司法試験に独学合格して弁護士になれる?おすすめテキストから勉強時間まで紹介!
「司法試験に独学で合格することは可能?」
「独学で勉強を進めていくときはどのテキストや参考書を使用すればいいの?」
このようば疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
司法試験は言わずと知れた超難関試験ですが、独学で合格した人は実際にいるのでしょうか?
また、おすすめの勉強法やテキスト・参考書があれば知りたいですよね。
こちらの記事では、司法試験に独学で合格できるのか、またどのような教材を使っていけばいいのかを徹底的に解説します!
司法試験の独学についてざっくり説明すると
- 独学で合格を目指すのは非常に難しい
- 勉強スケジュールの立案や、モチベーションの維持が非常に困難
- 効率的な勉強法で、コツコツと長い期間に渡って勉強しなければならない
- 既に法律の勉強をしたことがある人なら、独学のチャンスあり
司法試験は独学合格が可能なのか
そもそも、果たして独学で司法試験に合格している人はいるのでしょうか?
実際、各予備校・通信講座・法科大学院のホームページを見てみると、そこで公表されている司法試験の合格実績は非常に優れていることが分かります。
つまり、多くの司法試験合格者は独学ではなく、こうした予備校や通信講座・法科大学院で勉強してきた人がほとんどだということが分かります。
しかし、予備校や法科大学院に通ったり、通信講座を受講したする時間的・金銭的余裕が無い人の中には、頑張って独学で勉強し続けて合格する人もいます。
現在の司法試験制度では、法科大学院を卒業しなくても、司法試験予備試験に合格することで司法試験の受験資格が得ることができます。
そのため、予備試験ルートで初めから独学で臨めば司法試験に独学合格ですることは可能です。
しかし、制度上可能とはいえ予備試験・司法試験はともに最難関の国家試験であるため、独学で勉強を続けるには相当な覚悟が必要になります。
独学合格には予備試験ルートしかない
司法試験の受験資格クリアするためには、法科大学院を卒業するか司法試験予備試験に合格するかの2パターンがあります。
予備試験は短答試験・論文試験・口述試験の三段階で行われ、すべての試験に合格しなければなりません。
なお、予備試験の合格率は3~4%と低く、出題範囲も司法試験より広いため難易度は司法試験以上に高いとも言われています。
しかし、法科大学院を卒業するには2~3年の期間がどうしても必要になるため、独学で司法試験合格を目指すにはこの予備試験を突破するありません。
短答試験
短答試験は、マークシート方式の択一試験です。
試験科目は、憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・一般教養の8科目となっています。
試験時間についてですが、2〜3科目を1コマで行う形で、1科目あたりに使える時間は30分です。
つまり、1コマで2科目行う場合は1時間、3科目行う場合は1時間半の制限時間が設定されています。
論文試験
論文試験は、与えられた題目に沿って論述していく試験です。
試験科目は、憲法・行政法刑法・刑事訴訟法・一般教養(人文化学・社会科学・自然科学)・法律実務基礎科目(民事・刑事)・民法・商法・民事訴訟法の10科目で、非常に範囲が広いです。
2日間に分けて計5コマのスケジュールで行われ、1科目あたりに使える時間は50分です。
なお、書くべき字数は1科目1500文字程度です。
口述試験
口述試験の対象となる科目は、法律実務基礎科目の民事と刑事で、弁論能力が審査されます。
面接形式の試験になり緊張しますが合格率は非常に高いため、滅多に落ちません。
明確な試験時間は決まっていませんが、概ね10~15分に渡って口述試験が行われます。
独学合格までの勉強時間は3000~8000時間
初学者の場合、司法試験に合格するまでに3000~8000時間程の勉強が必要と言われています。
早くても2年はかかってしまい、通常であれば3年〜5年の長期に渡る勉強が必要になります。
なお、この目安となる勉強期間は社会人が働きながら勉強する場合で、平日一日あたり3時間、休日一日10時間の勉強時間を確保できると仮定した場合の勉強時間です。
このように、毎週30〜40時間程度の勉強を継続しないと、司法試験の合格は難しいのです。
そのため、「仕事が忙しくて平日に3時間も勉強できないよ!」と言う人は、もう少し長いスパンで勉強計画を組む必要があるでしょう。
司法試験合格までの勉強時間についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
不可能ではないが極めて厳しい
上述のように、司法試験に独学合格をしようと思うと3年から5年ほどの学習期間が必要となります。
これだけ長い期間に渡って一人で、しかも科目が多く出題範囲も広い法律の勉強をするのは楽ではありません。
これまでに法律の勉強をした経験があり、法律科目で大きく行き詰まることがない場合でも、独学合格をギリギリ狙えるかどうか、といったところでしょう。
また、独学は勉強のモチベーションの維持も一人で行わなければならず、 うまく勉強を続けていけるような方法を模索しなければなりません。
さらに費用の面でメリットがある独学ですが、不合格になってしまった場合は、当然ながら一年後の試験まで再び勉強し続けなければなりません。
この場合の金銭的・時間的リスクまで考えると、無理に独学で頑張るのは正直おすすめできません。
どうしても独学でチャレンジしてみたいという方は、まずは試しに独学で勉強してみて、行き詰まりを感じたりモチベーションの維持が難しいと感じたら、予備校や通信講座を利用するという手順を踏むのが良いでしょう。
予備校や通信講座を利用した方が、最適化された教材を使えるだけでなく講義・添削指導などを通じて効率よく勉強できるため、非常にオススメです。
つまり、年に1度しかない試験に確実に合格することを目指すのであれば、無理に独学を続けるのではなく、予備校や通信講座を受講する方が結果的に費用対効果的に優れていることが圧倒的に多いのです。
独学のメリットは?
