司法試験って実際は簡単なの?難易度や昨今の司法試験の実態まで徹底解説!
「近年の司法試験は簡単だと聞いたけれど…」
「受かりやすくなっているなら司法試験を受けてみたい!」
確かに最近は司法試験が簡単になったという噂があります。そのため以前よりも司法試験に興味を持っている方は多いかもしれません。
しかしこの噂は果たして本当なのでしょうか?
そこで資格Timesでは、近年の司法試験の難易度や試験の実態を全て網羅し、まとめました。本記事を読むだけで司法試験への心構えがわかるようになっていますので、ぜひ参考にしてください!
司法試験の難易度や実態についてざっくり説明すると
- 昔と比べて司法試験の合格者が増えているのは事実である
- 司法試験の合格率は3割ほどなので合格者はそこそこいる計算になる
- たとえ司法試験が簡単だとしても弁護士に簡単になれるというわけではない
司法試験って簡単に受かるものなの?
司法試験とは、弁護士や裁判官など法曹界を目指す人がまずはじめに突破しなければならない資格試験です。昔から司法試験は数ある試験の中でもトップクラスに難しいと言われてきました。
しかし最近は、司法試験は簡単だというような論調が世の中にあるようです。
実は司法試験への評価が低いことには理由があるとされているのですが、それは一体どういうものなのでしょうか。詳しく解説いたします。
全ての士業の中で最も勉強時間が必要
まずは 司法試験の勉強時間についてを考えてみましょう。
わかりやすいように他の主な士業と比較してみました。まずはこちらをご覧ください。
資格 | 合格に必要な勉強時間 |
---|---|
弁護士(司法試験) | 8000時間 |
公認会計士 | 4000時間 |
税理士 | 3000時間 |
司法書士 | 3000時間 |
不動産鑑定士 | 2000時間 |
中小企業診断士 | 1000時間 |
社会保険労務士 | 1000時間 |
行政書士 | 600時間 |
この表を見るだけでも、司法試験は他の士業試験に比べて合格に必要な勉強時間が極めて多いことがお分かりいただけるでしょう。勉強時間が膨大なだけでなく合格率も低いため、決して簡単で誰でも取れる資格ではありません。
昔よりも簡単になっている?
司法試験に合格するための勉強時間は確かに膨大なのですが、難易度で見るとどうなのでしょうか。
司法試験はかつて、医師資格と並ぶとされてきました。しかし国の方針により平成16年頃から法曹人口を増やす動きが取られ、司法試験合格者はかなり増えています。
弁護士が増えた結果どうなったか
国の政策により弁護士の数は確かに増えたのですが、全体の人数が増えたことで緊張感が薄れたのか、弁護士の質が低下したと言われています。
その結果、司法試験に通って弁護士の資格を取っても弁護士として十分な収入を得ることができず廃業する人が増えたという話も多くなってきました。
こうしたことから司法試験に対するイメージが低下し、最近は受験者数が減ったとも言われています。このことで結果的に合格率が上がり、「弁護士になるのは簡単になった」という噂が出てきたものと思われます。
司法試験合格の価値が下がっている?
