弁護士の就職の実態は?就職難の噂や初任給・年齢による就活への影響まで解説!
「司法試験合格後は、どうすれば弁護士になれるの?」
「司法修習生の就活事情について詳しく知りたい!」
弁護士を目指す方は、司法試験合格ばかりに気がいってしまいがちです。司法試験合格後には何をすれば良いのかあまり知らない人がいるのではないでしょうか?
この記事を読めば、弁護士の就職難についてや就職率など、司法試験後の詳しい就活事情について知ることができます。
これで弁護士になるために必要な知識を得て、気持ちよく就活をしましょう!
弁護士の就職の実態についてざっくり説明すると
- 弁護士になる人の大半は司法試験合格後に就活をする
- 都心での就職へのこだわりがなければ、問題なく就活ができる
- 内定には学歴よりもコミュニケーション力が大切
- 社会経験がある方が就職に有利
司法試験合格後には就活が待っている
難しい司法試験の合格した後には、そのまま仕事につけるわけでは無く、就職活動をする必要があります。一般的な新卒の就活などと同じように司法試験合格者同士で就職先の奪い合いをしなければならないのです。
一般的に四大法律事務所と呼ばれているような人気の法律事務所などは倍率が高いです。過度の勧誘競争を避けるために紳士協定が結ばれており、司法試験の翌月である6月から就職活動が開始します。
残念ながら、司法試験に合格したからといって誰もが第一志望の就職先に行けるわけではありません。
弁護士も就活をするのが普通
弁護士になる人の大半は就職活動を行います。しかし一方で、先輩のコネなどで就活をほとんどせずに勤務先を決定する人もいます。
また、司法試験合格者には法務省より進路についての司法試験合格者説明会が開催されます。
司法試験合格者説明会では、 現職の方が合格者の質問に答え、不安を解消してくれます。参加者は,少人数のグループに分かれ,各グループごとに現職検事から体験談等を聞くことができるので,細かな部分まで質問等することができます。
必要な情報を得て落ち着いて就活に臨むために、司法試験合格者には説明会に是非参加しましょう。
司法修習生の就活事情
続いて司法修習生の就活事情について説明していきます。
司法試験を合格した司法修習生は、実務修習地の希望を提出しなければなりません。しかし、修習地の希望を出す段階から就職活動の有利不利が始まっているのです。
首都圏で就職したい人
首都圏での就職を考えている人は、関東での修習地を選択しましょう。
修習地を「実家が地方にあるから」などの理由で安易に地方を選んでしまうと、それが影響して就職の際に困ってしまう可能性が高いです。
司法修習生の就職率
就職する人の割合は年々増えています。
現在、司法試験合格者の90%以上が法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)への就職を行なっています。
中でも、司法修習生の78%ほどが法律事務所への就職を選択しています。つまり司法試験合格者は、司法修習と並行して法律事務所への就職活動を行うのが一般的といえるでしょう。
弁護士は就職難は事実なのか
実際に弁護士になろうとする人たちは就職難に直面しているのでしょうか? まず、都心での就職活動が昔より厳しくなっていることは事実です。
主な理由は、弁護士の大幅な増加です。
司法試験の合格者数は、かつては年間500人程度でした。司法制度改革に伴い、合格者数は平成24年には2,100人を超え、弁護士人口は爆発的に増加しました。
平成26年には合格者数は減少に転じたものの、現在でも弁護士は年々1,200人以上増えており、弁護士人口の増加傾向は続いています。
さらに弁護士数が増えているにも関わらず、裁判の件数はむしろ年々減少傾向にあります。
これによって弁護士の平均年収に減少傾向が見られるのです。
一方で、地方での弁護士の数は非常に少ないです。したがって、都心での就職への強いこだわりがなければ、全く問題なく就活ができるといえるでしょう。
就職率のデータからも、就職難というのは確かに昔に比べれば、そう言えるものではありますが、そこまで心配する必要はありません。
就職先別の給与形態
司法試験合格者の就職先は主に、法律事務所と企業の二つに分かれます。
法律事務所は、一人または複数の弁護士から構成される事業体で、弁護士はクライアントからの依頼により法律事務を行います。
対して企業内弁護士は、企業に雇用されて専属の弁護士として企業法務を請け負う人をさします。
それぞれの初任給
それぞれの初任給は以下の通りです。
勤務形態 | 初任給 |
---|---|
大手法律事務所 | 1000万円以上 |
小規模法律事務所 | 約500万円 |
企業内弁護士 | 約400万〜600万円 |
どの勤務形態でも初任給が高いことがみてとれますね。
事務所ごとの業務上の特徴
弁護士事務所は主に4種類に大別できます。以下でそれぞれについて見ていきましょう。
- 四大法律事務所
4大法律事務所とは、西村あさひ法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所の法律事務所のことです。
いずれも400名以上の弁護士が働いており、主に企業を顧客として幅広いリーガルサービスを提供しています。
- 外資系法律事務所
外資系法律事務所は、外国の法律事務所の傘下あるいは提携関係にある法律事務所です。国内の案件に加えて外国の案件も多く扱っています。
- 企業法務系法律事務所
企業法務系法律事務所は、所属弁護士数が数十名以上の少数精鋭の法律事務所です。主に一般的な企業法務全般を提供しています。
- 一般民事系法律事務所
一般民事系法律事務所とは、所属弁護士数が10名以上の中規模~大規模事務所です。支店展開も積極的に進めており、民事事件を主に扱っています。
就職活動の際には、それぞれの事務所の特徴を踏まえた上で選ぶことが必要ですね。
多くの方が気になる法律事務所の詳細については下記の記事をご覧ください。
弁護士の多様な活躍場所
弁護士の活動場所は、上記のような弁護士事務所に勤める以外にもあるのでしょうか?