費用をかけずに挑戦できる
予備校などを利用するよりも、圧倒的に費用を抑えられることが独学の最大のメリットであると言えます。
独学でも、予備校が出版している基本テキストや、法律の専門家である教授の記した各法律分野の専門書である基本書など、必要な書籍を買ったり受験料、模試の手数料などの出費は必要になります。
しかし、これらの費用を合算しても予備校や通信講座の受講料、法科大学院の入学料・授業料と比べるとかなり低い費用で済むため、「とにかく安く合格を掴み取りたい」と思っている人は独学で挑む価値はあります。
しかし、何度も不合格を繰り返すと時間もお金も無駄にしてしまう結果となるため、独学の行き詰まりを感じたら無理せずに予備校や通信講座に切り替えるべきです。
自分のペースで勉強できる
独学で勉強することに慣れている人や、勉強のコツを掴んでいる人は、予め組まれているカリキュラム通りにやるよりも独学で進めたほうが効率的なことがあります。
独学であれば、苦手な範囲を重点的に勉強して苦手を潰したり、逆に既に他の法律系の資格試験や法学部での勉強の経験があったりして事前知識がある分野を手短に済ませるなど、勉強のスケジュールに柔軟性を持たせることができます。
このように自分の苦手分野や得意分野を冷静に分析でき、効率的な勉強をすることができる自信がある人は、独学に向いています。
また、仕事や家庭の都合などで急な予定が入りがちな人は、予備校や法科大学院のように通う時間が決まっていると止むを得ず欠席してしまうケースも出てくるでしょう。
せっかく高い受講費用を払っているのに欠席してしまうと、勉強で遅れを取るだけでなく費用を無駄にしてしまう結果になるので、なかなかカリキュラム通りに進めることが難しい人は独学の方が良いと言えます。
司法試験に独学で挑むデメリット
学習スケジュールの維持が困難
長期に渡る勉強のスケジュール管理を自分自身で行うのは非常に手間がかかります。
また、自分でスケジュールを立てると、以下のような問題が発生するリスクがあります。
-
膨大な範囲を勉強しきれず、後半に勉強を詰め込んでしまい実現不可能な勉強計画を立ててしまう
-
論文の添削指導が受けられないため、試験本番で高い評価をしてもらえる論文の書き方を知らないまま闇雲に論文演習してしまい、効果的な対策ができない
-
インプットとアウトプットのバランスが悪く、知識にバラツキが発生してしまう
特に、予備試験は合格率が低く、非常に難易度が高い試験です。
ただでさえ予備校や法科大学院で勉強をしているライバルが多いので、独学で間違った方法で勉強をしていると知識の完成度に大きな差をつけられてしまい、合格は困難になってしまうでしょう。
そのため、学習スケジュールはゆとりをもった内容で作らなければなりません。
モチベーションが保ちにくい
司法試験合格のためには、3000~8000時間以上の勉強が必要とされており、3年~5年以上の勉強が求められます。
この長い期間に渡って難易度の高い勉強を続けるにあたって、モチベーションを維持するのは容易ではありません。
独学の場合は、目標を共有できて一緒に合格を目指す仲間の存在が感じられにくいため、よりモチベーションの維持が難しいのです。
そもそも内容が理解できない
司法試験の独学でモチベーションを保つのが困難な要因として、学ぶ内容が極めて難解であることも挙げられます。
法律の勉強をする上で難解な法律用語や判例の読み込みは避けられません。
一方で、これらは法律の勉強をしたことが無い人にとっては簡単には理解できるような内容ではなく、中には全く理解できない分野も出てくるでしょう。
独学だと気軽に質問できる相手もいないため、これらの苦手な範囲を勉強する際に挫折してしまう恐れもあるため注意が必要です。
分からない問題を放置してしまうと、やがて「どの論点が分からなかったんだっけ」のような状況にもなってしまうため、この点もモチベーションを損なう原因となってしまいます。
司法試験の独学受験が向いている人は
すでに法律系資格試験に合格している人
