弁理士ってどんな資格?仕事内容・難易度・過去問・開業したときの年収まで解説!
「弁理士って名前は知ってるけど、どんな仕事なんだろう」
と疑問に思っている方もいるでしょう。
弁理士は知的財産に関するエキスパートで、発明者にとっては欠かせない存在ですが、弁護士や会計士などに比べるとマイナーであることは事実です。
今回は弁理士がどんな資格なのかについて、仕事内容や難易度、過去問、開業した時の年収まで詳しく解説します。
これを読めば、弁理士とは一体どんな職業なのかがはっきり分かるはずです。
弁理士の資格についてざっくり説明すると
- 弁理士は知的財産の専門家、特許庁の申請を代行する
- 開業して事務所を大きくすれば年収2,000万円超えも
- AIの時代がやってきても弁理士は必要
- ただし弁理士試験の難易度は高い
弁理士ってどんな資格?
弁理士とはどのような資格か、主催団体はどこか、どのような業務を行うかなどを解説します。
弁理士とは
弁理士は知的財産の専門家です。特許権や実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を所得したい者の代理として、特許庁へ手続きを行います。
また知的財産権の取得についての相談をはじめ、自社製品を模倣されたときの対策、他社の権利を侵害していないか等の相談も弁理士の仕事です。
つまり知的財産全般についての相談を受けて助言やコンサルティングを行うのを目的として資格だと言えます。
弁理士の歴史は長く、始まったのは明治32年です。
弁理士の主催団体
弁理士の資格試験は、日本弁理士会の主催で行われています。
日本弁理士会という団体は、弁理士および特許業務法人の使命および職質に鑑み、その品位を保持することが目的です。
そのために弁理士および特許業務法人の業務の改善進歩を図るため、会員の指導や連絡、監督などを行います。
日本弁理士会の始まりは大正4年です。この年に設立された「日本特許弁理士会」が今の日本弁理士会に繋がっています。
そもそも弁理士とは
弁理士の主な仕事は、知的財産に関する特許庁への権利申請手続きの代理にあります。
クライアントのアイデアを元に出願書類を提出し、審査官と交渉を行い、権利化を勝ち取るのが弁理士です。
弁理士が活躍するフィールドは国内に止まりません。海外の有名ブランドや最先端の技術を扱う企業と関わることもあります。
知的財産権への意識は年々高まっているため、今後ますます活躍が期待される職業の一つが弁理士です。
弁理士は政治家も取得していたことで注目を集めている
弁理士の受験者数は、平成30年度は3,500人ほどでした。
弁理士の資格を保有している著名人もいます。かつての内閣総理大臣である菅直人もその一人です。
弁理士に関係する政治家としては、高橋是清が挙げられます。是清は我が国の特許制度、商標制度の基礎を作り上げた中心人物の一人です。
西欧に渡り特許商標事情を徹底的に調査した是清は、弁理士の重要性をいつも口にしていたと言います。是清は優秀な人物こそ弁理士になることを勧め、弁理士の社会的地位確立に大きな影響を与えました。
弁理士試験の難易度
知的財産権保護の重要性が増している現代において需要の多い弁理士ですが、試験の難易度はどの程度なのでしょうか。
弁理士試験の試験範囲と出題形式
弁理士試験は「短答式試験」と「論文試験」、「口述式試験」の3つの形式で行われます。
短答式試験
短答式試験は、5肢択一のマークシート方式です。「いずれも該当しない」を選ばせる問題は出題されませんが、「正しいものはいくつあるか」という問題が多数出題されるため、難易度の高い試験と言えます。
短答式の試験範囲は以下の通りです。
試験範囲 |
---|
特許・実用新案に関する法令 |
意匠に関する法令 |
商標に関する法令 |
工業所有権に関する条約 |
著作権法及び不正競争防止法 |
論文式試験(必須科目)
論文式試験は、短答式試験の合格者および短答式試験免除者に受験が認められています。
試験は必須問題と選択科目に分かれます。必須科目は以下の3つです。どれも難しい科目となるのでしっかりとした対策が必要です。
-
特許・実用新案法
-
意匠法
-
商標法
論文式試験(選択科目)
選択科目は6科目の中から1つを選んで受験します。選択するのは願書提出時です。
選択科目には文系向けの法律問題に加え、理系の問題が数多く与えられています。
