弁理士は独学でも受かる?試験の種類やおすすめ参考書・予備校まで紹介!

更新

弁理士は独学でも受かる?試験の種類やおすすめ参考書・予備校まで紹介!

弁理士の試験って独学でも合格できるの?

予備校や通信講座を利用する必要ってないの?

と疑問に思う方もいるでしょう。

弁理士の試験は合格率10%以下の難関試験ですが、その実態については不明な点も多いはずです。

今回は弁理士は独学でも受かるのかについて、試験の種類やおすすめの参考書、予備校などを詳しく解説します。

これを読めば、独学で勉強することの大変さや良い勉強方法が分かるはずです。

弁理士試験の独学についてざっくり説明すると

  • 独学で挑戦するのは難しいが、不可能ではない
  • 難関資格や難関大学受験などで成功体験を持つ人には可能
  • 一般的には予備校や通信講座の活用がおすすめ

このページにはプロモーションが含まれています

弁理士とは

本を読む少年

弁理士とはどんな職業かを、簡単に解説します。

弁理士は知的財産の専門家

弁理士は知的財産に関する専門家です。具体的には特許権などを取得したい発明者の代理として特許庁へ手続きを行うなどの仕事をします。

また知的財産権の取得についての相談や、自社製品を模倣された場合の対処、他社の権利侵害にならないかの相談など、コンサルティング業務も弁理士の仕事になります。

弁理士になるには

日本弁理士会が実施する試験を突破して弁理士になる資格を獲得するのが一般的な方法です。

他にも以下に該当する者には弁理士になる資格を擁しています。

  • 弁護士となる資格を有する者

  • 特許庁において審判官又は審査官としての実務経験が7年以上ある者

弁理士になる資格を有する者は、実務修習を受けることによって弁理士になることができるのです。

弁理士試験は独学合格できるのか

弁理士の独学表

そもそも弁理士試験に独学で合格した人は存在するのでしょうか。

各予備校や通信講座が公表している弁理士試験の合格実績は非常に優れたものです。

また合格したが予備校には報告していない人もいるだろうと考えると、実際には合格実績以上に予備校・通信講座の受講者である合格者は数多くいるでしょう。

つまり合格者のうちのかなりの割合が、予備校・通信講座の利用者であるとみることが自然です。

一方で、独学での合格者が全くいないかというとそうではありません。実際に独学を果たした人はもちろんいます。ただし数は多くありません。

よって「独学はかなり難しいが、不可能というわけではない」という結論になるのです。

弁理士の合格率はどうして低い?

弁理士試験は、短答式試験と論文式試験、口述式試験の3つです。

短答式試験は5肢選択のマークシート方式を採用しています。また「該当なし」を選ばせる問題は出題されません。しかし「この中で正解はいくつあるか」という問題が多数出題されます。

そのためマークシート方式と言えど、正確な理解が要求される難しい設定の試験です。

また論文式試験には必須科目と選択科目があります。選択科目は文系向けの法律問題と理工系の問題のどちらかです。どちらも専門性があり難しい内容だと言えます。

出題形式に関わらず深い知識を問われる試験であることが、合格率の低さの一因です。

さらに弁理士試験は受験資格がないことも合格率を下げていると言えます。法律などの専門分野に関する知識が十分でない受験者も、試験に挑戦することができるからです。

独学合格に必要な勉強時間は?

弁理士の試験に初学者として挑む場合、必要な勉強時間は3,000時間と言われています。

これは、平日に3時間、休日に8時間程度、つまり1週間に20時間学習したとして、25ヶ月かかる計算になります。すなわち社会人が仕事以外の時間のほとんどを試験勉強に捧げたとしても、2年以上かかることを意味するのです。

それだけの期間ずっと孤独に勉強と向き合う胆力があり、法律分野で大きくつまずくことがなければ、独学でも合格することは可能です。もちろん成功例もあります。

しかし、不合格となった場合はさらに一年勉強を続けなければなりません。そうしたリスクを考えるのなら、無理に独学で頑張る必要はないでしょう。独学が苦手な人にはおすすめしません。

