【宅建試験】法令上の制限の傾向と対策・勉強方法を徹底解説!
この記事は専門家に監修されています
宅建士
関口秀人
「宅建試験の法令上の制限が難しすぎる!」
「宅建試験に合格できる勉強法が分からない…」
毎年人気資格の上位にランクインする宅地建物取引士(以下、宅建士)。
人気の秘密は宅地建物の取引業務には、宅建士にしか出来ない業務が多く需要が高いことにあります。
高給も期待できますから人気が出るのも当然ですが、それだけに試験の難易度も高いと言われています。
特に法令上の制限の部分は、毎年難易度が高く合格の大きな壁になっています。
今回はそんな法令上の制限の攻略法について詳しく紹介します。この記事を読んで頂ければ、攻略のための勉強法が理解できるはずです。
宅建試験の法令上の制限をざっくり説明すると
- 法令上の制限は合否の分かれを左右する
- 各法律のポイントを押さえれば合格は不可能ではない
- 忍耐強く暗記と理解を進めることが大切
法令上の制限の概要
宅建士の試験について、もう一度おさらいしておきましょう。
宅建士になるためには年に1回行われる国家試験に合格する必要があります。
試験は以下の4科目で行われます。
科目 | 出題数 | 問題番号 | 目標点 |
---|---|---|---|
宅建業法 | 20問 | 第26問~第45問 | 18点 |
民法 | 10問 | 第1問~第14問 | 8~10点 |
法令 | 8問 | 第15問~22問 | 5点 |
税・その他 | 8問 | 第23問~第25、第46問~第50問 | 5点 |
試験では宅建業法上の重要事項の説明において対象となる、都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものに関する事項の概要について問われます。
簡単にいうと、土地を購入し造成、建物を建てるまでの間に関連する様々な法律の問題です。建築基準法もこれらに含まれますね。
それでは実際に今回のメイン法令上の制限におけるそれぞれの法律問題の概要や攻略方法について解説します。
法令上の制限の重要度
宅建業法はちゃんと勉強すれば誰でも得点を獲得できる範囲です。さらに言うと勉強した人の中であまり差がつくことはありません。
疎かにしてはいけませんが、他の場所でも得点を稼げるようにしなければなりません。
では民法はどうでしょう。
少し勉強すればお分かりになると思いますが、民法はややこしく非常に暗記が難しい範囲です。つまり民法もまた他と点差を広げて優位に立つほどの得点科目にすることは非常に難しいのです。
そして今回お話しする法令上の制限。ここが合否の天王山です。
一番差のつくポイントが法令上の制限なのです。逆に言えば、法令上の制限を確実にすれば1つのアドバンテージを獲得できるというわけです。
法令上の制限の出題数
全50問中法令上の制限は8問出題されます。
実のところ法令上の制限は、暗記さえしてしまえば得点しやすい分野。どれも法律の基本を確認する問題ですので、ポイントをしっかり押さえて暗記すれば心配ありません。
法令上の制限の6分野は大事な得点源ですので8問中5∼6問の正解を目指してください。
法令上の制限で勉強する内容
宅建の試験における法令上の制限とは、土地の利用に関する法律上のしばり(制限)のこと。出題内容は、土地を購入しても所有者が自由にその土地を使用できないという法令のしばりについて問う試験です。
では具体的にどんな法律が存在するのでしょうか。
試験は主に以下の6分野から成立しています。
- 都市計画法
- 建築基準法
- 国土利用計画法
- 農地法
- 土地区画整理法
- 宅地造成等規制法
初めて宅建の試験を受ける方は、どんな法律なのか首をかしげてしまうかもしれません。
分からない法律が6つもありますから、各法律のポイントを押さえて暗記することで、効率的に学習を進めたいものですよね。
次では実際に法律の内容と出題のポイントについてチェックしていきましょう。
法令上の制限の内容的な分類
ここでは先述の宅建試験6分野における内容と出題の傾向・出題数について詳しく確認していきましょう。
法律の種類は先述の通り、大きく分けて6つに分類されます。
例年6つのうち、都市計画法と建築基準法から2題、他から1題について出題されています。
都市計画法と建築基準法は半分の4問を占めるため、重要な科目と言えますが、実際覚えることが多く難易度は高めです。
