パラリーガルって何?働きかたや給与・やりがい・取得メリットのある資格まで解説!
「パラリーガルってどんな業務を行うの?」
「パラリーガルになるにはどうしたら良いの?」
このようにパラリーガルの仕事について知りたい人はいませんか?パラリーガルはリーガルアシスタントを意味することが多いですが、弁護士秘書や法律事務員とはどのような違いがあるのでしょうか?
そこでこの記事では、パラリーガルになる方法や主な仕事内容を詳しく紹介していきます。
年収の目安ややりがいなどについても紹介するので、パラリーガルの仕事について知りたい人はぜひ読んでみてくださいね。
パラリーガルについてざっくり説明すると
- 弁護士の指示や監督のもと、弁護士の右腕として補助業務を行う
- 特別な資格や学歴が不要で、未経験でも就職できる
- 認定制度の利用や資格取得することで就職や転職が有利になる
パラリーガルとは?
パラリーガルは弁護士事務所などで弁護士とともに働き、弁護士からの指示と監督のもとに弁護士業務の補助を行います。
「リーガルアシスタント」を意味することが多く、弁護士の右腕として働く必要があるため、一般的な事務職よりも専門性が高い仕事だと言えます。
業務内容は電話対応や書類のコピー、書類管理などの一般事務のような仕事から、法律に関する書類の作成や取り寄せ、法令や判例のリサーチのような専門的な仕事まで幅広く行います。事務職と弁護士の間のような業務と言えるでしょう。
ただし具体的な業務内容は、所属する弁護士事務所によって異なることが多く、場合によっては弁護士のスケジュール管理や来客対応など、弁護士秘書のような仕事を行うこともあります。
パラリーガルの主な仕事内容
弁護士法があるため、パラリーガルは報酬を得る法律業務は行えません。しかし弁護士の指示や監督があれば、クライアントの交渉や書類作成などの専門性の高い業務を行えます。
また、パラリーガルは法律事務所で働きながら少しずつ業務や法律の知識が学べるため、特別な学歴や資格がなくても、法律実務のサポート役として活躍できるようになれます。
ここではパラリーガルの具体的な仕事内容を見てみましょう。
法律や判例の有無のリサーチ
弁護士が担当する案件を解決するのに必要な資料を集めるのも、パラリーガルの仕事です。弁護士は取り組んでいる案件が幅広いため、すべての法律改正を把握しきれません。
そのため、パラリーガルが弁護士の代わりに、案件に関連する法律の改正の有無や判例を調査して弁護士に報告します。
弁護士が新規案件に取り組みやすくなるように、案件に関する法律などを調査して必要な情報を収集することが大切です。
訴状・陳述書などの書類の作成
一般企業の事務職のように書類を作成することもあります。主に弁護士の代わりに、裁判や交渉に必要な訴状や陳述書などの書類を作成します。また書類作成だけでなく、弁護士が作成した書類に誤字などがないかの確認も行います。
作成した書類を必要な部数用意したり、提出するのに必要なほかの書類を準備したりするのもパラリーガルの仕事です。
クライアント・相手方業者との交渉
弁護士法があるため、基本的にパラリーガルが勝手に交渉を行うことはできません。しかし弁護士の指示や監督があれば交渉を行えるため、指示を得て弁護士の代わりに交渉を行うパラリーガルもいます。
また、弁護士が本格的な相談に乗る前に、クライアントからヒアリングを行うのもパラリーガルの仕事です。
弁護士からの指示の通りに交渉やヒアリングを進めるためには、法的な知識はもちろん、時には弁護士さながらの交渉力が必要となります。高いスキルが求められる仕事だと言えます。
その他のパラリーガルの業務
パラリーガルは来客を部屋に誘導したり、お茶を出したりと、弁護士秘書のような仕事を行うこともあります。
場合によっては、弁護士が来るまでに相談内容の簡単なヒアリングをしたり、打ち合せがスムーズに進むように、事前に来客に書類などを渡してサポートしたりもします。
また弁護士とクライアントとの相談や打ち合せに同席したり、裁判所に同行したりして、クライアントとの会話の記録や裁判所での弁論記録を取ることもあります。
パラリーガルになるには
弁護士の監督のもと、弁護士の右腕としてサポート業務を行うパラリーガルですが、そもそもパラリーガルとして働くためにはどうしたら良いのでしょうか?
