弁護士はうつ病になり易い?職業上の理由・転職情報・対処法なども併せて解説!
「弁護士はうつ病になりやすいって本当?」
「弁護士はどのようなことでストレスを感じやすいの?」
このような疑問をお持ちの方、いらっしゃいませんか?
弁護士は一般的に激務というイメージがありますが、あながち間違ってはいません。
せっかく司法試験に合格して弁護士になっても、重いストレスから「つらい」「辞めたい」と考えてしまう方も少なくありません。
こちらの記事では、弁護士はうつ病になりやすい理由や、転職情報・ストレスへの対処法などについて、詳しく解説していきます!
弁護士とうつ病の関係についてざっくり説明すると
- 一般的に弁護士はうつ病になりやすい
- 仕事のストレスや人間関係のストレスなど、原因は多くある
- うつ病のサインは敏感に感じ取り、早めに対処しよう
弁護士が鬱になりやすい理由は
弁護士は高収入で憧れを抱きがちな職業ではありますが、うつ病になりやすいのが現実です。
収入が安定している反面、求められる仕事のレベルも当然高くなってしまうためプレッシャーを感じやすいのです。
仕事上や性格上の問題もあるものの、一般的に「弁護士はうつ病になりやすい」と押さえておきましょう。
弁護士のうつ病のなりやすさ
うつ病になってしまった弁護士の数は公表されておらず、弁護士のうつ病のかかりやすさを正確に示す指標は残念ながらありません。
しかし、弁護士という仕事や性格上、うつ病になってしまう要因は多くあると考えられています。
特に、真面目な人ほどうつ病になりやすい傾向にあるため、自覚がある方は要注意です。
一般的なうつ病のなりやすさ
近年ではパワハラが社会問題なっている背景もあり、精神疾患の罹患者は増加しています。
平成29年度では、年間でうつ病などの気分障害の罹患者数は127万人に上っています。
弁護士以外だと証券会社・IT企業・エンジニアなどの職業が、仕事量や上司からの期待度が高いなどの理由からうつ病になりやすい傾向にあります。
また、一人当たりの業務量が多い職場では負担が増えてしまいゆっくり休む余裕がないことから、精神的に疲れてしまうケースが多いです。
労働時間が長め
弁護士の仕事は一般的に激務で、労働時間も長くなりがちです。
日弁連の統計によると、1週間で50時間~60時間働いている弁護士が非常に多く、これは1日あたりの労働時間で平均すると10時間~12時間となります。
日経の統計によると、IT企業の1週間の平均労働時間は40時間~50時間であり、弁護士は激務と言われているIT業界よりも10時間も多いことになります。
実際に自宅へ仕事を持ち帰って働く弁護士も多いことから、かなり過酷な就労環境に身を置いていることが分かります。
労働時間の長さとうつ病の発症リスクは比例するため、要注意と言えるのです。
仕事上でのストレス
弁護士は法律に詳しくない一般人から頼られる存在なので、一人で一度に数十件の仕事を受け持つこともあり得ます。
つまり、常に仕事に追われる状況にあるため、心身ともに疲弊してしまいがちなのです。
扱う内容も殺人事件や離婚・不倫など精神的に疲れてしまうものが多く、なかなか仕事のことを忘れてリフレッシュするのが難しいのが現実です。
依頼者の人生に大きく関わる事も多く依頼者に対して責任を感じやすいことから、プレッシャーに潰されてしまうことで「辞めたい」「つらい」と感じる弁護士もいます。
弁護士は仕事がない?