これまでに法律に関する勉強をしたことがある人は、独学でも進められる可能性があります。
具体的には、すでに行政書士や司法書士などの法律関連の資格を取得している人や、大学で法律の講義を受講した経験がある人です。
これらの人であれば、基礎となる憲法や民法・刑法・商法などの法律知識が身に着いている上、法律の勉強のやり方なども経験していることが大きな強みとなります。
また、判例の読み方や条文の構成なども理解できているため、司法試験に必要な法律の理解が早いことは大きなアドバンテージとなります。
法律の勉強経験があり、自信がある人は独学受験を試してみる価値はあります。
難関試験の独学合格経験がある人
行政書士や司法書士などの勉強経験がなくても、他の難関試験を突破した経験がある人も独学向きと言えます。
他の難解資格を独学で合格した経験のある人は、独学のコツを心得ていて勉強慣れしています。
そのため「どのくらいのペースでインプットをこなすべきか」「どれくらいの時期にアウトプットに着手するべきか」「過去問の効率的な活用方法やどの程度の演習量をこなせば良いか」が体感的に身に着いています。
また、分からない問題が出てきたときの対応や、試験直前期の焦りなどの精神的な部分のも経験もしているため、独学のハードルがかなり下がっていると言えます。
また資格試験以外の例では、大学受験などの際に予備校を使わず自分の力だけで合格した経験がある人も、独学に向いていると言えるでしょう。
なお、勉強以外のスポーツや仕事などの分野であっても、一人で黙々と努力した経験のある人は独学に生かすことができます。
独学は非常に孤独であるため、周囲から言われなくても黙々と努力できる人や、自発的に工夫をこらして効率的な勉強ができる人はやはり強いのです。
司法試験・予備試験の独学におすすめのテキスト
市販されている基本テキストや過去問題集も重要ですが、大学教授が研究の集大成として記した基本書を使って勉強するという選択もあります。
しかし、大学教授などが記している基本書は、内容が専門的で難解な用語も多く初学者には向きません。
また、自分の研究の成果を記しているため、必ずしも予備試験・司法試験向けに書かれているわけでもありません。
そのため、初学者が独学で司法試験に挑む際には、司法試験対策に重きをおいている予備校が出版している教材を使用することがオススメです。
実際に書店で見てみて、自分が扱いやすそうなものを選ぶと良いでしょう。
短答試験と論文試験でテキストが違う
司法試験には短答試験とその後の論文試験が存在します。これらの試験は全く性質が違うために、勉強のアプローチの方法から、選ぶべき参考書まで異なります。ここでは、短答試験と論文試験のそれぞれ選ぶべきテキストの特徴を記していきます。
短答試験
短答試験に関しては、問題に対する正確な解答が載っている市販の問題集が巷に大量に存在します。
それを用いて、インプットとアウトプットを並行して、大量に行うことで試験合格や高得点が十分狙えます。
論文試験
論文式の試験は短答式とは違い、独学者のためのハードルが高いため、工夫して『成果を出し、PDCAサイクルを継続する』ことが必須です。
効果的な方法は、十分な解説付きの市販の模範問題集を繰り返し取り組むことです。
この手法を正確に実施すると、論文式試験でも良い成績を得ることが可能になります。
基本書の網羅は単なる情報の取り入れに過ぎず、それだけではあまり効果は期待できません。繰り返し良質な問題集を解き、PDCAサイクルを活用することが最も有効です。
とはいえ、この方法を具体的に実施するのは難しいです。論文式試験のための『問題集』は増加傾向にありますが、『質の高い問題集』を見つけるのは容易ではありません。
問題自体は良くても、適切な解説がない、または誤った解説をしている、または問題自体が低品質な本が多数存在します。良質な問題とその適切な解説がセットになっている本は、実際にはごくわずかです。
では、どのような対策を取るのがベストでしょうか?
