医事コンピュータ技能検定ってどんな資格?難易度・合格率・勉強法まで解説!

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医師

安藤広真

「医事コンピュータ技能検定」とは、診療報酬請求事務をコンピュータでどれくらいできるのかが測れる検定です。

今、診療報酬請求事務の現場で注目されています。そのため、興味を持っている人は多いでしょう。

この記事では、医事コンピュータ技能検定とはどんな試験でどんなメリットがあるのかなどを説明していきます。

医事コンピュータ技能検定についてざっくり説明すると

  • 誰でも受験ができる
  • 診療報酬請求事務について知識と技能が身につく
  • 年に2回、全国の指定会場で実施されている

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医事コンピュータ技能検定ってどんな資格?

男性が勉強している 医事コンピュータ技能検定とは、医療事務やコンピュータの基礎知識、 レセコンを使って正しくレセプト作成ができる能力があるかを測る試験です。

現在、医療現場でもIT化が進み、コンピュータの知識を持った医療従事者の需要が高まっていることから注目されています。ここでは、医事コンピュータ技能検定の概略を説明していきます。

医事コンピュータ技能検定の主催団体

医事コンピュータ技能検定の主催団体は、医療秘書教育全国協議会という昭和62年(1987年)に発足した組織です。

発足の目的は、高度になった医療の事務面における専門的な支援と複雑化している連絡を調整し円滑にするためです。

現代の医療は、複雑高度化しさまざまな人が関わって成り立っています。これは、医療だけでなく事務面においても同じです。

こうした流れの中でコンピュータ技能が医療従事者にも必須となってきているので、医療従事者のコンピュータの基本的知識・医療機関で求められる技術の習得を目指して始まった資格が医事コンピュータ技能検定です。

レセプト、レセコンって?

レセプト・レセコンとは、医療現場では当たり前に使われていますが、一般には知られていない用語です。そこで、少しこれらの専門用語を解説していきます。

レセプトとは、診療報酬明細書のことで、診療に要した費用を記したレシートのことです。具体的には、1回の診療行為にかかった費用の明細を所定の形式で記載し、それらをまとめて1月分の診療にかかった費用をまとめたものです。

レセコンとは、レセプトコンピュータのことで、レセプトを作成するためのコンピュータシステムのことです。9割以上の病院や薬局で使われているので、医療に関わる仕事をする人なら、必ず使いこなせなければなりません。

医事コンピュータ技能検定はIT化で注目を集めている

医療事務は、ITが発達してレセプトがコンピュータを使ってオンライン請求する流れが全国に普及して一般化しています。

こうしてレセコンを使う業務が必須となってきているので、その能力を問う医事コンピュータ技能検定は注目を集めているのです。

医事コンピュータ技能検定は、毎年2回、6月と11月に試験が実施されています。

現在ではすでに年間で6000人以上が受験する試験に拡大してきており、医療事務に携わる人の多くは受験、あるいは受験のために勉強しています。

医療の現場で活かせる検定であることはもちろん、転職を考えている人にも有効ですので、医療に携わる人は挑戦してみてはいかがでしょうか。

医事コンピュータ技能検定の難易度

女性が悩んでいる画像 医療コンピュータ技能検定を目指す上で知っておきたいのが、難易度や試験範囲、合格率などです。ここでは試験の難しさについて詳しく解説していきます。

医事コンピュータ検定の試験範囲と出題形式

医事コンピュータ検定には、難易度別に準1級、2級、3級の3つが用意されています。試験範囲は以下の通りです。

区分 試験範囲
領域Ⅰ 医療事務
領域Ⅱ コンピューター関連知識
領域Ⅲ 実技(オペレーション)

