宅建試験の平均受験回数は?何年も不合格にならないために気をつけること

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宅建士

関口秀人

「宅建を資格を目指しているけど、合格までの平均受験回数ってどれくらいなのかな?」

「宅建試験に落ちてしまったけど、周りはみんな一発合格しているものなの?」

宅建試験に向けて勉強している方であれば、誰しもこのような疑問を持つことになるかと思います。

特に「宅建試験は簡単だ」という噂を耳にしたことのある方であれば、一発合格をするのが普通だと思い込んでしまったり、不合格になってしまい自己嫌悪に陥ってしまうこともあるかもしれません

そこでここでは宅建試験の平均受験回数をお伝えしつつ、受験回数から分かる宅建試験の本当の難易度や合格率を解説します!

宅建試験の受験回数についてざっくり説明すると

  • 宅建合格までの平均受験回数は2回
  • 宅建試験合格率は例年16%程度
  • 過去問の演習が非常に効果的
  • 一発合格するためにはコツがある

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宅建試験の平均受験回数は2回

みなさんの疑問 宅建試験の合格までの平均受験回数は2回です

しかし、これは2回で合格する人が最も多いということではありません

宅建試験は一発合格する人が4割前後で最も多く、残りは2回と3回に集中している傾向があります。

また、5回以上チャレンジされて合格される方も一定割合いらっしゃるので、これらの平均を取ると2回前後という数字になるわけです。

もちろん中には何度も不合格になって取得を諦める人もいるため、5回以上受験すれば確実に受かるということではないということに注意しましょう。

受験年度によっても回数は変わりうる

宅建士試験は合格基準点が一定ではなく毎年変動します。

そのため、難易度が高く合格率の低い年に受験した場合、例年なら合格できたはずの人が落ちてしまうことも有り得る試験です。

例えば、2010年度試験や2013年度試験では特に合格率が低く、合格しづらい年でした。

特に宅建が宅建士と士業化し宅建士試験に変わってからは、試験が全体的に難化して合格率が低い水準で安定しており、簡単には合格できなくなっています。

今後はさらに一発合格が難しくなる?

宅建士は人気資格であるため、宅建の受験者数は年々増加しています。

一方で宅建の合格者数は毎年ほぼ一定であり、それは今後も変わらないことが予測されます。

受験者数が増えれば増えるほど合格率が低くなる、つまり難易度が上がることが、今後の試験でも予想されます

宅建は何回も再チャレンジする価値があるのか

就職や転職に非常に有利になる

宅地建物取引業法という法律の中で、宅地建物取引を行う企業では(不動産業者のことです)、従業員の内、宅建の資格保持者が5人に1人以上の割合でいなければならない、と規定されています。

