司法試験の民法の勉強法は?予備試験との関係から過去問・独学の可能性まで解説!

更新日時 2020/04/05

民法は司法試験で最も難しい科目です。独学での勉強時間は500時間以上必要であり、民法の出来が司法試験の合否を左右することもあります。

ここでは司法試験の民法について解説します。概要や試験形式、独学での勉強法等が理解できるでしょう。司法試験はもちろん、予備試験や法科大学院入試でも必要なので、必ず勉強法を身に着けておきましょう!

司法試験の民法についてざっくり説明すると

  • 司法試験で最も配点が高い。
  • 短答試験と論文試験がある。
  • 分量が多くて難しいので、合否を左右する。
  • 必要な勉強時間は500時間以上。

司法試験と民法

test

司法試験は弁護士や裁判官、検察官になるための試験です。数ある資格試験の中でも特に難易度が高く、最難関の国家試験の一つです。

司法試験では憲法や法律が七つの試験科目に分かれて出題されます。民法はその一つであり、受験者全員が必ず受験しなければならない必須科目に指定されています。

民法は私人間の法律関係を調整するための司法の一般法です。条文が1000条以上あるため、司法試験で最も勉強量が多い科目とも言われています。

商法や民事訴訟法などの法律を学ぶ上でも必要になる基本的な法律です。そのため、司法試験の短答試験・論文試験だけでなく、予備試験の短答試験・論文試験、法科大学院の入試でも頻繁に出題されます。

司法試験民法の出題範囲

司法試験の民法は民法という法律全体が試験範囲です。試験範囲が非常に広く、憲法の2倍以上と言われるほど長い勉強時間が必要です。

短答試験では民法全体からまんべんなく出題されます。論文試験では出題頻度が低い親族・相続など家族法の分野からも毎年出題されています。広く浅い知識が必要です。

一方、論文試験では主に契約に関する物権法や債権法と言われる範囲が問われます。狭く深い知識が求められます。

過去問から考えると、出題範囲にはいくつかの特徴や傾向があります。以下では試験形式ごとの試験範囲について述べています。

短答試験での民法

司法試験にはマークシートで行われる短答試験と記述形式の論文試験があります。短答式試験における民法は憲法や刑法よりも配点が高い重要科目です。

民法全体が試験範囲なので、幅広い分野の知識が必要です。中でもポイントとなるのは親族相続です。この分野は論文試験では問われる可能性が低いため、短答試験対策として勉強すべき内容です。総則や物権、債権は論文試験でもよく出題されます。

また、短答試験では条文操作問題判例に関する問題がよく出題されます。条文や判例を意識して把握する勉強法も有効です。

論文試験での民法

司法試験ではマークシート式の短答試験だけでなく記述形式の論文試験も行われます。論文試験では論点をされている箇所を適切に論証できるかどうかが重要です。

論文試験では物権や債権に関する問題が特に多く出題されます。また、総則と関連した問題も多く見られます。短答試験で見られた親族相続の問題は基本的に見られません。

司法試験民法の特徴・難易度

万年筆での筆記

司法試験で出題される民法の特徴や試験形式、難易度の高さなどを解説します。難易度が高い理由なども合わせて取り上げます。

民法は弁護士としての実務にも直結している重要な法律です。民法は憲法などとは異なり、パンデクテン方式という構成方式が採用されています。

パンデクテン方式とは民法全体に通じる総則条文と各分野に固有の条文を分けて記述する方式です。民法では前半に総則があり、後半に物権、債権、親族相続に関する条文があります。

問題形式は二つ

司法試験の民法には短答試験と論文試験の二種類の試験があります。短答試験はマークシート方式で75点満点です。憲法や刑法が50点満点なので、他の科目と比べても試験範囲が広くて重要であることがわかります。

論文試験は公法、刑法、民事、選択科目の4科目が合計800点満点で行われます。このうち民法が含まれる民事は300点満点です。ただし、民事では民法だけでなく商法や民事訴訟法の知識も必要です。そのため、民法そのものの重要度は他の科目と変わりません。

論文試験では六法を使用できます。民法は1000以上も条文があるため暗記することは困難です。論文作成時間を考えるとあらかじめ六法の引き方にも慣れておきましょう。

民法が難しいわけ

司法試験の民法は民法一科目だけでも難関国家資格一つ分に相当する難しさがあると言われています。民法が難しい理由は2つあります。

一つ目は試験範囲が非常に広いことです。民法という法律は条文が1000以上ありその全てが試験範囲です。

二つ目は勉強に時間がかかることです。司法試験では多くの知識を活用し、出題点を理解していなければ解答できない問題が多くあります。身につけるべき知識が多いので勉強に時間がかかってしまうのです。

