検定1級に合格すれば、たとえ職歴が無くても受験資格を得ることができます。

つまり日商簿記検定1級に合格すれば、高卒でも税理士資格にチャレンジすることが可能なのです。

「高卒で税理士資格の受験資格になるような職歴もないけど税理士を目指したい」という人はまず日商簿記検定1級を目指して頑張りましょう!

優しいレベルからチャレンジしよう

スマイルを指さす手 ここまでの説明で簿記がとても価値があり、持っていて損のない資格だということがお分かりいただけたのではないかと思います。

とはいえ、簿記の資格を取るためにはどうしたら良いのでしょうか?

ここからは簿記の資格を取るための学習法について紹介します。

3級から勉強を始める人も多い

先ほど、履歴書や調査書に記載するためには日商簿記検定の2級以上を取得する必要があると言いました。

しかし日商簿記2級は出題範囲が広い上に難易度も高いため、なんの知識もなく突然取り掛かると挫折してしまう可能性があります。

始めて簿記の勉強をするなら、書店に行って日商簿記3級の参考書と問題集を購入することをおすすめします。

日商簿記3級レベルの資格なら独学でも十分に合格が目指せるためです。ちなみに簿記3級なら2ヶ月ほどの勉強で合格することも可能です。

さらに簿記2級の商業は簿記3級の延長線上にあるため、簿記3級から勉強することでスムーズに簿記2級の知識を吸収することもできます。

特に簿記2級は3級と違って商業簿記と工業簿記の両方を勉強しなくてはいけないため、初見だと非常にハードルが高く感じて挫折しやすいです。

まずは簡単な簿記3級から取り組んで簿記の基礎を身に付けましょう。

簿記3級の勉強法についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もチェックしてみてください。

2級以上は通信講座を利用しよう

簿記は基本的に独学でも取得可能な資格ではありますが、専門用語が多い上に3級→2級→1級と級が上がっていくごとに、さらに難しい専門用語や概念が登場します。

覚えたり理解したりするのに時間が掛かるためになかなか勉強が進まず、結果トータル勉強時間が尋常じゃない時間になってしまうことがあります。

短時間での資格取得を目指すのであれば、簿記2級以上は通信講座の受講が非常に有効です。プロの指導のもとで学ぶことで、独学よりも圧倒的に効率よく勉強することができるでしょう。

また、通信講座では3級講座と2級講座がセットになっていることが多いので、全くの初学者からでも2級合格まで着実に知識をつけていくことができるでしょう。

通信講座ならどこがおすすめ?

簿記試験に向けた対策なら「スタディング」の通信講座を利用するのが1番おすすめです。

スタディングは100,000人以上の指導実績を誇る注目の通信講座であり、受講生からの評判も抜群に高い大人気講座です。

人気の秘密は安くても高品質な教材にあり、講座費用は簿記2級対策コースなら19,800円から、簿記3級対策コースも3,850円からと相場よりも圧倒的に安く受講可能です。

特にスマホ学習機能の充実度は業界最高峰であり、毎日仕事や家事で忙しい方でも通勤時間などのちょっとした隙間時間を活用して効率よく学習を進められます。

簿記試験の短期間での合格を目指されている方は、この機会に是非チェックしてみてください!

スタディングの公式サイトはこちら

簿記の種類まとめ

簿記の種類の違いまとめ

  • 就職や進学するときに有利になりやすいのは日商簿記
  • 簿記資格を取得すれば資格手当がもらえることもある
  • 簿記の勉強は日商簿記3級レベルから始める
  • 短期間で資格取得したいなら通信講座等の受講も検討する

簿記の資格は就職や進学の際に有利に働くだけでなく、その知識は仕事をしていく中でも非常に役に立つものです。

志高く2級を目指すのも良し、まずは3級から始めて自分に合っているのかを確かめても良し。

せっかく簿記の魅力に気付いたなら、この機会にぜひ簿記の勉強を始めてみてください。

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1