司法試験は社会人でも働きながら合格できるの?勉強時間や勉強法まで徹底解説!
「司法試験って働きながらでも合格できるの?」
「働きながら勉強する際にはどのようなことに気を付ければいいの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
司法試験は非常に難易度が高いため、「働きながら合格を目指すのは無理があるんじゃないか?」と考えている人が多いかもしれません。
しかし、様々な工夫をして勉強を重ねていけば、社会人であっても司法試験の合格は十分に狙えます。
ただし、社会人は勉強に集中できる環境である学生と比べると不利な面が多いため、多くの努力が必要となります。
こちらの記事では、社会人の方が司法試験の合格を目指す勉強法や必要な勉強時間について解説します!
働きながらの司法試験対策についてざっくり説明すると
- 学生と比べると勉強に集中できる環境ではないので注意
- 社会人受験者は多いが合格者数は少ない
- しっかりと数年に渡って勉強すれば合格は狙える
- 隙間時間を有効活用して努力していく姿勢が重要
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働きながら司法試験合格は目指せるのか?
ご存知の通り、弁護士や裁判官になるためには国家試験である司法試験に合格する必要があります。
そして、社会人の方で司法試験を受験される方は、例年全体の約4割を占めています。
このように「法律のエキスパートとしてやりがいのある仕事がしたい」「キャリアアップや収入増加を目指したい」などの理由から、働きながら司法試験の勉強に着手する社会人の方は多くいらっしゃるのです。
近年では社会人での合格者も増えてきており、3~5年間の学習期間が必要になってしまうものの、しっかりと勉強すれば合格は不可能ではないと言えるでしょう。
まずは受験資格を満たす必要あり
司法試験には受験資格が設けられています。
司法試験を受けるための条件は、「司法試験予備試験に合格していること」もしくは「法科大学院を卒業していること」です。
まず予備試験についてですが、こちらは合格率は3~4%と極めて高難度となっているものの、受験資格が設けられていないので誰でもチャレンジすることができます。
さらに、予備試験対策は法科大学院入試にも司法試験にも通じるため、予備試験ルートでの合格を目指して勉強をすると様々な面でメリットを享受できるでしょう。
対して法科大学院を卒業するルートですが、法科大学院には2年で卒業できる法律既習者コースと3年で卒業できる法律未修者コースがあります。
法科大学院を受験するためには、大学卒業が要件になっており、その中でも既習者コースに入学するには法律論文試験が課されます。
法科大学院の入試の論文試験対策として司法試験対策予備校に通ったり、通信講座を受講する人もいるようです。
自分のキャリアを総合的に考え、予備試験ルートを選ぶか法科大学院ルートを選ぶか決めると良いでしょう。
社会人受験生数の実態
法科大学院に行くには非常に時間がかかるため、予備試験ルートで司法試験合格を目指す社会人の方が多いです。
特に法科大学院に行く理由がなければ、予備試験ルートを選ぶと良いでしょう。
近年では、司法試験予備試験の受験者数の内、社会人が60%以上を占めていますが、予備試験合格者数の中では社会人合格者の割合は25%前後と低い水準に留まっています。
学生と違い、まとまった勉強時間を確保しずらく、勉強に集中できる環境も作りづらい社会人は合格率が低いのは致し方ないと言えるでしょう。
予備試験ルートでの司法試験合格を目指す場合、社会人の予備試験合格者は毎年100人ほどと、かなり狭き門です。
この枠に入らなければならないため、人並み以上の努力が求められます。
なお、平成27年以降の予備試験の受験者のデータは以下のようになっています。
予備試験の受験者数
年度 | 大学生 | 法科大学院生 | 社会人 | 総数 |
---|---|---|---|---|
平成27年度 | 1,917人 | 1,657人 | 6,760人 | 10,334人 |
平成28年度 | 1,998人 | 1,579人 | 6,865人 | 10,442人 |
平成29年度 | 2,119人 | 1,396人 | 7,228人 | 10,743人 |
平成30年度 | 2,214人 | 1,286人 | 7,636人 | 11,136人 |