以下の手順を推奨します。
初めに、「良質な問題を含む本」を選んで購入します。
その後、解説を参照しながら、最適な回答を自身で構築します。多くの本では、解説だけでは良い答えを導き出すための情報は不足しています。そういった場合は、基本的な参考書と照らし合わせて答えを構築します。
そして、その「良質な問題」と「最適な回答」を組み合わせた本を何度も繰り返し解き、PDCAサイクルを活用します。
おすすめは伊藤塾の「伊藤真の○○法入門」シリーズ
市販の教材で最もオススメなのは、伊藤真シリーズです。
このシリーズは、司法試験対策予備校で最大手の伊藤塾のカリスマ塾長である伊藤真の記した教材で、初学者の方でもわかりやすく書いてあることが最大の特徴です。
また、憲法、民法、刑法、民事訴訟法・刑事訴訟法・商法、行政法、法学入門それぞれに分かれており、受験科目となる法律がこのシリーズで網羅されています。
このシリーズを揃えれば、予備試験・司法試験の基礎を完璧に作ることができるため、非常にオススメです。
伊藤真の基礎テキストは、独学者が使用しても大きく学習方針を間違えることはなく、いわゆる司法試験を目指す人のバイブルのような存在です。
このシリーズを使いこなして、法律の全体像を把握できれば合格に近づくことができるでしょう。
テキスト選びの際の注意点
テキストを選ぶ際には、自分の事前知識や学力のレベルに合わせる必要があります。
適当に選んでしまうと、自分のレベルに合っていないときに早々に挫折してしまう可能性があるため、教材は吟味する必要があります。
例えば、他の法律系の資格を既に取得済で法律に関する勉強をしたことがある場合は、いきなり応用が利いている教材を選んでも問題無いでしょう。
自分好みのレイアウトのものや通勤などの移動中にも勉強しやすいものを選ぶなど、少し気を付ければ基本的には大きくつまずくことはありません。
一方、これまでに法律の勉強をしたことがない初学者の場合、いきなり難しいテキストを使うのは危険です。
専門用語のニュアンスを間違えて覚えてしまう危険性があったり、論証や判例を正確に理解できずに整理できなくなったりする恐れがあるため、初学者の場合は無理をせずに初心者向けの簡単な参考書を使い、基礎を作っていくべきです。
基礎が固まったら、次のステップとして応用の利いた教材を買ってレベルアップを狙っていくようにしましょう。
必ず最新版で勉強する
法律は時代の要請などもあり順次改正されるため、法改正に対応した最新版のテキストを使わなければなりません。
特に、最近では民法の大規模な改正が行われました。
この改正により、2020年以降の試験では改正後の民法が出題されるため、最新の民法の解説がされている教材かどうかはよく確認する必要があります。
また、テキストだけでなく、過去問演習や市販の問題集を使ったアウトプットを行う際にも、最新の改正法に対応しているかどうかは必ず確認しましょう。
もし改正前の内容と気付かずに勉強してしまうと、完全に無駄な勉強時間になってしまいます。
同じシリーズの教材を使う
自分が使っていく教材を選んだら、できるだけ同じシリーズの教材で統一すると効率的に勉強できます。
また、徐々に使い慣れていくとインプットも早くなるため、あまり教材はコロコロ変えないほうが良いです。
例えば、選んだ教材が理解できないからといって他のテキストをすぐに購入したとしても、結局は同じような部分で躓いてしまうことになるため、時間もお金も無駄になってしまいます。
そのため、同じシリーズのテキストを購入し、その分野の勉強はその一冊で済ませるようにしましょう。
選んだテキストを何度も何度もしつこく読み込むことで、その分野の理解が深まっていきます。
無駄にテキストを買ってしまうと、内容に重複や漏れが生まれてしまいます。
それだけでなく、それぞれの教材で説明の切り口が違うと、一度理解したはずのものであっても混乱してしまい、覚え直す作業が必要になるリスクも孕んでいます。
勉強サポートアプリも活用
現在では、スマートフォンの爆発的な普及に伴って、司法試験受験生向けのアプリも多く存在しています。
アプリを用いることで、スマートフォンさえあれば勉強することができます。
特に、これまではゲームなどに費やしていた時間をすべてアプリでの勉強の時間に使うことができれば、とても有意義な時間の使い方になります。
通勤中の電車・バスの中でも勉強ができるようになるほか、隙間時間で勉強する際に、嵩張る基本書や重い参考書を持ち運ぶ必要がなくなるため、大変便利です。
例えば、資格スクエアからは予備試験の短答問題が解けるアプリが提供されているため、ぜひ有効活用してみてください。
また、司法試験短答問題練習アプリや論文試験合格に必要な論証を確認できるアプリ、さらには判例六法を見ることができるアプリもあるため、必要に応じてインストールすると良いでしょう。
