司法書士試験の合格点について解説!何点取れば合格できるの?

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「司法書士試験って何点取れば合格なの?」

「合格点の目安ってどれくらい?」

司法書士試験を受けようと思っている人でこのような疑問を持っている人は多いのではないでしょうか。

司法書士の資格を取得するためには法務省が毎年7月に行っている「司法書士試験」という国家試験で「合格点」をとる必要があります。

ここでは司法書士試験の合格点について詳しく解説していきます。

この記事を読んで、合格点の目安を知り自分の受験計画に生かしていってください

司法書士試験の合格点についてざっくり説明すると

  • 合格点は各試験の点数を合わせた合計点
  • 合格点は試験の難易度によって毎年変動する
  • 基準点を満たしていないと合格できない
  • 各科目バランスの良い勉強が必要

司法書士試験について

紙に記入している人

司法書士は、登記や簡易訴訟等に関して必要な書類を作成する専門知識を備えた人たちのことで、街の法律家として親しまれている士業です。

司法書士になるためには司法書士試験に合格して、司法書士会に司法書士登録を済ませる必要があります。

司法書士試験には受験資格がありません。年に1回行われる試験で、内容は筆記試験と口述試験に分かれています。7月の筆記試験の合格者だけが10月の口述試験を受けることができます。

筆記試験は午前と午後の部があり、午前の部では憲法や民法など4科目の択一式問題が、午後の部では民事訴訟法や司法書士法といった7科目の択一式問題と記述式問題が出題されます。

司法書士試験は相対評価の試験であり、成績上位者の一部を合格させるというシステムです。また、筆記試験には基準点が設けられており、達しない場合は足切りされ、不合格となるので注意しましょう。

まら、口述試験では司法書士になる心構えなどが問われますが、合格率は非常に高く、内容も筆記試験と比べると易しいため、そこまで心配する必要はないと言えるでしょう。

司法書士は、独立しやすい、年収が高い、女性も活躍しやすい等の理由から人気な資格であり、受験者数も比較的多い試験です。

司法書士試験の配点・合格点について

合格を喜ぶ子供

司法書士試験は一般に司法試験に次いで非常に難易度が高いとも言われる国家試験です。

まずは、その司法書士試験の配点と合格点について解説していきたいと思います。

司法書士筆記試験の配点

司法書士試験の筆記試験は択一式と記述式で別れています。また配点は択一式はが210点、記述式が70点で合計280点となっています。

それでは、各試験形式の科目とその出題数についてみていきましょう。

午前の部(択一式)

午前の部は択一式試験のみでマークシートを使用します。試験時間は2時間で計35問出題され、配点は105点となっています。

試験科目 出題数 割合
憲法 3問 8.6%
民法 20問 57.1%
刑法 3問 8.6%
商法 9問 25.7%
合計 35問 100%

表をみて分かるように、民法の問題は全体の半数以上を占めており、最重要科目と言えるでしょう。

午後の部(択一式)

午後の部には択一式試験と記述式試験があります。択一式試験は午前の部と同様にマークシートに記入するもので、問題数は計35問、配点は105点です。

ただし、午後の部は択一式と記述式の合計で3時間となっているため、時間配分に気をつけて受けましょう。

試験科目 出題数 割合
民事訴訟法 5問 14.3%
民事執行法 1問 2.9%
民事保全法 1問 2.9%
司法書士法 1問 2.9%
供託法 3問 8.6%
不動産登記法 16問 45.7%
商業登記法 8問 22.8%
合計 35問 100%

不動産登記法の出題が多く、民法に次いで重要な科目であると言えるでしょう。

午後の部(記述式)

記述式試験は、配点は合計で70点となっています。この試験では自分で解答を作成する必要があるため、難易度が高くなります。

また商業法の記述問題では、計算を必要とするものもあることに注意しましょう。

試験科目 出題数 割合
不動産登記法 1問 14.3%
商業登記法 1問 2.9%
商業登記法 1問 2.9%

このように、択一式の問題が全体の75%を占めており、各科目によって出題数が大きく異なります。

ただし司法書士試験に向けて勉強する際には、出題が多い科目だけを勉強して良いと言うわけではありまぜん。合格点と基準点という注意しなければならない二つの指数があるのです。