そのため、宅建士の需要は常に大きいです。

また、金融業界でも、銀行などで住宅ローンの貸し出しの際にで不動産の価値を見出さないといけないので必要とされることが多いです。

また資格を持っていると自分の能力のアピールになるのは当然のこと、目標に向かって努力をすることができる人であることのアピールにもなり得ます。

給与に関わる

会社の規定によりますが、一般的に不動産業界だと、宅建士の資格を持っていると資格手当がもらえるケースが多いです。

金額は月に2~3万円程度の会社が多く、資格を持っているだけで年収が20~30万円ほど上がる計算になります。

不動産や法律の知識は私生活でも役立つ

賃貸派と持ち家派の記事など、よく目にしますよね。

私生活において、家を買ったり借りたりするときの条件や資金について、宅建の知識を生かすことができます。

それにより資金について見通しが立ち、また金額を釣り上げられたりしても自己防衛することが可能です

また、民法の知識もトラブルの際に役立つこともあるでしょう。

生涯有効な資格である

宅建試験の合格は生涯にわたって有効です。

国家資格の中には数年ごとの更新が必要で、その資格に関連する業務経験が必須となることもあります。

しかし、宅建試験の合格は一度してしまえば有効期限がなく生涯有効であり、資格登録の際も関係のある業務経験が必ずしも必要ではありません。

資格を活かして独立も可能

宅建士資格は独占業務を活かした独立も可能な資格です。

宅建士の知識を生かして不動産価値の高い場所などを自分自身で判断することも可能となります。

個人の事業として利益を出していくためにはオフィスの場所なども重要になりますが、成功すれば非常に高い年収を叩き出すことも可能です

宅建試験の合格率と合格点

合格に向けて

宅建試験の合格ライン

宅建試験の合格基準点は、50点満点のうち概ね35点が目安となります。

そのため合格ラインはおよそ7割前後と言われていますが、合格点は31点から37点の幅で毎年変動しているという特徴があります。

また、社労士試験などのように科目ごとの得点で足切りになることはなく、必ずしも満遍なく勉強する必要はありません。

しかし、一方で近年では合格ラインが高くなっており、極端に得点率の低い科目があると合格ラインに達しないようになっている傾向にあります。

そのため、勉強を進めていく中で、得意科目・苦手科目を見極めながらどれくらいの得点をとるかの計画をしっかりと立てることも重要になっきます。

8割にあたる40点を目標に勉強を進めていけば安全圏に入れると言えますね。

宅建試験の詳しい合格点については下記の記事を詳しくご覧ください。

宅建試験の合格率はおよそ16%

合格率は例年15%台で安定しています。

試験年度 受験者数 合格者数 合格率
平成26年 192,029人 33,670人 17.5%
平成27年 194,926人 30,028人 15.4%
平成28年 198,463人 30,589人 15.4%
平成29年 209,354人 32,644人 15.6%
平成30年 213,993人 33,360人 15.6%
令和元年度 220,797人 37,481人 17.0%
令和2年度(10月) 168,989人 29,728人 17.6%
令和2年度(12月) 35,261人 4,610人 13.1%
令和3年度(10月) 209,749人 37,579人 17.9%
令和3年度(12月) 24,965人 3,892人 15.6%
令和4年度 226,048人 38,525人 17.0%

受検者数・合格者数・合格率の直近9年間の推移は以上のようになります。

合格率は上下するものの、およそ15~17%の範囲に収まっていることがこちらのデータから読み取ることができます。

また、合格者数の内、2022年試験の合格者の平均年齢は働き盛りと言える36.5歳であり、会社勤めの方でも働きながら取得を目指せる資格といえます。

隙間時間などを有効活用しながら効率的に勉強を進めていけば、充分に合格可能です。

宅建試験の合格率はなぜ低いのか

大きな疑問

合格率と実際の難易度の乖離

宅建士試験には受験資格が特に設けられていません。そのため、極端な例だと中学生や高校生でも受けることができます。

そのため、あまり勉強していない人や本気で合格を目指していない人も実際に受験しているため、このような層が合格率を引き下げている一因です。

合格に必要な勉強時間は300時間程度と言われており、勉強期間は概ね4ヶ月前後で合格ラインにたどり着くことができます。

なので実際の合格のしやすさは合格率が示すほど困難ではありません。しっかりと集中して勉強を進めていけば必ず合格圏に到達できる難易度です。

1点の差で合否が分かれる

宅建士は二次試験などはなく、筆記試験の一発勝負の試験であり、1回の試験で1点でも足りないと不合格になってしまいます。

30点台の前半を得点する受験者が多く、試験終了から合格発表まで最も落ち着かないのが自己採点で30点台前半の方々です。

1点届かずに不合格になった、という例はとても多くありますので、本番はケアレスミスなどによる防げる失点は絶対に避けてください。

また、勉強時間を多く確保できそうな方はできるだけ苦手をつぶし、得点できる範囲を広げていけば合格点に到達できるでしょう。

事前に合格点が決まっていないので、合格発表まで合否がわからないのも宅建士の特徴です。

7割の得点ではなく、満点までは必要ないですが8割の得点を目指すイメージで日々の勉強を進めていきましょう。

民法の攻略なくして合格は難しい

宅建試験の受験生の多くが民法で苦労します。そのため、民法を得点源にすることができれば合格に大きく近づきます。

合格点が低かった年は民法がほとんど得点できなくても合格できた問題であったせいか、難易度が高く対策が難しい民法を捨てて試験に臨む人も多かったのが実態です。

近年では合格ラインがかなり高くなっており、このような苦手科目を捨てる作戦が通用しなくなっています。そのためできる限り苦手意識を持たずに、丁寧にテキストや過去問に取り組んでいきましょう。

どうしても理解ができないときには、問題のパターンを覚えてしまうのも手です。宅建士試験は過去問の類似が多く出題されるので、うまく対応していきましょう。

民法が出題される「権利関係」の科目では14点のうち6~7点は最低でも得点できないと合格は遠いです。

2020年は過去最高の合格点を記録

2020年に民法改正が施行され、今回の改正では民法に広い範囲で影響が出ます。

宅建試験にも民法が出題されるので、この改正により出題にも大きく影響が出ることが予想されていました。

実際の難易度の推移として、民法は試験前からの予想通り難化したため、最新傾向を基に対策を積んだ人とそうでない人の命運がはっきりと分かれる結果になりました。

一方、宅建業法では個数問題が減少したことから、全体として解きやすい問題が多く難易度は易化しています。

また、問題全体を総括すると解きやすい問題が増えたことから、合格点は38点と過去最高の得点を記録しました。

受験者数は近年22万人台で推移

宅建試験の受験者数は、2020年にコロナや大規模法改正が影響して下がったものの、直近2年間は22万人台で推移しています。

今後もこの傾向は継続していくとみられ、しっかりとした学習が求められる試験であると言えるでしょう。

何年も不合格になっても不自然ではない

赤ちゃんとパソコン

合格率の数値を見てわかるように、宅建士は6~7人に一人程度の割合でしか合格できません。そのため不合格になることは珍しいことではないのです。

むしろ数値上は不合格の方が自然な試験になります。

たとえ何年か連続で不合格になってしまったとしても数年継続して勉強を続けているという努力は無駄にはなりません。むしろ何年も勉強してきた人の方が理解度は高く、知識が定着しているといえます。

不動産業界では即戦力の人材を目指していることが多く、これは合格後仕事をするにおいて確実に有利になります。

不合格になった経験をお持ちの方でも、途中で勉強を投げ出してしまうのはもったいないことです。反復を継続してひたすら理解して、覚えることを続けていきましょう。

宅建試験は決して簡単な試験ではありませんが、地道に継続して勉強を続けていくことで確実に合格圏に近づけるはずです!