特に建築基準法では数字の暗記も必要になります。
おすすめは農地法や土地区画整理法、宅地造成等規制法を完璧にして高得点の獲得を目指すことです。
では具体的にどんな問題が出題されているのか、法律ごとに確認していきましょう。
国土利用計画法
国土利用計画法は、ある面積以上の大きな土地の売買時の届け出に関する法律です。
この科目では他の法律と組み合わせて出題される傾向があります。
また届け出が必要な取引に当たるか、要件を暗記して一定規模に満たない土地(届出不用)に当たるかどうかを判断します。
国土利用計画法の難易度自体は低くひねった問題は出ない傾向にあるため、過去問をマスターしておけば対策としては十分です。
例年1問出題されています。
都市計画法
都市計画法は、都市計画を決定し、またその決定手続き等を決めることで都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることを目的とした法律です。
もう少し詳しくお話しすると、一定規模の建築物はその建築を許可制にする、用途地域を定めてその範囲内に建築できる建物を一定のものに限るなどの制限内容を定めています。
要は好き勝手建物を作って景観がこわれたりインフラの整備などが疎かになったりしないようにしているのですね。
都市計画法では数字を聞く問題が頻出。つまり数字を覚えることが必要になります。
しかしポイントを押さえしっかり暗記すれば確実に得点源にすることができる問題であるため、得点安定化のためにも対策は必須となります。
例年2問前後出題されています。
建築基準法
建築基準法は少し名前が有名ですね、建物の敷地や構造などについての法律です。建物の容積率、建ぺい率などを定めています。
都市計画法に似ているいる科目ですのでセットで出題されることもしばしば。しっかり2つ違いを理解しておきましょう。都市計画法と一緒に勉強するのがおすすめです。
都市計画表よりは、具体的な事例のもとにした出題が多いので、勉強しやすいでしょう。
例年2題程度出題されています。
農地法
農地法は農地の転用を規制して農地と農業を守る法律です。農地を農業以外の用途で使う時は届け出が必要になることを定めています。
農地を農地以外に使用する転用を軸に広さ・転用・農水大臣・許可という、複雑な判断が必要となる箇所がありますが、難易度はさほど高くありません。
内容も例年決まったものが出題されていますので暗記さえしっかりしておけば十分得点できる科目です。
例年1問程度出題されています。
土地区画整理法
土地区画整理法は、公共工事やインフラ整備のために公共の土地を収用するときの決まりを定めた法律です。
宅地造成等規制法の問題は、他の制限法令と同じく暗記科目です。
問題の暗記度は高く頻出のポイントは押さえておきましょう。それ以外の問題が出たら、思い切って捨ててしまっても問題ないでしょう。
例年1問程度出題されています。
宅地造成等規制法
宅地造成等規制法は、造成工事による崖崩れや土砂の流出が起きることがないように、その危険性の高い区域を指定し、宅地造成の工事を規制する法律です。
基本的に他と同じく暗記科目。また宅地造成等規制法に関する問題は難易度が高めです。出題数も多くはないので最悪切り捨ててしまうのも1つの手です。
例年1問出題されています。
法令上の制限の勉強時の注意点とアドバイス
宅建の法令上の制限は、不動産関係の仕事を経験したことがない人にとっては馴染みのない法律でしょう。
その上ほとんどが暗記科目のため、暗記は苦手という人は苦手意識を持ってしまうかもしれません。
上述した都市計画法と建築基準法のように、関連のある法律もありますので、一度それらの法律を整理して進めていく勉強法がいいでしょう。
宅建の試験では、どんなときの何のための法律なのかイメージしてみてください。
法律の根拠が分かると、自然と暗記するポイントが分かってくるはずです。
この理解を積み重ねることで、法令上の制限の知識もスムーズにつけることができるでしょう。
諦めずに慣れを待つ
専門性も高く馴染みのない法律ばかりですから、初めは取っつきにくい印象を持つかもしれません。
また細かい数字や規定ばかりですから暗記するにも根気が必要です。
ですが諦めないでください。慣れれば条文を分かっていれば解けるような問題も多くあるのが宅建試験の特徴です!
