税理士補助の仕事内容や年収・求人事情は?働きながらの税理士試験合格は可能?
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税理士
脇田弥輝
「税理士補助ってどんな仕事をするの?」
「事務所で働きながら税理士の資格を目指すことはできるの?」
税理士補助という仕事をご存知でしょうか?おもに税理士のサポートを行いますが、税理士を目指している人、税理士の業界で働いてみたい人におすすめしたい仕事の一つです。
ここでは税理士補助の仕事内容や年収・求人事情について、働きながら税理士試験合格は可能か?ということも交えて徹底解説します!
これを読めば税理士補助の仕事についてはバッチリです!
税理士補助についてざっくり説明すると
- 税理士補助の仕事内容は、税理士の独占業務以外のサポートが中心である。
- 事務所の環境によっては事務員の仕事がきついところもある
- 給料や年収は高いところもあるが、残業が求められることもある。
- 未経験者には転職が厳しくなりやすいが、経験者は30代以降でも転職できる可能性は高い。
税理士補助は独占業務以外を行うサポート役
税理士補助とは、税理士事務所などで税理士の仕事を手伝う事務員、いわゆる税理士をサポートする人のことです。
税理士補助は税理士資格を必要としませんが、将来的に税理士を目指して勉強している人、税理士の現場で働きたい人、会計の仕事に携わりたい人など、色々な人におすすめな事務職です。
大学生や20~30代での税理士資格取得を目指す人には幅広く人気な職業であり、アルバイト・パートや派遣社員として家庭と両立を図る主婦の人などにもおすすめです。
では、税理士補助とは具体的にどのような仕事をするのでしょうか?ここから税理士補助の仕事内容を中心に詳しくみていきたいと思います。
税理士補助の仕事内容は?
税理士の独占業務には大きく以下の3つがあります。
- 税務代理:納税者に代わって税金の申告や税務署とのやり取りなどを行う。
- 税務書類の作成:確定申告書や決算書など、税金を申告するのに必要な書類を作成する。
- 税務相談:合法な範囲で税金に関する相談に乗り、アドバイスを行う。
上記の独占業務は有償・無償にかかわらず、税理士だけにしか行うことができません。
では税理士補助はどんな仕事をするのかというと、税理士の独占業務以外のサポート業務を行いますが、例として以下があげられます。
- 経理事務代行(領収書のチェック、会計ソフトを使用した伝票入力、資料の作成、税務関連書類のファイリングなど)
- 顧問先を訪問して帳簿の整合性を確認したり、税務相談にならない範囲で相談や助言を行う。
担当する仕事は事務所による
税理士には、独占業務の他にも付随的な業務が幅広く依頼されますので、税理士だけで全ての業務を回せなくなることもあります。
そこで税理士補助が業務をサポートをすることで、税理士は独占業務に専念することができます。ただ、税理士補助がどの仕事を担当するかは事務所にもよります。
小規模な事務所など、税理士が独占業務もそれ以外の業務も一人で行うことがあったり、逆に税理士補助に付随的な業務が任されるケースもあります。
正社員とパートで役割も異なる
税理士補助の業務といっても正社員とパートでは内容も異なります。
正社員では顧問先の巡回訪問があります。顧問先の経営者やその家族、経理担当者と書類のやり取りをしたり、コンサルティング等も行います。日常的な会計業務から年末調整や決算に関する作業まで、仕事は多岐にわたります。
パートだと伝票入力や仕訳作業などの事務的な仕事が中心になります。外回りやコンサルティング業務などはまかされないので、専門的な知識がなくても仕事ができます。
税理士補助として働くには
税理士補助として働くにはどうすれば良いのでしょうか? ここでは転職・就職について、給与面にも触れつつ確認していきます。
税理士補助の転職・就職は?未経験でも可能?
実際の雇用ではどうしても経験者や科目合格者が優遇されてしまいがちです。
会計事務所や一般企業での総務部や経理部での実務経験があるとプラスになります。
未経験者ならば最低でも日商簿記2級資格は保有しておきたいところで、可能であれば簿記1級や全経簿記上級の合格者が望ましいといえます。
基本的には未経験者には厳しいものの、資格不問、未経験者歓迎の募集もあるため、よく求人を確認して応募することをおすすめします。
税理士補助の給与・年収は?
税理士補助の給与と年収の目安を以下にあげてみます。
- 未経験者の場合、月給20~30万円+α(賞与、残業手当など)→300万~400万円
- 経験者であれば、月給25~40万円+α→400万~600万円
高給のところも少なくないですが、その分残業が求められるなど忙しいことも多く注意が必要です。
特に1月~3月は年末調整や確定申告の業務によって繁忙期となるので、時間を割けるのかをよく考えなければなりません。
税理士事務所はブラックってホント?