法律事務所に就職する
パラリーガルとして働きたいなら、パラリーガルの求人を出している法律事務所で働くのもひとつの手です。
しかし、就職したからと言って、いきなりパラリーガルとして働けることは稀です。まずは事務所の雰囲気を知ることから始め、徐々に担当業務を増やしていくことで、法律の実践的な知識やスキルを身に付けていきます。
少しずつスキルアップをして、弁護士の指示を正しく遂行できるようになると、晴れてパラリーガルとして活躍できるようになります。
パラリーガルという資格は存在しない
実は日本には「パラリーガル」という資格は存在しないため、とくに年配の弁護士はパラリーガルという名称を知らないこともあります。
そのため弁護士秘書や法律事務員とパラリーガルの線引きは曖昧で、業務内容が明確に区別されていないことがあります。
しかし本格的にパラリーガルとして活躍するためには、法律の知識やスキルが欠かせません。法律事務所で働きながら法律の知識とスキルを身に付けることで、将来的にパラリーガルとして認められるようになるはずです。
守秘義務を守ること
弁護士はさまざまな依頼を受ける中で、クライアントの個人情報や、法人の機密情報などを扱います。そしてパラリーガルは弁護士の補助をするために、それらの情報を弁護士と共有することがあります。
弁護士は守秘義務を負ったうえですべての依頼を受けているため、パラリーガルも弁護士と同様に守秘義務を尊守しなければいけません。責任を持ってしっかり取り組む姿勢が大切です。
事務能力認定制度の利用で有利に
上述の通り、パラリーガルになるのに特別な資格はいりません。しかし、スキルを数値化して明確にするために、日本弁護士連合会を中心として認定制度を行うようになりました。
もちろんこの認定をに受けなくてもパラリーガルになることはできます。しかし、認定されることで一定のスキルが認められることになるため、パラリーガルとしての就職や転職の際に有利になります。
弁護士事務所などに勤務して弁護士の事務を補助する人なら、勤務年数に関係なく研修の受講や試験の受験ができます。
スクールや講座は必要ない
パラリーガルになるためにダブルスクールに通ったり、通信講座を受講したりする必要はありません。また、学歴も不要のため、必ずしも大学の学部が法学部でなければいけないということもありません。
ただし「就職率を上げたい」または「なんの知識もなく法律事務所で働くのは不安だ」などと感じる方は、AG法律アカデミーなどのパラリーガル認定資格講座を受講してみるのもおすすめです。
受講しても公的な認定資格は得られませんが、事務能力認定制度と違って誰でも受講できます。相続事件の法律実務などのテーマごとの法律知識や、訴訟の手続きなどがしっかり学べるため、受講する意味はあると言えるでしょう。
パラリーガルの年収はどのくらい?
パラリーガルは専門的な知識が必要だったり、責任感を伴う業務を行ったりするため、弁護士ほどではないものの平均水準よりも高い給与が得られます。
実際にどれくらいの給与をもらっているのか、平均年収や初任給を見てみましょう。
平均年収は500万円台
パラリーガルの年収でもっとも多いのは400万円台、次に多いのは500万円台です。3番目に多いのは300万円台ですが、高い法律スキルや語学力などを持っていれば、600万円以上もらえることも少なくありません。
パラリーガルは事務所によって業務内容が大きく異なるため、実際の仕事量やスキルなどによって給与水準が変わります。
福利厚生・勤務時間などの待遇
法人化している大手の法律事務所以外のほとんどの法律事務所は、個人経営のため社会保険の強制適用事業所には含まれません。
最近は社会保険を完備している事務所も増えてきていますが、もし勤務先の事務所が社会保険完備でない場合は、自分で年金や健康保険に加入して支払いをしなくてはいけません。
福利厚生や勤務時間、休日などは事務所によって異なるため、求人情報を見るときや採用面接の際にしっかり確認しておきましょう。
事務所ごとの初任給の差は小さい
パラリーガルの初任給は事務所の雇用形態によって異なりますが、正社員の場合は月収約17万円から始まることが多いです。月収の17万円に加えて、年に1~2回のボーナスが出て年収200~280万円ほどとなるのが一般的です。
未経験のパラリーガルの場合は、5大法律事務所などの大手法律事務所でも中小規模の法律事務所でも、初任給に大きな差はありません。
もちろん実務経験者であれば、過去の実績やスキルが考慮されるため年収が高くなることが多いです。しかし未経験の場合は年齢などが考慮されることはなく、一律で支給されます。
年収を上げるには?