科目の詳細は以下の通りです。
科目 | 試験範囲 |
---|---|
理工Ⅰ(機械・応用力学) | 材料力学、流体力学、熱力学、土質工学 |
理工Ⅱ (数学・物理) | 基礎物理学、電磁気学、回路理論 |
理工Ⅲ(化学) | 物理化学、有機化学、無機化学 |
理工Ⅳ(生物) | 生物学一般、生物化学 |
理工Ⅴ(情報) | 情報理論、計算機工学 |
法律(弁理士の業務に関する法律) | 民法(総則、物権、債権から出題) |
口述試験
口述試験は面接方式の試験で、試験官3名から口頭で問題が出題されます。
試験範囲は論文式の必要科目と同じ、「特許・実用新案権」、「意匠権」、「商標法」です。
試験時間は約10分で、あらかじめ用意されている弁理士試験用法文の使用も認められています。
登録には実務修習が必要
弁理士試験に合格し、実務修習を修了すれば、ようやく弁理士に登録することができます。
実務修習の詳細に関しては後述しますが、簡単にいうと集団研修のようなものです。
登録を希望する場合は、日本弁理士会に登録申請書および必要書類を提出する必要があります。提出方法は郵送もしくは持参の2種類です。
登録の際には、登録免許税と登録料・会費を支払わなければなりません。
弁理士の合格率、合格ライン
こちらは、平成25年度から令和4年度までに実施された弁理士試験の受験者数、合格者数、合格率を表したグラフになります。
これを見れば分かるように、弁理士試験の合格率は6〜7%です。弁理士試験はかなり難易度の高い試験であると言えます。ちなみに司法試験の合格率は20%前後です。
弁理士には「短答」「論文」「口述」の3つが課されるという負担を大きさも難易度の高さの一因になっているのでしょう。
弁理士試験の勉強時間は3,000時間と言われ、難易度の高さを象徴しています。
短答式試験
短答式は、合格ライン(満点の60%を基準として工業所有権審議会が相当と認めた点数)以上の得点で合格となります。
総合点による判定に加え、1科目でも合格基準(原則、各科目の満点の40%)を下回れば不合格です。科目は全部で5科目あります。
論文式・必須科目
論文式の必須科目では、標準偏差によって調整された各科目の得点の平均(配点比例を考慮して計算)が、合格ライン(54点を基準として口述試験を適正に行うという観点で工業所有権審議会が相当と認めた得点)を上回れば合格です。
しかし47点未満の科目が1つでもあれば、その時点で不合格となります。
論文式・選択科目
論文式の選択科目では、素点で60%以上得点すれば合格となります。
論文式の選択科目は、一度合格すればその後の受験では永久免除となる仕組みです。またその他にも免除になるケースが2つあります。それは以下の2通りです。
-
修士、博士又は専門職の学位を有する者
-
一級建築士や薬剤師、司法書士などの公的資格を有する者
これらに該当する場合は、手続きによって免除になる可能性があります。詳細は特許庁のホームページより確認して下さい。
口述式試験
口述式試験(面接試験)は、採用基準としてA、B、Cのゾーン方式を用います。合格基準はC評価が2つ以上ないことです。A、B、Cの内容は以下の通りとなります。
A:答えが良くできている場合 B:答えが普通にできている場合 C:答えが不十分である場合
弁理士を取ることをおすすめする人
まず好奇心旺盛で、新しいものに大して興味を持てる人は弁理士に向いていると言えるでしょう。
弁理士は特許庁への出願の際に、様々なクライアントの、様々なアイデアと接することができるからです。
またニュースを確認したり、勉強したりすることが好きな人も向いています。弁理士は知的財産権を扱う職業であり、職務の遂行には日々更新されていく情報を常にキャッチし続ける必要があるからです。
さらに大雑把すぎず、神経質な面を持ち合わせている人も弁理士向きと言えます。知的財産分野の知識は複雑で細かいため、普通の人なら投げ出してしまうような煩瑣な作業も弁理士の業務にはつきものだからです。
弁理士試験についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
実務修習は何が大変?
弁理士になるためには、試験合格後に実務修習を通過しなければなりません。ここからは実務修習について詳しく解説していきます。
実務修習では何をするの?
