行政書士試験の配点と合格点|科目別の目標点はどれくらい?
「行政書士の試験内容ってどんな感じなんだろう?」
「行政書士試験の配点や合格点が知りたい!」
そんな疑問をお持ちの方も多いかと思います。
行政書士は法律知識を身につけた各種手続きの専門家ですが、行政書士試験では法律だけでなく一般的な教養についても見られるので注意が必要です。
ここではそんな行政書士試験について、試験科目別の配点や合格ライン、おすすめの科目別の目標点まで分かりやすく解説します!
行政書士試験の概要
- 行政書士試験の科目は大きく分けて「法令科目」と「一般知識」の2つが存在する
- 法令科目と一般知識にはそれぞれ合格ラインが定められている
- 法令科目の方が一般知識よりも圧倒的に配点が高い
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まずは行政書士試験の概要を理解しよう
行政書士試験は年に1度だけ行われる国家試験であり、受験者数は毎年40,000人近くに上る大規模な試験です。
行政書士試験の出題数は、全部で60問です。試験科目は、大きく「法令科目」と「一般知識」の二つに分かれています。
問題の配点は法令科目で244点、一般知識で56点の合計300点です。
このうち法令科目の得点・一般知識の得点・合計点がそれぞれ合格基準に関わってきます。そのため、配点の比重が高い法令科目で大量に得点できたとしても、一般知識の得点が低いと不合格になってしまいます。
出題の形式は次の3つに分かれています。
- 5肢択一式
- 択一式
- 記述式
このように、出題形式が多様であることも行政書士試験の特徴です。試験勉強の際は特に記述式の対策に苦戦する方が多いです。
どの出題形式にも対応するためには、過去問演習や予想問題などを通じて本番試験の形式に十分慣れておくことが大切になります。
試験科目と問題数と配点
科目区分 | 出題形式 | 科目 | 問題数 | 配点 |
---|---|---|---|---|
法令等 | 5肢択一式 | 基礎法学 | 2問 | 8点 |
法令等 | 5肢択一式 | 憲法 | 5問 | 20点 |
法令等 | 5肢択一式 | 行政法 | 19問 | 76点 |
法令等 | 5肢択一式 | 民法 | 9問 | 36点 |
法令等 | 5肢択一式 | 商法・会社法 | 5問 | 20点 |
法令等 | 多肢選択式 | 憲法 | 1問 | 8点 |
法令等 | 多肢選択式 | 行政法 | 2問 | 16点 |
法令等 | 記述式 | 行政法 | 1問 | 20点 |
法令等 | 記述式 | 民法 | 2問 | 40点 |
一般知識 | 5肢択一式 | 政治・経済・社会 | 7問 | 28点 |
一般知識 | 5肢択一式 | 情報通信・個人情報保護 | 4問 | 16点 |
一般知識 | 5肢択一式 | 文章理解 | 3問 | 12点 |
小計 | 5肢択一式 | - | 54問 | 216点 |
小計 | 多肢選択式 | - | 3問 | 24点 |
小計 | 記述式 | - | 3問 | 60点 |
合計 | - | - | 60問 | 300点 |
上の表は2019年度行政書士試験の試験科目を出題形式別で整理したものです。法令科目は全部で5科目存在し、一般知識は3科目から構成されています。
5肢択一式の問題が最も多く、記述式は問題数が少ないものの配点が大きいことが分かります。
問題数や配点は年によって多少変化するものの、基本的には毎年表の通りとなっています。
よって、対策の際には上の表の配分を参照しながら、対策内容の比重を考えていく必要があるでしょう。
行政書士の合格基準点はどれくらい?
上記の表を科目別で整理すると、行政書士の業務に関する必要な法令科目で46問が出題されていることが分かります。
法令科目の出題形式別の内訳は次のようになっています。
- 5肢択一式の配点は各4点で40問あるので計160点
- 多肢選択式の配点は各8点で3問あるので計24点
- 記述式の配点は各20点で3問あるので計60点
以上より、法令科目は46問出題されて、合計点は244点となっています。
一般知識科目については5肢択一式が14問出題されているので、合計56点となっています。
このような配点となっている行政書士試験ですが、合格ラインは次のように設定されています。
- 法令科目の得点が122点以上(得点率50%以上)
- 一般知識等の得点が24点以上(得点率42%以上)
- 試験全体の得点が180点以上(得点率60%以上)
出典:一般社団法人行政書士試験研究センター 令和5年度行政書士試験合否判定基準
合格基準を見ていただくと分かるように、行政書士試験は「絶対評価」の試験となっているので、相対評価で合格ラインが決まる社労士試験のように他の受験生による合否の影響を受けにくくなっています。
また、合格基準は「法令科目」のように大きな括りで規定されているので、例えば「憲法」や「行政法」といったそれぞれの分野で何点以上得点しなければならないといった基準はありません。
そのため苦手分野で得点できずとも、得意分野で得点さえできれば合格できる試験でもあります。
特に商法や会社法などは配点率が低いにも関わらず難易度が高いため、他の分野を優先的に勉強する人が多いです。
合格基準が変わることも
行政書士試験の合格ラインは点数で定められている絶対評価の試験だとお伝えしましたが、試験難易度が極めて高い年には基準となる点数が変わることがあります。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率(%) |