司法制度改革が行われた結果、司法試験の合格者が500~1,000人規模から1,500~2,000人規模と倍増しました。
つまり、単純に弁護士が増えたことにより、以前は「安泰」というイメージがあった弁護士でも飽和が進んでいるのが現実なのです。
仕事の奪い合いが生じてしまった結果「仕事がない」状態になり、給料が減少してしまい、生計の維持が厳しい弁護士も存在します。
また、満を持して独立しても、ネームバリューのある大きな法律事務所に仕事が流れてしまうこともあるため、仕事を得ることに苦労するケースも多いのです。
ブラック事務所入社や独立失敗の可能性
弁護士事務所や法律事務所は、労働時間に給料が見合っていなかったり、上司に暴言を浴びせられるなどパワハラ被害を受ける事例も多くあります。
近年は、新しく事務所に就職した際にこのようなブラック事務所に入社してしまう人が増加しており、劣悪な環境で働いていると「つらい」「辞めたい」と考えてしまうのは当然のことです。
つまり、このような背景もうつ病患者を増やしている一因と言えるのです。
また、夢や希望をもって独立開業をする弁護士が多くいますが、財務管理や人材管理が杜撰で独立してもすぐに廃業してしまう弁護士も多くいます。
このように、独立に失敗してしまうリスクも高いことから、弁護士がうつ病になりやすい要素は案外多いのです。
弁護士の働き方にも原因が
弁護士のつらさ
一般的に年収は高いものの、弁護士は労働時間が非常に長く時給換算するとかなり給料が低いため、モチベーションが保ちにくい側面があります。
また、仕事柄精神的な影響を受けやすくストレスを抱えてしまうケースが多いため、精神的に自信が無い方はあまりおすすめできません。
また、勤めている企業によってはパワハラなどの被害を受けてしまう事例もあることから、様々な場面でつらさを感じてしまうのです。
業績面の理由から辞めることも
弁護士を辞める理由として多いのは「仕事量の多さ」と「精神的な苦痛」によるものです。
一般的に、弁護士は事務所に就職して仕事を割り当ててもらうことが多いですが、事務所に入らずに最初から開業する弁護士も一定数います。
実務経験を積まずにすぐに独立開業してしまうと、なかなか顧客が捕まらず仕事がない状態が続いてしまい、経営不振からすぐに辞める人も多いのです。
また、独立開業して間もない頃はなかなか仕事を受けることができず収入面で不安を感じやすいため、この点でも精神的に不安定になりがちです。
性格上の問題
弁護士は法律の専門家として活躍するため「法律に疎く、様々な悩みやトラブルを抱えている人々を救いたい」という理由で弁護士を目指す方がいます。
このような人は正義感や責任感がとても強く、良い人すぎる可能性があります。
良い人であるのは非常に素晴らしいことですが、顧客に深く感情移入しすぎて病んでしまったり、依頼を達成出来ず責任感を感じすぎてしまってストレスを抱えてしまう不安があるのも事実です。
つまり、まじめな性格や優しすぎることが祟ってうつ病を発症してしまうこともあるのです。
人間関係の悩みも
弁護士も人間である以上、一般的なサラリーマンと同じように社内の上司や同僚との人間関係に思い悩ませられる事も有り得ます。
上司によるパワハラやいやがらせ、ポスト争いによるトラブルなど、仕事とは関係ない場面で精神的に疲れてしまうこともあります。
つまり、仕事に対するストレス対処法だけでなく、人間関係とトラブルを受け流せるような精神的な強さが求められるのです。
私生活への影響
弁護士の仕事は一般的に長時間に渡るため、私生活に割ける時間が少なくなってしまいます。
そのため、ワークライフバランスが崩れてしまい、プライベートな問題を抱えるリスクも少なからずあります。
また、家族や子どもを持つ弁護士は家族と触れ合う時間が少なくなってしまい、家庭の温かさから疎遠になってしまうこともあるようです。
さらに、ゆっくりと過ごせる時間が少ないため、自分の趣味に割く時間が取れなかったりリフレッシュする時間がなく、その結果ストレスを解消できずに溜まってしまうのです。
弁護士からの転職
うつ病を発症してしまったことが原因で転職を考える弁護士は多くいます。
こちらのトピックでは、どのような転職方法や転職先があるのかを紹介していきます。
働き方を変える
弁護士としての働き方が合っていない場合も考えられるため、まずは担当している業務が自分に合っているかどうかを再確認してみましょう。
例えば、今現在は刑事訴訟の案件を担当しており、大きな殺人事件などに深く関わることで精神面なストレスを感じている場合であれば、法務弁護士に転向するという方法が考えられます。
また、弁護士としての知識や経験を活かして、企業の社員として働くインハウスロイヤーという働き方も考えられます。
このように、働き方を変えるだけでストレスを軽減させることができるので、ぜひ今の仕事が辛い場合は一度冷静に検討してみてください。
資格を生かした働き方も
司法試験に合格している人材は非常に貴重であり、その資格を生かして裁判官や検察官になることも可能です。
元弁護士の中には、司法試験で得た知識を活かして公務員や国会議員の秘書など、弁護士資格を必要としない職業に就く人も多くいます。
特に、公務員は非常に福利厚生が充実しているため安心して働くことができる点が大きな魅力です。
様々な休暇制度が充実していてワークライフバランスも実現しやすいことから、安定や安心を求めている方に対しては非常におすすめと言えるでしょう。
職種の変更
現在の勤務先である法律事務所を変えるだけでなく、弁護士以外の業界に転職して職種を変更することも一つの手段です。
未経験の世界に飛び込むことでフレッシュな気持ちで仕事ができるメリットはありますが、なるべく弁護士として働いた経験や知識を活かせる業界だと、転職がしやすいメリットがあります。
