登録販売者が薬局で働くメリットは?薬剤師との違いや資格の難易度を解説!
「登録販売者が薬局で働くメリットはあるの?」
「登録販売者って薬剤師とどう違うの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
登録販売者は、かぜ薬や鎮痛剤などの一般用医薬品の販売を行うための専門資格です。
一般用医薬品の販売を行える資格なので、薬局やドラッグストアで働く際には高い評価をしてもらえます。
また、薬剤師とどう違うのかも気になりますよね。
こちらの記事では、登録販売者が薬局で働くメリットや薬剤師との違いなどについて解説していきます!
登録販売者と薬局の関係についてざっくり説明すると
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薬局だけでなくコンビニやドラッグストアなど、様々な職場で活躍できる
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セルフメディケーション税制の創設により需要が増えている
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試験の合格率は40%程度
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有資格者には資格手当が支給されることが多い
登録販売者とはどんな資格?
そもそも、登録販売者とはどのような資格なのでしょうか?
登録販売者は医薬品の販売資格
登録販売者は2009年創設された、まだ歴史が浅い新しい資格です。
医薬品はその効果の強さから第一類、第二類、第三類の3種類に分類されており、その中でも登録販売者は第ニ類と第三類を扱うことができます。
また、薬局やドラッグストアにおいて購買者に対して薬の説明をしたり、服用の際の相談に乗ったりするのも登録販売者の業務です。
最初は受験制限があり実務経験や年齢制限を設けていましたが、最近は受験制限が撤廃され実務経験などを問わず誰でも受験することが可能になりました。
最近では、政府は医療費削減のために「セルフメディケーション税制」という新しい制度を作りました。
これにより、コンビニやスーパーで一般用医薬品を売ることができる環境が整備されつつあるため、今後も登録販売者の需要は拡大していくと考えられています。
第1類医薬品とは?
医薬品には、以下のような区分があります。
- 第一類医薬品
まだ一般用医薬品としての使用経験が少ない医薬品です。
副作用などを考慮すると、特に健康への影響の注意を要する成分を含んでいるものを指します。
- 第二類医薬品
副作用などで安全性上、一定程度の注意を要するもので、まれに入院相当以上の健康被害が生じる可能性がある成分を含む医薬品を指します。
- 第三類医薬品
日常生活に支障が出るレベルではないものの、身体に不調が現れるおそれのある医薬品を指しています。
つまり、第一類医薬品を扱う際にはかなり専門的な知識が求められることになります。
登録販売者は国家資格ではない
登録販売者の資格は国家資格ではありません。
ただし、薬事法の中で「登録販売者」と言う記述は登場するので公的資格と言えるでしょう。
つまり、国家資格ではないものの社会的信用性がかなり高く就活や転職時に有利な資格となっています。
登録販売者の難易度や合格率は
登録販売者の試験は各都道府県によって実施されるため、合格率は都道府県ごとに異なります。
なお、全国を平均すると約40% となっています。
試験はマークシート方式で行われ、合格ラインは都道府県によって異なります。
ただし、実際には7割の得点(120問中84問)を合格ラインとする都道府県が多いです。
受験制限が撤廃されて誰でも受験することができる試験となったため、近年は受験者が増加している人気資格です。
医薬品の薬理作用や副作用、併用禁忌などに関する細かい知識が問われるため、薬剤について事前知識が乏しい人は通信講座で勉強する人が多いです。
合格後は販売従事登録が必要
登録販売者に合格して販売従事するためには、都道府県に販売従事登録を行う必要があります。
また、正式な登録販売者になるためには実務経験2年以上が必要となります。
証明書類として「実務(業務)従事証明書」を提出する必要がありますが、実務経験が2 年以上に満たない場合は実務経験が2年以上ある登録販売者か薬剤師の元で販売に従事して指導を受けなければなりません。
なお、実務経験の要件を満たすことで「店舗管理者」としてキャリアアップすることも可能です。
登録販売者は薬局で働くメリットは?
