登録販売者の資格は働かないとなくなるの?合格後のブランクや改正法を徹底解説!
近年よく聞く「登録販売者」という資格。「名前は知っているけど内容はよく知らない・・・」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、就職にも有利な「登録販売者」の資格について、資格の有効期限や数年前にあった法改正などについて詳しく解説していきます!
登録販売者の資格は働かないとなくなるかについてざっくり説明すると
- 資格が無くなるということはない
- 2015年の法改正で受験資格や実務経験の規定が変わった
- 資格取得後に実務経験が問われるようになった
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登録販売者の仕事内容は?
薬の販売、というと一般的には「薬剤師」のイメージですが、一般用の医薬品であれば薬剤師でなくても販売できる国家資格が「登録販売者」です。
販売店などで一般用医薬品(第二類、第三類)を販売するほか、お客様に対して適切な情報提供と説明を行ってセルフメディケーションを推進し、症状に応じて医療機関等の受診を助言する役割を担っています。
受験資格は特にありませんが、試験合格後に実務経験が必要となる他、資格取得後も毎年、外部研修の受講が必要となっています。
仕事内容については、薬剤師と似ている部分が多いというイメージですが、実際は薬を扱うだけでなく、商品の陳列やレジ打ちなど、さまざまな業務をこなすことが求められるようです。
登録販売者の資格は合格しても働かないとなくなるの?
資格はなくならない
都道府県毎に実施される試験に合格すれば「登録販売者」としての資格を得ることができますが、一度取得してしまえば資格そのものがなくなるということはありません。
つまり、資格自体は「一生有効」ということです。登録販売者として働いていたけど退職した、離職中に研修を受けなかった、ということがあっても、資格がなくなる訳ではなく、再び登録販売者として働くことももちろん可能です。
離職中の更新手続きは必要ない
登録販売者の資格は、医薬品の販売をしていることによって維持出来る資格です。ですので、「離職したら更新手続きをしないといけない」とか「離職中に更新手続きをしておかないと資格が無効になる」と思っている人が結構いるのも事実です。
しかし、登録販売者としての仕事を辞めたからといって資格がなくなるわけではありません。離職した際に特別に更新手続きをする必要はありません。
また登録販売者は、厚労省が発表しているガイドラインの条件を満たしている外部機関で、年に2回研修を受けることが義務付けられていますが、離職中にこの外部研修を受けなかったとしても資格は失効しません。
ただしブランクには気をつけて
資格自体がなくなってしまうことはないものの、正規の登録販売者(管理者・管理代行者)として働くためには、常に現時点より過去5年間の間に2年以上の実務経験を証明しなければなりません。
それが出来なければ、5年よりさらに前に長期間の実務経験があっても「見習い」の立場に戻ってしまいます。
通常、企業が登録販売者を採用しようとする際には実務経験がある人を優遇します。
さらに、5年以上前に「経験がある」という人と、つい最近まで登録販売者として働いていた、という人では、正規or見習いの違いが大きいのはもちろん、最新の法令やトレンドなどの把握度も異なるため、後者が優遇されるのは容易に理解できるところです。
ですので、登録販売者の仕事を休職する場合は期間を3年間までにするのが良いでしょう。
薬事法改正により変わったこと
合格後も実務経験が必要
2015年に薬事法(現・薬機法)が改正されるまでは、「高卒以上」で「1年以上の実務経験がある」ことなどが販売登録者試験の受験資格として定められていました。
その上で試験に合格すればそのまま正規の登録販売者として一人で店頭に立つことが可能でした。
しかし、改正後は受験資格は特になくなり、誰でも受けられるようになった代わりに、合格しても直近の5年以内に2年以上の実務経験がないと正規の登録販売者としては認められない、それがない場合は「見習い」という立場になるという制限が出来たのです。
改正前に合格した人はどうなるの?
