簿記とFPどちらの資格を取得すべき?取得メリットや難易度を徹底比較!
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ファイナンシャルプランナー
FPこう
「簿記とFP(ファイナンシャルプランナー)はどう違うの?」
「簿記とFPはどちらもお金に関する資格だけど、オススメはどっち?」
こういった疑問をお持ちの方はいませんか?
簿記もFPも知名度が高くて人気な資格ですが、イマイチ違いが分からなかったり、どちらを取得するべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は簿記とFPについてあらゆる疑問やお悩みにお答えすべく、簿記とFPの違いや取得メリットの差について徹底解説していきます!
簿記とFPの取得メリットをざっくり説明すると
- 簿記を取得すると業種によらず通用する知識が得られる
- FPを取得すると特定業種の就職に強くなる他、知識を日常生活にも活かせる
- ダブルライセンスで他者との差異化が図れる
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簿記とFP(ファイナンシャルプランナー)の違い
簿記は数ある資格の中でも特に知名度が高く、汎用性の高さから毎年40万人以上が目指す超人気な公的資格です。
一方FP(ファイナンシャルプランナー)は、取得しておきたい資格ランキングで毎回上位にランクインする人気を集めており、近年非常に注目されている国家資格です。
どちらもお金に関する資格ですが、それぞれどのようなことを学ぶのでしょうか?
簿記で身につく知識
まずはじめに「簿記とは何か?」というところから説明していきます。
簿記とは、帳簿と呼ばれるノートに会社の財産や売買に関する取引の記録をつけることを言います。
例えば、120円のペンを仕入れたなら、
- 120円のペンを仕入れた
- 120円のお金が減った
と帳簿に記録をつけます。
簿記を記録することによって、会社のお金の支出や資産の変化の把握ができます。
さらに、毎日記録をつけ年に一度決算書を作成します。決算書とは企業の通信簿のようなものになります。決算書の種類は以下の3つとなります。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュ・フロー計算書
これをもとに銀行や投資家はその企業に投資するか決めています。簿記の資格は、日々の帳簿や決算書について勉強するのです。
以上の業務内容から簿記資格を取得することで身に付くことは下のようにまとめることができるでしょう。
簿記の資格で身につくこと
- 数字に強くなる
- 帳簿や決算書の読み方、作り方が学べる
- 企業を分析する能力が身に付く
簿記の資格は必ず仕事に活かせるため学生・サラリーマン・OL・経営者など年齢や職業に関わらず多くの人が取得を目指しています。
FPで学ぶ内容
こちらも「FPとは何か?」から説明していきます。
FPはファイナンシャルプランナーといい、お金の計画を立てるためのあらゆる知識を兼ね備えています。
簿記が会社のお金を扱うのに対し、FPは主に個人のお金を扱います。
FP(ファイナンシャルプランナー)の勉強科目は、
- ライフプランニングと資金計画
- リスクマネジメント(保険)
- 金融資産運用(金融商品)
- タックスプランニング(所得税)
- 不動産
- 相続、事業継承
の6つです。
生活をしていく上でのお金に関する様々な知識をもち、将来の夢や目標に向けて叶えるためのアドバイスができるお金の専門家がファイナンシャルプランナーであると言えます。
お金の面からライフプランの見直しができるため、家計のホームドクターとも呼ばれることもあります。
以上の内容からFP資格を取得することで身に付くことは下のようにまとめることができます。
FPの資格で身につくこと
- 金融全般の知識に強くなる
- 投資や資産運用などの情報に敏感になる
- 仕事にも私生活にも活かせる力となる
FPの資格は主に金融・保険・不動産業界の人が取得をしますが、家計の資金管理能力など私生活にも役立つことから女性や主婦にも大人気の資格です。
キャリアに活きるのは簿記かFPか
簿記とFPはどちらも魅力的な資格だということがわかりましたが、キャリアに活かせるのはどちらの資格なのでしょうか?
就職活動で持っておきたいのは簿記の資格
就活に備えるのであれば、簿記はひとまず持っておきたいところです。簿記は、業界や職種を選ばずオールジャンルでアドバンテージになります。
簿記で学ぶ事柄はビジネスに直結する内容が多いことに加え、採用担当者も簿記についてはよく知っているはずなので、高評価を受けやすいでしょう。
一方、FPは簿記と比べると資格の知識が生きる業界が限られてしまいます。
ただ、ファイナンシャルプランナーの専門分野である金融や保険、不動産業界に就職を考えているのであれば、積極的に取得を目指すのがおすすめです。
簿記資格と就活の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
昇格・昇給に繋がるのはどっちの資格?