実は、一般企業の法務部に行ったり、企業内弁護士、国家公務員、メディアで活躍する人も多くいるのです。
企業内弁護士が増えている
特に企業内弁護士は最近かなり数が増えている人気の就職先です。
企業内弁護士とは、企業が雇用する専任の弁護士です。弁護士資格を有しながら、企業に従業員や役員として在籍し、自社の法務問題の処理などに従事する専門人材です。
企業内弁護士のメリットは、普通の法律事務所に行くよりも、フレキシブルに働けたり、給与の面でも待遇が良かったりすることなどがあります。
現在弁護士が増加しているため、今後も企業内弁護士の人気上昇は続くでしょう。
就活に強い弁護士
弁護士も一般企業へ就職する人と同じように司法試験合格後には就活をしなくてはなりません。
さらに競争相手も同じ司法試験合格者であるため、そのほかに強みなどを持っている事が重要となってきます。
学歴は影響するの?
弁護士の就活に学歴は、面接などでは多少は影響する傾向があります。しかし、それ以外の側面も大きな評価対象となるので、学歴だけで大きく不利になることはありません。
一方で、首都圏の難関と言われる大学出身者と、地方の大学出身者とでは情報量などにおいて大きな差が存在することは事実です。
これにより、結果的に高学歴の人の方がかなり就活で有利になってしまっている現状があります。
OB訪問がしやすい
首都圏の大学出身者の方がOB訪問がしやすいため、就活に有利だといえます。首都圏の大学出身者は現役弁護士の先輩が多く、先輩が働いている事務所に比較的簡単に繋がる事ができます。
このように、学歴採用が顕著にあるわけではありませんが、結果的に学歴は少なからず影響していると言えるでしょう。
第一志望から内定をもらうためには
弁護士志望者が第一志望から内定をもらうためには、コミュニケーション能力が必要となります。なぜなら弁護士の仕事は人と人の間に起こる問題を解決する仕事であるためです。
判例をたくさん覚えている事や、法律についての知識がたくさんある事のみでは、弁護士として活躍することは難しくなっていることは事実です。
したがって、今の時代は自分から積極的に案件を取りに行かなければ、弁護士も仕事を見つけることが難しいために、積極性のある弁護士が求められています。
30代40代弁護士の就職への影響
最近では予備試験受験生が増えており、社会人をやりながら司法試験に合格する人も増加しています。その場合には、合格年齢を気にしている人もいるでしょう。
以下に、社会経験の有無や年齢の就活への影響について説明していきます。
社会経験がない場合
社会経験がない場合は、年齢が高いことが敬遠されるというよりは、長年司法試験の受験に専念してきたという点でマイナス評価されることがあります。
即戦力として勤務できないことが、多少デメリットとしてあげられるでしょう。社会人経験がないと、実際の事件に対してアドバイスの「引き出し」が乏しく、教科書どおりの回答しかできない場面が多いのです。
社会経験がある場合
一方で、社会経験がある場合は、就活が比較的しやすいです。豊富な社会経験を生かして即戦力として活躍できる可能性があるからです。
社会人経験が豊富だと、法律的でない応対もできるので、相談し者の話に共感できることが増えます。したがって、相談者の満足度も高まりやすいです。
営業経験、管理職経験があれば、法律事務所拡大へ大きな力になるため、就活にむしろ好影響を与えると言えるでしょう。
年齢制限はないの?
転職市場においては年齢が重要な指標となることが多いですが、それは弁護士においても当てはまります。一般的に、若く司法試験に合格した人が就活において有利となる傾向がみられます。
一方で、何歳だからダメと言うような決まりはなく、就職先によっては40代50代でも就職に成功できます。
4大法律事務所の場合は別
ただし、4大法律事務所においては学歴、浪人回数などの年齢がかなり重要視されることに注意するべきです。
4大弁護士事務所に関しては、東京大学、京都大学、慶應義塾大学、一橋大学出身で、なおかつ早期に司法試験に合格した人でほど採用されやすいといえるでしょう。
地方での弁護士需要の増加
現在、弁護士は都市圏に集中しているので、地方における弁護士の需要は確実に大きくなっています。
弁護士もその資格を得るために費やした時間と費用を考えると、ビジネス需要の多い都市圏で働きたい人が大部分です。多くの地方出身者は都会に就職をするため、特にこれまで近所に弁護士がいなかった地方における弁護士の需要は高いです。
以上のこと踏まえると、地方での弁護士の需要は高いと言えるでしょう。地方で弁護士活動をしていると、地方の経済規模の収縮と人口減少を肌で感じることができます。
就活中の司法修習生は、地方での就職も検討してみてはいかがでしょうか?
弁護士の就職の実態に関するまとめ
弁護士の就職の実態に関するまとめ
- 都心に置いて就職難はあるが、地方での弁護士需要は高い
- 第一志望の内定獲得には積極性が大事
- 社会経験がある方が就職しやすい
司法試験後の就活において、正しい情報と知識があれば、恐れることはありません。これから試験を受ける方は就活事情を踏まえつつ、試験勉強に励みましょう。
試験合格者は、第一志望内定を目指して頑張ってください!