まずは、司法書士試験の合格点について解説していきます。

平均合格点は約208点

司法書士試験の合格点は各試験の点数を合わせた点数で算出されます。

司法書士試験の合格点のデータは法務省のホームページで見ることができます。

平成30年度~令和4年度の5年間の試験での「合格点」を以下の表にまとめました。

年度 合格点
R4年 216.5点
R3年 208.5点
R2年 205.5点
H31 197.0点
H30 212.5点

データ出典:法務省 司法書士試験

ここ5年の平均合格点は208点となり、得点率に直すと約74%です。

合格点の低い年でも、全体の70%以上の点数を取らなければ合格はできないため、難易度の高い試験であることが分かります。

また、平成31年度(2019年度)の司法書士試験の場合を見てみると、「合格点」は280点中197.0点となっていますが、その前年の平成30年度の場合の「合格点」は212.5点でした。

このように合格点の変動が毎年あるのが司法書士試験なので、合格点の見積もりは余裕をもって立てていくことが必要です。

合計点の目標としては、8割程度を目標に設定して勉強していくことが合格へのカギです。

司法書士試験の合格は相対評価で決まる

司法書士試験は予め決められた「合格点」を満たした人が全員合格するという「絶対評価試験」ではなく、成績上位の中から一部の人だけが合格する「相対評価試験」というタイプの試験です

この「合格点」に毎年大きな変動はないため、大まかな目安となる点数はありますが、その年度によって「合格点」は変わってしまいます。

そのため、何点以上取れれば絶対合格できるということは言えず事前にしっかり勉強して準備しておく必要があります。

また司法書士試験の場合受験資格がありません。なので、年齢や性別、学歴に関係なく誰でも受験することができます。

これは同じく法律を扱う専門家の国家資格である司法試験が、受験資格として法科大学院の課程の修了または、司法試験予備試験の合格が必要となるのと比較してとても有利な点です。

そのため司法書士試験は、難易度は高いものの、知識がゼロの人でも努力さえすれば資格取得を目指せる試験と言えるでしょう

司法書士試験の基準点について

お金と電卓 司法書士試験の合否に関わる点数には、ここまで解説した「合格点」のほかに「基準点」というものがあります。

次はこの司法書士試験の「基準点」について解説していきます。

基準点を満たさないと足きりになる

司法書士試験の筆記試験は「多肢択一式問題(午前)」「多肢択一式問題(午後)」「記述式問題」の3つに分けられ、「基準点」はこの3つそれぞれに設定されます。

そしてこの3つのうち1つでも「基準点」を満たしていなければ不合格となってしまいます。

よって、たとえ3つの合計では「合格点」以上の点数が取れていたとしても、この場合、司法書士試験に合格することはできないのです。

この「基準点」が設けられていることで多くの受験者が足切りされることになっており、これが司法書士試験の難易度を上げる原因の1つとなっているといえます。

基準点も年度によって異なる

この「基準点」も「合格点」同様、年度によって点数が変わり、何点以上取れれば絶対不合格になることはないとは言えません。

とはいえここでも大まかな目安となる点数はありますので心配しすぎることはありません。

過去5年分の基準点は以下の表にまとめました。

年度 基準点(午前択一式) 基準点(午後択一式) 基準点(午後記述式)
R4 81点 75点 35.0点
R3 81点 66点 34.0点
R2 75点 72点 32.0点
H31 75点 66点 32.5点
H30 78点 72点 37.0点

データ出典:法務省 司法書士試験

平成30年度~令和4年度の5年間で「多肢択一式問題(午前)」の「基準点」を見ると、105点満点のうち、75~81点を取らなければ「基準点」は満たせないという状況になっています。

「択一式問題(午前)」過去5年の基準点の平均は78点となっており、最低でも74%近く正解しなければ足切りになってしまうことが分かります。

「多肢択一式問題(午後)」では過去5年の基準点の平均は約70点となっており、こちらは最低でも71%近く正解をしなければいけません。

「記述式問題」の過去5年の基準点の平均点は約34点となっており、およそ半分以上の正答率が求められています

基準点は今後も変動する可能性があることから、基準点の見積もりは例年の平均よりも少し高めに見積もることをお勧めします。

司法書士の基準点の詳細は下記の記事をご覧ください。

司法書士試験の合格率は低い?