税理士補助としてやりがいのある仕事がしたいのは当然のことです。しかし税理士補助はきついという口コミが散見されるのも事実です。
従業員を大切にしてくれる税理士事務所もあれば、不当な残業、低賃金、パワハラなどがあったり、残念ながらブラックと呼ばれるような事務所もあるのが現状です。
さまざまな事務所があるので冷静に見極めることが大切です。
事務所の雰囲気に大きく左右される
税理士事務所は個人事業主の形態をとっているので、所長の税理士の方のスタンスによって事務所の雰囲気や働きやすさが大きく変わってきます。
離職率が高く人の入れ替わりが激しい、若いスタッフだけ、男性と女性の比率が極端に偏っている事務所は要注意です。労働環境が悪かったり所長に問題がある可能性があります。
後悔しないためにも事務所選びの際は「この人の事務所なら良さそうだ」と思えるような人が所長である事務所にすることが大切です。
繁忙期は残業が続く?
税理士事務所では年末から3月ごろにかけて繁忙期となり、年末調整や確定申告に関わる業務が大量に回ってくるということもあり、その時期はどこの事務所も忙しくなります。
税理士受験生や主婦の人は、事情を伝えれば早く帰宅することもできる場合が多いですが、それこそ事務所の雰囲気によるので、事務所選びはかなり重要です。
税理士補助として働きながら税理士試験合格を目指す人も
税理士補助として勤務しながら税理士試験合格を目指すことも一つの手段です。
税理士の仕事を間近でみることができ、書類作成などの実務経験を積むことができるという利点があります。
また税理士資格を取得しても2年の実務経験が必要であることも加味すると、税理士補助として働きながら税理士資格取得を目指すことは効率的であるとも考えられます。
実際、税理士補助者の仕事をしながら合格している人も居ます。しかし働きながら難関である税理士試験に合格するのは簡単なことではありません。
税理士補助をしながらの勉強は可能?
税理士補助として働きながら勉強することのメリットとして、実際に書類作成された書類を目にすることができたり、業務内容が理解できて勉強がはかどるということがあります。
デメリットとしては、仕事が忙しく勉強時間を確保できない恐れがあります。特に忙しい時には仕事の疲れやストレスももあり、勉強が続けられるかは気力と体力との戦いになります。
事務所側からしても、受験生であるかどうかに関わらず仕事はきっちりやってもらいたいでしょうし、受験生に協力的とは言い難い事務所もあるようです。
特に受験生を歓迎してくれる環境であるかどうかは、所長の考えだったり事務所によって左右されます。
事前によく確認してから働き始めることをおすすめします。
税理士事務所の求人は多い?
税理士補助の求人は増えています。 税理士業界全体で人手不足な状況にあるからです。
人手不足の背景としては、確定申告をする人の増加、事務員の給料が他の 業界よりも安い、税理士事務所の規模が大きくなっていることなどがあげられます。
というわけで税理士補助として勤めるハードルが下がっています。
個人事務所なら30代や40代以上でも転職しやすい?
個人事務所では即戦力が求められるので、働くためには実務経験や税理士試験の科目合格などが重視されます。
一方で即戦力になるのであれば、年齢を問わず採用されるケースが多いので、一般に転職が難しくなるとされる30代後半や40代以上でも転職できるといえます。
個人の税理士事務所では経験や実力を重視する傾向があるので、年齢制限を心配しすぎる必要はありません。ただし日頃からスキルを積んでコミュニケーション能力を磨けるように意識することも大切です。
税理士法人の人材の見方は一般企業に近い
税理士法人であれば従業員の育成力もあるので、最初から豊富な実務経験などが求められるケースは少ないです。
個人事務所よりは一般企業に近いので、年齢とともに転職難易度は高くなりやすいです。さらに、40代以降になると管理職的な役割も求められるようになるので、マネジメント経験があると転職に役立ちます。
また、長く働いてくれる人材を好むので、税理士として独立したい人でも、その気持を前面に押し出すと採用に不利になる可能性があります。
税理士補助に向いているのはどんな人?
税理士補助に向いている人としては、パソコンのスキルがあり細かい作業ができる人、事務や雑用が苦痛にならない人、人と接することが好きな人などがあげられます。
一般的に女性は作業が丁寧で事務的な仕事が向いているとも言われており、年齢に関わらず長く続けやすい仕事という意味でもおすすめです。
税理士補助まとめ
税理士補助まとめ
- 税理士補助の仕事内容は、事務所や正社員・パートかによっても異なる。
- 税理士業界は人手不足なので転職の可能性は広がっている。
- 事務所の雰囲気は所長によっても変わるので、納得のいく事務所選びが大切である。
ここまで税理士補助の仕事内容や年収・求人事情について、あらゆる角度から詳しくみてきました。
税理士補助は税理士試験合格を目指す人、パートやアルバイトとして働きたい人など、さまざまな人におすすめな仕事です。
ぜひ税理士補助としてスキルアップしてみませんか?