弁理士の転職先はどこ?独立開業の実態や社会人向けの弁理士求人についても解説!
「弁理士って転職に有利なの?どんなところに転職するの?」
といった疑問を抱えている人も少なくないはずです。
弁理士は知的財産にまつわるプロフェッショナルであり、知的財産にまつわる資格のなかでは最高峰といわれています。
また難易度が高いことでも知られている弁理士ですが、弁理士の転職事情について気になる人は多いでしょう。
そこで今回は、弁理士の転職にまつわる情報をお届けします。あわせて弁理士の独立開業の実態や社会人向けの弁理士求人情報など、さまざまな情報をご紹介します。
記事を読み終える頃には弁理士の転職について正しい知識を習得しているでしょう。
弁理士の転職先についてざっくり説明すると
- 弁理士の転職先はさまざまで独立開業の道もある
- 弁理士は転職に有利な資格
- 弁理士は将来性もある魅力的な資格
弁理士の転職について
「弁理士は高収入が狙える資格なのに、転職する理由って何?」
といった疑問を抱える人も少なくないでしょう。そこで弁理士の転職理由について解説します。あわせて弁理士の仕事内容や就職先についても徹底的にご紹介します。
弁理士の転職理由
さまざまな理由から転職を考える弁理士が増えています。
特に下記の2つの理由から転職を考える弁理士が多いようです。
- 年収をあげたいから
- 給料の条件が良い会社で働きたいから
こちらのように年収や給料など、金銭面を踏まえたうえで転職を考える弁理士は多いといわれています。
司法試験や公認会計士試験に次いで難易度が高いともいわれる弁理士ですが、弁理士数の増加もあり誰もが高収入を目指せる時代とはいえなくなっていることが現状です。
そのほかの転職理由としては、下記の3つの理由が目立っています。
- 考えていた仕事が出来なかったから
- 狭い中での人間関係に悩んでしまったから
- 大きい仕事をしてみたくなったから
特に目立っていた金銭面に関わる理由以外にも、弁理士の転職にはさまざまな理由があるようですね。
そもそも弁理士の仕事って?
弁理士は知的財産にかかわるスペシャリストです。
知的財産権の取得や知的財産権の紛争解決を円滑に進められる唯一の国家資格者といわれています。では、具体的に弁理士の仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。
弁理士の業務は特許だけじゃない?
実は、弁理士の業務は以下の5つに大別されます。
- 特許権出願の代理
- 実用新案権出願の代理
- 意匠権出願の代理
- 商標権出願の代理
- 知的財産の相談対応
ご覧になると分かるように、弁理士の仕事内容は特許権にかかわるものだけではありません。意匠権や商標権の手続きも、弁理士の仕事の一つです。
なかでも近年ではデザイン経営が進むうえで意匠権が重要視されており、意匠権出願の代理業務が増えているといわれていることが現状です。
また代理業務だけでなく知的財産の相談を受け、アドバイスやコンサルティングまでおこなうことも業務のひとつでしょう。
さらには特許権や実用新案権、意匠権、商標権など、さまざまな権利にまつわる訴訟に補佐役として参加することもあります。
弁理士の就職先について
弁理士として働く人のなかでも特に多いといわれている2つの働き方をご紹介します。
- 特許事務所に勤務したうえでの仕事
- 独立開業したうえでの仕事
こちらの2つの働き方が多いようです。
ただし独立開業する場合、まずは特許事務所で経験を積む人が大半でしょう。
独立開業すると超高収入が狙えることが魅力です。億単位稼ぐ弁理士も少なくありません。
また自分自身で労働時間の調整ができることも魅力のひとつでしょう。
とはいえ独立開業して失敗する人も少なからずいるので、独立開業は慎重におこなってください。デメリットも踏まえたうえで、貯蓄や経験を増やしてから独立開業することをおすすめします。
それから顧客の獲得方法や宣伝方法など、長時間かけて計画を練ることも重要でしょう。
一般企業で企業内弁理士として働く
弁理士の働き方には一般企業で企業内弁理士として働く方法もあります。
知的財産担当者には弁理士の資格を持っていない人が多く、弁理士の資格を持っている知的財産担当者は10パーセント以下です。
そのため弁理士の資格がある場合、一般企業での就職が大変有利といえるでしょう。
また弁理士の資格がある知的財産担当者は大手の企業に多い傾向があります。そのため中小企業ではより重宝される存在となるでしょう。
なお大手企業で勤務する場合、法務部や総務部ではより深い知識が求められます。そのため弁理士の資格を持っていること自体が有利に働くでしょう。
また就職のときに有利にならなかったとしても、実際に働くうえで弁理士の資格を取得するために学んだ法律の知識は無駄になりません。
弁理士の転職先は?
