難しすぎる?合格率4%前後の司法書士試験合格のために覚えておきたいこと

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「司法書士の資格に興味があるけど、難しすぎるみたいだし受験はやめておこうかな…」

そんな風にお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

司法書士は法律の分野で様々な活躍ができるとして人気の高い国家資格です。

そんな司法書士試験の合格率はわずか3%前後の超難関ですが、なかには独学で一発合格する人もいます。

そこで、難しすぎると言われる司法書士試験をクリアにするために、ここでは試験の特徴や学習方法などについて詳しく解説していきます

司法書士の難易度の実態をざっくり説明すると

  • 合格率は3~5%だが、合格率が極端に低いことには理由がある
  • 試験には足切りが存在する上、相対評価の試験なので合格は難しい
  • 一般に合格までには3000時間の勉強が必要

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司法書士試験の概要

ビルの写真

司法書士試験の特徴や学習方法を解説する前に、ここではまず司法書士試験とはどのようなものかという概要を説明します。

受験資格

司法書士試験の受験資格に制限はなく、年齢・性別・学歴・国籍などは問われません

中学生や高校生、外国人など、受験したい人は誰でも受けることができます。毎年、年齢や性別に関わらず1万人以上の人が受験しています。

令和4年度に実施された司法書士試験おいての出願者数は1万2727人でした。それに対して合格者数は660人で、合格率は5.19%という受験結果でした。

合格者の最年少は20歳、最高齢は71歳と幅広く、男女の比率は男性が72.4%、女性が27.6%という結果でした。

試験日程

司法書士試験の試験日程は、まず筆記試験が毎年7月第一もしくは第二日曜日に行われ、筆記試験合格者のみを対象に、口述試験が10月に行われるのが通例です

受験申請は、受験地を管轄する法務局または地方法務局に申請書類一式を提出します。

申請期間は5月初旬から中旬の約10日間ほどの短い期間となるため、遅れないように素早く申請する必要があります。

出題科目

司法書士試験の出題科目は全部で11科目で、筆記試験は午前の部と午後の部に分けて行われます。

午前の部:35問の択一式問題

  • 憲法(3問)
  • 民法(20問)
  • 刑法(3問)
  • 商法(9問)

午後の部:35問の択一式問題

  • 民事訴訟法(5問)
  • 民事執行法(1問)
  • 民事保全法(1問)
  • 司法書士法(1問)
  • 供託法(3問)
  • 不動産登記法(16問)
  • 商業登記法(8問)

午後の部:記述式問題

  • 不動産登記法(1問)
  • 商業登記法(1問)

出題数は科目によってムラがあり、択一式問題においては「民法」、「不動産登記法」、「商法」、「商業登記法」の4つの科目が82%を占めています

そのため、これらは主要4科目と呼ばれており司法書士試験の要となる科目です。

残りの18%を占める7科目はマイナー科目と呼ばれていますが、司法書士試験には足切り点が存在するためマイナー科目であってもしっかりと勉強する必要があります

司法書士は他の国家資格と比べて難しすぎる?

司法書士試験の合格率を他の人気国家資格と比較すると以下のようになります。

国家資格 合格率
弁護士(司法試験) 約30%
弁護士(予備試験) 約4%
公認会計士 約10%
社会保険労務士 6〜7%
行政書士 10〜15%
司法書士 3〜5%