予備校や通信講座の利用がメイン

一般的には予備校や通信講座を利用しながら勉強していくのが良いでしょう。

弁理士の試験は3,000時間もの勉強を必要とするわけですから、その勉強内容も膨大です。

参考書になる大量の情報から試験にとって重要なポイントを見つけて適切に対策していくことは至難の技でしょう。上手く要点を押さえて学習しないと、勉強が不必要に間延びしてしまいます。

また疑問点が見つかった場合、頼りになるのはネットなどですが、いつも答えが見つかるとは限りません。そもそも初学者なら参考書を選ぶのも一苦労です。

一方で予備校に通う場合、弁理士試験の対策ノウハウを持ったプロの講師の授業を受けることができます。

疑問点はその場で質問できるため、すぐにフィードバックが受けられる点も魅力です。テキストも試験対策に有効なものを手に入れることができます。

さらに予備校では試験日から逆算してカリキュラムが組まれているのが普通です。そのため予備校に通っているだけで、自然と試験勉強のペースが掴めるというメリットもあります。

予備校で受験仲間ができることもあり、孤独に勉強するのが苦手な人にとっては良い環境であるといえるでしょう。

弁理士の独学が難しいと言われる理由

独学失敗のイメージ

合格率が低い点や勉強時間が長い点以外にも、独学が難しいと言われる理由として以下のような点が挙げられます。

法律用語の難易度が高い

弁理士試験の合格のためには、特許法や商標法などに関する法律用語をしっかりと理解する必要があります。

しかし、これらの法律用語は法律勉強初心者とっては非常に難しいものです。独学で理解するのにはかなりの時間がかかってしまいます。

また、独学だけで勉強をする際には間違った理解を正してくれる人間がいないため、誤った理解で致命的な事態に発展してしまう可能性も否定できません。

弁理士は参考書が豊富でない

他の難関資格と比較して、弁理士試験は対策用の参考書・問題集があまり豊富ではありません。

そのため、参考書だけでは試験に必要な内容を全範囲網羅仕切れない可能性があります。

また、同様の内容についても様々な参考書で比較をすることができないため、「ここを間違って理解しているのではないか」と気づく機会が少なくなってしまいます。

論文形式の答案が正しいか判別できない

独学で特に不安が残るのが、論文形式の問題の対策です。文章をチェックしてくれる第三者がいないため、自分の答案がしっかりと点数をもらえる内容であるか判断することができないのです。

文章中のKWは適切であっても、表現の方法やしっかりと考察をできているかどうかなどによって点数が大きく変わってしまうので、第三者によるチェックをすることは必須だと言えます。

弁理士試験に精通した講師に、回答を見てもらう機会を作ることが必要だと言えるでしょう。

独学で勉強するメリットは?

森にある橋

予備校や通信講座の利用が一般的な弁理士の試験勉強ですが、あえて独学で行うことのメリットはどういった部分にあるのでしょうか。

出費を抑えてチャレンジできる

弁理士の試験に関わらず、独学の最大のメリットは費用面にあります。予備校や通信講座など、何かを習うにはかなりお金がかかります。

一方で独学なら、出費は参考書などの書籍代や受験料、模試にかかるお金くらいでしょう。予備校や通信講座に比べれば格安の授業料です。

弁理士の勉強は社会人の場合、2年以上に及ぶことも普通なので、その期間みっちり予備校に通うとします。その場合、予備校によって前後しますが、30万円以上はかかるでしょう。