まず前提として、これらの資格を持っているだけでは昇格・昇給には繋がりにくく、その資格を活かし仕事の成績をあげることに意味があります。
簿記はどの会社でも通用する知識ですが、それを活かして仕事の成績をあげることができるかと言われれば、正直難しいかもしれません。
一方FPは金融や保険、不動産業界などでは資格手当を支給している会社も多く、給料に1〜2万加算されることが多いです。
また、ファイナンシャルプランナーとして顧客のお金のあらゆる相談に乗るため、資格を持っていると信頼を勝ち取りやすく結果として仕事の成績に繋がりやすいと言えるでしょう。
そのため、FPの方が昇格・昇給には向いているのです。
簿記とFPどちらの方が取得しやすい?
どちらの資格も取っておきたいところではありますが、やはり取得のしやすさは気になりますよね。
簿記とFP、一体どちらの方が資格を取りやすいのでしょうか?
以下では受験資格や試験難易度といった観点から、両者の取得しやすさを比較していきましょう。
簿記とFPそれぞれの受験資格
まず簿記から見てみましょう。
簿記の受験資格
- 学歴・年齢・性別・国籍による制限なし
※2級や1級からの受験や、1級・2級、2級・3級の併願受験も可能
続いてFPを見てみましょう。
FP(ファイナンシャルプランナー)の受験資格
《3級》
- FP業務に従事している者または従事しようとしている者
《2級》
-
日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
-
3級FP技能検定の合格者
-
FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
-
厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
簿記は誰でも門戸を開いているのに対し、FPはファイナンシャルプランナーを目指す人に絞っていることが分かります。
またどちらも学歴は問いませんが、簿記は初学者でも2級から受験が可能なのに対し、FPは初学者の場合、基本的に3級から受ける必要があります。
試験難易度はどちらが高い?
それぞれの2級の難易度を比較してみましょう。
比較項目 | 簿記2級 | FP2級 |
---|---|---|
合格率 | 約12〜20% | 筆記:約30% 実技:約40% |
勉強時間 | 200~400時間 | 150~300時間 |
簿記は誰でも受験が可能ではありますが、2級は若干難易度が高いと言えます。12〜20%と意外にも合格率は低いので、よく勉強をする必要がありそうです。
FPは筆記と実技がありますが、合格率は簿記と比べても高く筆記が約30%、実技が約40%です。
以上の点から、資格の取りやすさでどちらを受験するか決めるならファイナンシャルプランナーがオススメです。
簿記2級の難易度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
他資格とのダブルライセンスに向いてるのはどっち?
ダブルライセンスとは、業務の幅を広げたり、相乗効果を発揮させるために様々な資格を取得し組み合わせることを指しますが、簿記とFPではどちらがダブルライセンスに適しているのでしょうか?
簿記と他資格とのダブルライセンス
簿記は、公認会計士、税理士、BATIC(国際会計検定)など、組み合わせとしてはどのような資格でも可能です。
しかしこれらの組み合わせにおいては、相乗効果というよりも「簿記は簿記」であり、他の資格は簿記で学んだ知識をベースにより新しい内容を積み上げていくという関係性であることが大半です。
簿記は仕事をしていく上での必要な基礎知識が身に付く資格なので持っておきたい資格ではありますが、他の資格との相乗効果はあまり期待できないでしょう。
その点、FPは非常にダブルライセンスが活きる資格です。
FPは関連資格と相性抜群!