実務修習は日本弁理士会によって実施されます。開催地域は、東京、大阪、名古屋の3つです。
修習は座学とe-ラーニングがあります。座学は原則、欠席が認められません。座学の研修にきちんと時間通り毎回出席しなければならないことが、実務研修における一つのハードルになります。
e-ラーニングとは?
e-ラーニングは、パソコンを使ったオンラインでの学習を意味しますが、弁理士の実務修習ではテキスト教材を見ながら講義の映像を視聴するという内容です。
映像の途中には正答率が8割でないと先に進めない練習問題があり、飛ばし飛ばし適当に見ることができないように作られています。
そのため、まとまった視聴時間を作って取り組む必要があります。
実務修習に免除はあるの?
実務未経験者は原則全ての研修に参加する必要があります。
一方で、特許事務所で特許や商標、意匠などの実務経験者は一部の研修で免除を受けることが可能です。免除の対象者は免除申請をすれば免除を受けられます。
座学の研修では、研修への参加に加え、事前課題の提出も求められます。そのため座学の研修が免除されれば、同時に事前課題もやらなくて良いということです。
この免除制度を利用すれば実務修習の負担は大きく軽減されるため、対象者には利用をおすすめします。
実務修習は何が大変?
実務研修は11月に申し込みがあり、年末年始に座学の事前課題作成やe-ラーニングの受講を行うという日程です。
弁理士試験には3,000時間もの勉強時間が必要なため、年末年始も関係なく勉強漬けになっていた受験者は、合格後もさらに1年、年末年始を棒に振ることになります。
実務修習の座学は約27時間を要する長丁場です。
東京は参加者がまだ多いため、複数のコースが選択でき、時間の融通がつけられます。しかし、大阪と名古屋は土曜コースしかありません。
座学では事前課題を研修事務所に郵送しますが、課題が一定レベル以下であれば再提出もあります。
特許事務所での実務経験者ならともかく、未経験者は何度も再提出となる場合もあるそうです。
また座学の際には提出した課題をコピーしておく必要もあり、実務修習は何かと負担の多い最後の関門となります。
弁理士の勉強法
合格に必要な勉強時間は3,000時間と言われる弁理士ですが、具体的にはどういった勉強法が有効なのでしょうか。
弁理士の勉強法は?独学は可能?
弁理士の試験勉強は独学よりも、予備校や通信講座の利用が一般的と言われています。
勉強量が膨大である弁理士の試験に独学で取り組む場合、テキストから要点を掴みにくく間延びした学習になりがちです。
また情報の入手もネットに頼ることが主になるため、自力で疑問点を解消することは困難で、そもそも参考書選びにも骨をおるでしょう。
一方、予備校では試験対策ノウハウを持ったプロの講師の講義を受けられます。テキストもそれなりに有効な物を与えられるでしょう。そのため独学で暗中模索するよりは、予備校の方が効率的な学習方法です。
予備校では試験日から逆算してカリキュラムが組まれていることが普通なので、勉強のペースが掴みやすいというメリットもあります。
受験仲間ができることもあり、一人で勉強するのが苦手な人には良いでしょう。ただし費用はそれなりにかかる勉強法です。
おすすめテキスト・問題集
弁理士を独学で目指す場合、おすすめのテキストは早稲田経営出版が出しているエレメンツシリーズです。
弁理士の受験生には必携と言われるシリーズで、要点を的確に押さえたシンプルな構成になっています。
節ごとに「事例問題」があるため、論点を具体的にイメージできる分かりやすいテキストです。
(1)は「特許法/実用新案法」、(2)には意匠法/商標法」、そして(3)には「条約/不正競争防止法/著作権法」が収録されています。
これからを組み合わせて使うことにより、知識が整理され、有効な試験対策ができるでしょう。
過去問は存在する
弁理士の過去問は存在します。過去問は特許庁のホームページから入手可能です。
弁理士の試験勉強では過去問を必ず活用しましょう。過去問を使うことによって、頻出問題や重要ポイントの把握が容易になります。それらは得点アップに直結するため、過去問演習はおすすめです。
通信講座も存在
独学以外の方法で弁理士試験の対策をするには、予備校と通信講座の2つの方法があります。
しかしながら、予備校の場合は50万円前後の膨大な受講料が必要になったり、通学する時間が取れなかったりとデメリットも多いです。
一方、資格Timesがおすすめする「資格スクエア」の弁理士講座では、費用が予備校の半額の25万円から受講可能であり、スマホやPCを用いた学習がメインなので忙しい方でも隙間時間に勉強することが可能です。
リーズナブルな価格にもかかわらず、高品質な授業で話題のイチオシ講座なので、弁理士試験の受験を考えている方はぜひチェックしてみてください。
弁理士の資格を取得するメリット