はてなマークを持つ人 司法書士試験の合格率は約3~5% です。なぜこのように司法書士試験の合格率は低いのでしょうか?その原因についてみていきましょう。

司法書士試験の合格率

以下のグラフは過去10年分の司法書士試験の合格率の推移を表しています。

データ出典:法務省 司法書士試験

このグラフから司法書士試験の合格率は例年3~5%程度の低水準で推移していることがわかります。これは同じ国家資格である宅建士の約15%、社労士の約6%と比較しても低いです。

このように、司法書士試験は合格率が1桁%台となってしまう難関資格であると言えるでしょう。

以下に、司法書士試験の合格率が低い原因について考察していきます。

受験者の中に一定数いる「記念受験者」

まずは令和4年度以前、過去5年間の受験人数を確認してみましょう。

試験実施年度 出願者数 受験者数
平成30年度 17,668人 14,387人
平成31年度 16,811人 13,683人
令和2年度 14,431人 11,494人
令和3年度 14,988人 11,925人
令和4年度 15,693人 12,727人

データ出典:法務省 司法書士試験

なお、受験者数は午前の部と午後の部の両方を受験した人数をカウントしています。このように、受験者数は減少傾向にはありますが、直近は微増していることがわかります。

また受験者数が減っているのに関わらず、合格率は上昇していないことに注意しましょう。

司法書士試験には受験資格がありません。そのため、受験者の中には 「記念受験者」が一定数存在します。記念受験者とは、「とりあえず受けてみる」と言う気持ちで合格に必要な勉強をほとんどしないまま試験に臨む人のことです。

この記念受験者がある程度存在することが、見かけの合格率を低くしている一つの原因であると言えます。

科目ごとの合格制度が存在しない

難関資格の中には、科目ごとに合格できる試験を導入しているものもあります。その場合、一つの科目で合格すれば、次からはその科目を受け直す必要はありません。

しかし、司法書士試験にはそのような科目別の合格制度はありません。

したがって、司法書士試験に不合格となった場合には、翌年以降の試験では再び全科目受験する必要があるのです。

司法書士試験は科目数が多いため、この試験形態は受験生にとってかなり厳しいものであると言えるでしょう。不合格だった受験生のモチベーション低下にも繋がると想定できます。

司法書士試験の口述試験は司法書士としての確認としての意味合いが強いため、ほとんど不合格者はいません。したがって、科目合格制度の無い筆記試験が司法書士試験の鬼門であるのです。

筆記試験の出題範囲が広い

司法書士試験の筆記試験では11科目が出題され、口述試験では3科目が出題されます。この膨大な試験範囲が試験の難易度を上げている要因となっています。

試験科目の中でも、特に主要4科目と呼ばれている民法・不動産登記法・商法・商業登記法が択一式試験の出題数の約75%を占めています。この主要4科目はその他の試験科目の基礎となっており、重要性は高いです。

それでは司法書士試験の出題科目についてみていきましょう。

司法書士の試験科目

主要4科目

  • 民法

出題内訳としては総則3問・物件4問・担保物件5問・債権4問・親族相続4問で特に物権や親族相続からの出題が多いです。司法書士試験の中で最も重要な科目なので特にしっかりと対策を進めていく必要があります。

  • 不動産登記法

不動産登記法は不動産の権利などを不動産登記簿に記録していくための手続き方法 について定められた法律です。知識の暗記と理解の両方が大事な科目となっています。

  • 商法

商法は営利目的の会社の定義や取引活動のなどの一連の手続きのルールを定めた法律です。商業登記法との関わりが深い科目となっています。

  • 商業登記法

商業登記法は、商法や会社法によって規定された登記事項を定めている法律です。会社法を基礎として勉強を進めていく必要があります。

その他の科目

主要4 科目以外にも「憲法」「刑法」「民事訴訟法」「民事執行法」「民事保全法」「 供託法」「司法書士法」がマイナー科目として出題されます。

1科目につき3問程度出題されるため、主要4科目よりも重要度は低いですが、合格点と基準点に注目すると、これらの科目の学習をしっかりとしなければ試験合格は難しいです。