特に、企業の法務職は契約や取引などを担当しており弁護士資格を活かしやすいフィールドです。
近年はコンプライアンス意識の高まりなどの背景もあり、法務に詳しい即戦力の人材を求めている企業が増えています。
そのため、弁護士としての実務経験を活かせるフィールドへの転職が非常におすすめなのです。
医者や家族とのコミュニケーション
転職や労働環境の改善などの仕事上の対策も重要ですが、私生活においてもうつ病への対策を行う必要があります。
一度うつ病を発症してしまうと再発しやすい傾向にあることから、医者や家族とのコミュニケーションは非常に重要です。
具体的な療養法や病状などに関しては信頼できる医者と逐一相談して、家族との団らんの時間をしっかり確保するなどして、精神的に安らげるように心掛けましょう。
また、発症する前に「最近なんだか活気がないな」などうつ病のサインを感じた場合は、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。
休養に伴う利用可能な制度
勤務先の就業規則によっては有給休暇に加えて休職制度が整備されている場合もあるため、しっかりチェックしておきましょう。
事務所によっては休職手当が出ないこともあるため、注意が必要です。
なお、これらの休職や手当に関する手続きは公的な法律ではなく企業ごとにルールが定められているため、個人で会社に確認して交渉する必要があります。
一方で、業務に起因してうつ病を発症した場合は労災認定が下りる場合があるため、労働基準監督署に相談することをおすすめします。
労災認定が下りれば休業補償給付を受給することができるため、休職期間中でも収入の面での不安を軽減することができます。
近年はメンタル不調による相談は増えているので、ぜひ抱え込むことなく労働基準監督署に足を運んでみてください。
会社や事務所への影響
会社側が取るべき対応
会社には、労働者が安心して働くことができるように配慮する義務があります。
うつ病を発症してしまう大きな要因にオーバーワークや劣悪な労働環境等の理由が挙げられるため、そもそもうつ病などの病気を患わない様な雰囲気の就労環境を作ることが重要です。
また、もしうつ病を患ってしまったスタッフがいた場合は、療養や転職のサポートと良いでしょう。
また、メンタルヘルスの医師や産業医と連携を密にしておき、社員がいつでも気軽に相談できるような環境を作ることも効果的です。
労働問題
仕事に従事できる状況にない社員がいる場合に、その社員を解雇をすることは認められていますが、会社として上手く対応しないと不当解雇として訴えられてしまうことが有ります。
実際に、会社が解雇日から復職日までの給料の支払い命令を裁判所から受けた事例が存在するため、会社側としても慎重に対応しなければなりません。
数千万円の支払いを命じられた判決もあるため、うつ病になった社員を解雇する際には要注意と言えるでしょう。
原則として、労働基準法や過去の判例は「労働者の権利を守る」立場に立っている内容のものが多いため、過去の重要判例は知っておくと良いでしょう。
うつ病は予防することができる
うつ病は社会問題となっており、年々その注目度も高まっています。
企業としても、社員がうつ病になってしまうことにより貴重な労働力を喪失してしまうので、メンタルケアを重視する企業が増えています。
また、ストレスチェックを積極的に導入している企業も多いため、このような機会を活用して自分のメンタルを健康に保つことを心掛けましょう。
しっかりとセルフケアすることでうつ病は予防することができます。
うつ病のサインを無視してはいけない
うつ病を予防するためには、うつ病のサインを敏感に感じ取ることが重要です。
ストレスは当然目で見ることはできず、数値化することもできません。
つまり、日常生活の中で違和感を感じた場合は、いったん冷静に考えて「今自分はストレスを抱えている状況なんだな」と自覚しましょう。
また、いつもよりイライラしやすかったり、これまで楽しめていた趣味を楽しめなかったりするのは、うつ病になってしまう恐れがあるサインと言えます。
このような状況の時に「自分はストレスが溜まっている」と冷静に判断することができれば、物事を冷静に見ることができます。
うつ病は自分自身が自覚していない間に進行してしまう恐ろしい病気なので、自分のケアをするだけでなく周囲でいつもと様子が違う人がいたら、積極的に声をかけてサポートしてあげましょう。
ストレスチェックの機会は有効活用しよう
多くの企業で、年に1回健康診断とストレスチェックを実施しています。
このストレスチェックで悪い結果が出た場合は、医師に相談したりして早い段階で不安を解消しておくべきです。
「忙しいから」といった理由でこの貴重な機会をスルーしてしまう方がいますが、それは良くありません。
うつ病に限った話ではありませんが、早い段階で病気の芽を摘んでおくことで重症化することを防ぐことができます。
うつ病が重症化してしまうと、引きこもりになったり仕事に行けなくなったりして経済的に困窮するリスクを孕んでいます。
そのため、少しでも不安があったりうつ病ののサインがあれば専門家に相談して、不安を解消することに努めるべきです。
弁護士とうつ病の関係まとめ
弁護士とうつ病の関係まとめ
- 弁護士の仕事は精神的な負担が大きいため、タフさが求められる
- 少しでも悩んだら専門家に相談したり、転職を考えよう
- しっかりとセルフケアをすれば、うつ病は予防できる
弁護士の仕事は多忙な上に他の仕事よりもストレスを感じやすい特徴があるため、「つらい」「辞めたい」と感じてしまうことが多いです。
しかし、セルフケアをしたりうつ病のサインを敏感に感じ取ることで、ある程度予防することができます。
こちらの記事を参考にして、弁護士の実情を理解して精神的な健康を保てるように頑張ってください!