「弁理士の資格が生かせる転職先ってどこ?」 といった疑問や悩みを抱える人も少なくないでしょう。そこでこのトピックでは、弁理士の代表的な4つの転職先を解説していきます。
特許事務所
弁理士のなかでももっともメジャーな就職先、または転職先として知られている勤務先は、特許事務所でしょう。
特許事務所の魅力は独立開業しなくても安定的に高収入を維持できることです。
特許事務所に勤務する弁理士の平均年収は700万円から800万円であり、一般的なサラリーマンの平均年収である400万円と比較した場合、高い水準であることが読み取れます。
また特許事務所の場合、事務や雑務など、手のかかる業務がなく、特許業務のみに集中できることも魅力のひとつです。
特許事務所の雰囲気とは
特許事務所で勤務する場合、個人での業務が多いため会議などは少なく、静かな雰囲気の職場が多いようです。集中できる環境が整っているといえます。
また自由度が高い会社が多いことも特徴です。勤務時間や休憩時間など、各自自由にとれる雰囲気の特許事務所もあるでしょう。
特許事務所はひとりで黙々と仕事に励みたい人には最適な職場といえます。会社はチームプレーで業務をおこなうことが多いですが、特許事務所においては個人プレーが重視されるでしょう。
弁護士事務所への転職もある?
知的財産業務を取り扱う弁護士事務所では弁理士の存在が必要とされています。
技術力のある弁理士、それから法律の専門知識がある弁護士が協力し合い、スムーズな問題解決に期待できるため弁理士の存在は欠かせません。
特許事務所と変わらない年収の弁理士事務所が多いですが、給与体系は年俸制の事務所が多いでしょう。
企業内弁理士
知的財産にまつわる権利は、企業活動と密接に関係しています。企業には知的財産部と呼ばれる知的財産にまつわる部署があるので、専門の部署がある企業であればなおさら活躍できる可能性が高いでしょう。
知的財産部がある可能性が高い会社は下記の通りです。
- 発明をおこなう会社
- アイディアを活かしたアイテムを提供する会社
- 出版社
- 映画会社
- 芸能事務所
- 音楽レーベル
- 著作権を管理する会社
- デザインを扱う会社
- ブランドを手掛ける会社
こちらの会社以外にも知的財産部門が設置されている会社は多岐に及びます。
そのため弁理士が一般企業に転職し、新たなキャリアを描ける可能性は大いにあるといえるでしょう。
特許事務所から企業内弁理士として一般企業に転職する弁理士は非常に多いといわれています。転職をするのであれば視野に入れておきたい働き方です。
企業内弁理士の仕事内容は?
