登録販売者資格は更新が義務?資格取得後や働かない期間にやるべきことを解説

更新

「登録販売者資格に更新が必要なの?」

「登録販売者として働き続ける方法は?」

こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

こうした疑問が解消されないので、多くの人が登録販売者試験の受験を見合わせているとも言われます。

この記事ではあらゆる面から登録販売者制度を解説していきますので、疑問の解消が可能です。

また、そのことで、登録販売者資格取得の検討につながるものと確信します。

疑問に対しての回答をざっくり説明すると

  • 登録販売者の資格そのものは、更新をする必要がない
  • 正規の登録販売者として働き続ける方法は、常に「実務経験を満たす」こと
  • 試験合格後にすべきことは「合格通知書の受取り.勤務先への報告、販売従事登録の申請」
  • 退職時にやるべきことは「販売従事登録証」と「実務経験証明書」の受け取り

登録販売者資格は更新が必要?

履歴書

2015年の『薬事法』改正にともない、登録販売者制度はも大きく変更されました。

なかでも一番大きな変更は、正規の登録販売者や店舗管理者などで働き続けるためには、「実務経験の要件」を満たすことが必要になったことでしょう。

ここでは、『薬事法』改正によって登録販売者制度はどのように変更されたかを解説します。

登録販売者資格とは

登録販売者とは、2009年から施行された改正薬事法(現在の『薬機法』)に定められた資格です。

第二類・三類の一般用医薬品の販売と、購入希望者からの医薬品に関する質問や相談対応が認められています。

2009年の薬機法施行で、営業時間の半分以上を薬剤師や登録販売者が担当するのであれば、薬局やドラッグストア以外でも第2・第3類医薬品の販売が可能になりました。

そのことで登録販売者の活躍する職場は、コンビニやスーパーにとどまらず大型家電量販店・免税店・エステサロン・介護施設などの業種業態にまで広がっています。

登録販売者資格が更新制に

2014年度までは登録販売者試験に合格すれば資格更新の必要がなく、途中で何年のブランクがあっても登録販売者や店舗管理者として働き続けられました。

しかし、2015年度の薬事法改正で、働き続けるためには次の要件を満たすことが必要になったのです。

現時点から直近5年の間に、2年以上(月80時間以上)の実務経験を維持していること

この要件を満たさないと、正規の登録販売者や店舗管理者などは、「研修中の登録販売者」に身分が変更されます。その場合、単独では医薬品販売に従事できなくなるのです。

登録販売者資格の更新は「身分上の資格(処遇)の見直し」で、実務経験を満たさなくても登録販売者の資格は失われません。

登録販売者の制度改正

登録販売者制度は、2015年に次の2点が改正されています。

1つは、受験資格の高・大卒1年、中卒4年の実務経験が撤廃され、誰でも受験できるようになりました。

もう1つは、正規の登録販売者や店舗管理者として働くには、直近5年間に2年以上(月80時間以上)の実務経験が必要になったことです。

この実務経験の要件を満たさないと登録販売者の資格はそのままですが、「研修中の登録販売者」で働くことになります。

経過措置には期限がある

2015年の制度改正をいきなり適用すると正規の登録販売者が不足する職場が大量に出てくる可能性があったことから、次のような経過措置がとられました。

  1. 2014年度までの登録販売者試験合格者は、実務経験を満たしていなくても2021年7月までは正規の登録販売者や店舗管理者として働ける。

  2. 2021年7月以降は、2014年度までの登録販売者試験合格者を含め、全ての登録販売者に改正内容が適用され、直近5年間のうち実務または業務経験が2年に満たない場合は、「研修中の登録販売者」となる。

正規の登録販売者になるには月80時間以上の実務経験が必要

登録販売者試験の合格者が正規の登録販売者になるには、直近5年の間に2年以上(月80時間以上)の実務経験が必要です。

2年以上の実務経験は、月80時間以上で5年以内であれば連続している必要はありません。

登録販売者試験の合格者が正規の登録販売者になるには、「実務経験」の違いで次の3つのパターンがあります。

●実務経験を満たしている場合:

直近5年以内にすでに実務経験が2年以上(月80時間以上)ある場合は、「販売従事登録」をすればすぐに正規の登録販売者や管理者・管理代行者として就労できる。

●実務経験を満たしていない場合:

実務経験はあるが、2年以上(月80時間以上)を満たしていない場合は、不足する期間を「研修中の登録販売者」として勤務先で就労し、通算で2年に達した時点で販売従事登録をする。

●実務経験が全くない場合:

勤務先で「研修中の登録販売者」として実務経験を2年以上(月80時間以上)積み、その後に販売従事登録を行う。

店舗管理者・管理代行者とは

店舗管理者とは店舗の管理を担う者で、一般用医薬品を販売している店舗においては、必ずこの店舗管理者を1人配置する義務があります(店舗管理者不在時の代行者が「管理代行者」を指します)。

店舗管理者の主な仕事は、以下のとおりです。

  • 顧客のニーズ把握と販売促進
  • 薬剤師や登録販売者、その他すべての従業員の管理監督
  • 保健衛生上の支障が生じないよう注意喚起
  • 設備および医薬品などのチェックと管理

では、どうすればこの店舗管理者・管理代行者になれるのでしょうか?

最終的な選任の基準は各企業や会社によって異なりますが、必須条件の1つは、直近5年間に2年以上(月80時間以上)の実務経験があることです。

また、第1類医薬品を販売する店舗の場合は、薬剤師資格保持者が望ましいと言えます。

実務従事証明書とは

試験合格後に「販売従事登録」をしても、実務経験を満たすまでは「登録販売者(研修中)」の名札を付けて薬剤師などの管理・指導のもとで医薬品を販売します。

1人で医薬品が販売できるようになるには、「実務従事証明書」が必要です。

「実務従事証明書」とは、一人前の登録販売者であることを認める証明書です。実務経験が直近5年以内に2年以上(月80時間以上)ある人や、新規に実務経験が2年に達した場合に申請できます。

「販売従事登録」が済んでいても1人で医薬品を販売するには、この実務従事証明書が必要なのです。

勤務先を管轄する都道府県で登録販売者販売従事登録を行い、販売従事登録証を発行してもらえば登録販売者の仕事ができます。

登録販売者は働かないとどうなる?

いくら長期にわたって登録販売者として働かなくても、一度取得した登録販売者の資格は失いません。

ただし、直近5年の間に働かない期間が3年を超えると、正規の登録販売者や店舗管理者などの身分は失います。

その結果「登録販売者(研修中)」に身分が変更され、また一から実務経験を積むことが必要です。

もっとも、働かない期間が3年を超えて「登録販売者(研修中)」になっても、2年間の実務経験を積んで3年以内に復職すれば、すぐに正規の登録販売者や店舗管理者に復帰できます。

要するに、働かない期間があっても、その期間を含めた5年の間に2年以上(月80時間以上)の実務経験があれば、何の問題もありません。

登録販売者の外部研修

厚生労働省は、2012年に次のような目的で「登録販売者の資質の向上のための外部研修に関するガイドライン」を発表しました。

  • 登録販売者の質の向上と医薬品の適正使用のための知識の吸収
  • 日々進歩する医薬品に関する知識の吸収による安全対策の強化

研修は、「毎年少なくとも12時間以上(6時間以上は集合研修)、定期的・継続的に受講すること」とされています。

厚労省のいう外部研修を開催しているのは、日本ドラッグチェーン会・全日本医薬品登録販売者協会・日本医薬品登録販売者協会などの団体です。

これらの団体では、ガイドラインに示されたカリキュラムにそった研修を全国各地で実施しています。

登録販売者として働くには外部研修の受講が義務

登録販売者として働くには毎年12時間以上、定期的・継続的に外部研修を受講しなければなりません。

このことは、2012年に厚生労働省が発表した「外部研修に関するガイドライン」によって義務化されました。

ただし現時点では、外部研修の受講をしなかったことでの罰則はありませんが、今後何らかの罰則が設けられる可能性はあります。

働かない場合も外部研修を受ける義務があるの?