ファイナンシャルプランナーは、金融の幅広い知識を持っていますが実は独占業務がありません。そのため、業務として相談に乗れることも限られているのです。
しかし、宅地建物取引士、社会保険労務士、行政書士、弁護士、中小企業診断士など、こうした士業や関連資格とのダブルライセンスを目指すことで、ファイナンシャルプランナーとしてでも独占業務を行うことができます。
より専門的な資格を併せ持つことで仕事が増え、信用や信頼度も増します。さらには他のファイナンシャルプランナーと差別化も図ることができるのです。
ファイナンシャルプランナーとして活躍したい人は積極的にダブルライセンスを目指して欲しいところです。
結局簿記とFPのどちらを取得すべきか
どちらを取得すべきかを考えた際、簿記とFPはどちらも取得しておきたい資格です。
しかし資格をどう活かしたいかによって取得するべき資格が簿記なのかFPなのか変わってきます。
例えば、
- 希望の就職先は特にないが資格を取りたい
- 事務や経理で働きたい
- ビジネスで万能に活かしたい
そういう方は、簿記を取得しておくべきでしょう。
また、
- 金融、保険、不動産業界に就職したい
- 資金計画や資産運用の知識をつけたい
- 私生活にも活かせる資格を取りたい
という方は、ファイナンシャルプランナーを取得しておくべきでしょう。
簿記とFP(ファイナンシャルプランナー)のダブルライセンスのメリット
次に簿記とFPを併せ持つことでどのようなメリットがあるか見ていきましょう。
昇格に有利になる
単に資格を持っているというよりも、資格で得た知識を日々の業務に活かすことが昇格の鍵となります。
簿記でビジネスの知識をつけ、ファイナンシャルプランナーの資格を業績に繋げることができれば昇給・昇格のステップを歩むことができるでしょう。
資産運用に強くなる
簿記は、会社の決算書を読み解く力がつきます。一方FPは、個人の家計に特化しているため金融商品の知識がつきます。
この2つの資格で得た知識は、資産運用の中でも特に株式投資に活かすことが可能です。
盤石の知識を得た状態で投資戦略を立てることで、何も知らない状態よりも、より良い考えが思い浮かぶでしょう。
簿記とFPの取得順番は?
取得の順番は、自分の中で優先順位が高い方を先に取得すると良いでしょう。
もしどちらも同じなら、自分の私生活にも役立つファイナンシャルプランナーを先に取ることをオススメします。
勉強した内容が自分の人生とリンクするため、資格の勉強が楽しく感じるのではないかと思います。
2つを同時期に取得することはできるの?
どちらも1年に3回試験が行われるので、同じ年に2つとも取得してしまうことは可能です。
どちらも難易度がそこまで高くないので独学でも合格は可能ですし、かなり現実的だと言えます。
まずは一方の2級の取得を目指そう
とはいえ、焦らずに自分のペースで着実に力をつけていってください。
同時に勉強を進めるのではなく一つずつ重点的に学習した方が、資格は取得がしやすいです。
その方が知識の定着が良いので、単なる資格ではなく知識として今後の力になります。
徐々に難易度をあげるため「FP3級→簿記3級→FP2級→簿記2級」と勉強した方が良さそうな気もしますが、かえって効率が悪くなることもありますので、勉強の仕方には注意しましょう。
難易度的にファイナンシャルプランナーの方が易しいため、先にFP2級を目指すことをオススメします。
2級はどのようなことを勉強するのか
簿記2級とFP2級はそれぞれどのようなことを勉強するのでしょうか。3級と比較して説明していきます。
簿記2級
ざっくりと言えば、3級は主に個人事業主、2級は中小企業に関わる簿記を勉強していきます。
3級の試験は、個人の飲食店などの自営業の簿記を想定した商業簿記が中心に出題されます。
2級の試験は、中小企業に必要とされる簿記、そして製造業の簿記を目的とした工業簿記が出題されます。
FP2級
実はFPの場合、3級と2級で勉強する範囲は全く変わりません。同じ範囲を試験の問題で出題されます。
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ライフプランニングと資金計画
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リスクマネジメント(保険)
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金融資産運用(金融商品)
-
タックスプランニング(所得税)
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不動産
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相続と事業継承
ではなにが違うのかというと、 それは内容の深さです。
2級の試験問題では3級と比べ問題となる内容が深くなります。それに伴い解答の選択肢も増えます。
範囲が同じだからといって、浅い知識やうろ覚えでが合格はできません。2級は特にしっかりと勉強して臨みましょう。
簿記とFP試験のまとめ
簿記とFP試験のまとめ
- 簿記に受験資格がない一方、FP2級には受験資格が存在する
- 両者を一斉に受験することも可能
- 資格での学びを活かして業績アップにつなげることが重要
簿記とFPを様々な角度から比較をしてみましたが、いかがでしたでしょうか?気になることや疑問は解消できましたか?
少しでも参考になっていただけたら嬉しいです。
本文にも書きましたが、資格は取ったあとにその知識を活かすことが最も大事です。
簿記やファイナンシャルプランナーは取得しやすい資格で、特に2級まで取得ができれば就活に有利になる上、就職後の業務成績をあげることで昇給・昇格も期待できます。
その中で最も取得しやすいファイナンシャルプランナーは、最初に取り掛かるにはぴったりです。
とてもコスパの良い資格なのでもはや取らない理由が見つかりません。是非とも取得を目指してみてくださいね!