したがって、マイナー科目も抜かりなく学習しましょう。

司法書士試験の勉強について

勉強をしている人 司法書士試験では基準点と合格点を意識したうえで、勉強方法やスケジュール管理をしていく必要があります。

ここでは司法書士試験の勉強の注意点から、意識すべきポイントまでを解説していきます。

基準点を満たすだけでは合格できない

「基準点」というのはあくまで足切りにされないための最低ラインであり、「基準点」を満たすだけでは「合格点」に達することはできません。

平成30年度~令和4年度で見ると、「基準点」の合計と「合格点」には23.5~27.5点の差があるのが分かります。

ですから、「合格点」に達するには「基準点」を満たすだけでなく、そこからさらに20~30点分を上積みする必要があります

例えば、多肢択一式問題でいうと7~9問程度の正解を上乗せする必要があるということです。

もちろんこの上乗せ分は「記述式問題」でも構いません。

先ほど説明したように、司法書士試験の合格者数は相対評価で決まります。そのため「基準点」を突破する人数が増加すると「合格点」が高くなるということになります。

例えば平成30年度は「合格点」が212.5点でしたが、平成31年度は197点と15.5点低くなっています。その後の令和4年度には合格点が216.5点となるなど大きくばらつきがあります。このように今後も「合格点」が高くなる可能性が十分あるということです。

苦手分野をつくらないようにする

司法書士試験が難しいと言われる理由の1つとして試験の科目数の多さが挙げられます。試験科目が11科目もありますから、非常に幅広い範囲を勉強していく必要があるためです。

科目によって出題数の多い少ないはありますが、それでも苦手な分野があれば点数が取れず、不合格の原因となってしまいます。

なので、苦手分野をつくらず、できればすべての科目で点数が取れるようにしたいところです。

しかし、司法書士試験の勉強は普段なら関わることの少ない法律に関する問題に取り組むということもあり、理解するのに時間がかかります。

そんな中で、少しでも苦手意識がつくと勉強すること自体が嫌になってしまいかねません。そうならないためには勉強方法を変えるなどの工夫をすることも必要になってきます。

時間をかけてバランスよく勉強

司法書士試験は先ほど触れたように予備試験や学歴といった受験資格がなく誰でもチャレンジすることができる試験であるため、合格に必要となる学習時間もまた非常に個人差があるといえるでしょう。

ですが一般的には学習に3000時間かけることによって合格が見えてくるといわれています。つまり毎日5時間ずつ勉強しても1年8か月はかかるということです。

司法書士の試験に専念できる人もいるでしょうが、人によっては仕事をしながら試験勉強をする場合もあるでしょうし、状況によっては思うように勉強できないこともあります。

また、司法書士試験の科目は11科目と非常に多いので、その1つ1つの科目を勉強するとなれば、かなりの時間がかかることになり、効率よく勉強できるかどうかで当然必要となる時間も変わってきます。

よって、もし独学で勉強する場合、これら11科目すべてをバランス良く勉強していく必要があり苦手科目を作らない勉強が必要です。

少しでも効率良く勉強をしていこうというのであれば、独学以外の勉強方法も視野に入れることで、限られた時間を大切に使っていくことができるでしょう。

司法書士試験で合格点を取るのは簡単ではない!

司法書士試験の合格点まとめ

  • 合格点の平均は約73%
  • 合格点の目標としては余裕をもって8割程度に設定するのがおすすめ
  • 合格は相対評価で決まるので注意
  • 苦手科目を作らないことが合格へのカギ

ここまで司法書士試験の合格点について詳しく見てきました。

司法書士試験では3つのテストそれぞれ全てで「基準点」を満たした上で「合格点」を取る必要があり、苦手科目があると合格が難しくなる可能性があります。

また、少しでも早く合格を狙うのであれば、効率良く勉強する勉強方法を見つけると共に、試験に向けて学習スケジュールの調整をしていく必要もあります。

効率よくコツコツと勉強を積み重ねていくことで「基準点」そして「合格点」が見えてくるでしょう。

この記事を読んでぜひ合格点を意識した勉強を始めてみてください

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