これに比べ、独学ならいくら書籍を買い込んだところで、せいぜい出費は数万円です。

柔軟に勉強を進められる

独学で勉強する場合、自分の好きなように勉強が進められるという点もメリットでしょう。

苦手な範囲を重点的に勉強したり、法律や理工系の範囲に事前知識があるならその部分は軽く済ませたり、柔軟性のある勉強が可能です。

また社会人の場合、仕事など急な予定が入ることもあるでしょう。授業時間が決まっている予備校に通っていれば、そうした場合は欠席する必要があります。

一方でそうした時間的制約を持たないのが独学です。あらゆる意味で自由な勉強スタイルをオーダーメイドできるのが独学の魅力だと言えるでしょう。

独学で弁理士を目指すデメリット

男のクラウチングスタート

費用面の安さや勉強の柔軟性、時間的制約がないことなどのメリットを持つ独学ですが、弁理士の試験に独学で挑むデメリットはどういった点にあるのでしょうか。

学習スケジュールが乱れやすい

独学では自分でスケジュールを立てることになります。

独学での勉強になれていない人の場合、実現不可能な詰め込み方をしたり、演習不足に陥ったり、偏りのあるスケジュールができてしまう可能性があるでしょう。

最悪の場合、対策が全く上手くいかず、試験前から不合格が確定しているような絶望的な状況になりかねません。

特に合格率が非常に低い弁理士の試験です。その難関を突破するには周りの受験生から頭一つ抜け出すような試験対策をしなければなりません。問題はそれが独学でできるのかということになります。

予備校だと少なくともスケジュールが大きく狂う心配はありません。その上で予習・復習や自習に工夫をし、周りと差をつける努力をする方が多くの人にとっては簡単でしょう。

モチベーションが維持ができないと諦めに

弁理士試験に必要な勉強時間は3,000時間以上です。社会人の場合、2、3年はかかるでしょう。そのためモチベーション維持は重大な課題です。

独学は一緒に合格を目指すライバルの存在を感じにくい勉強スタイルだと言えます。そのため仲間と支え合って勉強のモチベーションを高めることは極めて難しいでしょう。

また弁理士は知的財産権に関する専門的な内容を扱います。選択科目ではその他の法律や理工系の内容も出題範囲です。

それらの勉強を全くしたことがない場合は、簡単には理解できないことも多いでしょう。そのため独学に慣れていないと、そうした壁に直面した際、挫折してしまう危険も十分あります。

試験種が多く対策が困難

弁理士試験には短答式試験と論文式試験、口述式試験の3種類があります。前の2つは筆記試験、口述試験は面接です。

マークシート方式である短答式の合格率は20%であり、難易度の高い試験だと言えます。しかし暗記によって正確な知識を身に付けることができれば、合格することは十分可能です。

論文試験は記述式で、選択問題は大学時代の専攻に応じて選ぶのが良いでしょう。文系の受験者は法律問題を選ぶのが一般的ですが、理系向けには理工系の選択肢が複数与えられています。

合格率は20%ですが、短答式の20%を突破した受験生の中でのこの数字のため、実際の難易度はこの数字よりもかなり高めであるといえます。

弁理士試験の山場とも言われます。記述方法にも独特のノウハウが存在し、独学では対応が困難な科目です。

一方で口述試験はほとんどの人が合格できると言われています。そのため特別心配する必要はないでしょう。

短答式試験とは

5肢択一のマークシート方式になります。

短答式試験の試験科目は以下の通りです。

  • 特許法

  • 実用新案権

  • 意匠権

  • 商標法

  • 条約

  • 著作権法

  • 不正競争防止法

また短答式試験には免除制度があり、以下に該当する場合は、試験の一部もしくは全てを免除されます。

  • 過去2年間の短答式試験合格者

  • 過去2年間に工業所有権に関する科目の単位を取得し、大学院を修了した者

  • 特許庁において審判又は審査の事務経験が5年以上ある者

免除制度の詳細は特許庁のホームページにて確認してください。

弁理士試験の短答式試験については、以下の記事でより詳しく解説しています。

論文式試験とは

論文式試験の受験資格は短答式試験に合格していることです。

論文式は必須科目と専門科目に分かれます。必須科目は、特許・実用新案、意匠、商標の3つが試験範囲です。また必須科目には以下の免除制度があります。いずれかに該当する場合は試験の一部または全てが免除されます。

