税理士の転職はどうすればいいの?今後の需要や就職難の噂も徹底検証!

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税理士

脇田弥輝

「税理士って就職難って言われてるけど転職先は実際にあるの?」

「税理士って今後も需要はあるの?また将来性はどうなの?」

このような疑問やお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

税理士は人気の高い国家資格として知られていますが、インターネット上では「仕事がない」や「就職難」といった書き込みも散見されます。

実際は需要があるのでしょうか?また将来性はどうなのでしょうか?

ここでは税理士の転職事情や求人状況を解説します!また、税理士の今後の需要についても考察します

税理士の転職についてざっくり説明すると

  • 就職難と言われていたのは昔のこと
  • AIなどの技術の発達は税理士にとってプラスの側面も与える
  • 税理士の就職・転職市場は超がつくほど売り手市場になっている

税理士の転職難はウソ?需要と供給が逆転

働くサラリーマン

インターネット上では税理士が就職難で、「税理士は食えない」「転職口がない」「今後仕事がなくなる」などといわれがちですが、最近は転職市場の発展などもあり回復傾向にあります。

こちらではそんな税理士業界での転職の現状について詳しく伝えていきます。

有効求人倍率は軒並み上昇

厚生労働省の発表する有効求人倍率は、2016年からおおむね上昇を続けており、あらゆる職種で求人数が増加しています。

それに伴い「仕事がない」と揶揄されていた税理士業界でも、求人数に改善が見られ買い手市場から売り手市場に転換しています。

また、税理士は慢性的に人手不足の状態が続いており、税理士資格を持っているだけで様々な方面から貴重な人材として重宝されるでしょう。

日本では税金に詳しい一般人はほとんど存在しないので、法人向けから個人向けの業務まで、税金のプロフェッショナルとして税理士が活躍するフィールドは今後も広がっていくでしょう。

転職も売り手市場に

税理士の受験者数の減少などもあり、現在の税理士転職業界は深刻な人手不足に悩まされています。

そのため、税理士の転職市場においては「税理士」だけでなく「税理士試験科目合格者」などの市場価値も高まっているのです。

企業の経理部門や会計事務所・税理士事務所にとって税理士試験の合格者(科目合格者を含む)は喉から手がでるほど欲しい人材であり、今は空前の売り手市場と言えるのです。

税理士が「食える資格」になった理由

キャリアウーマンの画像

それでは、なぜ「食えない資格」の代表例だった税理士業界がこのように売り手市場になったのでしょうか?

ここではその具体的な理由を解説します。

若手税理士受験者の減少

税理士業界が人手不足に陥っている原因として、税理士の受験者数や合格者数が減っていることが挙げられます。

受験者数は、2010年までは5万人を越える数でしたが、その後徐々に減り続けて2018年は30850人でした。

合格者数は、2012年までは概ね1000人を超えていましたが、その後徐々に減り続けて2018年は672人でした。

若手の税理士受験者が減ってしまった原因に、就職難だったリーマンショック以降「税理士は食えない」というイメージが定着してしまったことと、近年のITの発達により「税理士はAIにより仕事がなくなる」という噂が広まっていることに原因があるものと推測されます。

税理士法人が増加

税理士業界が人手不足であるもう一つの理由として、2001年に行われた法改正があります。

この年の法改正により、税理士法人の設立が認められました。

それまでは個人事務所が主体だった税理士業界に変革が起き、税理士100名以上を抱えるような中堅税理士法人の数が増加して、それに伴い税理士の需要も増加したのです。

最近はテレビCMなとでも税理士法人の広告が増えていますが、それは法改正により税理士法人が急増したことが理由なのです。

景気が良くなった

税理士の需要は会社の数と大きな関係があり、景気に左右されやすい仕事です。

リーマンショックで激減した法人数も、現在ではアベノミクスによる景気の回復と共に、有効求人倍率や法人数・黒字企業の割合も増加しています。

そのため、税務業務や関連業務であるコンサルティング業務など税理士に回される業務の数が増えてきたことも一因となっています。

法改正が相次いだ

近年は、マイナンバー法の施行や消費税の増税、相続税の大幅改定など様々な法改正により税理士の仕事が増えています。

そして、それに伴い税理士の人手不足が起きているのが実情です。

近年の増税ラッシュの影響で、消費者の節税マインドが高まり、様々な方面から節税に関するアドバイスが求められるようになっているのです。

そのときに、税のプロフェッショナルである税理士が活躍できるのです。

税理士の転職先にはどんなところがあるの?