パラリーガルは努力次第で年収を上げることができます。年収を上げる方法を紹介します。
士業資格を取得する
税理士や行政書士などのように威厳ある資格を持つパラリーガルを雇っていることは、事務所としてのアピールポイントにもなります。
さらに、これらの資格を持っていれば、弁護士からの指示をよりスムーズに遂行でき、事務所への貢献度が上がるため、資格手当を支給している事務所も少なくありません。
上記のような理由から、資格を高く評価してくれる法律事務所で働いている場合は、取得することで年収アップを期待できます。
英語など語学を磨く
英語が話せると海外からの依頼の対応も可能になるため、その分売り上げに貢献できます。
英語が話せなくても、クライアントにニーズがあるほかの言語が話せれば、仕事の幅が広がってクライアントの依頼により幅広く対応できるようになるため、重宝されます。
とくにニッチな仕事に対しては単価が高い傾向があるため、英語以外でニーズがある言語が話せることは強みになります。ほかの法律事務所が受けられないような依頼にも対応できることで、売り上げに貢献できるためです。
転職も視野に入れる
初任給の差は小さいパラリーガルですが、勤める法律事務所によって年収には差があります。年収を上げたいなら、求人情報をチェックしてみましょう。
個人事務所で実績を残したり、経験を積んだりすれば、自らの転職活動やヘッドハンティングなどの形で転職して、年収を上げられるケースがあります。
年収アップを求めて転職する場合は、英語などの語学力やPCスキル、そのほかのビジネスマナーなど、自分の得意分野やスキルを転職先の面接官にしっかりアピールすることが重要です。
パラリーガルのやりがい・メリット
専門性が高いパラリーガルは、やりがいやメリットが多い仕事でもあります。
直接クライアントの力になれる
基本的にパラリーガルは弁護士のサポート役ですが、パラリーガルの頑張り次第で案件が良い方向に向かうかどうかが決まることもあります。クライアントの力になれたと実感できたときは、やりがいも感じられます。
また、賃貸業者への過払い金請求は定型的処理に向いているため、日本では2006年以降パラリーガルが実働部隊となって活躍した実績があり、社会的評価も高まっています。
社会貢献性が高い
パラリーガルの魅力として、業務内容の社会貢献性が高いことが挙げられます。弁護士法では弁護士の使命を「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」と定義しています。
そういった社会正義を実現していこうと奮闘している弁護士たちの業務を支えるパラリーガルも社会正義を実現するために働いていると言えるでしょう。
社会貢献性が高い業務に従事していることは、仕事へのモチベーションにも繋がってきます。この様に自分の仕事に誇りを持てるパラリーガルの職場環境は非常に魅力的ですね。
長い期間働くことができる
法律というのは、改正が繰り返されており常に新しい法律の知識を仕入れていく必要があります。
パラリーガルの仕事内容は、法律知識を積み重ねていくものであるので長年に渡って蓄積された大変貴重な経験を得ることができます。経験豊富なパラリーガルはどの法律事務所にとっても非常に貴重な存在であり、転職価値は高くなってきます。
そのため、長期間に渡って働いていくことができることもパラリーガルの魅力だといえるでしょう。
勤務体制を自分で決められる職場が多い
大手法律事務所でない場合は、パラリーガルの立ち位置がはっきりしていないこともあり、弁護士との信頼関係さえあればフレキシブルに働けるケースも多いです。
弁護士は成果報酬制のことが多いため、勤務時間が明確に決まっていないことも少なくありません。そのため、弁護士と話し合いながら勤務時間を調整できる事務所もあります。
キャリアアップを目指せる
パラリーガルは弁護士のもとで仕事をするため、弁護士の働きを見たり、弁護士のサポートをしたりしていく中で、自分も成長していけます。業務をこなしていけば法的な知識だけでなく、実践的なスキルも身に付きます。
さまざまな事件をサポートすることで知識や経験が増えて、事務所からの評価も上がるため、パラリーガルとして働いている限りスキルアップができ、将来的にはキャリアアップが見込めます。
弁護士秘書との違いは?