働いていない登録販売者には、外部研修を受ける義務はありません。しかし、外部研修は、働いていなくても受講できます。

外部研修受講に必要な費用や交通費は自己負担の会社が多いようですが、知識を保つためには、登録販売者として働いていない場合でも受講すべきです。

働かない期間も登録販売者としての知識を保ち続ける

厚生労働省が登録販売者の外部研修の受講を義務づけたのは、日々進歩する医薬品に関する知識の吸収による安全対策の強化が必要との考えにもとづくものです。

資格取得のために登録販売者に求められる知識を吸収しても、登録販売者として働かない期間が長ければ長いほど知識は失われます。

とくに医薬品に関わる環境変化は急激ですから、常に最新の情報を吸収していないと知識はすぐに古くなってしまいます。

現在登録販売者として働いていなくても、今後登録販売者として働くのであれば、常に最新の知識を保ち続けることが必要です。

登録販売者として働いていない人には外部研修受講の義務はありませんが、積極的に外部研修を受けることをおすすめします。

登録販売者の資格取得後にやるべきこと

研修

登録販売者試験に合格するとすぐに登録販売者として働ける、と思っている人が多いのですがそうではありません。

合格通知の受け取りや勤務先への報告、都道府県への申請や保健所への登録など、資格取得後にやるべきことはたくさんです。

これらは短期間で処理できますが、すぐには解決しないことがあります。

それは、正規の登録販売者や店舗管理者に求められる、「直近5年の間に2年以上(月80時間以上)の実務経験」です。

ですから、この実務経験を満たしていなければ、資格取得後にやるべきことを適切に処理しても一人前の登録販売者や店舗管理者としては働けません。

ここでは、正規の登録販売者や店舗管理者として働くために、登録販売者の資格取得後にやるべきことを整理して解説します。

登録販売者試験の合格後の流れ

登録販売者試験合格後の一般的な流れは、次のとおりです。

1.合格通知書受取り:合格発表の約1週間後に、受験した都道府県から自宅に郵送されます。

2.勤務先への報告:勤務先の店舗管理者に合格を伝え、販売従事登録申請について確認する。

3.販売従事登録の申請:実際に登録販売者として働くためには、販売従事登録を行う必要がある。

登録販売者になるには年1回実施される登録販売者試験に合格することが必要ですが、「試験に合格したから登録販売者になれた」ということにはなりません。

登録販売者として働くには、勤務先所在の都道府県で販売従事登録申請が必要なのです。

登録販売者販売従事登録の方法

ここでは、登録販売者販売従事登録の方法を、手順にそって紹介しましょう。

  • 販売従事登録申請書の準備をする。
  • 販売従事登録に必要な6点の書類をそろえる。
  • 勤務先所在地の都道府県に必要書類と手数料を届ける。
  • 2週間以内に、販売従事登録証が自宅に届けられる。
  • 勤務先所在地の保健所に販売従事登録をする(一般的には会社側が行う)。

この手順が完了すると、実務経験がなくても「研修中の登録販売者」として勤務が認められます。

資格取得後、早めに実務経験を積むとよい

試験合格後に都道府県への販売従事登録申請と保健所への販売従事登録を行っても、従事できる仕事は「研修中の登録販売者」に限られます。

正規の登録販売者として働くためには、「直近5年以内に2年以上(月80時間以上)の実務経験」と勤務先への「実務・業務従事証明書」の提出が必要です。

「実務・業務従事証明書」は、実務経験を積んでさえいれば申請するだけで受け取れます。

ですから、正規の登録販売者として活躍するためには、1日でも早く実務経験を積むことです。

研修中の登録販売者と正規の登録販売者では、仕事内容や給与などの面でも大きな違いがあります。

また、就職や転職にあたっても、正規の登録販売者の方がはるかに有利です。

登録販売者が退職する際にやるべきこと

握手

一般的な企業での退職手続きでは、手続きの退職する希望日の2~3カ月前に、退職願いを提出する必要があります。

その退職願が受理されて、退職手続きが行われるのです。

退職手続きでは、健康保険被保険者証・制服・社員証などは会社へ返却し、雇用保険被保険者証・年金手帳・離職票などを会社から受け取ります。

正式な退職手続きをしなければ、退職者はその後の労働者としての生活にさまざまな不都合が生じる可能性があるので、手続きを軽視しないでください。

登録販売者の場合は国家資格にもとづいて働いていることから、退職する際にやるべきことが一般の労働者よりも複雑で数多くあります。

ここでは、登録販売者が退職する際にやるべきことについて解説します。

退職手続きは必要?