では、改正前の制度で販売登録者に合格している人はどうなるのでしょうか。
2014年度までに試験に合格した登録販売者については、2020年3月までは「直近5年以内に2年以上の実務経験」の条件は適用されないことになっています。
つまり、それまでの規定通り、その条件を満たしていなくても、試験に合格しているということで正規の登録販売者として働くことが可能でした。
しかし、2020年4月以降は、合格年度に関わらず、直近の5年間に2年以上の実務経験がなければ正規の登録販売者としては認められなくなっています。
実務経験がない登録販売者は見習いになる
試験に合格したけど実務経験がない、以前は正規で働いていたけど離職して3年以上のブランクがある、などといった場合は「見習い」といった立場になります。
見習いは、一人で店頭に立つことは出来ず、薬剤師または正規の登録販売者の管理の下でしか、医薬品の販売を行うことが認められていません。
業務中に身に付ける名札にも、来店者にわかるように「登録販売者(研修中)」などと表示することになっています。
3年以上のブランクがある場合やその他の理由で、実務経験の条件を満たせていないが、登録販売者として就職・再就職したいというときは、できるだけ前向きに捉えられるように動機を伝えましょう。
ブランクがない場合も気をつけて
実務経験とみなされるのは、「同一月・同一店舗において月80時間以上」働いている場合です。(同一業者の複数店舗での勤務で月に80時間以上の場合も可)
つまり、長期のブランクはなくても、短時間勤務のパートタイマーなどでは、月の勤務時間が80時間に満たない場合、条件を満たせなくなってしまうということです。
毎日登録販売者として出勤していても、月の勤務が80時間に足りていなければ、実務経験としてはみなされない、ということになってしまいます。
自分が実務経験を満たしているかどうか不安な場合は、転職エージェントなどに相談してみると良いでしょう。
登録販売者の資格は意味ないの?
薬剤師だけでは不十分で登録販売者の需要は大きい
登録販売者の需要は現在非常に大きくなっています。ドラッグストアなどで「登録販売者 急募!」といったポスターを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
医薬品の販売といえばまず思い浮かぶのは「薬剤師」ですが、薬剤師は大学で6年間の薬剤師養成課程を修了し、国家試験に合格しないとなれない医薬品の専門家です。それゆえ、非常に難関で、人数も限られています。
現在は、薬局だけでなくドラッグストア・スーパー・コンビニなどでも医薬品を購入できるような流れになっており、薬剤師だけでは到底人手が足りません。そこで、医薬品の販売を行える登録販売者の存在が必要になるのです。
登録販売者の需要・将来性については下記の記事をご覧ください。
登録販売者の将来
今後も、医薬品は今以上に様々な場所で取り扱われると考えられるので、それに伴い登録販売者の需要も高まると考えられます。
登録販売者は、2009年に設立された新しい資格で、まだまだ未知数のところがあります。現在の規定では受験資格もなく誰でも受験できますが、今後また条件や内容が難化し、薬剤師に近付いていくということも考えられます。
登録販売者の存在意義は、現在の有資格者の業績や、社会的ニーズによってさらに変化していく可能性があります。
しかし資格だけに甘えてはダメ
登録販売者の在り方や職務などの是非が現在も議論されていることは事実です。
登録販売者は、有資格者として採用され、資格手当など条件も優遇されることが多いです。資格を取得して採用されたらそれでゴールなのではありません。
その後も新しい知識などを常に勉強し覚えていかなければなりませんし、一般のスタッフより高い給料をもらっている分、医薬品のプロとして自覚を持ち努力を怠らないことが求められます。
有資格者として、登録販売者の地位向上に努める心構えを持ちましょう。
登録販売者って実際どうなの?
