診療報酬請求事務能力認定試験の難易度や合格率は?学科と実技の難点まで解説!

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医師

安藤広真

「診療報酬請求事務能力認定試験の難易度はどれくらい?」

「勉強する上で気をつけるべき点はどんなこと?」

こんな疑問をお待ちの方もいるのではないでしょうか?

診療報酬請求事務能力認定試験は医療機関において非常に需要がある資格で、多くの方に人気があります。

診療報酬請求事務能力認定試験の難易度や合格率はどの程度なのか、気になっている方は多いと思います。

こちらの記事では、試験の難易度などの基本データや合格ラインなどを解説していきます!

診療報酬請求事務能力認定試験の難易度についてざっくり説明すると

  • 医療事務系の資格では最高峰の難易度
  • 合格率も低く、独学での取得は困難
  • 早い段階から問題をたくさん解いて実践力を身に付けておくと良い

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診療報酬請求事務能力認定試験の難易度

診療報酬請求事務能力認定試験の難易度表

気になる診療報酬請求事務能力認定試験の難易度を以下で解説していきます。

診療報酬請求事務能力認定試験とは

そもそも、この試験は医科と歯科の二つに分かれています。

この2つは合格率や難易度が近いため、こちらの記事の内容はどちらにも共通していることを前提にしてください。

医科と歯科は同時受験はできませんが、どちらも受験資格は無くどちらからでも受けることができます。

この試験は平成6年に設立された比較的新しい資格で、日本医療保険事務協会が主催しています。

この資格は、「診療報酬請求事務を迅速かつ正確に行うことのできる人材を育成すること」を目的として創設されました。

平成25年には内閣府に公益財団法人として認定されており、格が高く権威ある資格であることが分かります。

診療報酬請求事務能力認定の合格率

医科も歯科も、ともに合格率は35%ほどとなっています。

また、近年では7月試験の合格率がやや低く、12月試験の合格率がやや高いという傾向が見られます。

この差が発生する理由としては、年度初めに勉強をはじめる人が多いことが挙げられます。

それに加えて、偶数年度の4月には診療時の点数のつけ方が改正されることもあって、7月受験は改正に対応する時間があまり無く不利であると考えられるためです。

このような背景もあり、同じ年でも7月と12月では受験者数2000から3000人の差が出ています。

しかし、問題そのものの難易度の差はないのでその点は注意して下さい。

診療報酬請求事務能力認定の合格点

それでは、試験の合格ラインを見てみましょう。

科目 合格点
医科 学科試験 70 点以上(100点満点)
医科 実技試験 80 点以上(100点満点)
歯科 学科試験 80 点以上(100点満点)
歯科 実技試験 70 点以上(100点満点)

上の表は、令和元年度12月試験の例であり試験ごとに合格点はそれぞれ変化します。

実技試験の採点方法は、ホームページによると解答された項目のうち正解した項目に応じてあらかじめ素点を算出し、得点が100点満点となるよう換算して採点しているようです。

また、学科試験の合格ラインに到達しないと不合格が確定するため、その後の実技試験は採点すらしてもらえません。

試験時間は3時間で、学科・実技をぶっ通しで行い、時間配分が自分で決めることができることもあるためか、部分的な合格は認められていません。

そのため、「学科で合格点を取ったから、次回は実技だけ」といった免除規定は一切ない点に注意しましょう。

診療報酬請求事務能力認定試験合格までに必要な勉強時間

医療事務未経験の場合や、他の医療事務系の資格の勉強をしたことがない人であれば、合格までに400時間ほどの勉強が必要となります。

400時間をクリアするためには、一日2時間勉強するのであれば半年~7カ月の期間が必要となり、一日3時間勉強できるのであれば4~5カ月の期間が必要となります。

他の医療系資格と比べても長く勉強することが必要な難関資格です。

普段の仕事などが忙しい人は、通勤時間などの隙間時間をうまく活用して効率よく勉強していきましょう。

診療報酬請求事務能力認定試験って何が難しい?

悩む女性

診療報酬請求事務能力認定試験は難易度が高いですが、具体的にどのような点が難しいのでしょうか?

