司法試験の浪人は悲惨すぎる?不合格者の末路や撤退後の就活事情まで解説!
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文系資格の最高峰は何かと問われれば、ほとんどの方が司法試験と答えるでしょう。学習期間が長く多額の費用もかかるため、合格するのは並大抵ではありません。
その司法試験受験界の中でも社会的にも問題となっているのが、浪人です。
司法試験の受験資格を無くすことを、過去は三振といいましたが、今は五振になりました。
司法試験は成功者の華やかな仕事ぶりなどにスポットが当たりがちですが、不合格となり浪人する方の実態にも目を当て、自分は司法試験を受けるとしたらどのように向き合うかを真剣に考えましょう!
司法試験浪人についてざっくり説明すると
- 司法試験は合格者が少数派であり、少数派に入る努力をする
- 浪人生活は金銭的にも精神的にも、大きな負担となる
- 浪人を止めることを、選択肢として常に持っておく
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司法試験浪人する人はどれくらいいるの?
合格率は極めて低い
この記事をご覧になる方の多くは司法試験に何らかの知識を既にお持ちか、これから受験を考えているという方もいらっしゃるでしょう。
当たり前のことですが、司法試験とは(弁護士、検察官、裁判官)という法曹三者を選抜するものです。
司法試験を受験するためのルートには予備試験に合格するか、法科大学院(ロースクールとも呼びます)を修了する必要があります。
どちらかというと多くの方が予備試験を選択します。なぜなら法科大学院は国公立大学でも年間100万円の学費を、修了までの長い期間支払う必要があるからです。
しかし予備試験はメリットだけではありません。予備試験の最終合格率が4%未満(申込者を分母として計算した場合)となっているのです。
繰り返しますが、負担の多い法科大学院修了か合格率の極めて低い予備試験合格者にだけ、司法試験受験のチャンスが与えられるのです。
さらにお伝えすれば、近年合格率が上昇してきているものの、受験母集団が厳選された司法試験でも上位3~4割に入らないと合格は厳しいものとなります。
7.5人に1人が浪人生に
司法試験を受験するだけでも大変で、さらに司法試験に合格し司法修習を終えた方々には、明るい未来が待っていると考える方は多いでしょう。
例えば弁護士を例に挙げてみましょう。
司法修習終了を終え、強制加入団体である日弁連に登録をすると、名実ともに弁護士となることができます。しかしながらここから華々しい法律実務の世界に入って行く方だけではないのが実情なのです。
それは就活の失敗による就活浪人です。その数は毎年200人前後にも及ぶというデータがあります。
司法試験に合格するために多額の学費(年間100万円程度)をかけ、司法修習を受けるために多額の学費(基本月額13.5万円)を借りないと生活できないという人も少なくありません。
その後晴れて弁護士となるためには日弁連への登録費用や毎月の会費の支払いなどがあります。これらは全員に必須なことです。
しかし様々な事情から、やむを得ず浪人するという選択肢を取らざるを得ない方が一定数いらっしゃいます。
司法試験浪人の末路
再受験するたびに合格率が下がっていく
他資格を含めて、多くの不合格者が勘違いをするのですが、再受験するたびに合格率は上がると信じている節があります。
しかしこれは全くの逆で、再受験の数が多くなればなるほど合格の可能性は下がるケースがほとんどです。
再受験の方の合格率が低いからくりとは?