---|---|---|---|
令和5年 | 46,991 | 6,571 | 13.98 |
令和4年 | 47,850 | 5,802 | 12.13 |
令和3年 | 47,870 | 5,353 | 11.18 |
令和2年 | 41,681 | 4,470 | 10.7 |
令和元年 | 39,821 | 4,571 | 11.5 |
平成30年 | 39,105 | 4,968 | 12.7 |
平成29年 | 40,449 | 6,360 | 15.7 |
平成28年 | 41,053 | 4,084 | 9.95 |
平成27年 | 44,366 | 5,820 | 13.12 |
平成26年 | 48,869 | 4,043 | 8.27 |
上の表は直近10年間の宅建試験の合格率を示したものです。平成26年度だけ合格率が極端に低いことが分かると思います。
平成26年度の試験は民法の難易度が例年以上に高く、受験者の中には、司法試験並みと難易度の高さを漏らしている人もいたようです。
このように極めて高い難易度だったために合計180点を得点できる人がかなり少なくなってしまったので、この年の合格点は以下のように緩和されました。
- 法令科目の得点が110点以上
- 一般知識の得点が24点以上
- 試験全体の得点が166点以上
ただし、こうした事例は平成26年を除いて過去10年間一度もないので、受験生の方は例年通りの合格点を超えることを目指して勉強すべきでしょう。
合格ラインを阻む鬼門
記述式問題が難しい
記述式は、重要度も難易度も高く、出題数こそ3問と少ないですが、配点が60点とかなり高く設定されています。
1問が20点ですから記述式でどれだけ得点できるかが合格のカギになってくるでしょう。
毎年出題される科目は決まっていて、「民法から2問」「行政法から1問」となっています。
2014年度のお話を紹介しましたが、今後は民法の難易度が2020年の民法大改正に伴い、高まることが予想されます。
なお、完全な間違いというものはあまりなく、ある程度設問の主旨にあっていれば0点ということはありません。
記述式対策のコツ
記述式問題で気を付けたいのは、完全な正解を求めすぎないことです。
今までコツコツと蓄積してきたことを、思い出しながら丁寧に書いていきましょう。
まず、大切なことは次の3つになります。
- 漢字を間違えない
- 読解力をつける
- 関係を図解かしてみる
どれも当たり前のことですが、練習問題や過去問をやっているうちに、行政書士試験で使われる漢字は頭に入ってきます。
また、読解力も同じです。特別に何かの本を読むというよりも過去問などをしっかり読み解く訓練をしましょう。
読解力も同じです。毎日コツコツと読んでいけば何を問われているかが分かってくるのです。
関係性を図に書いて見るのもおススメの方法です。
一般知識で泣きを見る人も
合格点の定められ方から分かるように、一般知識で4割以上得点しないと「足切り不合格」になってしまいます。
一般知識の出題数は14問ですから、最低でも6問24点は取らないといけません。
法令科目でいくら頑張っても一般知識で「足切り」されてしまっては、何にもなりません。
行政書士試験のメインは法令科目ですが、一般科目の対策もしっかりとっておきましょう。
一般知識も、法令科目も取りやすい問題があり6問獲得を目指せばいいのですから、高得点を狙わずにできるだけ得点のしやすい問題を落とさないようにするとよいでしょう。
何点を目指して勉強すればいいの?
では、以下の表で「行政書士試験で分野別の目標点数」を見てみましょう。
科目 | 目標点 | 注意点 |
---|---|---|
基礎法学 | 4点 | 配点は小さく範囲が広い |
憲法 | 18点 | 人権は条文と判例、統治は条文を押さえる |
行政法 | 88点 | 全体の4割近い出題数 |
民法 | 48点 | 行政法に次いで出題数が多い |
商法・会社法 | 8点 | 株式・機関で間違えない事 |
政治・経済・社会 | 14点 | 高校の社会科の問題に近い |
情報通信・個人情報保護 | 12点 | 過去問の演習が最も効率的 |
文章理解 | 8点 | 毎年3問出題 |
上記目標点では法令科目で166点、一般知識で34点、合計で200点を目指しています。なお、こちらは現役行政書士の宮城彩奈様にご監修いただいております。
合格基準よりは多少高めに目標を設定していますが、試験は年に一度しか行われないことを考えれば、あえてギリギリを狙う必要はないでしょう。
表を見て分かるように、得点効率の高い行政法や民法で得点を稼ぎつつ、難易度のわりに配点が低い商法・会社法では最低限の得点を狙っていきます。
また、政治・経済・社会では高得点が狙いにくいので、あまり勉強時間を割くのはおすすめできません。一般知識では「情報通信・個人情報保護」と「文章理解」を確実に得点できるようにしておきましょう。
行政書士試験の配点と合格点まとめ
行政書士試験の配点と合格点まとめ
- 法令科目と一般知識でそれぞれ独立した合格基準が設けられている
- 合格点は基本的に毎年一定であり、行政書士試験は絶対評価の試験であると言える
- 試験勉強では足切りを意識しつつ、得点効率の高い科目を優先して勉強する
行政書士の試験内容について解説しました!
特に記述式対策や一般知識対策を怠ると不合格になってしまう可能性が高くなります。
戦略的に各科目の目標点を設定し、無駄なく合格ライン突破を目指しましょう。
みなさん全員が合格の栄冠をつかむことことを心より祈っています。