医療事務検定ってどんな資格?難易度・過去問・通信講座・独学勉強法まで詳しく解説!
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医師
安藤広真
医療事務は女性を中心に人気のお仕事です。医療事務という仕事自体は資格がなくても就業できますが、知識ゼロでは非常に困難です。
そこで、役に立つのが資格や検定です。体系的に知識や技術を身につけられるので、実務でも有益です。
この記事では医療事務検定について紹介します。医療事務に関する資格の中でも特に初心者向けの資格なので、医療事務に興味のある人はぜひチャレンジしてみてください!
医療事務検定について説明すると
- 医療事務関連では最も難易度の低い資格
- 合格率は90%以上で、勉強時間は100~200時間が目安
- 初心者や未経験者にもおすすめ
- 受験資格は基本的になし
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医療事務検定ってどんな資格?
医療事務検定とは医療事務に関する知識や能力を証明する民間資格です。医療事務に関する資格は何種類もありますが、その中でもトップクラスの合格率と短期間で済む勉強時間が特徴です。
医療事務とは病院や診療所などで受付や会計を担当している職員のことです。電話応対やカルテの整理なども担当していることが多いです。
最大の業務はレセプトと呼ばれる診療報酬請求書に関する業務です。日本の医療保険制度は複雑なので、専門知識なしには医療費を算出・確認するのは困難です。こういった業務を担当する専門スタッフが、医療事務なのです。
医療事務検定の主催団体
医療事務検定試験を主催しているのは日本医療事務協会という団体です。協会という名前ですが政府や地方自治体が設立した業界団体ではなく、三幸学園という学校法人の系列の一つです。
三幸学園は医療や福祉の分野で専門学校を全国展開している大規模な学校法人です。東京未来大学をはじめ、全国で60以上の学校を運営しています。
日本医療事務協会を運営している日本教育クリエイトは学生だけでなく社会人も対象とした教育サービスを提供している団体です。医療や福祉などの関連書籍の出版なども手掛けています。
医療事務検定は初心者にはおすすめの資格
医療事務に関する資格は数多くの種類があります。医療事務検定はその中でも特に初心者におすすめの資格です。
最大のおすすめポイントは合格率の高さです。医療事務検定は一度の試験で5000人も受験しているのですが、合格率は90%前後と非常に高いです。
高い合格率を維持できているということは、試験の難易度がさほど高くないということです。医療事務を勉強し始めたばかりの人が初めて受験する資格としては最適の資格と言えるでしょう。
医療事務検定の難易度は?
医療事務検定の出題範囲と出題形式
医療事務検定は学科試験と実技試験からなります。学科試験は選択問題20問と記述問題5問です。実技試験は医療費の計算問題が外来・入院それぞれ1問ずつ出題されます。
学科試験では医療制度に関する問題を中心に、受付事務や請求事務、関連法規などについて問われます。実技試験では医療費の算定スキルが求められます。
なお、この試験は教材や資料の持ち込みが可能です。細かい内容を暗記していなくとも、その場で調べて答えることができます。暗記が苦手な方でも不合格になる可能性は低いでしょう。
合格率・合格ライン・勉強時間は?
医療事務検定の合格率は90%前後です。受験者の大多数が合格できる試験です。合格するのに必要な得点率は試験全体のおおよそ7割ほどと言われています。
持ち込み可の試験であることを含めて、難易度はかなり低いと言えます。真面目に勉強していればしっかり合格できます。
試験合格に必要な勉強時間はおおよそ150~200時間です。毎日3時間勉強すれば2か月くらいで終わる計算です。医療事務の資格としてはかなりお手軽な部類です。
医療事務検定関連の勉強をしていなくても大丈夫?