宅建に一発合格するための勉強法

頭よさそうな人

捨てるべき問題を見極める

宅建士試験では毎年5問くらい、これまで見たことの無いような難問が出てきます。

こうした問題に直面すると戸惑ってしまうものですが、宅建試験は75%程度の得点率で合格できる試験であるため、そのような難問には真剣に取り組む必要は無いのです。

問題の四分の一は解けなくても合格できる計算になるので、捨てる問題と必ず得点する問題の取捨選択は大事になってきます

これは、過去問の演習や模試を通じて養われますので、日頃から本番の試験のつもりで勉強していきましょう。

出題される問題の大半が基礎レベルであり、難問を捨てても十分合格が狙えるということを覚えておきましょう。

範囲は過去問を使って絞る

学習範囲を絞るには過去問学習が有効です。

よく市販の問題集などでは、頻出頻度をA~Cのレベルで表記しているものがありますが、出題頻度AとBに関しては必ず取り組みましょう。

過去問で頻出の問題は確実に押さえ、また繰り返し解き直すことで記憶に定着していきます。

予備校などの講座受講も有効

予備校や通信講座では宅建試験の合格ラインを無駄なく越すために、学習カリキュラムの範囲を非常に精巧に絞っています

もちろん学習範囲を絞ってくれるだけでなく、講座にはプロの講師の授業や便利な学習機能もついてくるので、講座受講生の合格率は極めて高いです。

独学で不合格になってしまった方は、これらの講座の力を借りるのも非常にお勧めです。

通学制の予備校は費用が高いですが、通信講座であれば比較的リーズナブルな価格で受講可能なので、ぜひ一度チェックしてみてください。

暗記科目の対策法

宅建試験では、民法以外全ての科目が暗記科目となります。

特に宅建業法の科目は得点源となり、暗記しているだけで得点できる問題が多いので、重点的に取り組みましょう。

人間は忘れる生き物ですので、暗記のためには反復学習が必須となります。

記憶が曖昧になってきたら繰り返ししつこくテキストなどを読み返しましょう。

模試の活用

大手予備校などでは必ずといっていいほど宅建の模試を開催しています。

本番と同様の雰囲気、時間帯で行われる貴重な機会ですので年に1度は参加するのをお勧めします。

また日頃の勉強がマンネリ化したころに受けるとまた違う刺激を受けることもできます。

受験者全体の順位なども教えてくれたりするので、自分のレベルを知る上でも模試の受験はオススメです。

科目別の勉強法

勉強している風景

民法

法律に関する勉強をしたことがない人にとってはつまずきやすく、得点源にしずらい科目です。

不動産取引の事例を用いた問題は毎年出題されていますので、詐欺・脅迫・錯誤などによる事例は繰り返し過去問演習で記憶に定着させましょう。

不動産売買では必ずかかわってくる抵当権に関する問題も押さえておきましょう。

民法の勉強を進めていく対策としては、苦手意識をできるだけ払拭し、丁寧にテキストと過去問を見比べながら進めていくことです。

また今年は、民法改正で改正箇所が出題されやすい年となっているため、最新の情報をキャッチしたうえで対策を進めていくことが非常に重要になるでしょう。

前述したように民法を得意とする受験生はとても少ないので、ここで得点を多く取れれば極めて有利になります。

宅建の民法の対策法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

宅建業法

最も得点しやすく、また得点源とする受験生が多いです。

そのため、この科目での失点は命取りになりますので、日頃からほぼ完璧に仕上げるつもりで勉強してください

基本的に難易度は低く、暗記が中心となります。出題も単純な数字の引っかけ問題などが多く、時間をかけずに解くことができる問題が多いです。

法令上の制限・税金その他

法令上の制限では国土利用計画法や都市計画法建築基準法、農地法などを中心に出題されます。

また、税金その他では税法や地価公示法などが範囲となってきます。

どちらの科目も宅建業法と同じく暗記を中心に学習を進めていけば問題ないでしょう。繰り返し丁寧に過去問に取り組み、細かい数字などをインプットしていきましょう。

法令上の制限については、以下の記事も参考になります。

宅建試験の平均受験回数まとめ

宅建試験の平均受験回数まとめ

  • 宅建試験の合格者は平均して2回の受験で合格している。
  • 何度か不合格になったことがある場合、勉強法などを工夫してみる。
  • 不合格になっても何も恥じることはなく、繰り返し諦めずに続けることが合格に近づく。

宅建試験合格までの平均受験回数は2回です。

しかし決して簡単な試験ではないので、残念ながら何度も不合格になってしまう人もいます。

繰り返しになりますが、宅建士は難しい試験ですが誰でも受験資格があり、誰でも手が届く資格です。予備校や通信講座なども上手に活用して、本番でベストを尽くし合格をつかみ取ってください。

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