企業内弁理士の仕事内容は、特許権や実用新案権、商標権、意匠権など、知的財産にまつわる権利を特許庁に申請して登録をおこなうことです。
知的財産にまつわる権利は、先に似たようなものが出願されている場合、権利を得られない可能性があります。そこで独自性をアピールして権利を獲得することがポイントになってきますが、この独自性のアピールこそ弁理士としての技量が問われるところでしょう。
弁理士の専門性は弁護士でも補いきれないので、弁護士と上手く協力し合うことが大切です。
特許庁の審査官
特許を出願されたときに特許庁で審査業務をおこなうことも弁理士の仕事でしょう。
ただし特許庁の審査官は誰もがなれるわけではありません。審査官になるためには弁理士の資格があること、それから国家公務員採用I種試験(技術系)に合格することが必須です。
なお特許庁の審査官の年収は、国家公務員に準じます。500万円から毎年昇給していくといわれています。
開業の道もある
弁理士として独立開業する場合、超高所得を狙える可能性があります。稼ぐ弁理士の年収は億単位です。高所得を目指す人にとっておすすめの働き方でしょう。また自分で労働時間を調整できることも魅力のひとつです。
ただし独立開業する場合、事業に失敗してしまうリスクも否めません。そのため安易な判断で独立開業することはおすすめできないといえるでしょう。
独立開業するときに大変だといわれているポイントをご紹介していきます。
クライアント獲得
弁理士として独立開業する場合、自分でクライアントを獲得しなければなりません。
クライアントを獲得するためには下記のような自助努力が必要です。
- 日本弁理士会がおこなう知的財産にまつわる無料相談会に参加すること
- さまざまな業界の団体の集まりに参加すること
- SNSで情報発信をおこなうこと
- 自社のホームページを充実させること
こちらのような自助努力をしたからといえ、必ずしもクライアントを獲得できるとは限りません。
クライアントを獲得するためには、社交的に活動することが必須です。日々の積み重ねが大切でしょう。
事務的業務を自分でやる必要
弁理士の仕事内容のメインは、特許の出願業務でしょう。
しかし独立開業した場合、特許出願の明細書作成だけでなく、下記のような業務が必要です。
- 期限管理
- 年金管理
- 特許料の納付
こちらのような業務は特許事務所で勤務する場合、弁理士が担当しないことがほとんどでしょう。しかし独立開業するとさまざまな事務的業務をおこなう必要があります。
特に期限管理や年金管理は忘れてしまうと権利が消滅してしまう恐れもあるでしょう。注意しなければなりません。
海外の特許事務所との連絡のための英語力
近年では海外への特許出願や海外からの特許出願が増加傾向にあります。
日本から外国への特許出願業務は内外業務といわれており、英語版明細書の作成や出願書の準備、拒絶理由通知書に対するコメント作成など、さまざまな業務で英語が必要です。
また外国から日本への特許出願業務は外内業務といわれており、英語版明細書の翻訳分の作成や拒絶理由通知書に対するコメントや応答案の作成など、さまざまな業務で英語が欠かせません。
内外業務や外内業務の需要は高まっているので、海外の特許事務所との連絡のための英語力は必要になるでしょう。
事務所経営をする
独立開業した場合、事務所の経営を全て自分の手で行わなければなりません。
独立開業して間もないうちは、抱えきれないほどの案件が入ってくことは稀です。しかし仕事が増えてくるにつれ、1人ですべての業務を抱えることは困難になります。
そのため弁理士や事務担当者を雇う必要がでてくるでしょう。独立開業した場合、経営のスキルを持った人材を確保したり、自ら経営について勉強することも必須です。
弁理士の独立についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
弁理士に転職したい!
弁理士に転職したい人に向けて弁理士の転職にまつわる情報をご紹介します。弁理士が転職市場で有利な理由、それから年齢や経験、出身学部など、さまざまな観点からみた転職情報を解説していきます。
弁理士が転職市場で有利な理由
弁理士は希少性の高い職業として知られており、就職や転職において有利だといわれています。
平成27年度知的財産活動調査結果統計表によると、一般企業の知的財産にまつわる部署の担当者のうち弁理士の資格を持っている人は10パーセント以下です。
また弁理士の資格を持っている人の勤務先は大手企業が多いといわれています。
そのため大手企業以外の中小企業では弁理士が特に重宝されるでしょう。
一般企業で活躍する弁理士の人数は増加傾向にありますが、まだまだ少ないことが現実です。需要に対して供給が間に合っていない状況なので、転職市場では大変有利といえるでしょう。
若いうちなら求人が多い?
育成しやすいという理由から若いうちであれば求人に応募すると採用されやすくなるでしょう。
日本弁理士会会員の分布状況によると、20代の弁理士は66人のみです。弁理士の資格は5年間ほど社会人を経験してから取得する人が多い傾向にあるので、20代の弁理士の割合は低いといわれています。
そのため30代までは若手の扱いとなり採用されやすいでしょう。
35歳以上の人は実務経験重視
弁理士の平均年齢は37歳であり、30代前半であれば就職に困ることはありません。しかし35歳以上であれば実務経験が重視されがちでしょう。
40代や50代であれば法務部や法律事務所での経験、過去の人脈、英語力、弁護士の資格の有無など、さまざまな経験やスキルが求められます。
また技術者として働いた経験、電子や電機や半導体などの大学卒業程度の知識など、専門的な経験や知識も役立つでしょう。
実務経験とはどんなこと?