ただし、民法はマークシートと論文試験で行われます。法律系ではメジャーな方式なので試験に慣れるというハードルは低めです。

民法のおすすめ勉強法

本

500時間以上の勉強が必要

司法試験の民法に必要な勉強時間は500時間以上が目安です。一日一時間の勉強では1年半、一日三時間の勉強でも半年以上の勉強が求められます。

司法試験全体に必要な勉強時間は少なくて3000時間、多い人では10000時間近くになると言われています。民法は司法試験全体の6分の1くらいを占めるということですね。

なお、この500時間はあくまでも目安であり、実際に必要な勉強時間には個人差があります。500時間ほど勉強することで民法の基礎事項は一通り勉強できます。しかし、短答試験や論文試験を解答できるレベルまで身に着けられるかどうかは別問題です。

基礎の把握から始める

司法試験における民法の勉強法は基礎的事項の学習から始まります。まずは予備校の基礎講義や基本テキストなどで概要を把握することが第一歩です。

民法は分量が多いので、一度に全て勉強しようとすると挫折する可能性があります。簡単な内容から手を付けるようにしましょう。

ただし、基礎基本といっても民法自体が難しいことに変わりはありません。論点自体が難しいので、テキスト一周でこの内容全体を把握するのは困難です。

そこで、基本テキストは二週三周するようにしましょう。何度も繰り返し学習することでインプットを進めていくことがおすすめです。

短答問題から取り組もう

司法試験は短答試験と論文試験の二種類があります。まずは短答試験の学習から始めましょう。

短答試験はマークシート式なので、知識が完全に定着していない状態でもある程度は解答できるでしょう。また、問題を解いていく中でこれまでにインプットした知識を整理することもできます。

短答試験は過去問10年から15年分くらいを目安に解答しましょう。合格基準点以上の力を身につけるためにも、同じ問題を三周くらいは解くようにしましょう。

論文対策法

司法試験では短答試験以上に論文試験が重要です。論文試験は配点が高いので司法試験の合否を左右することも珍しくありません。

司法試験は単なる知識の有無を評価する試験ではなく、法律実務家を登用するための試験です。論証を丸ごと暗記して記述するというスタイルで合格するのは難しいでしょう。

かつては出題形式が複雑だったのですが、平成26年ころから特定の形式に固定化されつつあります。まず、誰が誰に対してどのような請求を行ったのかという請求の内容です。次に、請求に対する反論です。それぞれの主張が法律要件上可能なのかどうかという観点から論文をイメージして作成しましょう。

なお、旧司法試験の民法は現代のものよりも問題文が短くなっています。過去問での問題演習では改正民法に対応した過去問を使用するようにしましょう。

論文と判例が大切

法律の学習では条文と判例が非常に重要です。解釈の違いや学説の対立はありますが、条文と判例は誰にとっても同じです。そのため、勉強中は条文と判例を判例集や六法などでこまめに参照しながら学習していきましょう。

このような勉強法は民法でも変わりません。民法の難易度が高いのははその分量が多いことが原因です。条文の理解・暗記が学習の課題となるでしょう。

また、条文の改正には気を付けましょう。平成から令和にかけて何度か民法改正が行われており、条文が変わっていることもあります。法改正のニュースは意識しておき、常に最新の条文を確認しましょう。

要件と効果を把握していく

法律には要件と効果というものがあります。法律上の主張を行うにはどちらも理解していなければいけません。短答試験だけでなく論文試験にも直結する内容なので、必ずおさえておきましょう。

要件とは法律上の主張をするために満たさなければならない条件です。要件を満たしていなければ主張そのものができないので、請求を考える際には要件を満たしているか判断する必要があります。条文に記載されているものや、判例から判断されるものがあります。

効果とは法律上の権利や義務が発生・消失することです。この要件と効果を意識することで、過不足のない優れた論文を作成てきます。

制度主旨から考える

民法では法律を類推適用することがよくあります。あらかじめ類推適用に慣れておくと、論文作成もスムーズに行えます。

類推適用とは、法で直接定められていない場合によく似た内容を定めている法を適用することです。民法が1000条を超える分量があるといっても、あらゆるトラブルを定めるのは困難です。そこで、定められていない内容は類似した法律で代用しようということですね。