  • 過去2年間の必須科目合格者

  • 特許庁での審判または審査の事務を5年間経験した者

論文式の選択科目は、理工Ⅰ、理工Ⅱ、理工Ⅲ、理工Ⅳ、理工Ⅴ、法律の中から1つを選択します。理系向けの選択肢の多さが特徴です。

専門科目についても以下の免除制度があります。こちらもいずれかに該当する場合は、試験の一部または全てが免除となります。

  • 論文式の選択科目に合格したことがある者

  • 修士や博士、専門職の学位授与もしくは修了に係る論文の審査に合格した者

  • 一級建築士や薬剤師、行政書士などの公的資格を有する者

選択科目では、一度合格すれば受験を永年免除されるという特徴があります。

弁理士の論文式試験についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

口述試験とは

口述試験(面接方式)の試験範囲は、論文式の必須科目同様、特許・実用新案、意匠、商標の3つです。

論文式を突破した人にとっては難しくない内容となります。

試験の流れは、試験官2名から口頭で問題が出題され、試験時間は15分程度です。

口述試験についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

弁理士の独学が向いている人

大地に立つ男

予備校や通信講座を活用した勉強が一般的な弁理士試験ですが、独学が向いている人はどのような特徴を持った人なのでしょうか。

法律系の難関資格に合格している人

弁理士実務は工業製品の技術特許と深い関わりを持っています。そのため弁理士試験の受験者は理工系学部の出身者が多いです。

しかし、弁理士は知的財産権に関わる資格であり、法律系資格の一種になります。特に知的財産管理技能士やビジネス著作権検定などは関連性が高い資格です。

これらの資格の保有者は独学でもスムーズに勉強が進められるでしょう。

また司法書士や行政書士など法律系の難関資格を保有している者にも独学は向いていると言えます。すでに十分な法律知識を持っているなら、予備校で一から授業を受ける必要は特にないのです。

以前に難関試験に独学合格した人

法律系でなくても、難しい資格を独学で掴み取った経験のある人なら弁理士の独学も可能でしょう。

どのくらいのペースでインプットすれば良いかや、試験直前期の焦りへの対応など、すでに独学で合格するためのノウハウを持っているためです。その場合、独学のハードルは大きく下がります。

また資格試験以外にも、大学受験などで自分で実力をつけて難関大学に合格した成功体験があれば、独学に向いていると言えるでしょう。

リサーチ能力が高い人

上述した通り、弁理士試験では資格に関するテキストが少ないことが独学の難易度を上げている要因です。

法律用語は言葉の解釈そのものが難しかったり、規定が複雑だったりする場合も多く、参考書を一目見ただけではよく分からないということもあります。

そのような時に、インターネットや参考書などを使って必要な情報に自力でたどり着ける人は独学に向いています。

また、試験そのものの情報を収集したり効率の良い勉強法を探したりするのにもリサーチ力は必要になります。

弁理士の独学が向いていない人

一方で、独学をするのに向いていない人の特徴を見てみましょう。大きく分けて2つあります。

法律の知識が全くない人

弁理士試験に合格するには法律に関する勉強をする必要がありますが、法律を全く学んだことがない人にとって法律の条文や判決文を読むのはハードルが高く、時間がかかったり、間違った解釈をしたりしてしまいます。