令和元年度 | 2,477人 | 1,234人 | 8,069人 | 11,780人 |
令和2年度 | 2,367人 | 1,023人 | 7,218人 | 10,608人 |
令和3年度 | 2,564人 | 1,000人 | 8,153人 | 11,717人 |
令和4年度 | 2,879人 | 1,050人 | 9,075人 | 13,004人 |
令和5年度 | 2,997人 | 475人 | 9,900人 | 13,372人 |
予備試験の合格者数
年度 | 大学生 | 法科大学院生 | 社会人 | 総数 |
---|---|---|---|---|
平成27年度 | 74人 | 134人 | 186人 | 394人 |
平成28年度 | 93人 | 150人 | 162人 | 405人 |
平成29年度 | 118人 | 108人 | 218人 | 444人 |
平成30年度 | 97人 | 150人 | 186人 | 433人 |
令和元年度 | 152人 | 114人 | 210人 | 476人 |
令和2年度 | 149人 | 93人 | 200人 | 442人 |
令和3年度 | 153人 | 96人 | 218人 | 467人 |
令和4年度 | 118人 | 124人 | 116人 | 472人 |
令和5年度 | 187人 | 19人 | 273人 | 479人 |
予備試験の合格率
年度 | 大学生 | 法科大学院生 | 社会人 | 総合 |
---|---|---|---|---|
平成27年度 | 3.86% | 8.09% | 2.75% | 3.81% |
平成28年度 | 4.65% | 8.09% | 2.36% | 3.88% |
平成29年度 | 5.57% | 7.74% | 3.02% | 4.13% |
平成30年度 | 4.38% | 11.66% | 2.44% | 3.89% |
令和元年度 | 6.14% | 9.24% | 2.60% | 4.04% |
令和2年度 | 6.29% | 9.09% | 2.77% | 4.17% |
令和3年度 | 5.97% | 9.60% | 2.67% | 3.99% |
令和4年度 | 4.10% | 11.81% | 1.28% | 3.63% |
令和5年度 | 6.24% | 4.00% | 2.78% | 3.58% |
社会人の受験者数は多いものの、合格率ではやはり大学生や法科大学生に劣ってしまうことが分かります。
やはり、勉強しやすい環境かどうかは合否に大きく影響するのです。
司法試験の試験内容
司法試験は、一次の短答式試験と二次の論述試験で構成されています。
短答試験では、憲法・民法・刑法の3科目が択一問題形式で出題されます。
論述試験では、公法系科目と民事系科目、刑事系科目、選択科目の4科目が出題されます。
論述試験の出題範囲は、公法系では憲法・行政法、民事系科目では民法・商法・民事訴訟法、刑事系科目では刑法・刑事訴訟法、選択科目では知的財産法・労働法・租税法・倒産法・経済法・国際関係法(公法系)・国際関係法(私法系)・環境法のうちのいずれか1科目を選択します。
試験科目は膨大で非常に範囲も広いので、万遍なく勉強しなければなりません。
全科目に共通して言えることは、過去の出題傾向などを分析してメジャーな論点を落とさずに対策をすることが大切になります。
司法試験は相対評価を行い合否を判定するため、周囲の正答率が高い問題を落としてしまうと一気に不利になってしまいます。
そのため、日頃の演習から、比較的簡単な問題は「このレベルの問題は絶対に落とさない」という強い意志を持ちながら取り組むようにしましょう。
短答試験
一次の短答試験に合格するには1年~2年程の勉強が必要と言われており、時間換算すると約1,000時間~2,000時間の勉強時間が必要になります。
論文試験に進むためには、短答試験の合格が必須です。
また、短答合格は司法試験科目の基礎知識となるため、丁寧に勉強しなければなりません。
なお、出題形式は全てマークシート方式であり、選択肢の一つ一つの正誤判断が必要になります。
問題ごとに難易度のばらつきがあるため、自分が解けそうな問題か、どう頑張っても解けそうにない問題かを判断できるようにしましょう。
分からない問題は深追いせずに、落としてはいけない基本的な問題をまずは確実に得点できるように仕上げるべきです。