特許事務所の実務経験とは、求められる範囲の技術分野での経験のことです。技術分野にまつわる知識があることの証明となります。
それから企業内弁理士の場合、開発部や研究部、知的財産にまつわる部署での勤務の経験が実務経験として生かせます。
文系からでも弁理士になれる?
試験合格率は理系と比べて低いものの、文系からでも弁理士になることは可能です。文系出身の弁理士の場合、商標をメインとして業務する人が多いといわれています。
商標登録は製品の販売戦略を練るうえで大変重要です。企業同士の争いが激しい分野でもあるので、強い商標戦略を練ることが求められるでしょう。
また製品の基本的な性能が充実してきた場合、デザインに対して力を入れるようになります。デザイン性の高い製品をいち早く市場に届けられるようサポートすることも重要な任務です。
実は弁理士の仕事内容は文系に近い?
弁理士の仕事内容は下記のポイントから文系に近いといわれています。
- 弁理士の仕事内容は文章を書くこと
- コミュニケーションを円滑に進める力が必要不可欠であること
- 日本語や英語などの語学力が求められること
- 特許以外の業務では文系が活躍できる業務が多いこと
こちらのポイントからもわかるように弁理士の業務は文系に近いともいわれています。文系の人も活躍できること間違いありません。
文系と弁理士の関係については、以下の記事で詳しく紹介しています。
弁理士の仕事は将来性もある
弁理士の仕事はIT化が進むなかでも将来性があるといわれています。またステップアップしていくこともできるといわれています。弁理士の将来性について、ステップアップ情報も含めて解説します。
AI発達の時代でも弁理士の業務は代替されない?
AIが発達している時代ですが、弁理士の業務は代替されないといわれています。弁理士の業務には特許の出願を希望する発明者とのコミュニケーションが必要です。
しかしコミュニケーションをAIが完璧にこなすことはできません。どんな権利を取得するべきか発明者のなかで明確ではなく、会話から発明者の考えを汲み取らなければならないことがあるからです。
そのためAIに代替されることはまだまだ先となるでしょう。
弁理士と語学系検定でステップアップ
弁理士の資格取得とともに語学検定を受けることで、よりステップアップできるといわれています。TOEICであれば900点以上、英検であれば1級程度の語学力を手に入れることでクライアントからの信頼度が高くなるでしょう。
またクライアントからの信頼度だけでなく、外国語のスキルがあることで仕事の幅が大いに広がります。弁理士の醍醐味をより味わえるでしょう。
弁理士とあわせてとりたいおすすめの資格
弁理士とあわせてとりたいおすすめの資格をご紹介します。弁理士としてスキルアップするために最適な資格を解説します。
公認会計士
公認会計士とは企業の財政情報を監督して正しさを証明するスペシャリストです。経済のあらゆる面で活躍できるでしょう。グローバル化が進むなかで、公認会計士の存在はより重要なものになっています。
知的財産の価値とはどんなものなのかといった課題については、弁理士だけでなく公認会計士の力も必要です。そのため弁理士とあわせて取得することで役立つでしょう。
近い資格として税理士の取得もおすすめします。
TOEIC
TOEICとは英語の力を測定する試験です。聞く力や読む力など、さまざまな英語スキルを測ります。
弁理士として仕事をしていくうえで英語のスキルは大変重要です。英語ができることで弁理士としての業務の範囲が大いに広がります。需要が高まってきている内外業務や外内業務においても英語のスキルは欠かせません。
TOEICのスコアが900点以上であればTOEICの資格を弁理士としての資格とともに生かせるといわれています。ぜひ弁理士とともに試験を受けましょう。
弁理士の転職先についてまとめ
弁理士の転職先についてまとめ
- 弁理士の転職先は特許事務所だけでなく一般企業や独立開業の道もある
- 弁理士は希少価値の高い資格であり転職に有利
- 弁理士はIT化が進むなかでも将来性がありステップアップもできる資格
弁理士の転職先についてご紹介しました。
弁理士は希少価値の高い資格として知られており、転職に非常に有利です。また将来性がある資格で、ステップアップもできるといわれています。
魅力に溢れる弁理士の資格を、ぜひ取得しましょう。
資格Timedでは、弁理士の独立開業の実態や社会人向けの弁理士求人など、さまざまな情報をお届けしています。
弁理士についてさらに詳しく知りたい方は、そちらもご参照ください。