弁護士と医師両方の資格を持っていたら?キャリアや仕事・試験の違いまで徹底解説!

更新日時 2020/04/06

世の中には弁護士と医師の両方の資格を持っている人がいます。このような人たちは一般的に勝ち組と言われていますが、本当にそうなのでしょうか?

弁護士と医師の資格取得はどちらが難しいのか疑問に感じている人もいるでしょう。

そこでここでは、弁護士として働いた方が良いのか、それとも医者として働いた方が良いのかという将来性も含めて解説します!

弁護士と医師についてざっくり説明すると

  • どちらの国家試験にも受験資格がある
  • 医師より弁護士の方が合格率が低い
  • 弁護士として活躍した方が医師の知識も活かすことができる

弁護士と医師は勝ち組?

並んでいる人たち 弁護士は日本三大国家資格の一つであり、資格取得は大変難しいと言われています。

また、医師は日本三大国家資格には含まれていませんが、誰でも取得できる資格ではありません。試験の内容は司法試験と同じくらい大変難しく、大変な努力と勉強時間が必要です。

弁護士と医師の共通点は年収が非常に高い点です。弁護士の初任給は平均で500万円以上(年間)と言われています。一方の医師の初任給は病院にもよりますが平均400~500万円(年間)です。大卒の初任給は年間300万円前後ですので、どちらもかなり高いことがわかるでしょう。

弁護士も医師も、今後も必要とされる資格ですから将来性も大変明るく、目指す人は大変多くいます。ただ、その仕事内容は全く異なるため、資格試験においてはそれぞれにかなり特殊な勉強をしなければならないという一面があります。

両方とも年収が高く、またどちらも試験が大変難しいため、勝ち組と考える人が多くいるというのが現状です。確かに将来性を考えても、衰退していく資格とは考えられませんから、勝ち組と言えるかもしれませんね。

どちらも受験資格が存在する

弁護士になるにも医者になるにも国家資格を取得しなければいけません。ですが、どちらの国家試験にも受験資格があります。

医師資格を取得するためには、医学部が存在する大学に入学して6年間の教育課程を修了する必要があります。座学だけではなく、医者になるために必要な技術も実技を通して身につけます。そのため、教育課程には実習も含まれています。

また、弁護士になるには司法試験に合格しなければいけません。司法試験を受験するためには、法科大学院を卒業するか司法試験予備試験に合格する必要があります。

司法試験予備試験は、法科大学院卒業生と同じだけの知識があるかどうかを判定するものです。この試験に合格すれば、法科大学院を卒業していなくても、司法試験を受験することができます。

弁護士と医師の仕事・年収の違い

椅子に座る人形 弁護士も医師も専門的な知識と技術を必要とします。そのため、仕事内容にもまったく異なり、仕事に就いてからも日々のスキルアップのための努力が必要不可欠です。

弁護士と医師のそれぞれの仕事の違いについて、掘り下げて解説します。

弁護士の仕事内容

弁護士は法律の専門家として、不正を行なっている人たちから市民や国民を守ることが主な仕事 です。簡単に言えば、「正義を守る」ことが弁護士の役目だということです。

法律の下、正義を守るために民事訴訟や刑事訴訟を扱います。裁判所で法律に則っていない者と戦い、人権などの権利を勝ち取ります。そのためには、法律だけではなく、依頼人の現状や背景なども考慮に入れる必要があります。

弁護士の仕事は正義のために戦うだけではありません。問題が大きくならないように最善の努力を尽くすことも大切な役割です。当事者の間に立ち、互いの言い分や状況を考慮に入れ、落としどころを見極める場合もあります。

すべての人たちが法律に則った行動や言動をするわけではありません。自分の利益を重視した行動や言動を取る人も多くいます。そのような人たちから、法律を守って誠実に生きている人たちを守るために、弁護士という存在は必要なのです。

医師の仕事内容

医師の仕事は、病院などで治療にあたる仕事と、研究所などに勤めて医学の発展に努める仕事の2種類 があります。

病院などで治療にあたる仕事は、町医者や大病院や大学病院などがあります。さまざまな病や怪我で苦しんでいる患者と向き合い、回復するための治療やサポートを行なうのが仕事です。