全問正解は求められないため、難問は思い切って捨ててしまうなどの割り切りも必要です。
ただし、各科目で40%以上の得点をしないと不合格になってしまう足切り基準があるため、すぐに捨て問題と判断するのは危険です。
この足切り基準は非常に厄介で、総合点が良かったとしても1科目で足切りに引っかかってしまうと不合格になるため、苦手分野を作ってしまうのはリスクが高いのです。
そのため、苦手分野を作らず、どの問題がきてもある程度の対応ができるように満遍なく勉強することが非常に重要です。
足切りに注意を払いながら素早く問題をこなせるように、日頃から演習すると良いでしょう。
論述試験
論文試験は短答試験よりも難易度が高くなるため、さらに質の高い勉強が必要になります。
論文合格には3,000~8,000時間の勉強時間が必要だと言われていますが、この数字は短答試験対策を含めた数字で、論文試験対策だけで見ると5,000時間程度は必要でしょう。
論述試験の合格率は全受験者の約30%であり、短答試験よりも狭き門になります。
論文試験はマークシートの問題と違い、「相手に分かりやすく伝える」「相手に読みやすい字を書く」など、気をつけるべき点は多いです。
せっかく知識が豊富にあっても、相手に分かりやすく伝えることができなければ「結局何が言いたいんだ?」という論文になってしまいます。
作文や小論文を書くことが苦手だという人は、過去の合格レベルの論文を読んだりすると良いでしょう。
また、新聞の社説欄なども読み手に伝わりやすい文章になっているため参考にしてみてください。
このようなうまい文章を実際に読んでみて、「これは使える!」と感じた部分などんどん盗んでいきましょう。
また、うまい論文を書けるようになるためには、とにかく論文を書く練習をたくさんするとことが重要です。
その上でこれまで多くの添削をしてきた予備校講師など、様々な人に読んでもらい多くのフィードバックをもらうようにしてください。
もらった客観的な評価を次の演習で生かしていくことで、どんどん質の高い論文を書けるようになります。
うまい論文を書ける自信がないという人でも、演習を繰り返してたくさん量をこなせば合格できるレベルの論文が書けるようになるため、心配しなくても大丈夫です。
働きながら司法試験合格を目指す際のポイント
働きながら司法試験に合格するのは十分に可能です。
しかし、社会人は勉強に充てることができる時間が限られているため、多くの時間的制約の中で勉強の質を確保しなければなりません。
特に高い勉強の質を確保するという面では、独学よりも予備校などを使う方が良いでしょう。
やみくもに独学で進めるよりも、合格へのノウハウが詰め込まれている予備校の講座等を利用する方が費用対効果は圧倒的に良いのです。
また、独学だと分からない問題があった時に質問できる相手がいないため、挫折に繋がりやすいのです。
これまでの勉強とは関係ない
司法試験で問われる問題は法律知識だけであり、他の一般教養などは問われません。
そのため、法律家を目指そうという強い意志があることが重要であり、モチベーションを維持させることにも役立つでしょう。
2023年度の司法試験合格者の平均年齢は26.6歳でした。
この平均年齢の低さの理由は、大学在学中から司法試験を目指し勉強する人が多いためです。
このように早い段階から司法試験対策に着手する人が多いため、平均受験年齢が20代後半になるのです。
しかし、30代から勉強を開始する人もおり、毎年50代〜60代での合格者もいます。
つまり、司法試験は決して受験開始が遅いということはない試験であり、努力をすればどの年齢でも合格を狙えるのです。
参考:法務省「令和5年 司法試験の採点結果」
司法試験は最難関の国家試験
司法試験は、以前よりも簡単になっているとはいえ難易度は最高レベルです。
試験科目の膨大さや、合格に必要な勉強時間等を総合的に考えると、やはり司法試験は最難関なのです。
しかし、旧司法試験に比べると試験難易度は下がっているのは確かです。
つまり、弁護士の世間的な評価や信頼感は高いままであるにも関わらず、司法試験に合格しやすくなっているのです。
そのため、司法試験の合格を目指すならば今が狙い目と言えるのです。
予備試験ルートで受験
予備試験においては、司法試験の受験科目の他にも一般教養が問われ、論文試験では行政法の出題もされるため、かなり出題範囲は広いです。
合格率は3~4%ととても低いので、一般的には2~4年程の時間をかけて勉強をする必要があります。
