簿記2級の工業簿記の勉強は何から始めたらいいの?工業簿記の特徴や勉強法を解説‼

更新日時 2020/02/27

「簿記の2級を目指したいけど工業簿記が難しいと聞いて挑戦するのに尻込みしてしまう」

「簿記2級の勉強を始めたけど、工業簿記をどうやって勉強すれば良いか分からない」

このように工業簿記のせいで日商簿記2級の挑戦や勉強がスムーズに進んでいない人はいませんか?

そこでこの記事では、日商簿記2級の合格を目指して工業簿記の勉強を効率良くおこないたい人のために、商業簿記と工業簿記の違いをはじめとした工業簿記の特徴や、勉強法を丁寧に徹底解説していきます。

勘定連絡図やパーシャルプラン、原価計算などの工業簿記特有のポイントについても説明します。

この記事を読めば工業簿記のことが理解できて、効率よく勉強を進められるようになるはずです。

簿記2級工業簿記についてざっくり説明すると

  • 工業簿記は主に工場などの製造業で使われる簿記
  • しっかり勉強すれば得点を取りやすい科目
  • 先に商業簿記の基礎知識を得た方が勉強しやすい
  • ものづくりの流れが分かると理解しやすい

簿記2級から試験範囲となる工業簿記とは?

吹き出しを持つ手 実は日商簿記3級の試験範囲で勉強したのは商業簿記のみで、工業簿記は日商簿記2級に入ってから新たに加わる試験範囲です。

そのため簿記3級の勉強をした人でも勝手が違うために、戸惑って苦手に感じてしまう人が少なくありません。

工業簿記とは一体どのようなものなのか、見ていきましょう。

工業簿記は「工場の簿記」

簿記3級で勉強した商業簿記は、仕入れたものをそのまま販売するような商業経営のみをおこなう会社で使われます。

一方、工業簿記はおもに工場で使う特別な簿記で、商業簿記とは異なる点があります。

同じ部分もあるものの、異なる簿記のためそれぞれ勉強しなくてはいけません。

工業簿記のつけ方は商業簿記よりもやや難しいため、2級からの範囲になっています。そのため毎年、工業簿記を克服できないことで失点して不合格となる受験生が多いです。

工業簿記は合格の為の得点源となる!

日商簿記2級の出題範囲は大別すると、商業簿記と工業簿記です。そして配点は商業簿記60点・工業簿記40点です。

これだけ見ると「商業簿記は3級でも勉強したし、配点も多いから商業簿記を中心にして、工業簿記は後回しにして勉強すれば良いかな」と考える人もいるかもしれません。

しかし先ほども触れたように工業簿記は日商簿記2級から導入されるため、基礎的な問題が多く出題されます。

工業簿記は始めはとっつきにくいかもしれませんが、パターンが限られているためしっかりと要点を抑えて勉強すれば大きな得点源になりえます。

工業簿記は対策がしやすい科目

ここ数年で簿記資格は全体を通して大きく試験範囲の改定がおこなわれました。

特に日商簿記2級の商業簿記は、もともと日商簿記1級の範囲だった論点も含まれるようになり、大きく難化したと言われています。

しかし商業簿記の試験範囲が改定された一方で、工業簿記の試験範囲の改定はほとんどおこなわれていません。

つまり範囲の改定によって過去問が利用できなくなってしまった商業簿記とは異なり、工業簿記はまだ今までの過去問が使えるため対策がしやすいと言えるのです。

試験範囲がほとんど改定されなかったため、対策が立てやすいことも工業簿記が得点源になる理由のひとつです。

そもそも工業簿記と商業簿記の違いは何?