こうして比較しても、司法書士だけ極端に合格率が低いことが見て取れます。

あらゆる国家試験の中で最も難易度が高いとされる予備試験とほぼ同等の合格率であり、「他の資格と比べて司法書士は難しすぎではないか」と感じてしまいます。

もちろん合格率だけで試験難易度が分かるわけではありません。受験者層や出題内容の難解さによっても試験の難しさは変わってきます。

ただし、少なくとも司法書士が超難関資格であることは間違いないと言えるでしょう。

司法書士試験の合格率が低い理由

読書する人 難関とされている司法書士試験ですが、合格率が低いのには意外な理由があります。

ここでは、意外な理由とはどのようなものなのかを解説します。

理由1.受験資格に制限がない

司法書士試験の合格率が低い理由に、受験資格に制限がないことがあげられます。

年齢や職業、性別などに関係なく誰でも受験できるため、さまざまな人がさまざまな理由で受験をしています

将来的に司法書士の資格を活かした職業に就きたい人だけではなく、資格取得を趣味としていたり、ちょっとした力試しであったりと、軽い気持ちで受験する人もいるのです。

しかし、司法書士試験は出題科目も多く生半可な気持ちでは合格基準に達するほどの十分な勉強ができません。

そのため、不十分な勉強のまま軽い気持ちで受験する人が、合格率を下げる一因であるといえるでしょう。

理由2.合格基準が相対評価

司法書士試験の合格基準が相対評価であることも、合格率を下げる要因となっています。

司法書士試験は何点以上という合格の基準点を取った人が全員合格する絶対評価ではなく、成績上位者の一部を合格とする相対評価が採用されています

午前の部と午後の部の択一式問題、午後の部の記述式問題にはそれぞれ基準点が設けられており、基準点を超えた人の中から、相対評価で合格者が決まるシステムです。

令和4年度に実地された試験においては、午前の部と午後の部の択一式問題と午後の部の記述式問題の基準点の合計は191点でした。 さらに、実際に合格した人は基準点よりも25.5点高い216.5点以上を獲得した人でした。

ただ単に基準に達するだけでは十分ではなく、その中でも上位に食い込むことが求められる試験となります。

このような厳しい基準で決定されていることが、合格率の低さに起因しているといえます。

理由3.筆記試験の足切り制度

司法書士試験の筆記試験に足切り制度があるのも、合格率を下げている理由です。

司法書士試験では、筆記試験で3回の足切りが行われます。午前の部の択一式問題、午後の部の択一式問題、午後の部の記述式問題にはそれぞれ基準点が定められており、それぞれの基準点をクリアできなければ不合格となります

たとえ、午前の部の択一式問題が満点で総合基準点をクリアしていたとしても、午後の部の択一式問題もしくは午後の部の記述式問題で足切り点があれば、総合点がどれだけ良くても合格できません。

総合基準点および択一式・記述式に課された全ての基準点をクリアした一部の成績上位者のみが筆記試験に合格できるシステムです。

令和4年度に実施された試験では、約1万3000人の受験者で午前の部の択一式問題の基準点を超えた人は約3600人、午後の部の択一式問題の基準点を超えた人は約2800人、どちらの基準点も超えた人は約2300人でした。

この2300人のなかで午後の部の記述式問題の基準点を超えた人は約1100人で、最終的に上位660人が合格しました。

出典:令和4年度司法書士試験筆記試験(多肢択一式問題)の基準点等について

司法書士試験合格に向けた勉強方法

勉強を後押し 司法書士試験合格を目指した勉強方法は、受験予備校、通信講座、独学の3つの方法があります。ここでは、それぞれの方法のメリットとデメリットを解説します。

受験予備校

受験予備校は、資格試験の受験に向けた講座を開講している予備校です。

予備校によって異なりますが、週に1回から5回決められたスケジュールで通学し、プロの講師の直接の講義を受けるスタイルとなります。

費用の相場は20万円から50万円ほどで、交通費が別途に必要です。

受験予備校のメリット

受験予備校のメリットは、プロの講師から直接指導を受けられることが一番にあげられます。

法律は解釈が難解なものも多く、テキストを読んだだけでは理解できないこともたくさんありますが、予備校ではプロの講師が分かりやすく説明してくれるので理解度が高まります。

分からないことがあれば、その場ですぐに質問できるのも利点です。

また、法が改正された場合の情報収集がしやすく、改正によって法律問題の解釈が変わった時も最新の解答例を教えてもらえるので有利です。

そして、一緒に学習する仲間がいることは、司法書士試験の学習のモチベーションを保つ上で大きな支えとなります

お互いに励まし合ったり、わからない箇所を教え合ったりして学習を続ける意思を奮い立たせることもできるでしょう。

その他、計画的に学習するのが苦手な人は、あらかじめ組まれたカリキュラムにそって勉強するほうがより効率的に知識を身につけられます。

受験予備校のデメリット

受験予備校の一番のデメリットは、費用が高いことです。

独学ならテキスト代だけで済むため高くても10万円を超えることはありませんが、予備校は少なくとも20万円は必要となります。

受講費に50万円ほどかかる予備校もあり、さらに交通費もかかるため経済的な負担が大きくなります

また、高いお金を払っているのに、講師の当たりハズレによっては講義の内容が理解しにくいことがあるのも否めません。合格実績や評判などを事前にしっかり調べて予備校選びをする必要があるでしょう。

