簿記2級に独学合格は無理なのか?よくある失敗例や本当の難易度を解説!

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簿記

公認会計士たぬ吉

「簿記2級を受けようと思っているけど、独学でも合格できるかな?」

「独学で簿記2級の勉強を始めたけど、難しすぎて無理かも・・・」

このように悩んでいる方はいらっしゃいませんか?

独学は一番お金がかからない勉強法だと思っている人が多いため、できるだけ独学での合格を目指す人がいます。

しかし、それは果たして本当に最適な選択肢なのでしょうか?

この記事では「簿記2級は独学で合格できるのか」について、実情や失敗例を挙げながら詳しく解説していきます。

この記事を読めば簿記2級は独学で合格できるのかが分かるはずです。

簿記2級独学合格についてざっくり説明すると

  • 簿記2級は毎年約50万人が受験するが合格率は20〜25%程度
  • 受験期間が延びると損をするケースもある
  • 簿記2級の試験は難化傾向にある
  • 急いで取得する必要がないなら独学を試してみるのもアリ

簿記2級の独学でよくある失敗例

落ち込む子ども

簿記2級は幅広い人に人気があり、毎年50万人近くが受験するマンモス資格です。

その理由として、資格取得をすると幅広い業界への就職・転職が可能だったり、会社員なら資格手当がもらえるケースがあることが挙げられます。

もちろん業務で必要ということも挙げられるでしょう。

そのため、簿記2級学習者には社会人が多く、働きながら合格を目指す人も大勢います。

人気資格だからこそ本屋に行けばテキストがたくさん売られているため、独学から始める人も少なくありません。

しかし一度独学で勉強を始めると「ここまで一人で頑張ったのだから…」と独学で合格を目指すことにこだわりすぎてしまう場合も多いのです。

何回も不合格になってしまう

簿記2級はテキストや問題集の種類が豊富で、ネット上でも情報が出てくることが多いので、独学での勉強が始めやすい資格と言えます。

しかし独学での勉強だと効率的に進めるのが難しいだけでなく、本当に重要なポイントを理解したり、疑問点をしっかり克服するのが難しいという面もあります。

そのためテキストを読んで理解したつもりでも、いざ問題を解くと不正解だったり、受験を繰り返してもなかなか点数が伸びなくなったりすることがあります。

そうなると自分では原因や改善点が見つけられないため、何回受験しても不合格になる状況に陥ってしまうのです。

簿記2級の問題は決して簡単ではないため、何度も落ちて受験期間が長引くと心身共に非常に大きな負担がかかります。

そのためせっかく勉強を始めたのに「もう無理だ」と途中で挫折してしまう人も多いです。

通信講座を受講した方が安く済むことも

通信講座の値段を見て「高いから独学で頑張ろうかな」と考える人もいます。確かに独学で勉強すればテキスト代と受験料だけで済むため、間違っていません。

しかし1冊のテキストを買ったものの理解できなかったり、うまくいかなかったりすると様々な教材に手を出すことになりかねないのです。

しかも、1回の試験で合格できなかった場合、模試や本試験の受験料もどんどん積み重なっていきます。

独学の最大のメリットは価格が抑えられることです。にもかかわらず教材や受験料が多くかかってしまうなら本末転倒と言えるでしょう。

中には安く済ませるはずが結果的に通信講座と同じか、それ以上のお金がかかってしまったという人も少なくありません。

さらに、受験回数が増えるということは受験料がかかるだけでなく、受験期間も長引いて学習時間もかかってしまう、ということも忘れてはいけないでしょう。

資格取得は早いに越したことはない

なかなか合格できないことで失う可能性があるものは、学習にかかるお金と時間だけではありません。

例えば会社から貰える資格手当。資格取得までに複数年かかると、資格手当を貰えるようになるのも遅くなってしまいます。もし資格手当が3,000円で合格までに3年かかったとしたら3,000円×36か月=10,8000円も損することになります。

簿記2級取得に対して、これ以上の金額の資格手当を出している企業も多くあるでしょう。

さらに就職や転職を考えている人は、せっかく良い求人を見つけても、簿記2級の資格を持っていないせいで不採用になってしまう可能性もあります。

このように、簿記2級取得までに時間がかかってしまうと、直接的なお金や時間がかかるだけでなく、目には見えない機会損失をすることもありえます。

簿記2級を目指すなら資格取得は早いに越したことはありません。それどころか受験期間が長引くと上記のような不利益が考えられるため、避けた方が賢明です。

簿記2級の独学合格は無理なの?

