司法試験合格後の就職はどうする?人気の職業や不合格になった場合の進路まで解説!
「司法試験に合格した後はどのようなキャリアがあるの?」
「不合格になってしまったらどうすればいいの?」
このような疑問や不安をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
司法試験の難易度は最高レベルであり、合格した時のメリットは絶大ですが、当然不合格になってしまうこともあります。
司法試験に合格した人のその後のキャリアや人気の就職先、逆に不合格になってしまったときの対策などは知っておきたいですよね。
こちらの記事では、司法試験合格者の就活事情や具体的な合格メリットについて解説していきます!
司法試験合格後のキャリア等についてざっくり説明すると
- 合格したら法律事務所や官公庁に就職することが多い
- 司法試験合格後になれる主な職業は弁護士・裁判官・検察官
- 合格者説明会に参加するとイメージがしやすくなる
- 不合格になっても法律知識は生かせる
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司法試験合格後の就職の実態は?
司法試験に合格したら自動的に内定が出るわけではなく、就活などを行い内定を目指す必要があります。
つまり、一般的な新卒の就活と同じように就職先に自分をアピールしていくことになります、
人気の大手法律事務所などは倍率も高く競争も熾烈で、司法試験に合格したからといって誰もが第一志望の就職先に行けるわけではないのです。
就活する人が多い
基本的には司法試験に合格しても就活をすることが多く、他の就活生と同様に就活サイトなどに登録して選考などに進んでいきます。
一方で、司法試験合格者特有のルートとして、先輩のコネなどで就活をほとんどせずに勤務先を決定する人もいます。
このルートはあくまで少数派ですが、先輩からその就職先の情報を事前に詳しく得られることや、先輩を通じて自分の長所や特徴などを就職先に伝えてもらえるため、ミスマッチのリスクが少ないメリットがあります。
司法試験合格者説明会で話を聞ける
司法試験合格者に対しては、法務省よりその後の進路についての説明会が開催されており、進路に迷っている人は参加するべきです。
その説明会では現職の方が実務に関する質問を受け付けてくれるため、合格後の不安を解消してくれるのです。
「実務に精通していない」という不安を持つ人も多く、不安や疑問を解消するためにも説明会には参加するべきなのです。
就活は6月から7月が一般的
就活の時期は、司法試験直後の6月を目途に開始すると良いでしょう。
特に、4大法律事務所などは合格発表を待たずに内定を出す傾向にあるため、早い段階から就活に向けた準備が必要になります。
就活の時期が非常に早いことを考慮すると、基本的には合格発表を待っている段階から、又は試験勉強と並行しながら就活に向けて始動しなければなりません。
司法試験対策に集中することも大切ですが、せっかく合格しても就職浪人してしまうリスクを考えると、早めに就活準備を始めるべきです。
司法試験合格後に目指せる職業
司法試験合格後に目指すことができる職業やキャリアには、どのようなものがあるのでしょうか。
弁護士
司法試験合格後のキャリアとして、真っ先にイメージするのが弁護士ではないでしょうか。
しかし、弁護士といってもそれぞれで得意分野が異なっており、自分の得意な分野や以前から興味があった分野などに特化することが一般的です。
人権問題や相続問題など、幅広い場面で弁護士は求められるため専門分野を作りアピールしていくことが重要です。
司法の場だけでなく行政などの分野でも活躍できるため、非常に社会的価値が高く世間的な信頼感も非常に高い職業です。
裁判官
裁判官は国家公務員の身分を有しており、身分を保証されながら高い給与を得ることができる魅力的な職業です。
多くの場面で発生する様々な紛争について、自身の良心に従い判断していくため精神的な負担は大きいものの、とてもやりがいのある仕事と言えます。
また、外国の大使館に外交官として勤務することもあり、国を代表する側面も持っています。
社会的意義が高い仕事を希望していて、誠実に物事に向き合える人は裁判官に向いていると言えるでしょう。
検察官
検察官は、刑事事件を裁判所に起訴するか否かを決める権限を持っており、検察官の判断により人の人生を大きく変えてしまう可能性があります。
このようなことから、強い責任感と正義感を要求されるため、非常に社会に果たす役割が大きい職業です。
検察官は警察と連携して仕事を行っていくため、市民の人たちの平和を守っている実感を得やすいです。
その正義感からやりがいを感じる人が多く、国民生活の平和に寄与したいと考えている人には向いていると言えます。
会社員になる人や起業する人も
司法試験に合格しても、必ずしも法律実務家になる必要はありません。
以前よりも企業内弁護士を採用する企業が増えていることから一般企業の法務で活躍するケースや、ある程度実務経験を経た後に独立開業する人もいます。
合格した実績は「法務に関する深い知識を持っている」という証明になるため、それを生かして一般企業に入社し法務部などで会社を支える存在になることもできるのです。
なお、企業内弁護士になった場合はその資格手当が付いたり、独立開業するための準備期間として安定した収入を得るだけでなく貴重な実務経験を積むことができるメリットがあります。