また、分からないことをインターネットや参考書で調べる時も、ある程度の法律に関する知識があった方が有利です。

論文を書く時も、法律の論文には一定の書き方が決まっているため、それが分からない人はなかなか上達しません。

法律に関して何も知らない人は、法律用語の理解や分からない点の解決などに問題が生じることが多いと考えられます。

モチベーションを保てない人

弁理士試験は試験範囲が広いため、独学には少なくとも半年〜1年の勉強が必要になります。

勉強を始めたばかりの頃はモチベーションが高くても、仕事が忙しい時期があると思うように勉強が進まなくなりがちです。

独学の場合は周りに励ましてくれる勉強仲間はいませんし、勉強のペースを作ってくれる講師もいません。

そのような状態になったときに自分のモチベーションを高く保てない人は途中で挫折してしまうため、独学には向いていないと言えます。

独学におすすめな弁理士の参考書

壁に立てかけられた本

独学で弁理士の試験に挑む場合、参考書選びは重要です。おすすめの参考書を紹介します。

おすすめはTACの「エレメンツ」シリーズ

TACのエレメンツシリーズは、弁理士の受験生には必携とも言われる良書です。要点を的確に押さえたシンプルな作りになっています。

節ごとに掲載された事例問題によって、論点を具体的にイメージできるというわかりやすさが魅力です。

(1)では「特許法/実用新案法」、(2)では「意匠法/商標法」、そして(3)では「条約/不正競争防止法/著作権法」が収録されています。

弁理士試験 エレメンツ (1) 特許法/実用新案法 基本テキスト 第11版
4620円
弁理士試験 エレメンツ (1) 特許法/実用新案法 基本テキスト 第11版
4620円

これらを組み合わせて使うことにより、弁理士試験に必要な知識を網羅的に整理することが可能です。

テキスト選びで重要なことは?

テキストを選ぶ際には、自分の事前知識を考えて選ぶことが大切です。

例えば他の資格を保有しており、すでに一定の法律知識を持った人なら、基本的にはどんなテキストでも読みこなせるでしょう。その場合は好みのレイアウトなどで選べば問題ありません。

一方で、初学者の場合、いきなり難しい参考書を使うと、専門用語の意味やニュアンスを取り違えてしまう危険性があります。無理せずはじめは簡単な参考書を使うべきです。

最新版かチェックしてから買おう

弁理士試験では、改正された法律が出題の対象となる場合があります。そのため古いテキストを使っていると、本番で混同し、失点してしまうかもしれません。

購入する際は、テキストが最新版かどうかをチェックしてから買うようにしましょう。またそのテキストがきちんと最新の法改正に対応しているかどうかも合わせて確認するべきです。

シリーズの教材は同じものを使おう

資格試験の勉強では、使う教材を同じシリーズのもので統一することが基本です。

別のシリーズを併用した場合、内容に重複や漏れが生まれる可能性があります。またそれぞれの教材で説明の切り口が違えば、混乱してしまうかもしれません。

過去問を利用しよう

弁理士の試験でも、他の資格試験同様、過去問演習が有効になります。

参考書である程度知識を得たら、早速過去問を解いてみましょう。分からなかった部分は参考書できちんと復習することが大切です。

過去問を解き、参考書で復習するという一連を繰り返すことで徐々に解答の精度は上がっていきます。

短答式試験が問題なく解けるようになれば論文試験の過去問演習に進むようにしましょう。

過去問は特許庁のホームページから入手可能です。

スマホなどの勉強アプリも活用しよう

現在では資格試験で教材となるようなアプリも多く存在します。

アプリを用いれば、通勤中に電車やバスの中で勉強することが可能です。また隙間時間に勉強する際、わざわざ大きくて重い参考書を持ち運ばなくて良いというメリットも存在します。

Apple Storeでは「弁理士 特許法」という有料アプリ(¥1,600)をはじめ、弁理士に関するアプリがいくつか出ています。

無料アプリもあるため、ニーズに合わせてアプリを選択するようにしましょう。

独学で勉強する方法

本を読む二人の女性

中には独学に向いている人もいることを説明しましたが、ここからは具体的な勉強方法を解説します。

試験日までのスケジュール設計

スケジュールは試験日から逆算して立てるのが基本です。

例えば、初学者の社会人だが、試験まで残り1年しかないという場合、次の試験で合格するのは諦めるべきでしょう。初学者に必要な勉強時間の目安は3,000時間だからです。

このような場合は、来年以降でどのように合格を目指すのかについて予定を立てましょう。

その際に気を付けるべきなのは、適度に時間的ゆとりを持たせることです。

過密日程では疲弊してします一方で、あまりにもゆったり時間を設け過ぎると、モチベーションの維持が難しくなっていくのです。

免除制度も活用しよう

弁理士の試験には、短答式と論文式のそれぞれで免除制度があります。これを上手く利用して試験勉強の負担を軽くすることが大切です。

例えば、行政書士と弁理士のダブルライセンスを目指す場合、行政書士の有資格者は論文試験の選択科目が免除されます。

自分が免除制度の適用対象にならないか、きちんと確認しておきましょう。

インプットをはじめに!