もともと法令上の制限は素直な問題が多いので、暗記に慣れてくると高得点を狙えること間違いなしでしょう。
難しい言葉に慣れるための勉強法
「法令上の制限」を勉強する上で、その専門用語の多さに最初は圧倒されることでしょう。
まずは少しずつ法律用語に慣れるために、テキストを何度も読み込みんでみるのがベター。何度も繰り返し読んでいくうちに法律用語にも慣れてくるはずです。
この際に、定義をきちんと理解・暗記していくことでその後の学習をスムーズに進めることができます。
諦めずに続けていれば法令上の制限の特徴である暗記ができるようになり、どんどん高得点を狙えるようになります。
法改正を確認する
宅建の試験は、その年の4月1日現在の法令をもとに出題されます。他の国家試験では、直近の法改正が出題されることは稀です。
しかし宅建の場合はむしろその逆と言えます。法律を問う問題が多いため、改正された法令は出題される可能性が高いのです。
特に法令上の制限は、法律による暗記問題が多いので、改正点を問われるケースが多々あります。直近の改正点については必ずチェックするのが吉です。
方法としては、最新のテキストやインターネットなどで、常に最新の情報収集を心がけるようにしましょう。
特に最新のテキストに書いてある改正点のまとめなどはしっかり読み込んで覚えてくださいね。
過去問の研究をする
宅建の試験では、過去問を多くやる勉強法がおすすめです。
過去問を効果的に活用することで自分の理解が足りていない箇所を明確にすることができるからです。
またテキストを読んでフワフワした程度にしか分からない場合にも、ただ読み進めても理解が深まりにくいことも多いです。
そんな時は過去問を使って対策を行うが次のステップとしておすすめです。
実際の問題を見てみて、大体どのような内容が出題されるのか掴むことが大切です。何を勉強して何が分かっていればいいのかを知ると、勉強は進めやすくなりますから。
過去問をやるその他のメリットとして、同じ系統の問題が違ったニュアンスで出題されるため、反復練習のように法律や科目ごとの理解が進むということです。
宅建のテキストをひたすら読み込むよりも、過去問をたくさんこなす方が効率的な勉強法と言えるでしょう。
宅建試験の勉強のコツ
宅建の試験では、法令上の制限のような暗記問題が多く出題されます。つまり、暗記をすればするほど点数が伸びるのです。
しかし民法に関しては、暗記だけでは歯が立ちません。理解しようとテキストを読んでも、全く分からないという時期が続くでしょう。
もしかすると宅建の試験では、この時期がいちばん辛いかもしれません。
ただ何度も何度も問題を解いていくうちに、パッと道が開ける時が来ます。
少しずつ着実に勉強を行い、合格への歩みを進めていきましょう。
次では具体的な宅建試験の勉強法を紹介していきます。
図を使う
近年の宅建の試験では、事例問題が頻出しています。
当事者が抱えている問題や他者との法律的な関係性について、正しいのはどちらか判定するような問題です。
このような問題は、アタマの中だけで考えていても、なかなかまとまりません。まず、両者の関係を図に書いて見ましょう。
論理の関係やつながりを図で示せるようにすることで、事例の理解の助けとなり問題が解きやすくなります。
テキストや過去問に載っている関係図などを丸憶えしてしまうのも1つの手ですし、自分の理解を確認するように図式化して覚えるのも良い手段でしょう。
理解しようとしすぎない
勉強したての頃というのはどうしても、「これって結局どういうことなの?」「俯瞰して理解したいけど、ちょっとよく分からない…」という風にいまいち理解できないこともしばしば。最初から難しい法律を読んでも理解するのはとても大変なことです。
そんな時は少し落ち着いて考えてみて、それでも分からなければ、一度それ以上考えるのをやめてみましょう。深く考えてみても今持っている知識では難しいこともあります。
勉強を進めていくうちに何のことか分からなかった用語も少しずつ掴んで分かるようになっていきます。一度飛ばしてみるということも手段の一つとして覚えてください。
とはいえ分からないものをずっと放っておけばよいということではありません。
今までの宅建の試験は、暗記すれば点が取れる問題が多かったのですが、最近はかなり様子が変わってきました。現状の宅建試験は、暗記6割、理解:4割の試験になっています。
法令上の制限のように暗記に重点をおいた科目もありますが、メイン科目の民法と宅建業法では、法制度の趣旨や条文の内容を正確に理解しておく必要があります。
でも大丈夫。知識が積みあがって来れば必ず分かるようになります。
時には飛ばすことも手段の一つとして持ちながら、焦らず着実に分かることを増やしていきましょう。
判例にこだわらない
宅建の試験にも判例を扱った問題が出題されるようになりました。ただし、この判例問題で得点しようと思わなくても大丈夫。
宅建士の業務で判例に触れることはまずありませんので、深く勉強する必要はありません。
そしてあまり難しい判例問題については解ける人はほとんどいないので、捨て問扱いされてしまうこともしばしばあります。
テキストや過去問題集に載っている判例をサラッと読んで覚える程度で十分です。
それでもこの判例問題も完璧にしたい!という方は、起承転結など深追いせずに結論だけを理解しておこう、というくらいに考えておけばOKです。
宅建試験の法令上の制限まとめ
宅建試験の法令上の制限まとめ
- 法令上の制限は暗記によって着実に得点を重ねるべき
- 各法律の概要を押さえ、法律ごとの力加減を調節する
- 時には飛ばしながらも着実に分かるところ増やすことが大切
宅建の試験は受験者も多く、ふるいに掛けるような難関試験です。
ただここで紹介したように宅建試験をちゃんと理解して勉強すれば合格は不可能ではありません。
暗記で点数が稼げる法令上の制限や宅建業法はしっかり押さえ、民法はじっくりと腰を据えて問題に取り組みましょう。
この記事を参考に学習すれば、ぐっと合格の可能性も高くなるはずです。是非参考にしてみてくださいね。
一人でも多くの方が合格の栄冠をつかめますように!