司法試験合格後の就職先
司法試験合格者の就職先にはどのようなものがあるのでしょうか。
弁護士事務所
就職先として人気な法律事務所にも働き方は多くあり、主に以下のような法律事務所形態が存在しています。
- 企業法務
- 総合型
- その他
4大法律事務所が人気
4大法律事務所とは、 西村あさひ法律事務所、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、長島・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所を指します。
これらは日本有数のエリート弁護士集団と言えるでしょう。
これら事務所は初任給がほかの法律事務所に比べ圧倒的に高く、いきなり1000万円を超える年収を手にすることができます。
4大法律事務所の詳細は下記の記事をご覧ください。
一般企業
法律の知識を生かして、企業内弁護士になるという選択肢があります。
その企業に在籍しながら法務などを担当するため、ワークライフバランスを重視する人に人気です。
勤務条件や待遇も比較的良好な場合がほとんどです。
法務部
企業の法務部に在籍することで、法律の知識を生かし企業を法律の面からサポートすることができます。
独立した人や前述した4大法律事務所と比べると年収の面では劣りますが、一般的なサラリーマンの給与水準よりは高い収入を得ることができます。
近年はSNSの発達などで名誉棄損やプライバシー侵害などの事案が増えていることから、企業としても法務に強いスタッフがいるととても心強いのです。
法務部の仕事内容については下記の記事をご覧ください。
メディア業界で活躍する人も
メディア業界では、必ず法律関連の問題が絡んできます。
問題や事案が発生した際に、その都度外部の弁護士に仕事を依頼するのはコスト面や効率面から見ても負担が大きく、迅速適切な判断が難しくなります。
トラブルを未然に防ぐためにも、その人自身が法律の素養を身に着けておくことは重要なのです。
官公庁などの公的機関
官公庁などの公的機関でその知識を生かすこともできます。
法律知識を生かしながら公務に従事できることで、やりがいや国の仕事のスケールの大きさを感じることができるでしょう。
官公庁などで働くためには国家公務員試験を受けて合格しなければなりませんが、司法試験を勉強していればそこまで負担になることはありません。
官公庁では、法律の運用だけでなく、実態に合わせて法律を改正することも求められます。
このような仕事をより深く理解する上でも、司法試験で勉強した内容はとても有意義なものになるでしょう。
法テラス
法テラスとは、トラブルの際には誰でも法による紛争の解決やサポートを受けられる社会の実現を目指している独立行政法人です。
また、経済的に弁護士などへの依頼が難しい人へのサポートや、弁護士などのサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援を行っています。
法テラスも、公的な機関で法律の知識を生かすことができる就職先と言えるでしょう。
その他にも様々な進路あり
就職ができなかった場合、未経験の状態から独立したり、法人化して弁護士業務や法律相談業務を行う人も存在しています。
これらの例は行動力が素晴らしいものの、法律実務の実績が何もない状態で案件を獲得していくのは非常に難しいと言わざるを得ません。
多くの法律事務所などと顧客の獲得競争をしていく中で実務経験ゼロで生きていくのはかなり困難な道と言えるでしょう。
依頼者は「これまでの弁護士としての実績」や「どれだけ信頼でき事務所なのか」を重視していることに留意しましょう。
弁護士として採用されるためのポイント
弁護士として採用されるには、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
選考フローをしっかり把握する
弁護士の就活においては以下のような流れで選考が進んでいきます。
- 事務所説明会への参加
事務所説明会は、事務所が「うちは求人を出してますよ」というアピールの場として使われています。
自分たちの事務所の情報提供をして応募者を募っているわけです。
- 履歴書の提出
- 面接
- 最終面接
面接試験においては、「なぜ弁護士になりたいか」「どのような法務に携わりたいか」などを説明できるようにしましょう。
- 食事会
食事会の目的は、選考というよりも和やかな雰囲気で就活生をもてなすことが目的です。
節度を守りつつ、あまりガチガチに緊張せずに雑談を楽しむような感覚で参加すると良いでしょう。
学歴よりも人柄が見られている
面接などの場では、突出している上位層でない限りは、学歴よりも人柄を重視して評価していると考えるべきです。
司法試験に合格しているという時点で、知識のレベルは十分に測ることができるからです。
人事としては、「一緒に働いてみたいか」「この事務所にその人物が適しているのか」などを見て採否を決めているのです。
面接の準備も大切に
面接では弁護士から直接質問されることがり、必ず何らかの意図や目的を持って質問されていると考えましょう。
相手も応募者が緊張していることは分かっているため、素直に回答することが大切です。
ただし、これまで勉強してきた知識を生かして最低限の対応・回答ができるよう準備をしておく必要はあるでしょう。
求人はどこで探す?