職場の風景

次に、税理士の転職先としておすすめの所を紹介します。

税理士法人・事務所

税理士資格を生かした転職で真っ先に思い浮かぶのが税理士事務所や税理士法人です。

様々な求人が出ている中でも、個人税理士事務所や税理士法人、BIG4(PwC税理士法人、デロイトトーマツ税理士法人、KPMG税理士法人、EY税理士法人の大手会計事務所の4社)が有名で、年代別に求められる能力やスキルは異なります

20代は他の大企業同様にポテンシャル、30代になると税理士試験の科目合格状況や実務経験の多さ、40代以降は税理士資格の有無やマネジメント能力が重視されます。

税理士はどこに行っても貴重な人材として重宝されるものですが、日頃から税務の知識や実務能力を磨いて、高い期待に応えられるようにしないといけません。

金融機関

税理士の資格は、金融機関でも生かすことができます。

具体的には、住宅ローンの融資などをするときに住宅ローン控除という税金優遇制度が密接に絡んでくるため、このようなときに税理士としての知識が生かすことができます。

実際に、豊富な税務知識を活かして金融機関に就職する税理士も一定数おり、様々な部署で活躍しています。

金融機関では主に税務業務や財務業務を担う「バックオフィス」としての勤務と、クライアントとの交渉やアドバイスを担う「フロントオフィス」としての転職があります。

金融機関では、事務作業が得意な人・コンサルティング業務や対面業務が得意な人など、自分のこれまでの経歴や得意分野を生かして働き方ができるのです

コンサルティング業界

税金のプロフェッショナルとして、税理士は様々な場面でコンサルティング業務を行うことがあります

税理士は高度な税務知識と実務経験を持つため、企業の吸収合併や提携・コスト削減や試算活用・企業再生戦略などをアドバイスするコンサルティングファームに転職する人も多いです。

また、最近は「節税アドバイザー」などといった形でコンサルティング業務や経済誌のコラム執筆をしている税理士もいます。

コンサルティング業務の給与水準は高く、税理士としての税務知識や経営経験を活かしたい方や高収入を目指したい方におすすめの業界です。

その他一般企業の経理部など

経理などの部署は全ての会社に不可欠です。

そのため、企業の税務を自分で行ってしまう企業の場合、税理士資格を持つ方は非常に優遇されます。

税理士資格を持っていれば年末調整や決算などの繁忙期に、会社にとってはとてもありがたい存在となるためです。

一般企業では経理の責任者等への昇進も可能であり、安定的な収入を求める方にはおすすめです。

また、会社の規則によっては税理士資格を持っていることで資格手当が支給されるケースもあります

相場は月に3~5万円程度と高く、資格を持っているだけで年収が数十万円アップする計算になるため、転職先に確認してみると良いでしょう。

転職後の年収はどれくらい?

豚の貯金箱

会計事務所や税理士法人等に勤務する場合

税理士の業界では10~99人前後の中規模のところが多く、2018年に実施された賃金構造基本統計調査によると、税理士の平均年収は以下のようになっています。

性別 平均年収 月給 賞与
男性 703万円 49.9万円 104.4万円
女性 460万円 31.6万円 81.2万円

男性女性ともに日本の平均年収よりは高いものの、一般的な税理士のイメージよりは収入が低い印象があるかもしれません。

女性の平均年収が男性と比べて大きく下がるのは、パートとして働いている人が多く、平均を下げていることが理由と推測されます。

会計事務所や税理士法人勤務で高収入を得るには?

前述したBIG4であれば、大手一般企業と同水準かそれ以上の年収が期待できます。

具体的な数字だと、年収1000万円以上も比較的簡単に達成できるでしょう。

一方、小規模な事務所では高年収を全く狙えないかというと、そうではなく、小規模事務所であっても幹部クラスになることで年収1000万以上稼ぐこともできます。

また、小規模事務所で幹部クラスになるのはそこまで難しいことではないため、昇格に伴って年収も上がっていくでしょう。

一般企業などに勤務する場合

一般企業に勤務する場合、税理士は「開業登録」をして企業に勤める「企業内税理士」として働くことになります。

企業内税理士の給料は上記の調査では調べられていませんが、一般に事務所勤務の場合よりも高い傾向にあります。

特に税理士の主な勤務先である金融機関やコンサルティング業界は、年収水準が高く、40代以上であれば年収1000万円も狙えます。

若手の人材がすべきことは?

かわいい若手

若手税理士の需要が高まる中で、若手の税理士や税理士志望者は何をすべきなのでしょうか?

若手の市場価値は高まる一方

現在の税理士市場では、若手の税理士や税理士志望者の市場での価値が極端に上がっています。

例えば、昔の税理士法人は「税理士有資格者」や「税理士科目3~4科目以上の合格者」しか採用しか採用されなかったものの、今では「2科目以上の合格者」や時には「会計実務未経験の人材」までも採用し始めています

つまり即戦力ではなく有望な若手を採用して一人前の税理士にする環境整備が進んでいるのです。

そのため、福利厚生や職場環境など様々な要素を勘案して就職・転職する会社を選べるようになってきています。

中長期を見据えた戦略を

若手税理士は、市場価値の上昇に伴い税理士事務所やその他の業界への転職が簡単になってきているものの、転職先を選ぶ場合は将来の自分のビジョンや、まだ税理士試験に受かっていない場合は働きながらの受験をサポートしてくれるか等についてもしっかり考える必要があります。