これはあくまで勉強法の一例です。自分に合った学習法というのは人それぞれ違うでしょう。おすすめする勉強法を上手く改良して受験勉強に取り入れてみて下さい。

最初は基本情報のインプットから始めるべきです。インプットとは参考書の読み込みを意味します。

参考書には先ほどおすすめしたエレメンツシリーズなどを使いましょう。何度か読んで理解できたと思えば、次のテキストや過去問演習に進みます。

引っかからずに読み進める

参考書を初めて読む段階では、分からないところが多数あるのは当然です。あまり気にせずに読み進めましょう。

全体像が理解できれば、細部の理解も自然とできるようになっていきます。

テキストを2、3周読み、目立った疑問点などがなくなれば、早速演習に進みましょう。

忙しい人はどうやって時間を作れば良い?

社会人の勉強イメージ

毎日忙しく働いている社会人の場合、思うように時間が取れないことも多いでしょう。

そういった方は、以下のような勉強時間を捻出する工夫をすることが必要になります。

無理にまとまった時間を取る必要はない

数時間という時間を作って勉強をすることが理想的ですが、勉強する際にまとまった時間が必ずしも必要というわけではありません。

隙間の時間に勉強するよう工夫を行い、1日のトータルの勉強時間が同じになればOKと考えましょう。そのように考えた方が、社会人の方には取り組みやすいと言えます。

いつでもどこでも勉強できるよう、コンパクトなテキストやスマホで学習できる教材を用意しておくと良いでしょう。

朝勉強するのもおすすめ

仕事から帰ってくると疲れてしまい、なかなか勉強に手が付かない人も多いでしょう。そのため、仕事をする前の朝に勉強を行うことをおすすめします。

朝は睡眠によって脳がリフレッシュされた状態であり、勉強を行うにも非常に適しています。

少し朝早く起きるのは大変かもしれませんが、1週間程度継続的に行えば睡眠のリズムも合うようになってきます。

挫折せずに勉強を継続するにはどうすれば良い?

家庭学習のイメージ

弁理士は学習する内容も難しいです。そのため、中々内容の理解ができず、挫折しそうになってしまう人も少なくないでしょう。

以降では、挫折せずに勉強を継続するにはどうすれば良いのかご紹介します。

自分でルールを決めて遵守する

まずは、学習をするにあたって「1日何時間、何ページ勉強をする」「1週間でここからここまで勉強する」などのルールを決めることが大事です。

その上で、その日の気持ちや疲労に関わらず、ルールを遵守するように努めましょう。日々やることをルーティン化することが重要です。

また、このように毎日継続できるようにルールは無理のないように設定しましょう。少しゆとりのあるルールを毎日継続するようにした方が、最終的には実力が付きやすいです。

「ここなら集中できる」という環境を作る

勉強を継続する際には、「ここなら自分は集中できる」という環境を作ることが重要です。家やカフェなど適切な場所・時間をなるべく早く見つけるようにしましょう。

また、時には勉強する場所を変えることも重要です。勉強する場所を変えることで、新鮮な気持ちで勉強を行うことができるようになります。

勉強する場所は、なるべく自宅以外にすることがおすすめです。学生時代に塾に通っていた人は覚えがあると思いますが、通学などの「勉強する場所に向かう行動」によって勉強モードに切り替えることができるようになります。

時には自分にご褒美をあげることも大切

たまには息抜きをし、自分にご褒美をあげることも重要です。

「2週間毎日勉強のノルマを達成したら、次の1日は休みにする」「この参考書を終えたら、欲しかったものを買う」などなんでも良いので、自分の気晴らしになるご褒美ルールを決めましょう。

ただし、ご褒美をあまりにも頻繁に自分にあげるのは良くありません。短くとも1週間に1回くらいに設定しましょう。

弁理士資格を取るメリットは?