独学勉強を続ける方法
試験日までの長期計画を立てる
試験日から逆算して、長期的な計画をまずは立てましょう。
予備試験合格のためには、少なくても1年、通常は2年〜4年以上の期間が必要になります。
例えば、勉強開始のタイミングが年明けで、毎年5月に実施される予備試験まで残り数カ月しかないといった場合は、その年の試験での合格はほぼ不可能です。
このような場合は、来年以降の合格に目標を切り替え、どのように合格を目指すのか予定を立てるべきです。
スケジュールを立てる際は、ゆとりを持った計画を立てるのが重要です。
ゆとりが無くきつい日程だと、少しでも計画がずれると一気にスケジュールが崩壊してしまうため、注意しましょう。
ただし、期間だけ長く取っておいて、勉強のモチベーションが持続していないと意味がありません。
司法試験の合格のためには質の高い勉強が不可欠なため、ダラダラと勉強しないように気を付けましょう。
まずはインプットが大切
こちらの内容を参考にしつつ、自分がやりやすいように勉強法を改良してみてください。
勉強の基本はまずインプットすることなので、最初は基本テキストとなる予備校本や基本書を使って、基本情報のインプットを行いましょう。
インプットが甘いとアウトプットするときに非効率になってしまうため、必ず丁寧に行ってください。
独学においては、自分で決めた教材を使い倒し、その一冊を何度も読み込むことで知識の完成度が高まっていきます。
もし、自分の選んだ一冊が予備試験・司法試験レベルの内容を網羅していない場合には、より発展的なテキストを読み応用力を付けていくと良いでしょう。
まず基本テキストを1周する
インプットを進めていくときに、基本テキストを初めて読む段階では、分からない論点が出てくるでしょう。
そのような場合であっても、1周目はあまり気にせずに読み進めるようにしてください。
1回読んだだけで完全に理解できるわけは無いので、まず1周目は全体像を体系的に理解するようにしてください。
ぼんやりと「このような内容を勉強していくんだな」というイメージを持てれば十分です。
2周目以降の読み込みで、細かな部分の理解も自然と追いついてくるため、1周目で分からない点が多くても過度に心配する必要はありません。
また、テキストは最低でも3回は読み、目立った疑問点などがなくなった段階で演習に入ると良いでしょう。
基本テキストを読む作業と並行して予備試験や司法試験の短答問題を解くと、より効率的な勉強ができるためオススメです。
インプットが済んだら、いよいよ次は本番の応用力を鍛えるアウトプットです。
過去問練習で実践力をつける
本番レベルの問題に対応できるようになるためには、過去問演習が欠かせません。
いざ問題を解いてみる段階になると、インプットが甘く自分の知識に抜けがあったり、解釈が間違っていたということは往々にして有り得ることなので、しっかりと復習しましょう。
ここで間違いに気付き、しっかりと知識を覚え直す作業がとても重要なのです。
過去問は内容・レベルともに最良な練習材料なので、過去問演習にじっくりと時間をかけることができれば確実に合格に近づくことができるでしょう。
過去問は10~15年分ほど解けば自然と応用力と実践力が身に着きます。
ここで、間違っていた範囲に関してはテキストと解説をしっかりと読み直し、似た問題や同じ論点の問題では絶対に間違えないようにすることが何よりも重要なのです。
過去問演習の質の高さが合否を分けると言っても過言ではありません。
合格までの道筋が見えない人は
独学勉強法としては上記のように勉強をしていくことがおすすめではありますが、司法試験は本当に難しい試験ですので、こうした基本を押さえたとしてもなかなか独学合格は難しいです。
「予備校に通うのは避けたいけど、一人で勉強していてもなかなか成果が出ない」とお考えの方は、通信講座の受講を検討するのがおすすめです。
通信講座であれば、勉強計画などについても提示してくれるので効率よく勉強を進めることができます。
さらに勉強計画を定めてくれたり、論文式試験の添削を行ったりといった学習サポートも充実しているので、モチベーションも維持しやすいです。
特にアガルートの司法試験・予備試験講座は良質で、令和4年度の司法試験では全合格者の45.3%に当たる636人の合格者を輩出したという極めて優れた実績を持ちます。
受講費用は約70万円からと決して安くはありませんが、大手予備校に通う場合は120万円近く必要になることを考えると、非常にコスパの良い講座だと言えます。
独学での学習を続けるよりも、こうした講座を有効活用して1年でも早い合格を目指す方が圧倒的におすすめでしょう。
司法試験に合格するメリットは?