?の中で傘を差す男性 ここまで少しずつ触れてきた商業簿記と工業簿記ですが、そもそもこのふたつにはどのような違いがあるのでしょうか。

ここからは商業簿記と工業簿記は、それぞれどのようなものなのか説明していきます。

「簿記」という概念は同じ

簿記3級の勉強をしてきた人や仕事で商業簿記を使っている人は「工業簿記」と聞いただけで、毛嫌いしたり苦手意識を感じたりする人も少なくありません。

しかし違いはあるものの、基本的にはどちらも「簿記」であることを忘れてはいけません。

  • 簿記の規則に従う
  • 借方と貸方がある
  • 仕訳や勘定記入をおこなって財務諸表を作る

というような上記の簿記の基本的なルールは商業簿記でも工業簿記でも変わりません。

まずはこの共通点を念頭に置いたうえで、下記では商業簿記と工業簿記の大きな違いを説明していきます。

「商業簿記」とは

商業簿記はおもに卸売業や小売業で使われる簿記です。外部から商品を仕入れてきてそのまま外部へ販売するスタイルです。

つまり「仕入れ→売上」という流れです。

仕入れ値よりも高い金額で販売して、発生する差額を儲けとして成り立っています。

例えばスーパーや八百屋さんがこれに当たります。

スーパーや八百屋さんは農家などの仕入れ先からリンゴを仕入れて、そのままお客様に販売することで利益を得ています。

「工業簿記」とは

一方の工業簿記は、外部から仕入れた材料を自社で製品に替えてから外部に販売する製造業で使われる簿記です。メーカーなどがこれに当たります。

商業簿記との大きな違いは、商品を仕入れてから販売するまでに製造加工という工程が加わることです。

こちらの流れは「仕入れ→製造加工→売上」になります。

例えば商業簿記と同じように仕入れ先からリンゴを仕入れたとします。商業簿記ではそのままリンゴとして販売しましたが、工業簿記の場合はリンゴをジュースやゼリーに加工してから販売します。

商品をそのまま販売する商業簿記とは違って、材料を仕入れてから加工後の形にするまでにいくらかかったかを計算する必要があります。

勘定科目や財務諸表での表記が変わる

工業簿記は、商業簿記にはなかった「製造加工」という工程が増えることもあって、「材料」「製品」「仕掛品」などの商業簿記では登場しなかった勘定科目が出てきます。

また損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作るという点は商業簿記と同じですが、貸借対照表の「商品」が工業簿記では「製品」になるなど、多少変更が加わる点があります。

工業簿記には”原価計算”が入ってくる

原価計算とは製品を作った際に一個当たりにかかる製造原価を計算することです。

分かりやすく車メーカーの例をとって考えてみましょう。部品を仕入れて自社で組み立て販売する製造業(工業簿記) と、車そのものを仕入れて販売する非製造業(商業簿記) の違いです。

例えば非製造業である中古車販売メーカーなら、車1台を1台分のコストとして計算します。

一方、製造業である車製造メーカーは、車1台分の約3万個分の部品の仕入れ値と製造コストをふまえて、車1台当たりの原価を計算する必要があるため、計算が複雑になります。

さらに原価計算の範囲には標準原価計算や直接材料差異、パーシャルプラン、シングルプランなども含まれます。

特に標準原価計算の勘定記入はパーシャルプランとシングルプランあり、どこを標準原価で記入して、どこを実際原価で記入するのかが分かりにくくて難しいとされています。

1ヶ月単位の決算

財務諸表を作成するための会計期間は通常1年間です。しかし工業簿記では通常1カ月で原価計算がおこなわれます。この期間のことを原価計算期間と呼びます。

上述通り原価計算をおこなう工業簿記は、きちんと管理しないと無駄が発生してしまうことがあります。そのため無駄が発生した時に早めに改善できるように決算期間を短くしているのです。

勘定連絡図を抑えよう

これまでも触れた通り、工業簿記は材料を購入してから人件費などの経費をかけて、製品にした上で販売します。

工業簿記ではこの仕入れてから製品にするまでの流れを理解することが非常に重要になります。このように材料が製品になるまでの流れを理解しやすいようにまとめたのが勘定連絡図です。

勘定連絡図の「材料費・労務費・経費」が「仕掛品・製造間接費」になってから「製品」になるという流れが理解できていないと工業簿記の勉強はなかなか進みません。

自分が勘定連絡図のどの部分を学んでいるのかをしっかり理解できるようになることが大切です。

工業簿記の勉強法

本を読む少年 ここまでの説明で「やはり工業簿記は難しそうだぞ」と思ってしまった人もいるかもしれませんが、ポイントを押さえて勉強すれば理解できるはずです。

ここでは工業簿記の勉強法について紹介します。

工業簿記の第一歩は商業簿記の基礎から!

簿記3級を飛ばして日商簿記2級の受験を考えている人も、まずは商業簿記の基本は押さえておくことをおすすめします。

簿記の基本は商業簿記です。いきなり工業簿記から始めると専門用語がわからないことに加えて、簿記の流れや帳簿の見方が分からないために、より理解するのに苦しむ可能性があります。

簿記の知識がまったくない状態から勉強するのであれば、あらかじめ商業簿記の基本を学んで仕訳や簿記の流れを理解してから工業簿記に取り掛かった方が理解しやすいはずです。

