弁護士がクズというイメージがあるのはなぜ?犯罪者を保護している理由まで解説!
「弁護士がクズと言われているのはなぜ?」
「どうして弁護士に悪い評判が立っているの?」
弁護士は法律のエキスパートであり、非常に高い信頼性があるイメージがあります。
しかし、その一方でクズと言われたり犯罪者を守っている悪人という評判も聞かれます。
こちらの記事では、正義感の強いはずの弁護士がクズと言われてしまう理由や、なぜそのようなイメージがあるのかについて解説します!
弁護士がクズと言われる理由についてざっくり説明すると
- 日本弁護士連合会は死刑反対の立場だが、死刑制度の廃止には至っていないから
- 自分の利益を最優先する弁護士がいたから
- 大部分は善良な弁護士だが、悪いことをした弁護士だけ報道されるため目立ってしまうから
- 「弁護士のくず」という人気の漫画の影響もある
なぜ弁護士はクズと言われることがあるのか?
犯罪に関する報道は後を立たず、テレビ・新聞などのニュースで弁護士は取り上げられやすい仕事です。
また、日本弁護士連合会は死刑反対の立場をとっているものの、未だに日本では死刑制度が廃止されていないため、弁護士に対して悪いイメージがついてしまっています。
さらに、弁護士という仕事上、依頼人のリクエストに応えるべく仕事をしなければなりません。
そこで、少しでもミスをしたりすると依頼人に不利益を及ぼしてしまうことがあります。
そして、その依頼者がインターネット上に悪い評判を書き込むことにより、弁護士の悪い印象が広がってしまうのです。
人間の心理的に、良い噂よりも悪い噂の方が広がりやすいのは仕方のないことです。
また、弁護士という仕事は非常に有名なので、弁護士に関する悪い評判は話のネタになることも原因の一つでしょう。
しかし、実際には悪い弁護士はあまり存在しません。
基本的には善良な弁護士が多いため、法的知識を悪用して悪いことを行なっている弁護士が特に目立ってしまうのです。
他の原因としては、自分の成功報酬を最優先して動く弁護士が存在していることです。
例えば、実際には示談に持ち込んだ方が良いケースであっても、自身の利益のために無駄に裁判・訴訟まで持ち込もうとする弁護士も残念ながら存在します。
そのような行為が依頼人側に発覚することで、たちまち口コミで悪評が広がってしまうのです。
実際にクズな人はほんの一部のみ
テレビなどの報道で取り上げられるのは、不祥事を起こした弁護士であることがほとんどです。
逆に、善良な弁護士はニュースに載ることはほぼありません。
つまり、弁護士のほとんどは正当に業務を遂行し、真面目に顧客に向き合っているのです。
しかし、ほんの一部の弁護士が犯罪や悪いことに手を染めていまい報道された結果、「弁護士はクズばっかりだ」「弁護士なんていらないんじゃないか」という悪い印象を持たれてしまっているのです。
なぜ弁護士は犯罪者を弁護しなくてはならないのか
よく報道などで極悪事件が起きたあとに、裁判のニュースが流れています。
刑事事件の際には「なんでこんなヤツの弁護なんかするんだ?」と疑問に思うような、明らかに犯罪者であるという人であっても弁護士は弁護をしています。
そのため「弁護士は犯罪がしやすい世の中を作っているから、いらないのでは?」などと言われてしまっています。
しかし、それは決して弁護士が犯罪者を擁護しているわけではなく、人権の保護という背景があるからなのです。
適正手続のサポート業務を行う
弁護士が犯罪者を弁護するのは、その犯罪者を擁護しているというよりは、適正手続をこなしている意味合いの方が強いです。
適正手続とは、「どんな犯罪者・悪人であっても法令の定める適正な手続きにしたがって裁かれなくてはならない」という法治国家の大原則のことです。
その背景には人権の保護があるため、弁護士もそれに則って仕事をしているにすぎません。
もし適正続きがないと?
もしも適正手続が存在しなかったとしたら、どのような問題があるでしょうか?