資格試験において浪人されてしまう方の多くは、学習量が足りないというよりも実力を引き上げるための正しい勉強法を実践できていないがために、試験の合格率が低くなっています。
試験合格というゴールから逆算して、合格に必要な要素を補うという正しい学習法をいつまで経っても実践できず、結果学習法の悪き循環にはまってしまい、何度も受験を繰り返してしまうパターンがとても多いのです。
よって、再受験の方は自身の学習方法の正当性をその都度見つめ直すなど、初学者の方以上に慎重に学習を実施しないと、合格は難しいのです。
どんな生活になるのか
まず、前提としては現役の頃に比べて勉強効率が下がる方が多いといえます。
最大の原因は現役の頃の環境が与えてくれたモチベーションが、何回も不合格になり、三振し、五振するまで下がり続けてしまうということです。
学友がいて励まし合える環境ではなく、実家やアパートの一室に身ごもり、単発の仕事やアルバイトをたまにしながら一日のほとんどを試験勉強に費やすことになるでしょう。
何にせよ司法試験の浪人生活は現役の頃に比べて辛い日々が待っていることを覚悟しなくてはなりません。
司法試験浪人によるコンプレックス
司法試験浪人の方は、ご自身にある程度の自信を持たれている方が多いです。 司法試験を受験できるという段階で、法科大学院を出ているか、予備試験に合格しているためです。
特に法科大学院の修了者であるほど、○○のロースクールを修了したと言うのです。
30代になり大学と受験勉強だけしか経験していない、社会人未経験者ほどこのような認識の方が多いようです。
しかしそのように自信と法律についての素養を持ち合わせていても、現実は競争試験ですから、惜しくも不合格となる方が多数派なのです。
予備校でも受験経験者向けの中上級講座というものをリリースする場合があります。これは一回以上不合格になっている方向けの講座ということです。
このような予備校の講座を受けることでマイナスな感情を払拭し再び司法試験合格に向けて取り組み始めることができるでしょう。
しかしながら、懸念点としてはこのような講座を受講するには一定の資金が必要で、とてもときたまのアルバイトをしているだけの収入では受講できません。
受講費用も三振している段階で100万円は消費している場合も多いです。そのため早めに損切をして撤退すれば、五振して200万円近くの受講費用を失うという悲惨な末路にならずに済むでしょう。
立ち直るための解決策
ここまで徹底的に不合格になることの悲惨さなど、マイナス面ばかりを述べてきました。確かに司法試験の世界では合格者のみが注目を集める世界です。
しかし、自分の実力以上の資格に運よく合格してしまったために、実務にとてもついていけず不幸にも早期退職する方がいるのも事実です。
現在の社会環境から、会社には法令順守の精神が強く求められますが、全ての会社が顧問弁護士を抱えていたり、法令に詳しい法務部がある訳ではありません。
会社によりますが、しっかりと雇用するから法律に詳しい人材が欲しいというニーズは、探せば必ずあります。
一生懸命今まで努力してきたということが、社会の中で別の形で活かせると、不合格のコンプレックスを打ち消すほどの原動力となるでしょう。
30代の司法試験浪人生の闇
30代での司法試験浪人生には、まだ一度も社会人を経験していないという人も存在します。
具体的には、大学卒業→大学院→法科大学院→司法浪人というコースを辿ってきた方です。
ロースクールにいかずに宅浪という選択肢を
宅浪とは自宅で浪人生活を送ることをいいます。 司法試験における宅浪というのはとても過酷なものです。
参考書や問題集は安くはないですし、分からないことがあっても相談できる受験仲間や講師はいません。
また受験機関を利用していればカリキュラムがあり、ペースメーカーの役割をしてくれますが、宅浪の場合にはすべて自分で考えなくてはなりません。
その考えが合格に向かう正しく合理的なものであればよいのですが、自己流となると、ときには見当違いな計画を立ててしまうことがあるかもしれません。
そのため可能な限り宅浪は避け、通信講座でもいいので受験機関を利用することをおすすめします。
司法試験不合格後の転職
30代の司法試験浪人の闇でも述べましたが、社会人経験がないということは、今まで就活というものに触れた機会がないことがほどんどであるといえます。
司法試験を諦めて就活
司法試験を三振、五振する頃には、年齢や体力の限界を迎えて司法試験を諦め、民間就職を考える人もいます。
人には向き不向きがあります。司法試験というものに対してどんなに勉強しても、間に合わない人は存在することを知っておいてください。
しかし、それが悪いというわけではありません。その人がたまたま司法試験という試験に向いていないだけであり、他の資格試験や仕事で容易に成功するということは少なからずあるのです。
ただし全く就活ということをしてこなかった方は、面接に進む以前に自分が着るスーツの選び方など、基本的なことからわからないことになります。
スーツだけなら良心的な洋服店で見たててもらえば何とかなりますが、問題は面接に臨む姿勢です。
採用担当者は履歴書には立派な学歴が書いてありますが、どこかで就職した経歴がない人で、ロースクールなどを卒業して何年もの空白期間があると、「今まで何をしてきたんですか?」と疑問を抱きます。
