FPと宅建の資格はどちらを取得すべき?取得メリットや難易度差は?
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ファイナンシャルプランナー
FPこう
「FPと宅建ってどっちの資格がおすすめなの?」
「それぞれの資格を取るとどんなメリットがあるの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事ではFP2級と宅建の難易度差や取得メリットについて解説していきます!
この記事を読めばそれぞれの資格の難易度、どんなことを勉強するのか、どんな仕事に生かせるのかがわかります。
また両方取得した際のメリットについても説明していきます。 両方ともしっかりと勉強すれば一発で合格できる試験ですので、みなさんもぜひ取得を目指しましょう!
FPと宅建についてざっくり説明すると
- FPも宅建も実生活の課題解決に役立つ知識を学ぶ
- FP2級と宅建では宅建の方が難易度が高い
- 両者の学習内容には相関性があるのでダブルライセンスのメリットが大きい
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FPと宅建の違い
FPと宅建はどちらも大人気の国家資格であるという共通点を持ちます。
宅建は毎年20万人近くの人が受験する最も人気の国家資格の1つです。
一方でFPは3級と2級で毎年それぞれ15万人近くが受験する資格であり、トータルの受験者数で言えば宅建を超えます。
宅建で学ぶ内容
宅建では 民法・宅建業法・法令上の制限(都市計画法や、隣地斜線制限などの建築物に関する規制)を学びます。
また不動産の売買では大金が動くことになるので、トラブルを未然に防ぐための倫理なども同時に学びます。不動産関係の仕事につく人にとっては必須の内容といえます。
FPで学ぶ内容
FPで学ぶ内容は年金や保険、税金に相続など多岐にわたります。ほとんどが実生活に役立つ知識ですので、宅建士で学ぶ法律系科目よりも理解しやすいでしょう。
また実技試験では様々な状況でどのようにアドバイスをするかといった実務的な技能も問われます。
よって、座学的な内容と実践的な能力の両方が問われるのです。
FPと宅建の難易度を比較
資格 | 合格率 | 勉強時間 |
---|---|---|
宅建 | 約15% | 200~400時間 |
FP2級 | 20~40% | 150~300時間 |
FP3級 | 50~80% | 30~120時間 |
宅建合格率出典元:試験実施概況 過去10年間
FP合格率出典元
表の通り宅建のほうが合格率は低く、難易度は高いです。
必要な勉強時間の目安ですが、FP2級は150時間~300時間程度、一方宅建士は200時間~400時間程度と言われています。
なおFP2級は年に3回試験があり、宅建士は年に一度しか試験がありません。一発で合格しなければいけないか否かを考えても、FP2級の方が取得難易度が低いと言えるでしょう。
不動産関係の仕事に携わっている方、またはこれから目指す方は宅建の取得を目指し、金融機関や社会保険労務に携わる方はFP2級資格を優先して目指すのがよいでしょう。
なお、FP2級の科目の中に不動産に関する出題もあるので両方取得する際は勉強が少し楽になります。
宅建の難易度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
FP2級と宅建の試験を比較
宅建の試験科目
宅建では民法、宅建業法、法令上の制限の3つのジャンルを勉強します。
民法
民法はなじみがなく難しい分野ではありますが、過去問などを繰り返し解いているうちに徐々に理解できるので我慢強く取り組むことが必要です。
後述しますが、宅建は7割正解すれば合格なので、どうしても理解できない箇所は捨てるのもアリでしょう。
宅建業法
宅建業法では、宅地建物取引業者(いわゆる不動産屋さん)に関する規制・ルールを学びます。
学習の際には、実際の業務をイメージしながら勉強を進めると理解しやすいと思います。民法と違いとっつきやすい項目なので、ここで点数をとっておきたいところです。
法令上の制限
法令上の制限では、建築物を作るうえでのルールや不動産に関する税金などを学びます。
ここも宅建業法と同じく比較的とっつきやすいと思います。ただ暗記項目が多いので理解しようとするよりも暗記した方が得点につながります。割り切ってスピード感よく覚えていきましょう。
FPの試験科目
FPで学ぶ内容は多岐にわたり、試験科目は以下のように6科目も存在します。
- ライフプランニングと資金計画
- リスク管理
- 金融資産運用
- タックスプランニング
- 不動産
- 相続
以下では各科目の詳細について詳しく紹介します。
ライフプランニングと資金計画
この科目では、各家庭の家計相談をするうえで遵守しなければならない法令などを学びます。この分野では健康保険や年金、介護保険など実生活に役立つ社会保険の基本に関する勉強が多く、理解しやすいでしょう。
リスク管理
主に生命保険や火災保険に関することを学びます。クーリングオフや火災保険と地震保険の違い、また生命保険控除などの税金の優遇などがよく問われます。
金融資産運用
その名の通り資産運用に関する勉強になります。株・債券・外貨預金などの基礎知識、利回り、NISAの制度などが問われる科目です。
タックスプランニング
この科目では税金に関する勉強をします。所得税の損益通算や退職所得控除などの計算問題が多く、FP試験の中では厄介な科目といえます。
不動産
不動産に関する税金や建蔽率と容積率に関する勉強をします。代表的なのは固定資産税や都市計画税、不動産取得税です。これらの税の優遇措置などもよく問われているので注意が必要です。
相続
相続税の計算や小規模宅地等の特例さらに贈与税などが問われます。遺留分なども過去問でよく見かけるので要注意です。
FPと宅建の試験形式の比較
FPは学科試験と実技試験に分けられます。
学科試験は全60問マークシート解答式による4択問題です。6割に当たる36問以上の正解で合格となります。
実技試験は記述式による5問の出題で、50点中30点以上の得点で合格です。
学科と実技の両方に合格することによって晴れてFP2級技能者となります。学科と実技の難易度は同じくらいです。
一方、宅建士試験は4択問題が50問出題されます。例年得点全体の7割に当たる35点前後が合否の境になります。
受験資格に差はある?