医療事務検定で出題される内容は医療事務に関する基本的な内容ばかりです。他の資格を取得している人や実務経験者なら資格対策に特化した勉強をしていなくても合格は難しくないでしょう。
また、医療事務の基本が問われる資格なので、医療事務に関して知識ゼロの人でもしっかり学習すれば問題なく合格できます。テキストや参考書を元に勉強すれば合格ラインに達するのは容易です。
重要なのは元々持っている知識や経験ではなく、勉強しようという意欲です。やる気さえあれば合格できる条件は整っているので、積極的に受験しましょう。
医療事務検定を取ることをおすすめしたい人
医療事務検定はこれから医療事務を目指す学生や未経験者におすすめの資格です。勉強時間が少なくて済むため、比較的短期間の勉強で資格を取得したい方には特に向いています。
医療事務検定で出題される内容は類似資格と比べても決して高度とは言えず、また特別実務的というわけでもありません。そのため、経験者のスキルアップのための資格というよりは医療事務を目指す人が気軽に受験するための資格と言えます。
試験の合格率も高く、その上持ち込み可能なので短期間の勉強でも合格できます。よって、すぐに資格を取得したい方にオススメです。基本的には毎月実施されていることもポイントです。
医療事務検定の勉強法
試験問題について言えば医療事務検定は非常に勉強しやすい試験です。試験範囲は決して広くはなく限定的なので、重要ポイントはほぼ決まってきます。出題傾向も決まっているので、予想も立てやすいでしょう。
基礎から勉強しても無駄にはなりにくく、コツコツ積み重ねるスタイルの学習が有効です。ポイントもはっきりしているので独学でも十分勉強できます。
その反面、テキストや問題集・過去問が市販では売っていないという問題もあります。詳しくは以下でも説明しますが、他の類似資格のテキストを使用して勉強することになります。
そのため、独学での課題はテキスト選びとスケジュール管理の2つです。勉強内容や試験形式よりもしっかり勉強したかどうかが重要な試験です。
医療事務検定専用のテキスト・問題集は市販では売っていない
医療事務検定は専用のテキストや問題集が市販では売っていません。独学での勉強において公式テキストに当たるものはないと考えておきましょう。独学では個人でテキストを用意する必要があります。
もし独学でめざすのなら、他の医療事務資格のテキストを使いましょう。医療事務の資格は試験範囲が似ているものが多く、他のテキストを使用したとしてもさほど不都合はありません。
もちろん、市販の専門書を利用して勉強しても構いません。予備校や通信講座のテキストを誰かからもらうという手もありますが、法改正についてなどの変化している部分もあるため要注意です。
過去問も市販では売っていない
また、テキストや問題集だけでなく過去問も市販では売っていません。とはいえ、過去問を使って勉強するほどの難関資格ではないのであまり気にしなくてよいでしょう。過去問を利用せずとも合格できます。
テキストと同様、過去問も他の医療事務資格のものを流用しても構いません。ただし、難易度や出題形式の違いには注意しましょう。
また、医療事務検定はおおよそ毎月1回実施されるので、試験問題に触れる機会は意外と多いです。あまり考えたくはありませんが、不合格になった場合には受験した時の問題をそのまま対策に活用できます。
試験対策向け通信講座は存在する
公式のテキストや問題集・過去問が市販されていないので独学にはやや向かい風です。その一方で通信講座は充実しています。
有名どころではニチイ学館が手掛けています。また、主催団体である日本医療事務協会の通信講座もあります。
通信講座は独学に比べると出費が大きく、コストパフォーマンスではやや劣ります。しかし、利便性と時間効率では大きく上回っています。
移動時間のを利用した学習が可能でスケジュール管理も気にせずに済みます。予備校のように通学する必要がないというメリットもあります。
医療事務検定の勉強をするメリット
医療事務検定資格は就職・転職にも有利
医療事務検定のメリットは就職や転職で有利になるということです。医療事務は必ずしも資格がなければつくことができない資格ではありません。むしろ実務経験の方が重要です。
しかし、実務経験がない人が就職するには資格が重要になってきます。資格で問われているような最低限の知識や能力があると証明できますし、意欲を示すこともできます。
また、医療事務検定は医療事務資格では基本的なものです。さらに上位の資格を目指すうえで土台にできるのも大きなメリット。スキルアップも可能です。
医療事務検定合格者の主な就職先は病院や診療所です。基本的には全国どこにでもあるため、自分の住んでいる地域に合わせて働き場所を見つけるのも容易です。
医療事務検定の試験日程・会場・申し込み方法
医療事務検定は毎月第四日曜日に実施されています。ただし、8月までと9月以降でスケジュールが若干異なるため、秋以降の受験を検討している人はその都度確認しましょう。9月と10月は実施されないようです。
試験会場は全国各地にあるため、地方在住の方でも受験しやすいと言えます。また、2回目以降の受験や主催している日本医療事務協会の通信講座を修了した人は自宅受験も可能です。
申し込み方法は郵送のみです。応募締め切りは試験の10日前で、当日必着とのこと。合否の発表は2週間後くらいに郵送にて通知されます。
医療事務検定に受験資格はある?