将来性は無限大
近年は司法試験が易化したと言われており、実際に合格率も高くなりつつありますが、司法試験は未だ最難関の国家試験であることに変わりはありません。
つまり、司法試験に合格し、弁護士となった人の仕事の需要は今日でも非常に高く、求人も豊富にあります。
四大法律事務所などの大手法律事務所では、一年目から1,000万円以上の年収が見込めるため、非常に魅力的な仕事と言えるでしょう。
また、弁護士は独立・開業がしやすい資格であるため、法律事務所などで実務経験をじっくり積んでから将来的に独立開業をする、という人が多いです。
また、司法試験合格者は弁護士以外でも、検察官や裁判官などの国家公務員として働く道もあり、選べるキャリアは多岐に及びます。
このように、司法試験に合格することで将来性が非常に高まり、自分の市場価値を高めることができるのです。
弁護士の将来性については下記の記事も併せてご覧ください。
安定した年収
弁護士の収入水準は一般的なサラリーマンよりも圧倒的に高く、安定しています。
特に、検察官や裁判官は国家公務員の身分を有し、法律のエリートとして法律家としての仕事に専念できるように高い年収が保証されています。
また、近年は企業法務を担う企業の顧問弁護士も増えています。
これらの企業内弁護士はインハウスローヤーとも呼ばれており、企業に籍を置きながら働くという選択肢もあります。
企業弁護士の場合は、会社員として安定した年収を得ることができるため、安心して働くことができるメリットがあります。
また、近年はAIの発展が著しく、法律家の仕事は将来的にAIに取って代わられる可能性が示唆されています。
しかし、実際にAIができる仕事はデータ管理などに特化しており、弁護士の専門性やサービスの提供はAIが進出できない領域と言えるのです。
弁護士の詳しい年収事情はこちらをチェックしてください。
業務範囲が広くダブルライセンスも狙える
司法試験に合格し弁護士になると、同時に司法書士・行政書士・社労士・弁理士・税理士としても働くことが可能になります。
つまり、行うことができる業務の幅が格段に広がるのです。
司法試験とのおすすめのダブルライセンスとしては、公認会計士などの難易度の高い資格があり、これを実現できれば多くの企業から貴重な人材として評価されるでしょう。
しかし、司法試験に合格することができるチャンスは、そう多いわけではありません。
そのため、まずは焦らずにダブルライセンスを同時に目指すよりも、司法試験に合格することを優先するべきです。
司法試験に合格してから、自分の目指すべきキャリアをイメージしながらステップアップを図っていくと良いでしょう。
独立開業しやすい
司法試験合格後、弁護士になると独立開業を考える人も多いと思います。
弁護士の業務範囲は非常に広く、地域によって弁護士数が不足している場所があるため、開業する場所を選べば大きく稼げるチャンスがあります。
そのため、弁護士としての開業は非常にしやすく、かなり魅力的な選択肢となります。
また、開業はテナントを借りることなく、自宅のスペースで行うことも可能です。
自宅開業であれば初期費用もかなり抑えられるため、開業後の無収入期間が不安だと考えている人にとっては有力な選択肢となるでしょう。
司法試験の独学のまとめ
司法試験の独学のまとめ
- 司法試験は非常に難易度が高いため、独学で進める場合はかなりの覚悟が必要
- テキストは無闇に何冊も買うのではなく、自分が勉強しやすいものを使い倒すと良い
- ゆとりをもったスケジュールを立てて、モチベーションを維持しながら勉強することを心掛ける
- インプットが済んだら、間をあけずにアウトプットに着手するすると良い
独学で合格を目指すのは不可能ではありませんが、かなり勉強の過程で苦労するのは間違いないでしょう。
そのため、長期間に渡って勉強を続ける強い意志と、効率的な勉強は欠かせません。
隙間時間などをうまく活用しながら、勉強時間を確保していきましょう。
弁護士になれたときのメリットは非常に大きいため、様々な工夫をしながら合格を目指してください!