そういった面接での質問を感情的に否定するような答えをすると、良い印象は与えられません。
司法試験で浪人していたことを事実としてしっかり伝え、合格という結果は得られなかったものの、受験生活を経て身に付けたことや学んだことを前向きにアピールすることで、面接官に良い印象を与えることができるでしょう。
悲惨な司法試験浪人生の就活の模様
前述はしましたが、想像以上に司法試験浪人の就活は悲惨、過酷なものであることは繰り返し述べておきます。
司法試験を撤退して就活
司法試験を諦めて就活を行うために大事なことは、司法試験への未練を全て捨て去ることです。
ときにはプライドを傷つけられることもありますが、それに対しても真正面からぶつかることのできる強いメンタルを持つことも大切です。
その上で司法試験を撤退した方が選ぶ選択肢の例を挙げると、
- 司法試験受験の知識を生かし公務員となる
- 民間企業に就職
- 司法書士などの法律関連の資格取得を目指す
などがあります。
司法試験の受験科目の一部は公務員試験と被るので、若いうちで公務員試験の年齢制限をクリアできる人は、効率的に筆記試験の学習を進めることができるでしょう。
民間企業への就職は、ときに心が折れそうになる場面も多くあるでしょう。
それでも撤退はしたものの司法試験受験で得た法律知識を必要としている会社とうまくマッチングできるよう努力することが大切です。
面接では法律を高いレベルで修得しているんだというアピールよりも、「何でもやります」という謙虚さの方が採用担当者には好感を与え、重要です。
最後に司法書士などの法律関連の資格取得を目指すという道も紹介します。
司法試験撤退後に他の法律資格を目指すことのリスク
当たり前のことですが、受験生活を続けている期間でも年齢はどんどん重なります。高齢になればなるほど、普通のサラリーマンになることは難しくなっていくでしょう。
そこで司法試験受験で得た知識を他の資格試験で活かし、合格をすれば就職のチャンスは格段に広がります。
注意していただきたいのは、「合格すれば」という条件が付くことです。
司法書士は平均的な合格率が3%程度と難関である上に、司法試験では学んでこなかった登記法の壁もあり、初学者と同じ気持ちになる謙虚さが無いと合格は難しいでしょう。
行政書士や宅建士はお手軽な選択肢ですが、近年難化傾向にあるため確実に受かるという保障はありません。
このようなリスクを取ることができる覚悟がないと、別試験でも司法試験と同じ結果を招く可能性が高いため、最終手段だと考えた方がよいです。
ニートの司法浪人
ニートの定義は厚生労働省が発表しています。
「ニートとは15~34歳の非労働力(仕事をしていない、また失業者として求 職活動をしていない者)のうち、主に通学でも、主に家事でもない独身者 厚生労働省資料より
ただ漫然と34歳までアルバイトもせず宅浪をしている人は、ニートであると言われてしまうのです。さらに悲惨なのは、仕事もせず35歳になってしまうとニートにすら該当しないことです。
もちろん司法試験合格は片手間でできるようなものではないので、受験に専念するだけの価値がある一大イベントであるといえるでしょう。
しかし自身がニートになるということを考えられる人はまだ幸せです。浪人している多くの受験生は落ちたらどうするかなどという具体的な道筋は思い描けていません。
いつか受かるだろう程度の考えでは、新規に受験に算入してきたモチベーションの高い初学者に抜かれ、先に合格されてしまいます。そうして司法浪人の数は増えていくのです。
またニートの司法浪人が植えた背景にはかつての三振制から五振制になったことも一因でしょう。
独学は辛い?
独学では、なかなかモチベーションを保つことが難しい上、効率的な学習も難しいという人は多いです。そのような人には通信講座の受講を検討するのも良いでしょう。
通信講座であれば独学に近い形式で隙間時間を生かしながら勉強可能ですし、予備校と比べて費用も安く済むのでおすすめです。
特にアガルートの司法試験・予備試験は令和4年度の司法試験合格者の45.3%に当たる636人の合格者を輩出したという極めて優れた実績を持ちます。
司法試験・予備試験講座としては費用が抑えられており、かつ講義や教材も良質なので、興味のある人は是非チェックされてみると良いでしょう。
司法浪人の実態まとめ
司法試験浪人の実態まとめ
- 司法浪人とならないためには、一回目の受験が重要であること
- 司法浪人としての生活は厳しく悲惨であること
- 司法試験不合格者の他、新規参入者もライバルとなること
- 不合格が続くようなら損切して、就活に真剣に向き合うこと
司法試験浪人の実態はあまりにも悲惨です。そのため国は司法試験の受験回数を3回から5回に増やしチャンスを増やしました。
しかし、かえって長期受験生を増やす一因となっているのも事実です。
長期に受験生をするということは、同じ年に受験勉強を始めて合格した人が活躍しているのに、自分を含め浪人生たちは自己否定感を強め、勉強の質が上がらない苦しい生活を続けるということです。
五振する前に、一回受験生活を止めアルバイトをして資金を貯めてから、資格の受験機関を利用することも検討する価値はあります。
浪人してしまった方は自分の気持ちと置かれた環境をよく検討して、合格を目指していきましょう。