法務部の仕事内容は?法学部・司法試験との関係や必要な英語力・求人事情まで解説!
「企業の法務部ってどのような仕事をするの?」
「法務部で働くためには何か資格が必要なの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
多くの企業には法務部があり、実際に法律に携わって企業の利益を最大化するために働いています。
法学部を卒業している方の中には、企業の法務部で働きたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
こちらの記事では、法務部の仕事内容や司法試験との関係、求人事情について詳しく解説していきます!
法務部の仕事内容についてざっくり説明すると
- コンプライアンスの遵守などが主要業務
- 行政書士などの有資格者や英語力のある人材は高評価
- 時事にも敏感になっておく必要がある
法務部での仕事内容とは
企業の法務部は、企業活動において契約や法律に関する業務を行っています。
具体的には、節税など企業にとって有利な選択となる法律的なアドバイスを行い、利益を最大化させるのが仕事です。
また、企業が法的にトラブルが起きそうな選択をした際に、未然に防ぐという重要な役割も果たしています。
契約・取引の際の法的問題がないかのチェック
法務部の具体的な仕事には、約款と呼ばれる企業と消費者の取り決めに不備がないかのチェックが挙げられます。
また、企業間の取引や契約の際の契約書に違法性がないかをチェックする「リーガルチェック」と呼ばれる業務も担当しています。
契約関係に関する事務は法務部とは切っても切り離せない仕事なので、非常に重要な仕事と言えるでしょう。
クレームやトラブル・訴訟への対応
営利目的で活動をしていると、どうしても会社間でのトラブルや消費者からのクレームが発生してしまいます。
法務部では、これらのトラブルに対して毅然と対応したり解決のために奔走しています。
また、カスタマーセンターやお客様相談窓口などのサービスにおいても法務部がアドバイスを行っているケースが多く、トラブルを未然に防ぐことも重要な仕事です。
新しい法制度をリサーチ
近年はコンプライアンスの遵守が盛んに叫ばれており、しっかりと新しい法律にも対応する必要があります。
条例など地方によって変わる法律や日々変化していく法制度を逐一チェックしなければならず、また自社が法律違反を犯していないか、犯す危険や兆候がないかを確認することも重要な仕事です。
多国籍企業の場合は、日本国内の法だけでなく海外の法律もチェックする必要があるため、より専門的な知識が要求されます。
時事には敏感になっておき、しっかりと新しい法律にも対応できるようにしておかなければなりません。
企業のコンプライアンスの監督も
会社の対外的な信用を高く保つためにも、社会的コンプライアンスを重視する必要があります。
そのため、社内研修やカスタマーセンターが設置されている会社が多く、研修を行う際に法務部の担当が講師を務めることもあります。
また、総合的な監督者としても法務部の存在が大きいため、法務部が果たしている役割は想像以上に大きいのです。
その他法的相談の対応
法務部は、会社全体の法律に関するアドバイスを行っています。
部署によって必要な法的知識のジャンルは異なるため、部署によって必要な法的知識を与えることも法務部の仕事と言えるでしょう。
法律に詳しい人材はどの部署からも頼られる存在なので、しっかりと幅広い法律知識を身に着けてどのような質問にも答えられるようにしておく必要があります。
企業が法務部に必要としている存在
誰とでも話すことが出来る人
法務部で働いていると、様々な部署から法律についての相談を受けたり、またアドバイスを行う機会が非常に多くあります。
そのため、円滑にコミュニケーションを取れるスキルは必須であり、人に分かりやすく法律を説明できる能力も欠かせません。
企業がより良い方向に進むには部署の垣根を超えて社員同士が協調しながら成長していく必要があるため、コンプライアンスの遵守も含めて法務部として働く上でコミュニケーション能力は欠かせないのです。
法律の専門的なスキル
法務部で働く以上、言うまでもなく法律の知識は必須です。
自社の関わる法律に関しては熟知しておき、また新たな法律もしっかり学んでおく必要があります。
その他にも、海外との取引のが発生する際には語学力と文書作成能力などの様々なスキルが求められるでしょう。
法律の知識以外にも、このようなスキルがあることで法務部ではキャリアアップしやすい側面があるため、常に学ぶ姿勢は持ち続けましょう。
英語力もあるとよい
法務部に所属していると、日本語だけでなく英語の文章もチェックする必要があるため、相当の語学力が求められる場面が多いです。
確実に読むためにも英語のリーディングスキルが必要となるため、まずはTOEIC800点・英検準1級レベルの英語力を目指すと良いでしょう。
英語に精通しているスタッフがいるだけで、企業としても安心して仕事を任せられるメリットがあります。