研究所などに勤めた場合には、さまざまな病気に対する治療方法や治療薬を見つけることが仕事です。より素早く、そして患者の負担にならないような薬の開発や治療方法を考え、研究を重ねています。すぐに結果が出ることはほとんどなく、地道な作業と根気強さが求められます。

医学の発展は人間を病や怪我の苦しみや恐怖から救う唯一の方法です。今この瞬間にも病や怪我で苦しんでいる人たちが大勢います。その人たちを救うために、医者はこれからも必要とされる存在です。

年収を比較

弁護士と医師の年収を比較してみましょう。

厚生労働省の調査によると、弁護士の平均年収は1000万円前後と言われています。ただし、これは地方や事務所の大きさによってかなり変動があります。東京や大阪などの主要都市では平均年収は1000万円を軽く超えます。地方の場合は700~800万円前後と言われています。

一方の医師の平均年収は1200万円前後と言われていますが、勤務医だけでみると厚生労働省の調査では1700万円前後とされています。開業医となると更に2000万円前後にまで金額は跳ね上がります。

年収だけでみると、弁護士も医師も両方とも高額です。ただ、比較してみると弁護士よりも医師の方がかなり年収が高くなっていることがわかります。

試験難易度が高いのはどっち?

積み重なった本 試験の難易度は弁護士と医師ではどちらが高いのでしょう。

結論から先にお伝えすると、弁護士の方が圧倒的に難易度が高いというのが現状です。

弁護士は法律に明るくなければいけません。そのため、普通の生活では絶対に触れることがないであろう法律の深い知識が必要になります。

ただ、医師の試験難易度は弁護士に比べて低いから簡単になれるのかというと、そのようなことはありません。医師の場合、試験の難易度は弁護士に比べると低くなりますが、その代わり医学部に入るための試験の難易度が大変高いという特徴があります。

試験の難易度だけに注目するなら、弁護士の方が高くなりますが、医師と弁護士ではその過程がまったく異なります。そのため、どちらの資格を取得するのが困難なのかということは、試験の難易度だけで測ることはできません。

試験の合格率を比較

年度 医師合格率 弁護士合格率
2014年 90.6% 22.6%
2015年 91.2% 23.1%
2016年 91.5% 22.9%
2017年 88.7% 25.9%
2018年 90.1% 29.1%

上の一覧表は、医師と弁護士のそれぞれの試験の合格率です。医師の合格率は90%前後なのに対し、弁護士の合格率は30%以下となっています。

この一覧表から見てもわかるように、試験だけで見るなら弁護士の方が圧倒的に難しいということです。

勉強時間を比較

弁護士と医師のそれぞれの勉強時間で比較してみましょう。

医師の場合は、まずは医学部に合格するために猛勉強する必要があります。合格するのは大変難しく、高校生が医学部を目指そうとした場合、1週間で40時間以上の勉強時間が必要と言われています。

また、医学部に入学してからは6年間かけて医学の知識をしっかり学びます。また、医師資格を取得した後もそれで終わりではありません。更に2年間研修医として様々な診療科で経験を積む必要があります。

弁護士の場合、司法試験の受験資格の一つである予備試験に合格するために必要な勉強時間は1000~5000時間と言われています。ただし、これはあくまで司法試験に合格するために必要な勉強時間です。予備試験に合格しても弁護士にはなれません。更に司法試験に合格する必要があります。

司法試験に合格するためにはこれに加えて3000~8000時間の勉強時間が必要になるので、勉強量は極めて多くなるでしょう。

1年間集中して勉強をし、司法試験の合格まで一気に手にする人もいます。ですが、そのような人は稀でほとんどの人は2~3年かけて勉強をして合格を手にします。

このように資格取得までの過程に違いが大きいので、一概にどちらの方がより多くの勉強時間が必要かということは言えません。ですが、医師の場合は学校に入る前から入った後、更に資格取得後も勉強や実習が必要なため、かなりの期間が必要になってきます。

医師資格と弁護士資格両方持っていたら?

電球と黒板 実際、日本には医師資格と弁護士資格の両方を持っている人がいます。その人数は決して多くありません。

それでは、どちらを主体にして働いた方が両方の資格を活かすことができるのでしょう。それぞれの働き方で解説します。

医者として働く?

