社労士の報酬は源泉徴収の対象?知っておきたい源泉徴収の知識
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社労士
のんびり社労士いけい
「社労士報酬をもらうときの源泉徴収の仕組みを知りたい!」
社労士として業務を行って報酬をもらう中で、このように感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では社労士報酬と源泉徴収の関係や源泉徴収に関する一般的な知識まで幅広く紹介します。
報酬の受け渡しをスムーズに行えるようになることで、納税漏れの回避や顧客とのトラブル防止・信頼関係構築に大きく役立つはずです!
社労士報酬と源泉徴収の関係についてざっくり説明すると
- 社労士がもらう報酬は源泉徴収の対象
- 源泉徴収の対象にならない収入もある
- 源泉徴収に関する一般的知識への理解も大切
- 源泉徴収を忘れると罰則の対象になってしまう
社労士報酬は源泉徴収の対象
ある年に所得がある場合、次の2点に注意する必要があります。
- どんな税金が何%の税率で課税されるのか
- 納税義務者は誰なのか
そして社労士報酬という形でお金をもらっている場合には、個人として社労士業を行っていると所得税が、社労士法人として業務を行っていると法人税が、それぞれ課税されることになります。
また個人が顧問料などの社労士報酬をもらう場合は、顧客に源泉徴収義務が生じない一部例外ケースを除いて、基本的には源泉徴収の対象になります。
そのため社労士として業務を行うのであれば源泉徴収に対する理解が必要不可欠です。
源泉所得税は売り上げの10.21%
社労士報酬に対する源泉所得税の税率は100万円を境に変わります。100万円以下は10.21%、100万円超の部分に対しては20.42%です。
法人税が課税される社労士法人の場合には所得税の源泉徴収は関係ありませんが、個人として社労士業を行うのであれば注意が必要です。
顧客が源泉徴収の仕組みや納税の方法を分かっていない場合もあるので、しっかりとやってもらうためにも説明できなければいけません。
また顧客に説明しても理解できなかった場合には、申告漏れを避けるために全額をもらった上で自分で申告・納税することもあり得ます。
顧客に説明するにしても自分で納税手続きをするにしても、所得税の仕組みを理解しておく必要があります。
消費税は別物!
同じ税金でも消費税は所得税とは全くの別物です。消費税も忘れずに納税しなければいけません。
消費税は「取引に課税される税金」で、消費者が負担して事業者が納税義務を負います。事業者の売上が1,000万円以上の場合には消費税の納税義務が生じます。
つまり顧問料などの社労士報酬をもらった場合、手元に残るのは源泉所得税と消費税を引いた後の金額になります。
源泉徴収した税金を納める期限
源泉所得税の納期限は報酬を支払った月の翌月10日です。これを過ぎると罰則の対象になるので注意が必要です。
なお給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者の場合は、特例を活用することができます。
そして特例の適用を受けた場合には納期限が変わります。その年の1月から6月の源泉所得税は7月10日、7月から12月の源泉所得税は翌年1月20日が、それぞれ納付期限になります。
社労士の源泉徴収の対象にならない収入
社労士が業務を行う中では顧客と色々なお金をやり取りします。
しかし顧客から受け取るお金の全てが源泉徴収の対象になる訳ではありません。報酬とは言えないようなお金についてはそもそも税金を課すべきではないからです。
税金の仕組みを正しく理解するためには、そもそも源泉徴収の対象が何なのかを理解する必要があります。そこで以下では源泉徴収の対象にならない収入について紹介します。
顧客が本来買うものを立て替えて購入する場合
顧客が買うはずのものを立て替えて事後的に購入代金を受け取った場合は源泉徴収の対象にはなりません。
顧客本人が購入していればお金のやり取りはなかったはずですし、立て替えただけで課税対象になるのは不公平だからです。税金や印紙購入代金を立て替えるケースが該当します。
交通費、宿泊費を顧客側が支払う場合
遠方の顧客の元に出向く場合には交通費や宿泊費がかかります。これらの費用を実費で社労士が受け取った場合には報酬として源泉徴収の対象になります。
しかし通常必要な範囲の金額で、顧客が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合には、報酬・料金等に含めなくても良いことになっています。そのためこの場合には源泉徴収の対象にはなりません。
社労士が知っておくべき源泉徴収の知識
社労士報酬に関する源泉徴収の知識だけではなく、源泉徴収に関する一般的な知識も知っておく必要があります。
そもそも仕事をして報酬をもらう以上、報酬にかかる税金に関する知識は必須です。後になってからトラブルにならないためにも、顧客との間で報酬の受け渡しは正しく行わなければいけません。
そこで以下では源泉徴収義務者や源泉徴収がされていない場合の対応方法について解説します。
源泉徴収義務者とは
会社や個人が報酬を支払う場合、支払う度に所得税を差し引くことになっています。そして税金を差し引いて国に納める義務がある者のことを源泉徴収義務者と言います。
報酬の支払者が法人であれば必ず源泉徴収義務者になりますが、支払者が個人事業主で従業員がおらず、給与の支払いがない場合には源泉徴収義務者には該当しません。
つまり後者の場合には社労士報酬を支払う際に源泉所得税を差し引く必要はないということです。
源泉徴収がされていない場合
もしも源泉徴収がされていない場合でも、顧客が源泉徴収義務者であればその責任や罰則は顧客側が負うことになります。
しかしお金に関するトラブルの原因にもなり得るので、顧客が分かっていない場合には社労士側から申し出たほうが良いでしょう。
そのほうが信頼関係の構築にも繋がりますし、仮に顧客側が気付いていたとしても事後的に返金を請求しにくい場合もあるはずです。
また後々になってから税金を支払ったかどうか分からなくなると困るので、契約時や精算時に互いにしっかりと確認することが大切です。
源泉徴収を忘れた場合に科される延滞税
源泉徴収義務を果たさず納期までに納めなかった場合、延滞税という罰則が科されます。
延滞税は原則として法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて科されます。 納税が遅れた分だけ負担額が増える利息のようなものです。
そして万が一顧客が源泉徴収をし忘れて延滞税が科された場合、顧客側の負担が増えてしまいます。
顧客が源泉徴収を分かっていない場合には、延滞税を科されるリスクも含めて説明したほうが良いでしょう。
社労士報酬と源泉徴収まとめ
社労士報酬と源泉徴収まとめ
- 顧問料などの社労士報酬は源泉徴収の対象
- 源泉徴収の対象になる収入とならない収入がある
- 源泉徴収そのものを理解して知識を深めることが大切
- 源泉徴収を忘れた場合には罰則がある
今回の記事では社労士報酬と源泉徴収について紹介をしました!
保険料計算など普段からお金を扱う社労士として、源泉徴収というお金の仕組みを理解することは当然大切なことです。
トラブルなく報酬の受け渡しをスムーズに行って、顧客との信頼関係をより確かなものにしていきましょう!