それでは実際のところ、登録販売者の資格を持つメリット・デメリットはどのようになっているのでしょうか。
登録販売者のメリット
このトピックでは、まず登録販売者資格の持つメリットについて解説していきます。
就職に強い
資格があるとやはり就職には強いです。特に今は登録販売者の需要が高くなっているので、資格を持っていることで優遇されることも多いでしょう。
また、医薬品の販売店だけでなく、製薬会社の営業職や、介護サービス職などでも、登録販売者の資格をもっていることでプラスになります。
登録販売者の詳しい就職事情については下記の記事をご覧ください。
給料が上がるチャンス
医薬品販売店において、一般の店舗スタッフとして雇われるより、登録販売者として採用されることで資格手当が付きます。パートやアルバイトでも、時給単価で数百円違うこともよくあります。
資格を持っていることが収入増に直結します。
キャリアアップにもつながる
医薬品について、専門的で実生活でも役に立つような知識を身に付けることが出来ます。
また、販売店などで勤務している場合は、キャリアを重ねていくことで、店舗管理者やマネージャーにステップアップできることもあるでしょう。
独立・開業も可能
医薬品販売店の独立開業が可能です。資格がなくても店舗の開業はできますが、その場合は店舗管理者として薬剤師や登録販売者を雇わなければなりません。
一定の要件を満たせば、開業者が販売登録者として店舗管理者となることができます。
開業する場合は、訪問販売やフランチャイズなど様々な方法があり、可能性が広がります。
多様な働き方がある
登録販売者は現在非常に需要が大きく、多くの販売店などで様々な働き方のパターンを提示しています。正社員としてはもちろん、小さな子供のいるお母さん向けのパート勤務の形態なども多く求人があります。
自分の生活に合わせて多様なワークスタイルから選べるのも魅力です。
登録販売者の大変な点
登録販売者にはメリットばかりではなく、大変な点も存在します。
このトピックでは、登録販売者の大変なポイントを取り上げていきます。
すぐには正規として認められない
前に述べたように、正規の登録販売者となるには直近5年以内に2年間以上の実務経験が必要です。
そのため、未経験で資格取得した人や、ブランクがかなり長いような人は、まずは「見習い」という扱いになり、すぐには正規の登録販売者としては認められないということになります。
立ち仕事が多い
登録販売者の業務のほとんどは、店舗で医薬品の販売や、お客様の相談に乗ることです。サービス業・販売業といった側面が大きく、ほぼ立ち仕事になります。
立ち仕事自体は慣れてしまうものではありますが、慣れるまでや腰痛・膝痛などを持っている人にはきつい部分もあるかもしれません。
販売目標というノルマがあることも
店舗によっては、企業の推奨商品の販売目標が設定されているといったこともあるでしょう。その場合は、それを意識しながら接客・販売をしなくてはなりません。
ノルマを達成しなければペナルティ、ということは今はあまりないでしょうが、「目標」を意識し、達成に向かって努力することが求められます。
シフトの都合もある
医薬品を販売する店舗では最低一人、登録販売者が必要になります。
登録販売者の資格所有者の人数が少ない事業所では、シフトを作成する上で不都合が起きる場合があります。休みを希望したい日であっても、他に登録販売者がいないため出勤せざるを得ない、ということも起こり得ます。
業務範囲は広い
大抵の場合、登録販売者は医薬品の販売だけをしていれば良いわけではありません。
他の店舗スタッフと同様に、商品の管理や発注、品出し、レジ業務など、店舗を運営するにあたっての様々な業務をこなさないといけないでしょう。覚えること、やることが多く、大変と言えます。
登録販売者の資格は働かないとなくなるかについてまとめ
登録販売者の資格は働かないとなくなるかについてまとめ
- 一度合格すれば一生有効、ブランクがあっても資格は無くならない
- 正規の登録販売者として働くには「直近5年以内に2年間以上」の実務経験が必要
- 実務経験のカウントの仕方に注意(月80時間以上)
2015年の法改正で、資格を取得しても正規の登録販売者として働くには実務経験の証明が必要になりました。また、パートタイムで働く人は自分の勤務形態で実務経験の条件を満たしているかどうか注意が必要です。
しかし、登録販売者の資格自体は、一度取得すれば無効になることはありません。ブランクがあっても大丈夫です。
受験資格もなく、今後の将来性も見込める登録販売士の資格に是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。