具体的な例だと、犯罪者がいて世間がその犯罪者を死刑と判断した場合、誰でもその人を殺してしまっても良いということになります。
このような状況になってしまうと、市民生活が脅かされ、秩序が保てなくなってしまいます。
このようなことが起きないようにするために、犯罪者側にも弁護士がついて、適正手続をサポートする必要があるのです。
憲法でも保証されている
憲法第34条で、身体を拘束されたものに対して弁護人を依頼することのできる権利が認められています。
そのため、国選弁護人などの制度を使うことで、重い犯罪を犯した人であっても弁護士に仕事を依頼することができるのです。
実際に、被疑者・被告人はかなり弱い立場にあります。
訴訟の際には、専門知識や強い権限を持っている検察官を相手にしなくてはならないため、弁護士のような法律のエキスパートを立てないと圧倒的に不利なのです。
適正手続には例外は存在しない
罪を犯したのは明らかで、議論の余地のない犯罪者がいたとしても、弁護士は適切手続を飛ばすことはできません。
例外なく、弁護士が仕事を依頼された場合は被告人の弁護をしなければなりません。
その原因には、もし仮に一つでも適正手続の例外を作ってしまうと、それを前例としてその後にどんどん拡大解釈がされてしまう恐れがあるためです。
そうなってしまうと、手続きに本来はあってはならない柔軟性が生まれてしまい、適正手続自体が骨抜き状態になってしまう可能性があるのです。
弁護士は性善説に立つ
最近ではあおり運転や無差別殺人などが良い例ですが、弁護士はどんなに極悪非道な犯罪を犯した人がいたとしても、世間からものすごいバッシングを受けている犯罪者がいたとしても、全力で弁護しなければなりません。
弁護士は性善説に立って、1%でも無罪の確率が残っているかもしれないという立場を取らなくてはならず、心理的に違和感があることも事実です。
そのため、判決で有罪が言い渡されて罪が確定するまでは、自分が弁護する相手は無罪であるという立場に立って業務を遂行しなくてはならないのです。
冤罪を防ぐ
実際にあった例として、松本サリン事件の場合で最終的に無罪になったケースがあります。
つまり、どんなにマスコミや世間から犯人だと言われ容疑者として報道され続けたとしても、このような逆転現象が起きる可能性があるのです。
無実の人を長期間に渡って拘束するということはあってはならないことです。
将来の冤罪を防ぐためにも、適正手続はとても重要であり、弁護士は人権を守るためにもそのような責任が重い仕事を行っているのです。
弁護士のくずという漫画がある
ご存知の方もいると思いますが、「弁護士のくず」という漫画やドラマの影響もあり、弁護士=くずと誤解してしまっている人がいます。
この漫画は、ブラック・コメディ漫画として人気な漫画です。
物語の内容は?
この漫画の内容は、やんちゃな性格で破天荒な言動から「人間のくず」と呼ばれている、弁護士の九頭元人(くず もとひと)が主人公です。
この主人公が、舞い込んでくる様々な依頼を引き受けつつ、弁護士とは思えないような違法スレスレの方法で依頼を解決する様や、依頼の裏に潜む人間模様などを描いています。
違法スレスレな手段は用いているものの、弁護士としての能力は非常に高く、そのようなギャップもあり非常に人気の漫画です。
テレビドラマ化もしている
漫画のみならず、テレビドラマ化もされています。
キャストは、以下のようになっています。
登場人物 | キャスト |
---|---|
九頭 元人 | 豊川悦司 |
武田 真実 | 伊藤英明 |
加藤 徹子 | 高島礼子 |
小俣 夕花 | 星野亜希 |
白石 誠 | 北村総一朗 |
このようにかなり有名な俳優・女優が起用されていることがわかります。
トラブルもあった
この漫画の一部が、「乗っ取り弁護士」というタイトルの物語に酷似しているとして、発行元の小学館と作者に対して雑誌掲載と単行本収録中止を求める仮処分申請が申し立てられたことがあります。
しかし、裁判所は最終話掲載雑誌の発売までに判決を出すことができなかったため、全話が通常の予定通り刊行されることになりました。
このようなトラブルがあったことも話題となり、この漫画の知名度を上げる一因になりました。
弁護士の仕事のつらさ
精神的な負担・ストレスが強い
弁護士はエリートで頭が良くて高給が貰えるというイメージがありますが、実際に仕事でつらい場面も多くあります。
例えば、細かなミスが許されない緻密な作業が求められるため、大きな重圧がかかります。
また、裁判に臨むにあたって準備作業を行う際には、相手方が出してきた準備資料や証拠などもしっかりと読み込んでおかなければならず、反論する材料を見つけなければなりません。
また、弁護士は裁判の相手方以外にも、依頼者からも色々と責められたり文句を言われたりする場合があり、精神的に疲弊してしまう弁護士も多いのです。
こうした手を抜くことが許されない仕事上のストレスと、重圧に耐えられずに辞めてしまう弁護士も多いのが実情です。
このように、弁護士は非常にプレッシャーを感じる職業であるため、神経をすり減らしてしまう場面が多いのです。
労働時間が長い
弁護士は高給取りであることが多い代わりに、労働時間が長くなりがちな職業でもあります。
仕事が多いとそもそも休みが少なく、休日も働いたり、場合によっては深夜まで仕事をする必要性も出てきます。
資料の読み込みや反論材料の整理など、非常に神経を使う事務作業が多いため、うまく体調面と相談しながら仕事をしていかなければなりません。
弁護士は長時間労働になりがちなため、ワークライフバランスの実現は難しい点には注意が必要です。
弁護士がクズと言われる理由のまとめ
弁護士がクズと言われる理由のまとめ
- 実際にクズと言われる弁護士は非常に少なく、善良な弁護士が多い
- 実際にやらなければならない仕事は多いため、ミスがないように気を付けなければならない
- 極悪人でも弁護士に依頼する権利があるため、世間からは悪いイメージで見られがち
- 冤罪を防ぐなど、社会的に果たしている役割は大きい
弁護士は極悪人であっても弁護しなければならないことから「弁護士はいらない」「弁護士の存在が犯罪を増やしている」などと言われてしまうケースが多いです。
しかし、その一方で人権を守り冤罪を防ぐなど、様々な面で貢献していることも事実なのです。
紹介した「弁護士のくず」という漫画は、このような弁護士のかっこいい面やつらい面を描いているため、弁護士の仕事に興味がある人はぜひ読んでみてください。