試験形式はすべてマークシートで行われ、領域Ⅰ・Ⅱはそれぞれ30分で、領域Ⅲは60分の試験です。

配点は各領域で60点満点の計180点満点で行われます。

3級

医療事務及び、医事コンピュータについて基礎的な知識を持っているかどうかが試される試験です。

カルテや診療伝票を基に、医事コンピュータを用いて間違いなく正確に作成することが試されます。基本中の基本の部分なので、専門知識はそれほど必要ないといえるでしょう。

2級

医療事務及び、医事コンピュータについて一般的な知識を持っているかどうかが試される試験です。

カルテや診療伝票を基に、医事コンピュータを用いて正確に作成することはもちろん、迅速に作成できるかどうかも求められます。

準1級

医療事務及び、医事コンピュータに関する専門的な知識を有することが前提の試験です。そのため、やや複雑で多岐に業務がこなせるかどうかが試されます。

また、DPC(診断群分類別包括支払制度)に対する正しい理解があり、やや複雑なカルテを、専門ソフトを使ってレセプト作成する部分も出題範囲です。

医事コンピュータ技能検定の合格率

医事コンピュータ技能検定の合格率は、平成30年度11月だと準1級は55.7%、2級は33.7%、3級は63.2%です。

各級とも合格率は異なりますが、全体として見ると比較的難易度は易しい検定です。しっかりと対策を練って勉強をしていけば、合格できるといえるでしょう。

医事コンピュータ技能検定の合格ライン

合格ラインに関しては、すべて同じです。どの級も3つある領域ですべて60%以上の正解であれば合格です。

そのため、得意分野だけでは不合格になるリスクがあります。苦手意識を持っているような領域をなくせるかが合格のポイントになります。合格ラインに到達できるように、苦手領域に勉強時間を費やしていきましょう。

医事コンピュータ技能検定を取ることをおすすめする人

医事コンピュータ技能検定を取ることをおすすめする人は、レセプト作成に携わる医療従事者です。

現在医療機関ではレセプトを中心としてコンピュータ化が進み、そこに勤めている人にとって医事コンピュータ技能の習得は必須だからです。

もちろん、医療機関に今携わっていなくても、将来転職を考えている人も事前に取得しておけば、面接が有利になります。受験資格はないので、医療関係の仕事を目指している人は、取得を考えてください。

医事コンピュータ技能検定の勉強法

女性が勉強している 医事コンピュータ技能検定の出題範囲は公開されています。また、3級と2級に関しては公式のテキスト・問題集が発売されているので、これらを使えば独学はやりやすいです。

ここでは、勉強法を紹介するので、勉強時間の割り振りを考えてみてください。なお、準1級は多面的で専門的な質問が多いので、普段の勉強とともに実務経験を積むことが必要です。

おすすめテキスト・問題集

3級と2級に関しては、建帛社が出版する検定指定テキストを用いることで、効率よく勉強ができます。

  • 医療事務〔第2版〕
  • 改訂医事コンピュータ関連知識
  • 医事コンピュータ実技

領域ごとにテキストが分かれているので、それぞれ購入するようにしましょう。

3級と2級の勉強時間は、これらテキストを熟読することに使うことをおすすめします。これで基本的な知識はつけられます。

また、3級と2級には、それぞれ過去問題集があるので、同時に購入するようにしましょう

  • 2019年度版 医事コンピュータ検定問題集3級 (1) コンピュータ関連知識
  • 2019年度版 医事コンピュータ検定問題集3級 (2) 医療事務・実技(オペレーション)
  • 医事コンピュータ検定問題集2級 2019年度版

3級の過去問題集はつちや書店が、2級の過去問題集はケアアンドコミュニケーションから出版されています。

傾向や頻出分野がわかるので、勉強の仕上げには過去問題集を繰り返し解くようにしましょう

通信講座も存在

医事コンピュータ技能検定には通信講座が存在し、株式会社アビバ や資格の大原などがあります。それぞれの特徴を少し紹介します。

株式会社アビバ

株式会社アビバでは、常に最新の知識で学べることを売りにしています。また、どのような勉強をすれば素早く回答できるかなどのノウハウも学べます。

資格の大原

資格の大原では、WEBやDVDを用いた通信講座を視聴できます。WEBならスマホで視聴できるので、どこでも勉強ができるのが魅力です。

通信講座を使って学ぶことで、頻出範囲をきちんと押さえて基礎知識のインプット、演習ができるなどのメリットがあります。誰でも勉強がやりやすくなって、勉強時間の短縮になるので、社会人には特におすすめです。