また、カリキュラムにしたがって進められるため、学習の自由度が低いのもデメリットといえます。

それぞれの予備校の学習メソッドに則って行うため、苦手な科目を集中的に学習したり、得意科目を飛ばしたりすることもできません。

仕事をしている人は、講義の時間によっては通えないこともあるでしょう。

通信講座

通信講座は、パソコンやスマホを利用したeラーニングによる学習方法です。

プロの講師による講義を映像で受講したり、通信講座オリジナルのテキストを使って学習するのが一般的なスタイルとなります。

コースや割引制度などによって異なりますが、費用は10万円から30万円が相場です。

通信講座のメリット

通信講座のメリットは、深夜であろうと、早朝であろうと、自分の好きな時間に勉強できることです。

タブレットやスマホから講義の映像を視聴できるので、勉強する場所も選びません。

お昼休みやコーヒーブレイクなど、仕事の隙間時間などに学習することも可能です。自分のライフスタイルに合わせた学習スケジュールが組めるのが魅力です

また、それぞれの通信講座の指導方針やノウハウを取り入れたカリキュラムや、オリジナルのテキストなどで効率的に学べるのもメリットでしょう。

通信講座とはいえ、サポート体制は充実しているため記述式対策なども問題ありません。

このように内容が充実しているにも関わらず予備校よりも圧倒的に安いという点も見逃せない魅力でしょう。

通信講座のデメリット

通信講座ではテキストや講義の映像などのカリキュラムは用意されているものの、通学して半強制的に勉強できる予備校と比べてカリキュラム通りに進めるのが難しいというのがデメリットとして挙げられます。

絶対に合格するという意思が弱いと、途中で怠けてしまいカリキュラムに大きな遅れを取ってしまうことも考えられます。

独学

独学とは予備校や通信講座などのように直接的もしくは映像による講義を受けず、過去問題集やテキストのみを利用してひとりで勉強する方法です。

独学にかかる費用は、テキスト代と模擬試験などをあわせ、数万円程度となります。

独学のメリット

独学のメリットは、職場から帰宅した後や休日、通勤時間などを利用してマイペースで進められることがあげられます。

テキストさえ持ち運べば勉強する場所も選ばず、自宅はもちろん、図書館や電車の中で勉強することもできます。

また、ある程度法律知識がある人であればスキルに合わせて自由に学習計画を組めるのが魅力です。

民法や刑法の知識があればその部分の勉強は飛ばし、苦手とする登記法を重点的に勉強するなど、より効率的に学習することができるでしょう。

そして、予備校や通信講座と比較すると費用が安いのもメリットです。テキストも11科目全てを揃えるとなるとそれなりの値段になりますが、5万円から10万円以内で抑えることができます。

模擬試験の費用を入れても、10万円を超えずに済ませられるでしょう。

独学のデメリット

独学のデメリットは、理解できないことがあっても自分で調べるしかないことです。

法律の解釈は難しく、テキストの解説を読んだだけではわからないこともあります

ネットで調べたり、別のテキストで調べたりすると思いのほか時間がかかってしまったり、正しい解答が導き出せなかったりすることもあるでしょう。

また、法改正などの情報収集も自分で行わねばならず、新しい情報を収集しきれないこともあります。自由度が高い分、自力で解決する力が求められる勉強法です。

そして、自分で学習計画を立てられるのは学習管理ができる人にとってはメリットである反面、強制力がないので自己管理が苦手な人は怠けてしまうのもデメリットにあげられます。

一緒に学習する仲間もいないので、学習のモチベーションも低下してしまいがちです。

司法書士試験に合格するために必要な勉強時間

勉強のイメージ 司法書士試験に一発で合格するために必要な勉強時間は、一般的には3000時間だといわれています。

大学の法学部を卒業しているなど法律に関する知識がある場合でも、2000時間は必要だとされています。

このような長い勉強時間を確保するのは容易なことではありません。

そのため、試験日までの期間や1日に勉強に充てられる時間などを考え、スキマ時間などを生かして勉強を進めたい場合は通信講座、強制力を持たせて勉強を進めたいなら予備校に通うなど、自分に合った学習方法を選択することが大切になります

また、司法書士の受験期間は平均して4年ほどかかるので、学習期間を短縮したい場合は無理に独学を選択せずプロの指導のもとで効率よく勉強を進めた方が良いでしょう。

司法書士試験の難易度の実態まとめ

司法書士試験の難しさまとめ

  • 様々な人が受験するので、合格率の数値ほど難易度は高くない
  • 試験には足切りが存在するので合格しにくくなっている
  • 自分に合った勉強法で学習を進めることが大切

司法書士試験の合格率の低さは、受験資格がなく誰でも気軽に受けられることが主な要因となっています。

もちろん、だからといって楽観するのは禁物です。

合格基準は相対評価であるため、難関であることには変わりありません。

司法書士試験に合格するには、計画的に学習計画を立てて十分な勉強を行い、上位に食い込む実力をつける必要があるでしょう

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