長時間の試験勉強と何かと大変な実務修習を乗り越え、ようやくたどり着けるのが弁理士です。ではその資格取得のメリットはどこにあるのでしょうか。
弁理士資格を取ることで海外での特許に関わることができる
最近では国内に加え、海外に関係する特許件数も増えてきています。そのため今後弁理士は、海外からの特許出願や海外への特許出願などに携わることも多くなるでしょう。
海外案件の仕事をするには、英語力も要求されますが、国際的に活躍することができれば達成感を味わえるはずです。
また国際的に流通する可能性のあるブランドや技術などに関する新進気鋭のアイデアに触れることが、良い刺激になることは間違いありません。
弁理士資格の取得を通して友人ができる
弁理士になるための実務修習にはグループディスカッションもあり、研修期間に友人ができることも多いです。
研修後に同期で集まったり、実務についてからも仕事で相談し合うこともあるでしょう。
また実務研修の時期は転職活動を始める時期と重なるため、転職情報を得られる良い人脈作りができるかもしれません。
弁理士の伸びに期待
弁理士の仕事は近い将来、AIによって代替されてしまうという言説もあります。
しかし弁理士は特許出願の際、ただ機械的に手続きを処理するのではありません。実際には特許申請を依頼した発明者や審査官とコミュニケーションをとって審査を通すのです。
そのため、それらのディスカッションは今のところAIには困難と言えます
試しに具体的な場面を想像してみましょう。
例えば、特許を取る上で、どのような権利を取るべきなのかを発明者がよく理解していない場合があったとします。その際は弁理士が発明者と話し合いを行い、申請内容を明確にしないといけません。
依頼者(発明者)との会話において、本人も言語化できていないような考えをきちんと汲み取り、書類を作成することが弁理士には求められています。この汲み取る作業が、現在のAIには困難だと考えられます。
そのためまだまだ弁理士は、発明者にとって必要な存在なのです。
開業すると高い年収が見込める?
弁理士として年収1,000万円を稼ぎたいのであれば、開業することが一番の近道です。
また年収2,000万円を稼ぎたいという場合は、開業した事務所を大きくすることが必要でしょう。
事務所を大きくすればするほど、売り上げも上がりやすくなり、より高い年収が見込めます。
一方で、事務所の規模が大きくなればなるほど、扱う案件も増えていき、案件内容も高度になることが普通です。そのため抱えるリスクが大きくなるという点には注意しましょう。
転職先にも困らない?
弁理士の一番多い就職先は特許事務所です。転職先としてまず思い浮かぶのもここでしょう。
特許事務所に勤務する弁理士の年収は、平均して700万円〜800万円です。そのため雇われの弁理士であっても、一般的なサラリーマンよりはるかに高収入だと言えます。
ちなみに日本人の平均年収は400万円程度です。
独立開業して自身の事務所を経営していくにはリスクを伴いますが、特許事務所に勤めれば安定的に収入維持が可能となります。
特許事務所では、事務や雑務は求められず、特許業務のみ行えば良いことが多いので、良い仕事と言えるでしょう。
企業内弁理士になることもできる
最近では企業が自社に専門家を雇用するケースが増えています。企業内弁護士や企業内会計士などがその一例です。
同様に企業内弁理士という可能性もまたあります。知的財産と企業活動には密接な関係があり、頻繁に知的財産保護に関わる業務を抱える企業なら、お抱えの弁理士を必要とするでしょう。
特に狙い目なのは知的財産部(知財部)という部署が設置されている企業です。例えば、商品開発を積極的に行っている企業などに知財部は設置されています。
商品開発には特許権や実用新案権に関する業務が伴うため、それらを専門とする弁理士を求める企業も多いです。
企業内弁理士のメリット
企業内弁理士になるということは、その企業の社員になるということなので、それに伴うメリットがいくつかあります。
まずは収入が高い水準で安定するということです。これは特許事務所で勤務する場合にも共通することですが、独立開業とは異なり、毎月安定した収入が得られます。
また弁理士は専門職で替えが効かないため、収入は高い傾向にあります。特許事務所と同程度、もしくはそれ以上の場合もあるでしょう。
さらに弁理士としての会費を企業に負担してもらえるなら手取りもその分上がります。具体的には毎月15,000円分増える計算です。
弁理士の試験日程・会場・申し込み方法
ここからは弁理士を受験するのに必要な基本情報について説明します。
弁理士の基本情報
弁理士の試験は年に1回実施され、短答式は5月頃です。短答式の実施会場は、東京、大阪、仙台、名古屋、福岡の5箇所となります。
論文式は、東京、大阪での実施です。口述試験は東京のみになります。
弁理士の申し込み期間は3月から4月のはじめ頃までです。
直近の短答式試験の実施日は、令和2年5月17日となります。
弁理士に受験資格はある?