医事コンピュータ技能検定の勉強をするメリット

目標を達成して両手を上げている 医事コンピュータ技能検定には、勉強することで得られるメリットがいくつもあるので、紹介していきます。

レセプトの作成がスムーズにできる

すでに説明した通り、現在の現在の医療現場はレセプト作成を、コンピュータを使って行っています。

そのため、コンピュータを使ったレセプト業務を身に着けていることは、レセプト作成に携わる医療従事者にとって必須の技能です。

つまり、医事コンピュータ技能検定を取得しておくことで、病院での業務をスムーズにできるのです。

もちろん、応用は基本の上に成り立っているので、医事コンピュータ技能検定で学ぶことで、応用への対応力も身につけられるメリットもあります。

就職に有利に働く

医事コンピュータ技能検定は、医療事務職につくための必須の資格ではありません。

しかし、現在はコンピュータを使ったレセプト業務が一般化しているので、この検定を取得しておくことで、就職時に強いアピールができるようになります。

もちろん、転職の面接でも履歴書に書くことで、ポイントアップが狙えるでしょう。

また、医事コンピュータ技能検定は、医事関係の資格であるのと同時に、コンピュータ系の資格でもあるので、医療事務の検定の中でも重宝される傾向にあるのもメリットといえます。

医事コンピュータ技能検定の今後の需要は?

医事コンピュータ技能検定は誕生以来多くの受験者を誇る資格となりましたが、今後も検定試験の需要は続くのでしょうか。

デジタルネイティブの若者が増えたことで、わざわざ検定を受けずともPCを使った各種医事業務をこなせる人ばかりになるという考え方もあります。

一方で、医療業界のDXが推し進められていることから、コンピュータを使った基本的な業務内容を把握しておくことの重要性も高くなっています。

そのため、医事コンピュータ技能検定は今後も一定の需要を確保し続けると考えられるでしょう。

医事コンピュータ技能検定の会場・申し込み方法

チェックリストが載っている 医事コンピュータ技能検定の受験は、全国の指定会場で行われます。

申し込みは以下の2通りがあります。

  • 受験願書を医療秘書教育全国協議会に取り寄せてから郵送する
  • 公式ホームページから願書をダウンロードして郵送する

申し込みは試験日の2か月前から始まり、1か月前に締め切られるので、受験希望者は余裕を持って申し込みを済ませるようにしましょう。

医事コンピュータ技能検定の受験資格、受験料

医事コンピュータ技能検定には、受験資格は定められていません。そのため、医療事務に興味がある人は誰でも受験できます

受験料に関しては、受ける級によって違いがあり、以下の通りです。

  • 準1級 8,600円
  • 2級  7,500円
  • 3級  6,400円

なお、医事コンピュータ技能検定は併願も可能です。併願した場合の料金は以下の通りです。

  • 2、3級を併願した時  13,900円
  • 準1、2級を併願した時 16,100円

受験料金は別々に受験した時と変わりません。併願による受験料の割引はないので、併願を希望の人は、それぞれの合計の金額を医療秘書教育全国協議会の口座に振り込むようにしてください。

医事コンピュータ技能検定と合わせて取りたいおすすめ資格

いくつかプランを練っている 医事コンピュータ技能検定と合わせて取ることをおすすめする資格があるので、2つ紹介します。

1つは医事オペレータ技能認定試験検定です。

医事コンピュータ技能検定と同様に、医事業務をコンピュータを使って操作、処理するための知識と技能を身に着けることを目的としています。

一緒に取ることで、医事に関して複眼的にとらえられるようになります。

ちなみに、合格率が平成29年度で91.1%とかなり高く難易度が易しいため、医事コンピュータ技能検定を取る前に受験することで基礎をしっかり固めることができるでしょう。

もう1つはレセプト点検業務技能検定試験です。

この試験ではレセプトの計算、入力間違えがないかなどが出題されるので、訂正能力が問われます。

レセプトの間違えを発見することを通じてレセプトの基本情報により詳しくなり、実務に活きる能力が養えます。より実践的なので、同時に取得することで医療の現場で活躍しやすくなるでしょう。

医事コンピュータ技能検定のまとめ

医事コンピュータ技能検定についてのまとめ

  • 診療報酬請求事務でもって、働きたい人におすすめの検定
  • レセプト業務への知識がしっかりと身につきます。
  • 医療だけでなく、コンピュータの知識も身につきます。
  • 医療事務に関わりたい人には有利な検定です。

医事コンピュータ技能検定は、IT化が急速に進んでいる現代では、さまざまな病院や薬局で重宝される検定です。

現在は診療報酬請求事務を行っている人でも、必須の検定ではありません。しかし、診療報酬請求事務の業務は年々複雑化して高度化しています。

そのため、医事コンピュータ技能検定の勉強をすることで、より正確で迅速な業務を遂行できるようになります。より高い次元の仕事を目指している人や診療報酬請求事務への転職を考えている人は取得してみてください。

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