この時、その法律や制度は何のためにあるのか、制度の趣旨が重要視されます。法や制度の目的・理念に適している場合にだけ類推適用が行われます。制度の趣旨を考えることで類推適用が理解しやすくなり、論文の質も良くなります。

おすすめの民法基本書

本だな

法律における基本書とは法学者が法律について書いた専門書のことを指します。基礎基本の学習にはかかせないものです。法律を専門としている学者が書いたものなので、内容は正確です。

ほとんどの基本書は民法全体を網羅しているため、一種類読めば民法の全体像は網羅できるでしょう。司法試験対策では、何冊もの基本書を使用する必要はありません。試験勉強中にずっと同じ一冊を使用しても問題ありません。

そのため、基本書は内容が良いものや自分に適しているものを厳選するようにしましょう。以下では特におすすめの基本書を紹介します。

【民法】川井健「民法概論①~⑤」有斐閣

一橋大学名誉教授の川井健教授の民法基本書です。一巻では民法総則、二巻では物権、三巻および四巻では債権、五巻では親族相続などを取り上げています。五巻は親族相続なので、論文試験対策であれば四巻までで大丈夫です。

いわゆるオーソドックスな教科書スタイルの基本書で、大抵の人におすすめできる書籍です。読みやすい文体が特徴で、学者の文章に慣れていない人でも読みやすいでしょう。

取り扱う論点や議論はやや抽象的な傾向がありますが、その分特定の事案に縛られない応用力があります。論文試験でも融通が利きます。

最大の欠点は出版年度です。おおよそ10年以上前の本なので、判例が古くなってきてます。また、近年の改正や新しい学説などにも対応していません。

民法を制する者が司法試験を制する

飛び跳ねる男女

民法は司法試験の七科目の中で最も難易度の高い科目です。必須科目なので避けることもできません。民法が合格できないために司法試験をあきらめてしまう人もいるほどです。

しかし、民法は司法試験全体でも特に配点が高い科目です。試験科目の中でも一番重要な科目であるといえます。民法への対策なしで司法試験に合格することは困難でしょう。

また、弁護士をはじめとする法律職として活躍するには民法は不可欠な知識です。実務にも直結する科目でもあるため、法律に興味のある人にとっては勉強していて面白いと思える科目でもあります。

このような理由から、民法は司法試験合格のための試金石であり、民法を制する人は司法試験を制するともいえるでしょう。

民法は独学できるか

民法は独学で勉強できる科目なのでしょうか?結論から言えば、独学でも不可能ではありません。しかし、非常に困難です。

民法は非常に分量が多く、独学で効率よく勉強することが大変です。司法試験では他にも科目があるため、民法だけに時間をかけるわけにはいきません。

それに加えて、論文試験は独学では適切に対策することが困難です。独りよがりの文章にならないよう学ぶには予備校や通信講座などを利用する方が良いでしょう。

予備試験でも法科大学院でも民法の知識は求められるうえ、実務でも必要です。必要な内容を学ぶことを考えると、独学が得意な人以外は避けた方が無難です。

通信講座で学ぶのがおすすめ

司法試験では多くの科目を勉強しなくてはならないため、どうしても苦手科目などが発生してしまうことがあります。

司法試験・予備試験の通信講座を提供している資格スクエアでは、項目別に自分の受けたい講座のみを受講することもできるため、圧倒的にコストを抑えて効率よく勉強することができます。

特に資格スクエアの司法試験予備試験講座は予備試験合格者の3.2人に1人が利用している評判・実績のある講座なので、この機会に是非チェックしてみてはいかがでしょうか。

資格スクエアの公式サイトはこちら

司法試験民法のまとめ

司法試験の民法のまとめ

  • マークシート式の短答試験は民法全体が試験範囲。
  • 論文試験では親族相続以外が出題されやすい。
  • 論文や判例が特に重要で、類推適用も理解する必要がある。
  • 法改正もおさえておくこと。

この記事では司法試験で出題される民法の独学での勉強法について紹介してきました。いかがでしたか?

民法は司法試験の七つの試験科目の中で最も難易度が高く、分量も多い科目です。民法は条文だけでも1000条以上あります。そのため、短答試験・論文試験合わせて500時間以上の学習が必要になるといわれています。

勉強時間が長くなりがちなので、ポイントをおさえた勉強法が重要です。効率よく勉強していき、合格を勝ち取りましょう。