予備試験ルートでの司法試験受験を目指すのは非常にハードルが高いため、予備校講座や通信講座等を利用するのが良いでしょう。
また、法科大学院への進学も考えてスケジュールを立てることで、その後も柔軟に対応できるようになるためオススメです。
法科大学院ルートで受験
法科大学院には法律未修コースがあり、このコースでは法律知識のない人を対象として法律の基礎講義から受講できます。
ただし、働きながら法科大学院に通うことは時間の都合上かなり大変で、不便さを感じるのは否めません。
法科大学院には夜間コースもあるため、自分の仕事の都合などに合わせて選ぶと良いでしょう。
法科大学院に進学することを目指すと、司法試験合格率も高まり卒業後の就職・転職でも有利になりやすいため、多くの苦労はあるものの悪いことばかりではないでしょう。
働きながらの司法試験勉強法
限られた時間で司法試験の勉強を効率的に行うにはコツがあり、それをお伝えしていきます。
司法試験には3000~8000時間の勉強が必要
司法試験の合格を目指すならば、非常に長い勉強時間が求められるため、数年かけて勉強していかなければなりません。
実際に合格する人は数年かけて努力を続けており、平日は1日3~4時間、休日は10時間程の勉強を重ねています。
この例のようにコツコツと勉強を重ねていかなければ合格することは難しいでしょう。
試験はとにかく出題範囲が幅広いため、満遍なく対策をしていかなければなりません。
多くの時間はかかってしまうものの、過去問演習を通じて出題傾向を掴み、出題形式に慣れていけば合格に近付けるでしょう。
独学がおすすめの人
司法試験は非常に難易度が高いため、独学で合格を目指すのはほとんど不可能で、予備校や通信講座を利用しながら合格を目指すのが一般的です。
しかし、少数ながら独学で進めることができる人もいます。
独学で勉強を進められる人は、いわゆる勉強慣れしている人であり、分からない問題があっても自力で解決できる人です。
具体的にはインプットからアウトプットまでの勉強の流れが完成されていて、勉強のモチベーションを自分で保つことができる人は独学に向く人と言えるでしょう。
しかし、いくら自信があったとしても長丁場の司法試験に独学で挑むことはオススメできません。
長きに渡って非常に孤独な戦いになるため、独学で試験勉強を続けるのには相当な覚悟が必要になる上に、その努力が実る可能性は予備校に通う場合と比べて大幅に下がってしまうでしょう。
予備校や通信講座がおすすめの人
少しでも独学で勉強していくことに不安がある人は、迷わずに予備校や通信講座を利用するべきです。
予備校や通信講座は長年に渡って試験の出題傾向などを分析しているため、膨大なデータを活用した非常に効率的なカリキュラムを提供しています。
また、予備校等を受講することで最適化されたテキストを使うことができ、一流の講師による対策講義が聞けるため独学よりも圧倒的に効率的なのです。
さらに、予備校でも通信講座でも映像コンテンツで勉強できる点も魅力的です。
仕事の都合などで教室に通うのが難しくても、パソコンやスマートフォンを使って自宅などで好きな時間に学習を進めることができます。
人によっては通勤時間を利用して映像コンテンツを視聴できるため、働きながらでも十分に合格できる学力を身に着けることができます。
また、講義のみならず論文問題の添削指導を受けられることも講座を受講するメリットです。
論文試験は自分だけで採点することは不可能であり、客観的な評価を受けるためにも他者による添削は欠かせません。
これまでに何人もの論文を添削してきたプロの講師による添削を受けることで、自分の論文の良い点や悪い点をブラッシュアップできるため、次回以降に反省を生かすことができるのです。
このように、何度も練習を重ねることで論文の質が高まる好循環を生み出せるのです。
隙間時間や通勤時間を有効活用
独学の場合でも予備校に通う場合でも通信講座を受講する場合でも、日頃か隙間時間を有効活用するクセを付けるべきです。
大事なのは、朝早起きして勉強したり、通勤時間を使って暗記を進めたり、昼休みなどの休憩時間を使って問題を解いてみたりといった隙間時間を有効活用する姿勢です。
このようなわずかな時間であっても有効活用するという、地道な努力の積み重ねをできる人が合格へ近付くことになるのです。
特に、通勤時間などでついついスマートフォンでゲームをしたりSNSを見たりして時間を無駄にしてしまっている人は多いのではないでしょうか?