弁護士の求人は、大手法律事務所の場合、事務所各社のホームページから探すことができます。
一般の民事法律事務所に興味がある場合、「ひまわり求人求職ナビ」を利用すると良いでしょう。
日本弁護士連合会事務局が運営しており、対象は司法修習生の方から転職・移籍を考える現役弁護士さんまで幅広く対応しています。
また、企業内弁護士を目指している場合は、「ジュリナビ」や「アットリーガル」を利用するのがおすすめです。未経験者の応募可能案件も豊富なので、積極的に利用してみると良いでしょう。
弁護士が就職難ってホント?
国が主導して法曹人口を増やそうとしていることもあり、弁護士は近年増加傾向にあります。
特に都心では弁護士が供給過多になっており、就職活動は前よりも厳しくなっています。
弁護士の人数が増えたことで一人当たりの仕事も減少し、その結果平均年収も大幅に下がっているという残念な調査結果もあります。
しかし、地方では弁護士が不足している状況であり、特段都心部での就職への強いこだわりがなければ、全く問題なく就活ができるのです。
また、司法試験は前よりも易しくなったものの、弁護士という資格の価値は不変で、相変わらず社会的信頼度は高いのです。
つまり、以前よりも就職難になったとはいえ、そこまで過度に心配する必要はありません。競合を避けるなどの簡単な工夫をするだけで、食いっぱぐれるようなことはほとんど無いのです。
弁護士の就職事情は下記の記事をチェック!
司法試験に不合格だった場合はどこに就職する?
一般企業に就職する人が多い
実際に、司法試験に残念ながら不合格になった人でも大手企業を含めて採用実績があります。
企業において、法務部は事務セクションであるため収益に直結するものではありませんが、近年では企業法務の重要性が認識されつつあります。
そこで、法科大学院生修了生や司法試験経験者の採用を増やし、これまでに培ってきた法律知識を企業内で生かそうとする動きが盛んになってきているのです。
仕事をしながら勉強を続ける人も
運悪く司法試験に落ちてしまい、就職することになっても、働きながら勉強を続けて司法試験合格を目指す人はたくさんいます。
最近では、インターネットを利用した通信講座を活用したり、仕事が終わった平日の夕方から予備校に通うなどして効率的な対策を行い、合格を掴み取るというパターンが多いようです。
働きながら司法試験合格を目指す方におすすめなのが、スキマ時間もフル活用して勉強が進められるアガルートの通信講座です。
アガルートであればスマホやPCを使っていつでも学習が可能な上に、伊藤塾等と比べて出費も大きく抑えることができます。
司法試験・予備試験の対策方法を迷っている方や、他の学習方法で試験に不合格となってしまった方は、ぜひ一度アガルートの講座をチェックすることをおすすめします。
回数制限になってしまったら
司法試験には回数制限があり、5年間に5回不合格になってしまうと受験資格を失ってしまいます。
この回数制限に引っかかってしまった場合に、再度受験資格を得るためにはもう一度法科大学院を出るか、又は予備試験に再度合格しなければなりません。
本気で合格を目指す人なら選択肢として残しても良いですが、あまり現実的ではないでしょう。
司法書士や行政書士になる道も
回数制限に引っかかってしまった人の中には、司法書士や行政書士などの他に法律系資格を取得してキャリアを進めていく人もいます。
司法書士・行政書士は弁護士ほど社会的地位の高い資格ではありませんが、同じ法律家であることに違いはありません。
また、これまでに身に付けた法律知識を試験勉強に生かすことができるメリットがあるため、ただの妥協案ではなく「違う分野の法律家を目指す」という前向きな気持ちを持つべきです。
司法試験合格後のキャリアのまとめ
司法試験合格後のキャリアのまとめ
- 合格したら弁護士事務所や公務員など、自分の希望に合わせた職種を選ぶと良い
- 法律事務所以外の一般企業でも法律知識を生かすことができる
- 不合格になってしまっても行政書士や司法書士として活躍できる
司法試験の難易度は最高峰なので、合格したら多くのメリットを享受でき、多くの企業や官公庁から貴重な人材として評価されるでしょう。
不合格になってしまっても学んだ法律知識を生かせる就職先は多くあるため、悲観する必要はありません。
合格を目指すにあたって多くの困難がある司法試験ですが、地道に頑張って合格を掴み取れるよう、頑張ってください。