資格取得には2種類の試験の合格が必要

診療報酬請求事務能力認定試験は学科試験と実技試験に分かれており、それぞれ形式が全く違うため、個別に対策する必要があります。

実技試験はカルテを正しく理解する力と、それを点数化して正しくレセプトに書き入れるという実務に近いスキルが求められるため、実務に携わったことがない人にとってはかなり難しいでしょう。

特に、入院のレセプト作成は1問解くために90分近くかかるように負担が重い内容となっています。

変則的な5択の学科試験

学科試験の出題形式は変則的な5択となっています。

問題集を見てみるとわかりますが、「4つの文章の内、正しい文章を選んだものとして正しい組み合わせはどれか」という試験形式が20問出てきます。

選択肢は、どの問題も以下のような組み合わせになっています。

(例)

a:(1)、(2)

b:(2)、(3)

c:(1)、(3)、(4)

d:(1)~(4)のすべて

e:(4)のみ

学科試験は60分で全問解くことが目安となっているため、1問あたりに使える時間は3分です。

1問にあまり時間をかけすぎると後半がきつくなるので、一つ一つの選択肢を素早く読んで正誤を判断する力を養っておかなければなりません。

また、学科試験の問題は持ち込み資料を使わずに正誤を判定するのはほぼ不可能なので、持ち込む参考書などから手早く必要な情報を探せるように対策する必要があります。

普段使っている参考書のどの項に、どのような内容が記載されているかは必ず確認しておきましょう。

また、配点については言及されていないものの、1問5点と考えられています。

特に令和元年度12月試験では歯科では合格基準が80点となったため、4問しか間違えることができないという状況です。

本番で、確信をもって選択肢が選べそうならば時間短縮のためにも全ての選択肢の正誤判断はしなくても良いでしょう。

しかし、このためには当然高い精度が必要となるため日ごろの練習問題で実際に試してみて自分の解答精度を確認しておきましょう。

もし高い精度で正解できていれば、実技も解き終わり時間が残っていたら不安が残る問題に戻って、持ち込み資料で正誤判断をしていない選択肢を確かめると良いでしょう。

逆に、精度があまり高くない人は無駄な失点を避けるためにも参考書を見ながら一つ一つの選択肢の正誤判断をしていくべきです。

1からレセプトを作る実技試験

実技試験では、学科試験を解いた後に残ったおよそ2時間で、2つのレセプトを作ることが求められます。

2つのレセプトは外来レセプトと入院レセプトであり、解答時間の目安は外来が30分・入院が90分程度見積もっておきましょう。

回答するために多くの時間がかかるということは、複雑で難解な内容が問われているということでもあるため、入院レセプト作成問題はこの試験の山場と言えるでしょう。

レセプトを作る際には、まずは出題された背景を示す文章と、カルテを正確に読み解く必要があります。

カルテは左側に病状の経過などが記載されていて、右側に処方された薬や処置などが示されており、日付ごとにどのように病状が進行をしているかがわかる形式になっています。

それを見ながら、それぞれの処置がどの分野に当てはまり、診療点数が何点なのかといったことを調べながら書き入れていかなければなりません。

このように、非常に実務に近い試験問題となっているため医療事務未経験者にはかなり負担が重いでしょう。

慣れていくためには、とにかく数多くレセプト問題を解いて「レセプトを作成する」という作業を身に染み込ませていくしかありません。

逆に、慣れてしまえば得点源になりうるので、演習を十分な量行えるように勉強のスケジュールを組みましょう。

関連資格との難易度比較

診療報酬請求事務能力認定試験と度々比較される資格について、難易度の面で比較してみましょう。

メディカルクラーク

メディカルクラークの試験は、試験回数も多く受験がしやすいこともあり、医療事務資格の中で最も人気であります。

試験領域も診療請求事務能力検定試験と近く、レセプト業務に関する実技試験もあります。

試験の内容はかなり似ていることもあってか、ダブルライセンスを狙う人も多くいます。

合格率は60%ほどとされており、合格に必要な勉強時間は200時間ほどと言われています。

難易度も診療報酬請求事務能力認定試験よりも低いため、診療報酬請求事務能力認定試験を受ける前にメディカルクラークを受ける人も多くいます。

メディカルクラークとのダブルライセンスを取得できると医療機関においてかなり価値の高い人材とみなされるため、大きな強みとなるでしょう。

メディカルクラークの詳細は下記の記事をチェック!