弁護士の資格を持ちながら、医師をメインとして働いた場合、医師としての価値や実力が上がるわけではありません。何故なら、医療現場では弁護士の知識があまり必要ではないからです。

医療現場で必要とされるのは、医師としての知識とスキルです。生命にかかわる現場ですから、人の命を救うための知識やスキルが重要になります。命の危機に瀕している時に、法律の知識が必要になる場面はほとんどないでしょう。

医者として働くのなら、弁護士としての知識や資格を活用することはあまりないと言えます。

弁護士として働く?

医師免許を持ちながら弁護士として働いた場合、それは強力な武器になります。何故なら、弁護士の中には医療専門の人も存在するからです。医療専門の弁護士になるには当然、医師としての知識が必要不可欠です。

医療現場において、裁判が必要になる場面があります。それは医療ミスなどで患者を死なせてしまった場合です。その場合、医師や病院が頼るのは医療専門の弁護士です。特殊な案件ですから、法律の知識だけでは不十分です。

医師免許を持っていれば、当然医療専門の知識は持っています。合わせて不法行為や債務不履行などのような弁護士としての知識も充分活かすことができます。

弁護士としての働き方

嘘と本当の標識 医師は人の生命に関わる仕事に携わっています。その過程の中で、法律問題に関わってしまうことが出てくる場合もあるでしょう。ですが、司法のもとでは医師も法律に従わなければいけなくなります。

そんな時、医師免許を持った弁護士なら、法律の方面と医師としての方面の両方から案件を取り扱い、架け橋となってくれます。司法分野のみという一方的な見方ではなく、医療現場から観点でも案件を取り扱うことになるので、より公平に取り組むことができます。

医師弁護士を頼る側にとっても、「この人なら自分の立場もわかってくれる」と安心でき、信頼関係を築きやすくなるでしょう。司法というものに恐怖心を抱くのは医師も同じです。医師の資格を持った弁護士に頼ることで、そのような恐怖心や不安感も軽減されます。

実際裁判では医師資格は有利?

実際の裁判で医師資格が有利になるかというと、そうではありません。医師資格を持った弁護士が医療裁判を取り扱った場合、勝訴率が高まったという例はほとんどないというのが現状です。

その原因として、裁判官が医療に対して素人であるということが挙げられます。医療の知識がほとんどない人に対して、専門用語や医療現場の特殊な知識を説明したり書面に書いたりしても、理解してもらえることはほとんどありません。それは裁判官に対しても同じです。

また、医師としての知識があるために、わかりやすく書くということを忘れてしまい、専門的な観点から書類を作成してしまうことがあります。これは裁判官の目から見ると「偏った見方がある」という印象を受けてしまう可能性があるのです。

医療界における弁護士の活躍

ネクタイを締める男性 医療界において、弁護士の活躍は必要不可欠です。医療機関の中には、医師免許を持った弁護士を常駐しているところもあります。司法と医療の両方の知識を持っているため、医療機関において医師免許を持った弁護士は大変頼りになるのです。

ですが、医師免許を持った弁護士はあくまで弁護士として仕事をしています。医療現場で医師として勤めた経験はほとんどない場合もあります。そのため、医療現場で働く医師と感覚にずれが生じることもあります。

医師免許を持った弁護士は確かに難しい試験を二つもクリアしているため、素晴らしいと言えるでしょう。ですが、弁護士としての実力を測ることはできません。どれだけ医療機関で弁護士としての場数を踏んでいるかが重要になると言えます。

弁護士と医師まとめ

弁護士と医師まとめ

  • 医師と弁護士はどちらも高難度・高収入である
  • ダブルライセンスを持つ場合で、医師として勤務した場合は弁護士の知識を活かすことはほとんどない
  • ダブルライセンスを持つ場合で、弁護士として勤務した場合は医師の知識を活かすことが充分可能
  • 医師資格を所持した弁護士が優秀かどうかは一概に言えない

弁護士と医師両方の資格を持った場合についてを解説してきました。

両方の資格を持っていた場合、弁護士として仕事をした方が両方の資格や知識を活かすことが可能です。ですが、優秀かどうかはまた別問題です。弁護士も医師と同じで実践を積むことで力が付きます。どれだけ多くの案件を取り扱っているかが重要になるのです。

もし、弁護士と医師の両方の資格を取得しようと思っているのなら、どちらの仕事に就いたとしても仕事を始めた後も、努力して知識やスキルを上げる努力をしてください。