ガッツポーズの少年

長い勉強時間を要する弁理士の試験ですが、資格取得にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

高収入を安定的に確保しやすい

弁理士の主な就職先は特許事務所になります。転職の際にまず思い浮かぶのもここでしょう。

特許事務所で勤務する雇われの弁理士でも、平均年収は700~800万円程度あります。特許事務所で働けば、日本人の平均年収400万円よりも高い水準で収入を安定させることが可能です。

また特許事務所で勤務する場合は、独立開業とは違い、事務や雑務の作業をする必要はありません。特許や商標など、弁理士の仕事だけやれば良いのです。

企業内弁理士という選択肢もありますが、この場合でも同水準もしくはそれ以上の収入が期待できます。

他資格とのダブルライセンスの相性は?

弁理士は、行政書士や弁護士、技術士などとのダブルライセンスの相性が良い資格でもあります。

先述したように、行政書士の資格があれば論文式の選択科目は免除対象です。

実際に行政書士と弁理士の両資格を持っていると、職務上の手続きがスムーズに進められます。

技術の権利化を求める発明者(依頼人)の中には、会社設立や店舗開業など新しいビジネスを始める人も多いからです。その際は司法書士の資格が役に立ちます。

独立開業しやすく!

独立開業には年収2,000万円超えの高収入を狙えることや、労働時間を自分で調節できることなどのメリットがあります。

弁理士の独立開業には開業に係る登録料などは必要ありません。そのため初期投資はそこまでかからないでしょう。

事務所を借り、事務員などの従業員を雇う他に、パソコン一台で自宅開業という手もあります。

一方で経営は自己の手腕次第なので、廃業のリスクもある選択です。

これからの時代でも将来性がある

AIによって弁理士の仕事は代替されるという言説がありますが、実際には弁理士の仕事はAIには困難です。

弁理士はただ機械的に手続きを処理するのではなく、発明者や審査官とコミュニケーションを取りながら仕事を進めます。

例えば特許を取る上で、どのような権利を取るべきかについて発明者が明確な理解を持ってないとします。その場合は弁理士がきちんと話を聞き、申請内容をまとめなければなりません。

弁理士は、依頼者(発明者)自身が言語化できていない考えも汲み取って書類を作成します。その汲み取り作業がAIには難しいでしょう。

そのため弁理士はまだまだ必要な職業です。

独学と通信講座はどっちがおすすめ?

勉強する女の子

弁理士試験は、独学が不可能ではない資格ですが、難易度や勉強時間の長さを考えると通信講座を利用するのがおすすめの資格であるといえます。

もちろん、合格までいくらでも時間をかけて良い場合や法律に関しての深い事前知識を持っている方は独学でも合格可能ですが、そうでない場合は通信講座を受講するのが無難と言えるでしょう。

通信講座の中でも資格Timesがおすすめするのが、リーズナブルな価格と高品質な授業で有名な「資格スクエア」の弁理士講座です。

資格スクエアの弁理士講座は、一流講師による授業をスマホやタブレットから受講できるため、忙しい会社員の方でも通勤時間や隙間時間を用いて勉強することができます。

また、カリキュラムを進める中でわからないところが出てきたり、スランプに陥ったりした場合でも、専任のスタッフや講師が親身になって質問に答えてくれたり、相談に乗ってくれたりするので安心して試験対策を進めていくことができます。

合格可能性をグンと高めてくれる講座なので、弁理士試験について気になる方はぜひチェックしてみてください。

資格スクエアの公式サイトはこちら

弁理士試験の独学まとめ

弁理士試験の独学まとめ

  • 独学で合格するのは大変である
  • 法律系資格を所有する人や特別独学が得意な人に関しては別
  • 予備校や通信講座の活用がおすすめ

弁理士の試験は独学でも受かるのかについて詳しく解説しました。

事前知識や受験者の能力・性質によっては独学で合格することも十分可能です。

しかし初学者の場合は、予備校や通信講座を利用するのが無難だと言えます。

資格Timesは資格総合サイト信頼度No.1