もし税理士資格を取っている場合でも、機械化やAI導入により事務作業自体は減っていくため、コンサルティング業務などAIに代替されないような専門業務や得意業務を身につけていく必要があります。

きめ細かい心配りやサービスの提供はAIでは不可能なため、必ず人間の労力が必要となります。

そのため、機械化の波に負けないように日ごろから営業力を磨いたり、他の資格の取得を目指して幅広い知識を取り入れるなどの努力は欠かせません。

税理士には開業という道も

税理士は独占業務がある上に、顧問契約も結びやすいので、非常に独立がしやすい資格です。開業税理士の平均年収は3000万円とも言われており、非常に高い収入を狙えます。

しかし、当然ですが開業しても自動的に仕事が降ってくるわけではなく、無計画に開業しても顧客を獲得することはできません。営業や宣伝活動などは欠かさずに行っていく必要があります。

そのため、独立開業を目指すのであればしっかりと勤務経験を積んで実務を身に付けるなど、入念な準備が欠かせません。加えて、税理士事務所などで勤務しながら事務所経営のノウハウなども学んでいくといいでしょう。

30代40代以上の税理士のおすすめ転職先は?

30代っぽい人

次に、30~50代の転職事情のおすすめの転職先を紹介していきます。

30代におすすめの転職先

30代は20代と違い、ある程度の実務経験を積んでいます。そのため、実務経験を活かし、スペシャリストを求める大手企業がおすすめです。

スペシャリストが求められるため、税金の中でも専門の分野を確立して選んだ分野であれば誰にも負けないような税理士を目指しましょう。

また、20代よりも合格している科目数も増え、税理士の合格に確実に近づいていることから選べる求人の数も増えます。自分の経歴や得意分野に合わせた転職先を選んでいきましょう。

40代におすすめの転職先

年齢を重ねるごとに転職市場では不利になっていくため、40代のおすすめの転職先は専門性の高い外資系企業か、即戦力を求めているベンチャー企業です。

40代になると若手とは言えなくなる年齢です。自然と部下も増え、また20代と30代以上に経験値が高いため実務能力だけでなく中間管理職としてチームをマネジメントする能力も求められます。

そのため、様々な実地経験を積んでいる専門性の高い経験者が求められることから、海外企業や外資系企業、又はベンチャー企業がおススメの転職先となります

50代におすすめの転職先

50代にもなると、税理士業界では独立開業している人も増えますが、これまで長年培ってきた経験を生かせるコンサルティング業界がオススメの転職先となります。

コンサルティング業務は経験値が高いベテランであるほど顧客から信頼を得られるため、これまでの経歴や実績を生かして顧客と信頼関係を築いていけるでしょう。

マネージャーや管理職としての実績があれば、より信頼感が増すため、積極的にアピールするようにしてください。

税理士の求人はどこで探す?

転職のイメージ 基本的に求人を探す際は複数の転職エージェントに登録することになります。

就職や転職は人生の極めて大きな転機となります。いずれも特に利用費は掛からないので、なるべく多くの求人をチェックして自分に合った転職先を選べるように最善を尽くすのが良いでしょう

税理士の資格を最大限に活かして転職したい場合

税理士の資格をフル活用してハイレベルな転職を成功させたい場合は、士業特化型の転職エージェントであるMS-Japanを利用するのが良いでしょう。

MS-Japanは管理部門・士業の転職相談率No.1という、極めて高い実績と評判を兼ね備えているので、士業の代表ともいえる税理士の転職にはぴったりでしょう。

会員登録をすることで年収1000万円を超える税理士求人や、経理・財務の管理部門への転職情報をチェックすることができます。

また、「税理士科目合格者」向けの求人も探せるので、これから実務経験を積みたいという税理士受験生の方でも利用できるでしょう。

MS-Japanの公式サイトはこちら

大手求人サイトは少々使いにくい

税理士ほど専門性が高い資格の場合、一般大衆向けの大手求人サイトでは税理士の強みをしっかりと活かせる会社を探すのはなかなか難しいです

そのため、様々な求人を見ておくために登録しておくのも良いですが、求人探しのメインは上述のような士業特化型、有資格者特化型の転職エージェントで行うのをおすすめします。

税理士の転職事情まとめ

税理士の転職まとめ

  • 税理士業界は慢性的な人手不足であり、税理士の転職は超売り手市場である
  • 税理士の需要上昇は景気の回復や法改正による影響によるもの
  • 転職先の候補も多く、年収も高い

税理士が「仕事がない」などと言われるのは、現在においては誤りであることがお分かりいただけたと思います。

税理士は社会的に貴重な人材であるため、どこに行っても頼られるのです。

非常に難易度の高い税理士資格ですが、努力して取得を目指す価値は十分にあると言えるでしょう。

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