ここで、登録販売者の仕事は何なのか、登録販売者は薬局で働くことはできるのか、薬局で働くメリットは何があるのかを解説します。
調剤薬局での仕事内容は
登録販売者の主な職場は「ドラッグストア」「調剤薬局」「コンビニ・スーパー」の3種類に分けられます。
登録販売者を取得した人の中には、調剤薬局では「薬剤師がいるから登録販売者には仕事がなく、需要が無いのでは?」というネガティブなイメージが持っている人も多くいます。
しかし、実際にはそんなことはなく、登録販売者の活躍できる場は多くあります。
医薬品の販売と同時に店舗運営や売り場づくり、商品管理などを行うため、薬局でも登録販売者が活躍ができる場が多いのです。
また、薬剤のプロフェッショナルである薬剤師から直接指導を受けられるという意味でも、実務経験を積む場所としては最適なのです。
しかも、調剤薬局では他の職場と異なって登録販売者以外の業務(品出し・レジ打ち・店内の清掃や陳列棚の整理、季節商品や販売強化商品の装飾・ポップ作成)などのいわば雑用の比率が低いです。
そのため、薬剤や調剤に関連する専門的な業務をたくさんこなすことができるメリットがあるのです。
薬剤師とは何が違うの?
登録販売者と薬剤師の違いは、 「調剤業務を行えるかどうか」と「第1類医薬品を販売できるかどうか」の2点です。
「調剤業務を行えるかどうか」については、調剤のプロフェッショナルである薬剤師は自分で薬を調合することができるものの、登録販売者には専門的な知識が無いため認められていないのです。
「第1類医薬品を販売できるかどうか」については、前述したとおり登録販売者が販売できるのは第2類・第3類医薬品です。
しかし、薬剤師であれば販売できるのは第1類〜第3類まで広がり、全ての医薬品を扱えるようになるのです。
ただし、一般用医薬品は第2類と第3類で90%以上を占めているため、薬剤師ではないからという理由で仕事の幅が極端に狭まるわけではありません。
試験の難易度も異なる
薬剤師は、大学の薬学部薬学科卒業の人間で薬剤師国家試に合格した人でなければなることができません。
合格率でいえば薬剤師の合格率が約70%、登録販売者の合格率が約40%と薬剤師の方が高いものの、そもそもの受験制限を考慮すると薬剤師の方が圧倒的に難しいです。
受験者が全員薬学部出身者である薬剤師試験の難易度は、登録販売者試験と比べ物にならないくらい高いので、「取得しやすさ」にフォーカスすると登録販売者に分があります。
ドラッグストアやコンビニでの仕事内容は
「ドラッグストア」では、商品の品出しからレジ打ち、季節商品や販売強化商品の装飾など登録販売者としての業務以外にも、広範な雑用業務を行う必要があります。
店舗によっては日用品や食品まで扱っている大規模なドラッグストアもあるため、そのような店舗では求人も多く資格を生かしやすいでしょう。
また、地域における医薬品供給の拠点となっていくことからも、今後求人の増加が見込まれています。
「コンビニ」では、登録販売者を雇用した上で、医薬品の販売を開始する店舗が増えてきています。
また、薬局併設のコンビニも増えているため、今後求人の増加が見込まれています。
収入は良いものの、正社員となると夜勤に入らなければならないなど、シフトでの条件が厳しいデメリットがある点には留意する必要があります。
登録販売者の薬局での収入は?
登録販売者の薬局勤務の収入はいくらなのか、またドラッグストアやコンビニと比べると高いのかどうかを見てみましょう。
調剤薬局の平均年収は380万円
調剤薬局で働く正社員の場合の給与は、以下の表の通りです。
なお、この数値は資格手当か支給されている場合の平均値です。
勤務先 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
薬局 | 24万円 | 380万円 |
ドラッグストア | 22万円 | 350万円 |
コンビニ | 28万円 | 430万円 |
なお、資格手当の額は勤務先により違いがあるため、確認するようにしましょう。
ちなみに、正社員であれば薬局もドラッグストアもコンビニも、月給に1万円~2万円程度加算されることが多いです。
また表から分かることとして、薬局勤務の場合の平均年収はコンビニには劣りますが、ドラッグストアよりも高いです。
さらに、業務量を考えるとドラッグストアよりも薬局の方が楽なケースが多く、給与も高い水準なのでおすすめです。
薬局は比較的労務管理がしっかりしていて、この中では最もワークライフバランスが実現しやすいため、長く安定して働きたいと考えている人は薬局を前向きに検討するべきです。
調剤薬局にパート勤務の場合の時給は?