この習慣が抜けないと、残念ながら合格は遠いでしょう。
誘惑に負けそうなときは、不要なアプリをインストールしたりするなどして、勉強に集中できる環境を自分から作るようにしましょう。
寸暇を惜しんで勉強する人が合格を掴み取れるのです。
例えば、通勤時間の30分を毎日活用できれば、1年間で120時間程度の時間を生み出すことができます。
たかが30分の積み重ねでも、最終的に大きな積み重ねになることが分かるでしょう。
また、予備校に通う場合でも、講義を受けるだけではなく、やはり講義の予習・復習をすることが大切です。
また、漫然と講義を聞くだけでなく自発的に講義を受けなければ、高い学習効果は得られません。
せっかく高い費用を払っているのですから、予備校に通うメリットを最大限享受し、周囲と差を付けるように努力するべきです。
スキマ時間に勉強するコツ
忙しい社会人の方にとって、いかに隙間時間を有効活用できるかは合否に直結します。
そこでおすすめなのが、通信講座を利用して隙間時間にスマホ等で講義を視聴したり問題演習を行うことです。これなら重たいテキストを持ち運ぶ必要もありませんし、通勤時間なども勉強時間に当てやすいです。
特に、司法試験・予備試験の通信講座であるアガルートでは、多くの社会人受験生を合格に導いており、忙しい社会人の方から絶大な支持を得ています。
司法試験・予備試験で累計793名の合格者の声をホームページに掲載しており、多くの合格者を輩出していることがこちらの数字からも窺えます。
講座費用も他社予備校と比べてかなりリーズナブルとなっており、予備試験のスタンダードなカリキュラムは70万円台から受講できるため、司法試験合格を目指される方は是非ともチェックしておきましょう。
社会人合格者の実際
それでは、実際に司法試験を働きながら受けた人の声を紹介していきます。
平日3~4時間・休日10時間勉強する
勉強時間の配分としては、平日は仕事が終わった後に3~4時間程度、休日は10時間程度の勉強をこなして合格したという人が多いです。
「平日に3時間も勉強するのか…」とショックを受けてしまう人も多いと思いますが、そこまで勉強しないと合格できないのが司法試験なのです。
一般的に、このペースで2~3年勉強をしていくと合格レベルに達することができます。
しかし、やはり仕事の忙しさや家庭の事情など、個人差はあるため一概には言えません。
勉強時間の確保や体系的理解の進度などの差により、1年で予備試験に合格する人もいれば、逆に受験制限回数ギリギリでなんとか合格を勝ち取った人もいます。
これまでに行政書士や司法書士の勉強をしたことがある人であれば、法律の勉強に慣れているというだけでなく、憲法や民法などの知識がすでに身に着いているため大きな強みとなるでしょう。
まずは基礎講義を一周する
時には残業なども発生するでしょうから、働きながらでは勉強時間を確保することはとても難しいです。
しかし、司法試験は試験範囲が膨大で科目数も多いため、いちいち丁寧に勉強してその単元をすべて理解してから次の範囲に進むという勉強のやり方はオススメできません。
わからない論点が出てきてしまうと勉強がストップし、一向に学習が進まなくなってしまうため非効率なのです。
こうした状況を避けるためにも、難しい箇所は完全には理解できなくてもいったん読み飛ばし、まずは基礎講義・基礎テキストを1周することが大切です。
1周目は細かく理解することよりも、「このようなことを学んだいくんだな」程度に読み、全体像をつかんでいくことが重要なのです。
丁寧に読み込むのは2週目以降で十分間に合うため、心配する必要はありません。
こうした方法で学習を進めていき、科目全体の体系的な理解を深めて合格できたという社会人受験者が多いです。