弁理士に受験資格はありませんので、誰でも受験できます。
難関資格の中では受験するハードルの低い資格の一つです。
論文試験に免除制度はある?
先述したように、論文試験の選択問題では、修士・博士などの学位に基づく場合と他の公的資格に基づく場合の2種類の免除制度があります。
また一度論文試験の選択科目に合格した場合も、その後の受験においては永久免除です。
さらに大学院にて、弁理士法で定められた工業所有権に関する科目の単位を修得し、大学院の修了した者は、短答式試験の一部を免除される制度もあります。
弁理士の受験料
弁理士の受験料は12,000円です。支払い方法は特許印紙で、収入印紙では受験できないため注意して下さい。
特許印紙は、郵便局や発明推進協会、特許庁にて入手が可能です。
ただし小さな郵便局では取り扱っていない場合もあるため、集配郵便局と呼ばれる大きな郵便局で購入しましょう。
また受験時ではありませんが、弁理士登録の際は、登録免許税(60,000円)と登録料・会費(35,800円+15,000円)が必要です。
弁理士と合わせて取りたいおすすめ資格
弁理士を取得したらさらなる資格に挑戦しても良いでしょう。ここではおすすめの資格の2つ紹介します。
行政書士
行政書士は、書類の作成や申請の代理、法律相談を行う職業で、扱う内容が暮らしに近いものなので「街の法律家」と呼ばれます。
具体的には、会社設立や店の開業手続きにかかる書類の代書や法的手続きに疑問を抱える依頼者へのコンサルティングなどが主な業務です。
勤務地は行政書士事務所や建設会社、不動産関連会社などになります。行政書士事務所の場合は、独立開業して運営していく行政書士が多いようです。その他の会社では雇われて勤務する形になります。
弁護士
法律は国民の権利を守る上で重要です。法律の専門家として、不正を防止し、法律がきちんと国民を守るようにするのが弁護士の役割であると言えます。
弁護士は主に民事事件と刑事事件において依頼者の味方をするのが仕事です。
民事事件では個人間もしくは法人間のトラブルを、時には訴訟という方法を用いて、適切に解決します。
また刑事事件においては被疑者や被告人を弁護すべく、検察官を相手に仕事をするのが弁護士です。
弁護士法に定められた弁護士の使命は「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」であり、社会において欠かせない職業であると言えます。
ちなみに弁護士資格があれば、弁理士になることができるため、弁護士から弁理士に転身する人もいるようです。
別ルートから弁理士になる方法
最後に弁理士試験を受けずに弁理士になる方法をご紹介します。
弁理士になれる人
日本弁理士会によると、以下の3つのうち、いずれかに該当する者は弁理士になる資格があります。
-
弁理士試験に合格した者
-
弁護士となる資格を有する者
-
特許庁において審判官又は審査官として審判又は審査の事務に従事した期間が通算して7年以上になる者
どのルートから弁理士になる場合でも、実務修習を修了することは必須です。ただし先述したように、実務経験者には免除制度があります。
一般的に弁理士試験を受けることが一番早いでしょうが、人によっては試験を受けなくても弁理士になれる可能性があります。
弁理士になれない人
上記の3つに該当し、実務修習を修了したとしても弁理士となる資格を有しない者も存在するようです。具体的には以下の3つの場合となります。
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刑事処分を受けた者
-
業務上の処分を受けた者
-
制限行為能力者など(未成年者など)
上記のさらなる詳細に関しては日本弁理士会のホームページより確認して下さい。
弁理士の資格についてまとめ
弁理士の資格についてまとめ
- 弁理士は発明家に代わって知的財産権の保護を行う
- 年収1,000万円を超えたいなら開業が近道
- 国際的に活躍できる案件も増えており、将来性のある職業
- 長い勉強期間と大変な実務修習をクリアする必要がある
弁理士の資格について、その概要を詳しく解説しました。
弁理士の試験は難易度の高い試験ですが、弁理士になれば国際的に活躍したり、高収入が得られる可能性もあります。取得の価値は十分にある資格です。