一方で、パートの平均時給は以下の表の通りです。
なお、こちらも資格手当が上乗せされた時給額となっています。
勤務先 | 時給 |
---|---|
薬局 | 1300円 |
ドラッグストア | 1200円 |
コンビニ | 1000円 |
資格手当の額は勤務先により変わってくるものの、時給に200~300円上乗せされるケースが多いです。
表から分かることとして、薬局にパート勤務する場合の時給はコンビニやドラッグストアと比べても高めに設定されている点があります。
やはり薬局は安定して働ける上に高い時給が支給されることから、非常に魅力的な選択肢と言えます。
登録販売者の取得メリット
こちらのトピックで、登録販売者を取得するメリットを紹介します。
場所を問わず働くチャンスが増える
登録販売者は既に説明したドラッグストアやコンビニ、薬局の他にも大型スーパーマーケットや家電量販店・ホームセンターでも働くことができます。
セルフメディケーション税制の創設により医薬品を取り扱う店舗が増えているためです。
これらの店舗は全国各地にあるため、登録販売者の資格を取得していればどこに住んでいても働き口に困ることは無いでしょう。
つまり、全国どこにいても容易に就職先を見つけることができる、いわゆる「つぶしが効く資格」なのです。
医薬品に詳しい人材の需要はどこにでもあるため、登録販売者の資格を持っていれば全国のどこであっても就職先に困らない点は大きなメリットと言えるでしょう。
登録販売者は有効期限が特に設けられていないので、取得すれば一生ものの資格となります。
そのため、結婚や育児、介護などで一度離職したとしても、復職できる目処がついたらいつでも復職することが可能なのです。
子育てなどで忙しいときは子供が小学校を卒業するまではパートタイムで勤務し、子育てが一段落して時間に余裕ができたらフルタイムや正社員に切り替えるなど、臨機応変な働き方も可能です。
つまり、ライフワークバランスがとりやすい点も登録販売者を取得する大きなメリットです。
自分や身近な人の健康維持に貢献できる
登録販売者の勉強をすると、とある症状が出たときにどのような成分の薬を飲めば最適か、薬の副作用についてはどのよつな点に気をつければいいかなど、医薬品に関する正しいを知識身に着けることができます。
こうした医薬品に関する知識は仕事だけでなく、自分や家族など身近な人の健康を維持するためにも役立ちます。
身近な人に医薬品に詳しい人がいるのは非常に心強いため、多くの人から頼りにされるでしょう。
特に、幼い子供がいる家庭やお年寄りがいる家庭などでは、医薬品に関して専門的な知識を持つ人は貴重な存在となるでしょう。
身近な人の健康を守るためにも、登録販売者の資格は活用できるのです。
昇進や昇格に役立つ
ドラッグストアや薬局などでキャリアアップを目指し店舗管理者になるためには、登録販売者の資格が必須です。
そのため、登録販売者の資格を取得することにより職場での昇進につながったり、より責任がありやりがいのある地位に就くことも可能となります。
やりがいのある地位に就くことにより仕事のモチベーションも増すため、様々な相乗効果が期待できます。
将来的に独立開業も狙える
登録販売者の資格を生かして、独立開業をすることもできます。
具体的には、登録販売者の資格を取得した後に開業許可や販売許可を取得することにより、新しく店舗を開業して仕事を始めることが可能となります。
また、最近はコンビニのフランチャイズオーナーとして独立開業する人が増えており、このような形で開業して医薬品を扱うケースも考えられます。
ただし、独立開業した場合であっても薬剤師でない限りは、一般用医薬品の第2類と第3類しか扱えない点には注意が必要です。
資格の維持要件には注意
登録販売者として医薬品を販売する場合は研修を受ける必要があり、この研修は定期的に受けなければなりません。
具体的には、1年間に12時間以上の研修を受けることを毎年継続しなければなりません。
登録販売者は医薬品に関して最新の情報を知っておく必要があることから、定期的な研修の受講が求められているのです。
面倒ではありますが、むしろ最新の医薬品情報を学べるという点ではメリットとも言えるでしょう。
登録販売者と薬局の関係まとめ
登録販売者と薬局の関係まとめ
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薬剤師と違い扱える医薬品の範囲は狭いが、資格の需要は高い
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薬局で働くと薬剤師から仕事を教えてもらえ、自分のスキルを高めることができる
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働き口が増える以外にも資格手当がもらえる等、金銭的なメリットがある
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知識を生かして自分や家族の健康を守ることも可能
登録販売者が薬局で働く際には、薬剤師から専門知識を教えてもらえるなど、様々なメリットがあります。
また、薬局以外にも様々な働き口があるため、取得メリットは非常に大きいです。
今後ますます需要は高まると思われるため、興味がある人はぜひ登録販売者の取得を目指しましょう!