簿記2級の独学表

市販のテキストなどを活用して簿記2級に合格する人も、もちろん少なからず存在します。

そういった面を見ると、簿記2級の試験に独学で合格するのは不可能ではないと言えます。

ただ簿記2級試験の難易度は決して低くないため、独学で勉強を始めたものの「独学では無理だ」と感じる人が多く存在するのも事実です。

合格率は23%前後と8割が落ちる

簿記2級の合格率の平均は23%前後で、単純計算すると4回受けても合格しないかもしれない可能性があることになります。

簿記2級の合格率は会によって振れ幅が大きく、40%を超えたこともあれば、逆に12%程度だったこともあります。

しかし試験の難易度はどの会も大きく変わることはありません。例え合格率の高い回に当たったとしても、しっかりと実力をつけていなければ合格することはありません。

残念ながら、簿記2級の試験は運で合格できる試験ではないのです。

難化傾向でさらに厳しく

ただでさえ難しい簿記2級試験ですが、さらに悪いことに2015年に3年かけて出題範囲の大幅改定をおこなうことを決定したせいで、より難易度が高くなりました。

簿記2級から除外されて簿記3級の範囲になるものがある一方で、従来なら簿記1級の範囲だったのに簿記2級の対象にも追加されるものもあります。

実際2019年の2月に実施された試験では、従来なら簿記1級の範囲だった「複数子会社を持つ連結会計の処理」が出題されました。

これによって多くの受験生が「試験自体が難化している」と実感することとなったのです。

試験を受けるのは独学者だけではない

ちなみにこの平均合格率23%の中には当然、通信講座や通学制の予備校を利用している人たちも多く含まれています。

こうした人たちはカリキュラムに沿って効率よく勉強している上に、上記のように試験内容の改定があった場合も、すぐに教えてもらい対応することができます。

一方、独学者は勉強しつつ自分で情報収集もおこなった上で勝負をしなくてはいけません。

相手はプロの指導を受けてきた受験生のため、単純に「分が悪い」 と言えます。

アテにならない独学合格者の声

インターネットを検索すると「簿記2級独学での合格法」がたくさん出てきます。さらに「独学で〇カ月で合格!」といった声も散見されます。

独学で合格したい人にとって希望となる情報ですが、残念ながらこうした声は信憑性が皆無です。発信者が本当に資格取得しているか確かめられますか?

仮にもし本当に合格した人が発信している情報だとしても、発信者の勉強の得意不得意や生活の中で使える勉強時間など、様々な条件が異なります。

そのためインターネット上の情報を鵜呑みにするのは危険です。

また自分が独学で合格できなかったとしても「ネットには合格している人がいるのに」と気を留める必要もないのです。

独学で勉強するのは避けた方がいい?

文字を書く手

ここまで独学で簿記2級に合格する難しさをお伝えしたため「独学での合格は無理なのか」と諦めモードになってしまったかもしれません。

しかし独学が絶対にNGなのかと言えば、もちろんそんなことはありません。

切迫していなければ試すのもアリ

まず一発で合格したい、一刻も早く合格したいと思っているなら独学はおすすめしません。

しかし以下の条件に当てはまるのなら、まずは独学で勉強してみる価値はあります。

資格を取得するまでに多少の時間がかかっても良い

簿記の試験は基本的に毎年2・6・11月の年3回おこなわれます。例えば2月に不合格だったとしても、またすぐ6月に挑戦することが可能です。

そのため、一発合格を狙っていなくて簿記2級の試験に合格するまでにある程度時間がかかっても良い人であれば、一度独学で受験して様子を見てから決断しても遅くはありません。

簿記に関するような知識を持っている

また、もしすでにFP取得者など簿記2級に関連する資格をお持ちの方や、今までに勉強に打ち込んだことがあって勉強に自信があるなど、一般的な人よりもアドバンテージがあると思う場合も、独学を検討しても良いでしょう。

ただしこのような場合でも、早急に資格を取りたい・一発合格したいと思っているならよく考えた上で選択することをおすすめします。

プロの講義で理解で深めよう

就活や転職の関係で資格取得までにタイムリミットがあったり、簿記初学者でありながら2級に挑戦したりする場合には、独学に固執せず、通信講座か通学制予備校を受講しプロの指導を受けることをオススメします。

通信講座と通学制の予備校を比較した場合、オススメなのは通信講座を活用した簿記2級の対策です。

というのも、通信講座は料金が通学制予備校よりもかなり安い上に、プロ講師の行う動画講義などが充実しているため、忙しい方でも通勤時間や隙間時間などを使って勉強を進めていくことが可能だからです。

もちろん、通学制の予備校に通うという選択肢もアリですが、料金が高い上に時間的な融通が利かないため、仕事で忙しい社会人の方や収入の少ない学生の方にはあまりオススメできません。

通信講座を活用した勉強に興味がある方は、ぜひ下の記事をご覧ください。きっとあなたにぴったりの通信講座が見つかるはずです。

簿記2級を勉強するためにおすすめなこと

吹き出しと親指

独学での勉強でも、講座を受講するとしても簿記2級の勉強をする際におすすめしておきたいことが2点あります。

使いやすい電卓を用意する

簿記の勉強をするなら電卓は必要不可欠です。そして試験当日も会場に自分の電卓を持ち込みます。

もし打ち間違いしやすい電卓を選んでしまうと大幅なタイムロスとなってしまいます。

早いうちから使いやすい電卓を用意して、試験当日も素早く計算ができるように手に慣らしておきましょう。

簿記試験に使えるおすすめの電卓については、以下の記事でいくつかピックアップして紹介しています。

簿記3級のテキストを読む

こちらは必須ではありませんが、簿記は専門用語がたくさん出てくるため、簿記の知識がまったくない状態で簿記2級に挑むと理解が進まず苦戦する可能性があります。

一方で、簿記3級の概要を理解するくらいなら1週間程度でできます。

遠回りにも思えますが、もし簿記2級が難しすぎると感じたら、ぜひ一度簿記3級のテキストを読んでみてください。

基本的な部分から順番に学び直すことで、苦労していた部分も簡単に理解できるようになる、といったことは意外と多くあります。

簿記2級の独学合格はできるのかまとめ

簿記2級の独学合格の難しさまとめ

  • 受験期間が長引くと心身ともに負担となる
  • なかなか合格できないと目には見えない機会損失もありえる
  • 独学での合格も不可能ではない
  • 早く確実に合格したいなら講座を受講するのがおすすめ

簿記2級は独学でも合格できるのかについて様々な面から解説してきました。

不可能ではありませんが、簿記に関する知識がなかったり、資格取得を急ぐのであれば、通信講座などを受講することをおすすめします。

自分に合う勉強法を選んで簿記2級合格を目指してくださいね。

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