医療事務検定には実質的には受験資格はありません。年齢、学歴、職歴に関わらず誰でも受験できます。
公式webページでは、医療事務検定の受験資格を有する者として以下のように書かれています。
- 日本医療事務協会が認定する医療事務講座を修了した者
- 受験申請のあった高校・専門学校・短期大学・大学等
- 受験申請のあった一般受験申込み者
通信講座修了者や各種学校の学生はもちろん、一般受験申込者にも受験資格が開かれています。ただし、一般受験の場合には基礎的な算定資格を有することという条件があります。
具体的には、正式な受験前に専門知識の習得状況を確認するための課題を提出する必要があります。この課題の内容は医療事務検定そのものの合否には影響しないとされています。
医療事務検定の受験料
医療事務検定の受験料は税込みで7560円です。振込前提ですので、手数料が発生する場合もあります。
受験料だけを考えた場合、極端に高いとも低いとも言えません。資格の持つメリットを見てもこの手の民間資格としては標準的な水準です。
参考までに類似する医療事務の金額を比較してみましょう。以下の表は医療事務に関する資格の受験料をいくつかまとめたものです。見てわかる通り、ほとんどの資格は7500円程度に設定されています。
なお、この中で診療報酬請求事務能力認定試験だけがやや高額です。この資格は医療事務分野でも頭一つ抜けたトップの資格です。難易度が高く、厚生労働省による認定も受けている別格の資格なのです。
資格名 | 受験料 |
---|---|
医療管理秘書 | 税込み7000円 |
医療秘書 | 税込み7000円 |
メディカルクラーク | 税込み7000円 |
診療報酬事務能力認定試験 | 税込み9000円 |
医療事務管理士技能認定試験 | 税込み7500円 |
医療事務検定と合わせて取りたい類似資格
医療管理秘書
医療管理秘書は医療の場における秘書業務や管理業務の能力が問われる資格です。医療スタッフの業務をバックアップする能力が求められます。事務能力だけでなく秘書・管理と言った面も強調されてきます。
医療管理秘書資格を主催しているのは一般社団法人の医療教育協会です。試験は毎年10月と1月の2回実施されます。
試験の合格率が90%と医療事務検定と並んで高いので、資格が欲しい人にはおすすめです。ただし、受験資格が厳しいので誰でも受験できるものではありません。
受験資格があるのは、大学や専門学校で特定の単位を取得した人だけです。具体的には以下の表の科目です。最初から医療事務を目指している人や在学中に進路を決定した人以外には目指しにくいのが難点です。
- 医療管理学概論(医事・医療・精神保健各法を含む)
- 医療秘書実務
- 医事業務に関する医学一般
- 医事業務に関する薬の知識(医療管理学に含む)
- 医療事務演習(医療事務総論(医療保険制度)医療保険請求事務演習)
- 情報処理・実技
医療管理秘書の詳細は下記の記事をチェック!
医療秘書
医療秘書は医療事務とは似て非なる職業です。医療事務の主な業務内容は受付や会計、カルテなど情報の整理です。
それに対して、医療秘書は来客応対やスケジュール管理が中心です。企業で秘書が行っている業務を医療現場に導入したような業務です。
医療秘書の有名な資格に医療秘書技能検定があります。医療秘書技能検定では医療事務検定で問われた医療事務に加えて医療秘書実務や医療関連の知識も出題されるので、難易度は高めです。
医療事務よりも医療秘書の方が業務内容が広く、より活躍の場が広がります。医療事務からさらにスキルアップし、医療業界でさらなる活躍を目指す方におすすめです。
医療秘書技能検定の詳細は下記の記事をチェック!
メディカルクラーク
メディカルクラークとは医療事務技能審査試験に合格した人に与えられる呼び名です。医療事務に関する資格の中ではもっともメジャーな資格です。
医療事務技能審査試験を主催しているのは一般財団法人日本医療教育財団です。1975年に実施されて以来、40年以上にわたって行われてきた歴史ある資格です。
受験資格は一切なく、誰でも受験可能です。試験は毎月実施されるので、思い立った時に受験しやすいでしょう。反面、合格率が60%とやや低く、医療事務検定よりも高度な資格と言えます。
学科試験と実技試験1・2に分かれており、それぞれ得点率が70%以上取得で試験合格です。なお、医科と歯科の2つの分野がありますが一度に併願することはできません。
メディカルクラークの詳細は下記の記事をチェック!
医療事務検定と合わせて勉強しておきたい内容
初心者でも気軽に受験できるお手軽さが医療事務検定の魅力です。しかし、実務を考えると内容的にはやや物足りない部分があるのも事実です。実際の業務内容と比べてみるとさらに勉強しておきたい内容もあります。
まず第一に挙げられるのがレセプトと呼ばれる診療報酬請求書の作成・確認に関する能力です。医療事務のお仕事の根幹をなす重大業務であり、同時に最も難易度の高い内容です。
医療事務検定では初心者でもなじみやすい内容になっている反面、実務レベルではないため、個別に勉強しておくとなお良しと言えるでしょう。
他には受付業務も重要です。就職して最初に触れる仕事なので、日常的な受付・会計業務を磨いておくのも良いでしょう。
医療事務検定のまとめ
医療事務検定のまとめ
- 独学・通信講座など勉強方法は多様
- 就職や転職にも役立つ
- 短期間で合格したい人にもおすすめ
この記事では医療事務検定について紹介してきました。いかがでしたか?医療事務検定は合格率が高く、持ち込み可能なので特に初心者向けの資格です。
医療事務という仕事自体がは無資格でも可能ですが、体系的な知識を身につけるのは大変です。効率よく知識を身につけるという点にも資格の意味があるのではないでしょうか。
医療事務検定は受験・合格が容易なのでもし迷っているのならぜひ受験してみてはいかがでしょうか!