自分の付加価値を高めるためにも、英語力はぜひ磨いていきましょう。
常に法律を勉強する姿勢
世界中では、常に必要に応じて法律改正が行われています。
このような法改正に対応できないと会社の不利益になることもあるため、このような事態を防ぐためにも海外法までカバーしておく必要があるでしょう。
海外法までしっかりと押さえるのは非常に根気が要りますが、常に学ぶ姿勢を持ち続けることで企業からの信頼も高まっていきます。
実務経験のある法律家
企業は、実務経験3年以上の法律に詳しい人材を積極的に法務部に採用しています。
法務部での実務経験がない場合、いくら知識があっても即戦力になるのは難しいのが現実です。
多くの企業では社内で教育するコストを抑えるために、経験者を積極的に採用する傾向にあります。
つまり、実務経験のある法律家は就職には有利に働くため、積極的にアピールするべきです。
多くの企業が法務部を設置してきている理由
現在、社内に法務部を設置している企業は国内全体の約93%にのぼります。
このことからも、法務部は需要のある仕事であることが分かるでしょう。
こちらのトピックでは、法務部を設置する企業が増えた理由について紹介していきます。
グローバル化が進んでいる
近年は凄まじいスピードでグローバル化が進んでいる影響で、海外との取引が飛躍的に増えました。
その結果、日本法だけでなく国際法が重要視されるようになり、法務部や法律に精通している人材の需要も高まっているのです。
法学部出身者でも国際法を理解している人材は少ないため、このような専門的な知識を必要とする業務は法務部が担当することになります。
日本法だけでは判断できない問題を法務部が担当していることからも、今後ますます需要が高まっていくと考えられます。
社会的にコンプライアンス重視が進んでいる
不祥事やコンプライアンス違反が発覚すると、その企業の信頼度は非常に揺らいでしまいます。
また、企業としてもその後処理に追われてしまうため、膨大な労力を必要としてしまいます。
企業を不祥事から守り、社会的に信用されるようになるためには法律に精通した法務部の設置が欠かせません。
このような背景からも、コンプライアンス教育を社員に受けさせる企業が増えているのです。
法務部の年収とキャリアアップについて
法務部のキャリアアップはどのように進んでいくのでしょうか?
以下では年収と共に詳しく流れを解説していきます。
年齢別法務部の年収相場
年齢別の法務部勤務の年収の相場は、以下の表の通りです。
年代 | 年収 |
---|---|
20代 | 300万前後 |
30代 | 400万前後 |
40代 | 500万前後 |
一般的に、普通のサラリーマンと同様に年功序列で年収が上昇していく傾向にあるため、長く勤務すれば安定した収入が期待できるでしょう。
法務部からキャリアアップ
法務部に配属された場合、まず契約書の作成などの基本的な業務から経験することになります。
その後キャリアを積んで主任・課長クラスになれば、実際に取引先と交渉をする仕事を任されるようになるでしょう。
部長クラスになれば経営方針についても意見を求められ、会社に対して大きな影響力を持つようになり、自然と年収も高くなっていくのです。
法務部の求人の探し方
法務部の求人を探す方法は、主に以下のようなものが代表的です。
- 企業の求人を探す
- 転職エージェントに登録する
近年では大企業のみならずベンチャー企業でも法務部を設置している企業が増えつつあるため、法律実務者の需要は非常に高いです。
求人は豊富にあるため、自分の得意分野などを把握した上でマッチする求人を選びましょう。
法務部に所属するために取得しておくべき資格
司法試験
司法試験は難易度が非常に高い試験として有名ですが、司法試験に合格し弁護士になることで民事訴訟・刑事訴訟の双方で弁護人を務めることが可能となります。
司法試験を受験するためには予備試験の合格、もしくは法科大学院の卒業という高いハードルが課されます。
しかし、近年では日本の企業でもインハウスロイヤーの雇用が進んでいるため、これらのハードルを乗り越えることができれば法務部においても重宝される人材となるでしょう。
ビジネス実務法検定
ビジネス実務法検定は、3級から1級までの試験が存在します。
この資格を取得しておくことで、法務部のみならず営業や総務、人事などあらゆる部署で求められるするビジネス実務を身に着けていることがアピールできます。
実際に多くの企業が資格保持者を高く評価しているため、ぜひ積極的に取得を目指しましょう。
行政書士
行政書士は法律系資格の登竜門の位置付けであり、取得していれば法律について体系的に理解していることをアピールできるでしょう。
民法や行政法、商法の知識を習得することができるので、法務部で経験を積めば将来的に開業することも可能です。
簡単ではありませんが独学でも取得を狙える資格なので、興味があればぜひ勉強してみてください。
未経験から法務部に就職は可能か?