医療事務管理士

医療事務管理士は、日本で最初の医療事務の資格として広く認知された資格です。

認知度が高いため医療機関への就職活動でアピールがしやすく、多くの人に人気があります。

試験の特徴として、インターネット受験ができることが挙げられます。

また、24時間受験可能となっているため、自分の都合に合わせて受験することができます。

合格率は50%ほどで、合格するために必要な勉強時間は400時間程度必要とされており、診療報酬請求事務能力認定試験より少し難易度が低いという位置づけになります。

医療事務職員を目指す人はまずこの資格を取得するケースが多く、まず手始めに受験してみるのも良いかもしれません。

医療事務管理士の難易度は下記の記事をチェック!

診療報酬請求事務能力認定試験は独学可能?

医療事務の資格で最難関ともされる診療報酬請求事務能力認定試験は、独学でも合格できるのでしょうか?

また、独学の場合にはどんなことに注意するべきかも併せて解説していきます。

独学合格は1からでは難しい

学科試験に出題される文章問題は自分で参考書などを使って調べる手間もあり、かなり難易度は高いです。

また、実技試験に関してもカルテを読み解いた上で、診療点数の精度をもとにレセプトを作成しなければならず、非常に専門性が高いと言えます。

この試験の難しい面は、「暗記すればすぐに点数に直結するわけではない」ことです。

暗記で通用する簡単な試験ではないため、勉強方法が難しく独学では対策を考えるのはかなり難しいでしょう。

問題の難易度も高いため一人で理解できないことも多く、分からない問題が出てきたらすべて自分で解決しなければならない点に注意が必要です。

用意する参考書

試験は持ち込みが認められているため、わかりやすいテキスト・問題集・診療点数早見表を用意する必要があります。

診療点数早見表はレセプトを作る際に必須の資料となるので、必ず最新版の早見表を準備しておき、使い慣れておくようにしましょう。

また、参考書に関しても色遣いや文字の大きさなど、細部までしっかりと確認し自分が使いやすいと判断したものを選びましょう。

何冊も準備するのではなく、厳選した教材を使い込んでおく方が「どこに何が書いてあるのか」を把握しやすいためおすすめです。

早々に問題を解く

この試験は、暗記が通用しない分インプットするべき量は少ないというメリットがあります。

そのため、概要や大枠を学んだら早速問題を解いていきましょう。

ここで、時間がかかってしまっても自力で解くことが出来れば、基礎は十分身に付いているため独学での合格も見えてきます。

一方、テキストを一通り読んで内容を把握したつもりでも、全く問題を解けず資料を見ても理解できないようでは独学は難しいでしょう。

このような場合は、無理せずに通信講座などを利用するようにしてください。

問題を解いて時間を速くする

問題集を通して問題に慣れてくることで、解くスピードが速くなります。

本番は緊張している上に時間に追われることになるため、短い時間で問題を解くことはとても重要です。

また、実技では今まで解いたことのないようなカルテが出題されることあります。

中には自力では解けない問題も出てきますが、持ち込み資料に必要なことは全て書いてあるため、慣れれば初見の問題もスムーズに解くことができるようになります。

本番ではどのような問題が出てくるか分からないので、今までの傾向に無いような問題に遭遇する可能性もあります。

そのため、どんな問題が来ても応用できるように問題を解き進める必要があるのです。

日頃の演習から本番を意識しながら緊張感を持って解くことで、本番への良い準備になります。

診療報酬請求事務能力認定試験の難易度まとめ

診療報酬請求事務能力認定試験の難易度のまとめ

  • 合格率は30%台と低いため、独学では難しい
  • 持ち込みが認められているものの、難易度は高い
  • 半年程度の勉強期間でしっかりと勉強しないと、合格は難しい

診療報酬請求事務能力認定試験の難易度や合格率について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

難易度は医療事務系の資格ではトップクラスであるため、綿密な勉強計画が欠かせません。

難関資格である分、取得メリットは大きいため、興味がある方はぜひ取得を検討してみてください。

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