FP2級試験には受験資格があり、次のうち一つをクリアする必要があります。
- 3級技能検定の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
宅建には受験資格がなく、誰でも受験することができます。
FPと宅建の資格はどっちがおすすめ?
FPと宅建はどちらも非常に人気の国家資格ですが、どちらか片方を取得するとしたらどっちがおすすめなのでしょうか。
まず、そもそも宅建とFPの資格は活かせるところが異なりますので、自分の目的に合った資格を選択することが重要となります。
FPは金融業界・保険業界で活躍することができるだけでなく、自身の日常生活にも生かせるお金の知識を手に入れることができます。
そのため、FPは保険業界で働く方や家計の管理をしている主婦の方などにおすすめの資格と言えるでしょう。
これに対し、宅建は主に不動産業界での活躍に絞られるものの、不動産業界においては圧倒的な需要を誇るので、不動産業界や不動産に関連する業界(金融など)への就職や転職の際には極めて強力な武器になります。
そのため、宅建は不動産業界で働きたい方に極めておすすめの資格と言えるでしょう。
実用性重視なら宅建の方がおすすめ
上述のようにFPと宅建はそもそも活かせる範囲が異なりますが、もしあなたがキャリアアップを目指した資格取得を検討しているのであれば、宅建の方がおすすめでしょう。
というのも、不動産業界において宅建資格の威力は絶大であり、就活や転職活動の際も資格が採用に直結するからです。
さらに不動産業界は一般に年収も高く、転職もしやすい業界なので、資格取得後すぐにキャリアアップを図ることができます。
そのため、資格を活かして年収アップを目指したい方にとって、宅建は極めておすすめな資格と言えるのです。
宅建の資格で就職・転職が有利になるかどうかについては、以下の記事でも詳しく考察しています。
FPと宅建のダブルライセンスのメリット
次に、FP2級と宅建の両方を取得するとどのようなメリットがあるか見ていきます。この2つの資格はそれぞれが密接にかかわってきますので、大きな相乗効果が期待できます。
FPと宅建のダブルライセンスで可能な働き方
開業する人、開業せずに企業内で勤務する人のどちらも、不動産の売買や不動産を使った資産運用に関するアドバイスができるため様々なお客様から重宝されます。
FPの勉強の中で宅建士では勉強できないREITなどの不動産投資商品を学べるので、宅建士しか持っていない人と差別化を図ることができるでしょう。
FPの知識が宅建に役立つこと
まずFP2級の勉強科目の中に不動産の科目があるので、その中で不動産の取得などに関する基礎知識、税金などの知識を押さえることができます。
またFP試験の中ではあまり出題は多くないですが、建築に関する用途制限なども出てきますので、それらも勉強することで宅建の勉強に生かすことができます。
マンションや戸建ての販売営業
不動産取得税・登録免許税などの税制面、また住宅ローン控除、住宅ローンの金利の動向といったFPならではのアプローチからお客様の信頼を得られるでしょう。
投資用マンションの販売営業
REITなどの不動産を用いた投資、また自らが賃貸オーナーになった際の利回りなどの運用方法の知識が役立ちます。具体的に利回りが~%といった説明ができた方がお客様への説明もわかりやすくなり、重宝されるでしょう。
不動産の有効活用の提案の営業
「立体建替えの特例」や「固定資産の交換の特例」をあまり理解できていない宅建士は多いです。FP保有者だと不動産を有効活用できる制度・特例を学ぶことができます。
不動産に関する税活用のコンサルティング
固定資産税の軽減特例、不動産取得税の軽減特例など不動産の取得・保有と税金は密接にかかわってきます。小規模宅地等の特例なども押さえることで相続税の節税なども提案できるようになります。
より理解が深まる勉強法
これらの資格を勉強するうえでより頭にインプットできる方法は学んだことを誰かに説明することです。
両方とも実生活に役立つ知識を学ぶことができる資格ですからその特性を活用しましょう。
- 身内の方が年金をもらうにあたって必要な手続きを説明してあげる
- 万が一知人が失業した際に、もらえる保険は何か説明してあげる
- 相続の発生に備えて税金対策をいっしょに考える
など、学んだことをアウトプットする機会は多くありますので、そうした機会に自分自身に理解をより深めることができます。
家族や友達をつかまえて、学んだ知識をアウトプットする機会を積極的に作るようにしましょう。
FPと宅建士の資格試験まとめ
FPと宅建士の資格試験まとめ
- 宅建の方が比較的難易度が高い
- FP2級の方が範囲が広く、実践的内容が多い
- FP2級には受験資格が存在するが、宅建には受験資格はない
- ダブルライセンスにより活躍の幅が広がる
FPと宅建士の資格試験について解説してきました!
FP2級と宅建士の両取りは可能です。両方ともしっかり勉強ができていれば一発で合格できるレベルの試験なので、順調にいけば1年以内に2つ取得することも可能です。
また共に取得することにより、FP1級を目指す、さらに難しい社会保険労務士に挑戦してみるなどの新たなモチベーションにもなるでしょう。
ダブルライセンスを目指してぜひ頑張ってください!