少ない勉強時間を有効活用するためにも、この他にも様々な工夫をして勉強を進めていきましょう。
勉強一本に絞る決断も
司法試験は最難関試験であるため、働きながら合格を目指すのは実際にはとても大変で様々な困難があるでしょう。
本気で司法試験の合格を目指してる人の中には、仕事をやめて予備校での勉強に専念するという決断をする人も多くいます。
当然、仕事を辞めるということは無職期間が発生し、収入が途絶えることになります。
金銭面のリスクや「絶対に受からなければ」という精神的なプレッシャーものしかかることになりますが、働きながら勉強するよりも格段に合格できる可能性は高まるでしょう。
この方法は勉強時間を十分確保できるようになり、試験への集中度も一層高まるため、確実に合格を目指したい人にはオススメです。
社会人は人生経験も生かせる
法律事務所などの業界では、弁護士の社会経験のなさに失望する依頼人が多いのが実情です。
若い内に弁護士になったはいいものの、社会人経験や実務経験がないことで結局は即戦力になれない人が多いのです。
依頼人はこれまでの実績や経験などを重視するため、社会人経験がない人よりも、働きながら司法試験に合格した弁護士を重用することが多いのです。
人生経験の豊富な社会人から弁護士に転身した法律家には、このような強みがあり若い弁護士よりも仕事の需要は多いと言えるでしょう。
そのため、司法試験合格後は就職・転職先は豊富にあり、就職難という状況にはなることは考えづらいのです。
実際に社会人合格をされた人の声
社会人になってから司法試験を目指す方にとっては、実際に社会人から弁護士の道へ進んだ方の体験談は、何よりも参考になるものです。
資格Timesでは公認会計士として監査法人に務めていた傍ら司法試験の勉強をスタートし、見事合格を果たした方へのインタビューも実施しています。
司法試験に合格したいとお考えの社会人の方は、ぜひこちらのインタビュー記事も参考にしてください。
合格後の進路
司法試験合格後は合格発表後の12月から1年間司法修習という研修期間があり、それを受けなければなりません。
司法修習後は弁護士、検察官または裁判官として働くことができ、晴れて法律家デビューということになります。
法曹人口の増加方針もあり、司法試験合格者の増加による仕事の奪い合いなどが懸念されてはいますが、実際に就職・転職先は豊富にあります。
法律事務所や弁護士事務所でまず勤務し、実務経験を積んでから独立開業するという人も多いため、先輩弁護士の話を聞いて参考にするのも良いでしょう。
「弁護士」というネームバリューは相変わらず高く、社会的な信頼度も高いため、弁護士の需要は未だ多いのです。
また、30代以上でも検察官や裁判官となる人も一定数いるため、自分がどのように働きたいかイメージしながらキャリアを築いていくと良いでしょう。
働きながらの司法試験対策まとめ
働きながら司法試験を目指すことについて
- 独学で進めるのではなく、予備校などを利用すると良い
- 試験範囲は非常に広いので、足切りに注意しながら要点を押さえるようにするべき
- 論文はとにかくたくさん練習し、書き慣れることが重要
- 寸暇を惜しんで勉強し、とにかく勉強に集中できる環境を作る
司法試験は多くの社会人も受験していますが、合格率はどうしても学生に劣ってしまいます。
社会人は勉強に長時間集中できる環境がなかなか作りづらく、勉強してきく上で多くの困難があることは確かです。
しかし、隙間時間を活用し効率的な勉強をしていくことで合格できる実力は身につけることは可能なので、諦めずに辛抱強く勉強を続けていきましょう。
司法試験に合格した後のメリットは非常に大きいので、ぜひ諦めずに勉強し、弁護士の資格取得を目指しましょう!