労働者が10人以上の会社では、社員が働く際のルールを定めた「就業規則」が作成されています。

それには「退職」に関しての規定もあり、「退職願」の提出時期・手続き方法、と言ったことがルール化されているのです。

退職をする際には「退職者から会社へ・会社から退職者へ」返却や受け渡しするものがあることから、手続きをしないと退職者にも会社にも不都合が生じます。

「退職手続き」については必要かどうかではなく、スムーズに手続きができるよう対処することが社会人として考えるべきことです。

販売従事登録証の返却を依頼する

医薬品を取り扱う店舗で登録販売者として働く場合には、勤務先の会社は登録販売者が都道府県に申請して交付された「販売従事登録証」を保健所に提出しています。

この販売従事登録証の原本は保健所への登録が終わると、店舗管理者を経由して本人に返却されるのが原則です。

しかし、販売従事登録証は店舗で保管・管理するものと勘違いしている店舗管理者がいて、本人には返却されてない場合があります。

退職の際に販売従事登録証の返却を受けていないと、新しい職場での保健所への「販売従事登録証」の届出できません。

また、本人も登録販売者として働けなくなるので、注意が必要です。

実務経験証明書を受け取る

登録販売者の場合は国家資格にもとづいて就労していることから、退職の際に絶対に忘れてはならない手続きがあります。

登録販売者が退職する際に忘れてはならない手続きとは、退職する職場で積み重ねた実務経験を証明する「業務・実務従事証明書」を受け取ることです。

新しい職場で働き始める際、「前の職場で積んだ業務・実務経験の証明業務・実務従事証明書」を提出しなければ、実務経験が足りないとして研修中の登録販売者の扱いになってしまいます。

業務・実務従事証明書は退職前に店舗管理者に作成を依頼しておき、手続きの際に受け取ってください。

再就職する際は転職サイトを利用するとよい

医薬品を取り扱う業種や業態は急激に増加し、登録販売者の活躍できる場は大きく広がっています。

そのことで十分な企業研究や条件交渉をしないまま、安易に転職や再就職をして失敗する登録販売者は少なくありません。

転職先や再就職先は口コミや企業名だけで選択するのではなく、その道の専門家である「転職サイト」などを利用すべきでしょう。

転職サイトの担当者は豊富な企業情報を持っていますし、希望者と会社の間に入って勤務条件の交渉までしてくれます。

とはいえ、担当者の技能には個人差があるので、必ず複数の転職サイトに登録して利用することがおすすめです。

「登録販売者資格は更新が義務?疑問に対しての回答」のまとめ

疑問に対しての回答まとめ

  • 登録販売者資格そのもののを更新の必要はないが、身分(役割)は研修中の登録販売者へ変更
  • 正規の登録販売者や店舗管理者を続けるには、常に直近5年以内に2年以上(月80時間以上)の実務経験が必要
  • 試験合格後の「合格通知書の受取り.勤務先への報告、販売従事登録の申請」の手続きをしないで、登録販売者としての就労は不可能
  • 退職時に「販売従事登録証」と「実務経験証明書」を受け取って新たな勤務先に提出しないと、登録販売者や店舗管理者での再就職は認められない

登録販売者資格は更新が義務であるかをテーマに、さまざまな側面から登録販売者制度を解説・紹介することで、多くの方々の疑問へ答えてきました。

実務期間の影響を受けますが、取得すれば更新の必要のない資格です。

近年、多くの業種業態が求めている登録販売者資格の取得者へ、あなたもぜひ挑戦してみましょう!

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