出題パターンが限られている

商業簿記は過去問を勉強しても、いざ試験を受けると見たことがないような問題が出題されることがあります。

それに比べると、簿記2級の工業簿記の試験範囲は商業簿記に比べて試験範囲が狭い上に、基礎的な部分が多くて出題パターンも限られているため満点を取りやすく、得点源になりやすいです。

工業簿記を得点源にするためには、まずテキストを徹底的に勉強しましょう。「テキストを読んで理解したら練習問題を解く、そして分からなかったらテキストに戻る」という流れを繰り返してテキストを2周します。

それが終わったら今度過去問に取り掛かります。「過去問を自力で解いて、分からなかったらテキストに戻る」という流れを繰り返して3周します。

工業簿記は過去に出題された問題が多いに役に立ちます。3周して理解した後は時間を測って問題を解くようにして実践形式を用いることで、より点数を取りやすくなります。

体系的に理解しよう

日商簿記2級の工業簿記はパターンが限られているため、体系的に学習するのがおすすめです。

例えば、「総合原価計算における減損」でも「減損が途中で発生した場合」「終点発生した場合」「発生点が不明の場合」のようにケースを分けながら勉強すると良いでしょう。

問題を理解した上で自分の勉強したパターンに当てはめることができれば、問題が解けるようになるはずです。

インプットよりもアウトプットを行おう!

工業簿記は覚えるべき内容は限られています。そして暗記することよりも過去問や問題集の問題を解きまくって、実際に問題が解けるようになることの方が重要です。

テキストを読んで分かった気になることがないように、ある程度学習したら、しっかり手を動かして問題を解くようにしましょう。

日商簿記2級の試験は時間との闘いでもあります。図と公式を覚えたら問題を解くトレーニングを繰り返して、問題を見た時に反射的に頭に思い浮かぶようになるくらいまでしっかり手を動かしてください。

簿記1級を取得する方は流れを理解しよう

とりあえず簿記2級の取得をゴールとしている方は、上記のようにパターンを理解することで点数を稼いで合格に近づくことは可能です。

しかし将来的に日商簿記1級を目指す人や、実務で簿記を使う人はパターンとして覚えるだけでなく、工業簿記の流れを理解しながら学習するようにしましょう。

流れまでしっかり理解することで実務や応用問題でも簿記2級の知識を生かせるようになるはずです。

工業簿記を理解する3つのポイント

successの看板 上記ではどちらかというと試験で点を取りやすくするための勉強法について説明しました。ここからは工業簿記そのものを理解するためのポイントについて紹介していきます。

商業簿記との共通点を抑える

これまでの説明でも触れた通り、簿記の基本は商業簿記であり、工業簿記を勉強する際も商業簿記の基本を抑える必要があります。

そして工業簿記も商業簿記も簿記であることに変わりはないため、共通点は多くあります。

まずは商業簿記と工業簿記の共通点を抑えて、同じ点は「商業簿記と同じ」と分類しましょう。

商業簿記とは違う点を理解する

工業簿記の内容の中の商業簿記と同じ点を見つけたら、今度は商業簿記と異なる点を意識しながら勉強しましょう。

このように勉強することで、工業簿記を勉強する際にはどんな点に気を付けて勉強すれば良いかが分かるはずです。

工業簿記は商業簿記よりも出題範囲が狭いといっても、勉強することが少ない訳ではありません。力の入れどころを間違えると無駄に学習時間がかかってしまうこともあるので気を付けましょう。

具体的なモノの製造段階をイメージを大切に!

簿記試験は試験会場にて紙とペンを用いておこないます。しかし工業簿記の本質は「企業内での製品の製造」 です。

ただ出てきた問題を解くだけでなく、企業が製品を作るときに「これは何のために何をしているのか」という工程のひとつひとつを意識することでさらに理解が深まるでしょう。

例えば製品が完成するまでの流れを「料理を作る工程」など、自分の身近なイメージのものに置き換えることで理解しやすくなるかもしれません。

簿記2級工業簿記まとめ

簿記2級工業簿記まとめ

  • 簿記の基本は商業簿記なので商業簿記の基本は先に抑えておく
  • 商業簿記と同じ点・違う点を意識して勉強する
  • 工業簿記をより深く理解するなら工業簿記の流れを意識する

なんとなく工業簿記に苦手意識を感じていた人も、工業簿記は難しくないし、むしろ点数を稼ぎやすい科目だということがお分かりいただけたのではないでしょうか?

「それでも少し不安だ」という人は簿記2級の講座などを受講することでより合格に近づけるので検討してみましょう。

ポイントを押さえてしっかり工業簿記の勉強をすれば、日商簿記2級の合格が必ず見えてきます。

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