法律に精通している人材は売り手市場と言われているため、未経験からの就職も十分に可能です。
しかし、学部で法律を勉強してきただけという人は実務経験がある人よりは少し不利になってしまうこともあるでしょう。
そのような方は、法律知識があることを示すために法律系の資格を取得することがおすすめです。
法学部出身だと就活も有利に?
法学部出身だと、法務部への就職は有利に作用します。
法学部で学んだ法律の知識は法務部で働く際にも役立つ内容が多く、実務で生かすためにも定期的に復習しておくべきです。
せっかく学んだ内容を忘れてしまうのは非常にもったいないので、職業生活のことを考えても学習は継続すると良いでしょう。
ただし、新卒であれば法学部以外の他学部からでも法務部へ就職ができる場合もあるため、募集要項をよく確認しておきましょう。
弁護士を目指しながら法務部へ就職
法科大学院を卒業して法務部へ就職する人が増えている
近年は弁護士が増加した影響で、インハウス就職が増えています。
つまり、弁護士同士で顧客の獲得競争が起きているため、安泰のイメージがある弁護士でも収入が低い弁護士も存在しているのが実情なのです。
一方で、法科大学院を卒業してから比較的安定している大企業の法務部に就職し、自分のスキルを磨きながらキャリアアップを目指す人が増えています。
このように様々な選択肢があるため、自分のキャリアプランをイメージしておくと良いでしょう。
司法試験の合否と法務部
以前は、法務部司法試験に落ちた人が目指す就職先というイメージでしたが、実際にそんなことはありません。
司法試験に不合格になったとしても法務部には就職することは可能で、また司法試験の合否によってキャリアを差別されることはありません。
さらに、法務部を設置している企業は大企業であることが多いことからも、経営が安定していて福利厚生が手厚い恩恵を受けることも可能なのです。
法律事務所への就職と法務部どちらがおすすめ?
法務部では法的判断も含めた大量の業務をこなす必要があるため、業務をこなすスピード感が求められます。
とはいえ、弁護士は1つ1つの仕事を慎重に対応する必要があるため、スピード感だけでなく正確性も必要となります。
また、紛争の予防や会社に法的アドバイスをするのも法務部の業務となります。
一方で、法律事務所は紛争の解決を行っており、より高い専門的知識が要求されます。
また、法律事務所の弁護士は第三者として案件に関わるため、置かれている立場が違う点も押さえておくと良いでしょう。
法務部の仕事内容まとめ
法務部の仕事内容まとめ
- 資格の取得や英語力を鍛える等、付加価値を高めるのがおすすめ
- コンプライアンス意識の高まりもあり、需要は増えている
- 求人は多く出ているため、自分に合うものを選ぼう
法務部は専門的な知識が要求されるため、簡単な仕事はほとんどありません。
しかし、その分頼られる場面は多くやりがいを感じる機会も多いため、モチベーションは保ちやすいでしょう。
また、資格の取得や英会話力の向上を目指すことで、より自分の価値を高めることができます。
こちらの記事を参考にして、ぜひ法務部への就職を目指してみてください!