パラリーガルは弁護士の仕事を直接的に補助することが多いため、法律の実践的な知識やスキルが不可欠です。
一方、弁護士秘書のメインの仕事はあくまでも秘書業務です。法律の知識があるに越したことはありませんが、まったく知識がなかったとしても働けます。
弁護士秘書の場合は、法律の知識よりもWordやExcelを扱うPCスキルと、クライアントなどを接客したり、電話対応したりするビジネスマナーが必須となります。
パラリーガルの将来性
どんなに給与などの待遇が良い仕事でも、将来性がなければ長く働けません。パラリーガルの将来性はどうでしょうか?
パラリーガルは増えていく
パラリーガルは、司法試験に不合格となった人が目指す場合もあります。また司法制度改革によって弁護士が増加したために、就職先を見つけられなかった弁護士がパラリーガルとして働くこともあります。
このように聞くと「パラリーガルになる倍率は高いのではないか」と心配になるかもしれませんが、それは早合点です。
弁護士の需要が薄れている一方で、パラリーガルは法律を扱う仕事のひとつとして注目され、需要も増えています。
募集時の名称は様々
求人を見てみると「パラリーガル」で募集されていることは少なく、弁護士秘書や翻訳、事務職の求人として募集されていることが多いです。
業務内容を確認してみると、パラリーガルの業務内容となっていることがありますが、事務職のようなほかの職種として募集されている場合は、法的知識よりもコミュニケーション能力やOffice系のソフトを扱うPC能力が求められます。
パラリーガルになるための学習・キャリアパス
パラリーガルは必ずしも法的知識がないとなれないわけではなく、未経験でも挑戦できます。また、司法書士試験に合格した人が、まずはパラリーガルとして経験を積むという選択をすることもあります。
未経験でもなれる
繰り返しになりますが、日本にはパラリーガルという資格がないこともあり、実際の業務内容が曖昧です。そのため、法律事務所によっては法的知識や経験がなくても雇ってもらえることもあります。
はじめは事務職や弁護士秘書として弁護士のもとで働きながら、法律の勉強をしたり経験を積み上げたりしていくことでパラリーガルへと成長できます。
弁護士がパラリーガルを経験するケースも
ロースクール制度が確立したことの影響により、近年、弁護士の数が増加していて、弁護士の需要が薄れています。それにより就職が難しくなったため、パラリーガルとして働くことを選択する弁護士が増えています。
弁護士資格を持っている人がパラリーガルとして実務経験を積めば、その後独立開業したり、弁護士として就職したりする選択肢がうまれます。
また弁護士よりもフレキシブルに働けるために、パラリーガルとして働くことを選択する弁護士もいます。働き方改革の影響もあり、パラリーガルのようなフレキシブルな働き方に魅力を感じる弁護士も増えています。
司法試験の合否とパラリーガル
パラリーガルは「司法試験に落ちた人が目指す就職先だ」と考えている人もいますが、上記のように、近年は司法書士試験に合格した人がパラリーガルとして経験を積む選択をすることも少なくありません。
ちなみに司法試験は法律学の原則論を重視する資格試験のため、合格しているからといってパラリーガルの業務に役立つとは言えません。そのため、司法書士の合否によってパラリーガルとしてのキャリアを差別されることはありません。
パラリーガルについてまとめ
パラリーガルについてまとめ
- 法律事務員として働きながら知識やスキルを積むことで、パラリーガルとして認められるようになる
- パラリーガルは法律を扱う仕事のひとつとして注目され、需要も増えています。
- ダブルスクールなどに通う必要はないが、知識を身に付けたい人はパラリーガル認定資格講座などを受講するのもおすすめ
パラリーガルは弁護士のもとで働くため、法律知識や実践的なスキルを学びながらスキルアップでき、やりがいのある仕事です。
また近年はパラリーガルの需要は増えているため、経験を積んだり語学を身に付けたりすることで、年収アップも目指せます。
パラリーガルは学歴や資格、経験がなくても始められる仕事です。まずはパラリーガル認定試験講座や、求人をチェックして、パラリーガルの道を目指してみてはいかがでしょうか?