以前であれば、司法試験合格者は法律に関する相当な知識や専門性を持つ人材としてかなり重宝されていました。企業への就職する際にもかなり有利であったとされています。
しかし現在は合格者が増加したことで司法試験自体の価値が下がり、「司法試験合格者」と名乗る意味があまりなくなったと言われています。
司法試験に詳しくない方であれば今でも司法試験合格者は羨望の対象かもしれませんが、業界に詳しい人の間ではむしろ「新人の弁護士はあまり役に立たない」というイメージが強く付いてしまっています。
ある程度法務の経験を積まなければ企業への採用も難しいともされるほどなのです。
司法試験は全く簡単ではない
ここまでお話しした理由から、確かに司法試験は「以前より受かりやすくなった」と言われています。
しかし、だからと言って簡単な試験になったということでは断じてありません。司法試験は未だに最難関の試験です。その理由を解説いたします。
試験は依然として難しい
司法試験は近年、政策の変化から受験者と合格率の増減を繰り返しました。
このことにより簡単になったと誤解されがちでしたが、試験の内容が変わったわけではないのです。受験者の層も低下したとは言えず、政策が変化する前の受験者層とほぼ同じであるとされています。
つまり司法試験は難化も易化もしていません。依然として昔と同じ難易度ということになります。
また仮に多少簡単になっていたとしましても、司法試験は元々の難易度が極めて高い資格試験です。国家試験の中では未だ最難関の立ち位置であることに変わりはありません。
弁護士を諦めて下位資格に流れる人も
司法試験が簡単になったという噂を受けてか、実力に見合わないにも関わらず司法試験への挑戦を試みる方もおられます。
しかし実際に挑戦するとわかりますが、司法試験の難易度は半端なものではありません。勉強を進める過程で合格を諦め、下位資格に流れていく方も少なくないのです。
回数制限の壁に敗れる人もいる
実は司法試験には回数制限が存在します。司法試験は、法科大学院を卒業後5年間のうちに5回しか受けることができません。
従って何度もチャレンジしたいと思っている方でも、不合格続きで結果的に受験資格を失うパターンもあるのです。
司法試験は、諦めなければいつかは叶うというような性質のものではありません。合格を目指して何年もチャレンジを続けたとしても、結果として実らない方が続出するほど難しい試験なのです。
受験者層のレベルも圧倒的に高い
司法試験を目指す方の層は、東大をはじめとする難関大学の法学部出身者や法科大学院を出ている人だけで構成されています。そのため受験者層のレベルは他の国家試験に比べても圧倒的に高いのです。
例えば、同じく難関資格とされている公認会計士には受験資格がありません。そのため様々な人が受験し、受験者数の総数が多くなるため結果的に合格率が下がっています。
対して司法試験は、受験者層のレベルが非常に高いにもかかわらず合格率が3割を切っています。日本でトップクラスの頭脳を持つ人たちが挑んでも7割は敗退するということですから、司法試験は恐ろしいほど難関試験なのです。
司法試験の難易度と合格率の実態
ここで、司法試験の難易度や合格率を数値に表して考えていきましょう。
合格ラインはおよそ6~7割
司法試験の合格ラインですが、全体の6割ほどを正解すれば合格とされています。6割の正答率というと、点数で言えば60点で合格です。
この数値だけを見ると簡単そうに思う方もおられるかもしれませんが、試験の難易度自体が高すぎるのでこの点数でも決して易しいわけではないのです。
合格のコツ
司法試験は問題が難しいだけでなく解くべき内容が膨大です。ですから答案はスピード感を持って作成することが大切です。
また論述試験においては完璧な答案を目指すよりも、他の受験生が書くだろうと思われる事項を落とさず、まんべんなく抑えることが重要とされています。
つまり「他の受験生よりも良い」内容を構築することが鍵です。
合格率が30%って高くない?
先ほど、司法試験の合格率は3割であるというお話をしました。3割というと30%の合格者を出しているということになります。難関試験という割には合格者が多いのではないかと思う方もおられるかもしれません。
ここで、近年の合格率の推移をご紹介します。
年度 | 合格率 |
---|---|
平成26年 | 22.6% |
平成27年 | 23.1% |
平成28年 | 21.9% |
平成29年 | 25.9% |
平成30年 | 29.1% |
令和元年 | 33.6% |
令和2年 | 39.2% |
令和3年 | 41.5% |
令和4年 | 45.5% |
確かに、司法試験の合格率は多少のブレはあるものの上昇傾向にあります。
ただし受験者層を考えれば、合格率が3割もあると考えるよりも「3割程度にしかならない」と言ったほうが正しいでしょう。
予備試験を通過してくる人もいる
司法試験は、法科大学院を卒業する以外に予備試験を通過してくる受験者もいます。予備試験とは司法試験を受験するための権利を得るための試験で、予備試験に合格すれば法科大学院に行かなくても良いので費用削減ができます。
しかしこの予備試験自体の合格率が非常に低いのです。ここ数年の予備試験合格率は4%未満とされており、ほとんどの人が落ちる超難関試験と言って良いでしょう。
予備試験を通過してきた人は、法科大学院卒業生よりも司法試験の合格率が高い傾向にあると言われています。しかし司法試験は合格者が4%しかいない予備試験通過者が挑んでもなお、不合格者が多数出る試験なのです。
やはり最難関であることに変わりありません。
合格までに何年もかけるのが普通
ここまで解説してきた内容を総括しますと、司法試験は確かに近年「簡単に合格できる」と言われることもあります。
しかし合格を目指して2年、3年またはそれ以上勉強をしてきても、3回以上挑戦した上でやっと合格を勝ち取っている方も少なくないのです。しかも受験回数は5回が上限ですから、長年勉強してきても努力が実らなかった方も多くおられることでしょう。
こうした実情から言えることは、決して「司法試験は簡単ではない」ということです。
司法試験の難易度については下記の記事をご覧ください。
司法試験は独学合格できるのか
ここでは少し趣向を変えて、司法試験に独学で合格できるのかを考えていきます。
独学で合格する人はほぼいない
何度も触れているように、司法試験の難易度は非常に高いものです。独学の場合に必要な勉強時間は10000時間を超えると言われています。10000時間というと、1日5時間勉強したとして2000日、およそ5年半かかることになります。
とてもではないですが独学での合格は不可能だと言えるでしょう。公認会計士などの超難関資格では独学合格者は少ないながらもおられるのですが、司法試験はそれとは比較になりません。
司法試験はほとんどの方が予備校などに通うダブルスクールをしたり通信講座を受講したりしながら受験勉強をする人がほとんどです。
効率的な勉強法が重要
もし独学で10000時間の勉強にチャレンジするとしても、司法試験は勉強すべき範囲が膨大な上、専門性が極めて高い内容を学習していくことになります。
果てしない勉強量を前に、先が見えない努力を何年も続けられるかはご自身の精神力にかかっていると言えますが、あまりおすすめできるものではありません。
効率的に勉強するためには、やはり司法試験対策に向けた予備校に通ったり通信講座を受講して勉強のノウハウを教わることが重要と言えるでしょう。
時間・コストを抑えたい人は通信講座がおすすめ
独学ではどうしても合格を目指すのには困難を極めます。しかし、どうしても予備校に通う時間が無かったり、費用を抑えたいという人は通信講座を受講するのがおすすめです。
その中でも、合格実績・評判ともに注目を集めているのがアガルートです。
アガルートでは、予備試験・司法試験を包括的に対策できる講座から、苦手科目のみを対策できる講座まで幅広く用意されています。いずれの講座でもオンラインでも講義を受講することができ、テキストもわかりやすいと評判です。
アガルートは令和4年度の司法試験では全合格者のうち45.3%を占有するという圧倒的な実績も残しており、合格実績の面でも申し分ない講座と言えます。
司法試験・予備試験合格を目指す方は、ぜひ一度アガルートの講座をチェックしてみてはいかがでしょうか。
合格後も勝負は続く
司法試験に合格できたとしても、合格は決してゴールではありません。 むしろここからが勝負です。
司法試験合格者は、やり方によっては年収1億円を超えることも夢ではありません。しかしその地位を得るには更なるハードルがあるのです。
まずは就活に臨む人が多い
司法試験合格後に弁護士資格を取りますと、弁護士として活動することができます。多くの方は、ひとまず就活をして法律事務所に入る選択をします。
この際、ご自身が希望する就職先から内定が出るかは努力次第です。良い就職先には優秀な就活生が集中しますから、ライバルもそれだけ多くなります。司法試験に合格したからと言って必ずしも思うような就職先で働けるわけではないのです。
また司法試験に合格した後はすぐに就活を始める必要があります。試験に受かったからと言って解放感に浸っている時間はありません。
独立は実務経験を積んでから
弁護士を目指す方の中には、独立開業を目標としている方も多いことでしょう。しかし弁護士として独立するのは法律事務所等で実務経験を積んだ後にすることをおすすめいたします。
実務経験がない状態で独立開業しても、営業がうまくいかず十分な仕事を貰うことができず廃業してしまう弁護士がほとんどです。
司法試験の成績がどんなに優秀な方でも、開業に必要なスキルは司法試験の勉強で養うことはできません。実務経験を積んでこそ初めて身に付くものです。まずは就活を成功させて良質な実務経験を得ることに注力してください。
司法試験の難易度や実態まとめ
司法試験の難易度や実態まとめ
- 司法試験は法改正によって合格者は増えているが試験の難易度は依然として最難関のままである
- トップクラスに優秀な人物が挑戦しても3割しか受からないという試験は他に類を見ない
- 司法試験に何年もチャレンジしても回数制限の壁で敗退する人もいる
- 弁護士になった後も生き残るための過酷な挑戦を続ける必要がある
司法試験が決して簡単な試験ではないということがおわかりいただけたでしょうか。
しかし弁護士という職業はうまくいけば超高年収が期待できます。弁護士として活躍するご自身の姿を胸に描きながら、ぜひ果敢にチャレンジしてみてください!