シニアパートナー弁護士とは?なる方法や仕事内容・年収・事務所内の階級まで解説!
「シニアパートナーって聞いたことはあるけど、どんな仕事をしているのかわからない…」
といった疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
法律事務所の弁護士における最上位の弁護士で、業務は経営から育成、営業まで多岐にわたるのがシニアパートナーです。
この記事では、シニアパートナーの仕事内容、年収、将来のキャリアパスについてまで紹介していきます。シニアパートナーについて知りたいという方には必見の内容です。
シニアパートナーについてざっくり説明すると
- 弁護士階級の中で最上位の弁護士
- 裁判から経営、人事など多岐にわたる仕事
- なり方はキャリアアップか開業の二種類
シニアパートナーとは?
以下でシニアパートナーについて紹介します。
事務所内の最上位の弁護士であることを意味
パートナー弁護士とは法律事務所の経営事務を行う仕事をする人を指します。その中でもシニアパートナーは最上位に位置するパートナー弁護士のことを意味します。
経営者であり、弁護士を雇う弁護士という立ち位置で、事務所を運営する職務になります。そのため、法律事務所を経営するためのファイナンスのスキルや、新規の案件確保のための営業力なども求められます。
弁護士の階級・役職の名称
パートナー弁護士の階級・役職には、以下の4つがあります。
-
シニアパートナー
-
エクイティパートナー
-
マネージングパートナー
-
ジュニアパートナー
上記の箇条書きで上に行けば行くほどパートナー弁護士として階級が高くなっていきます。所属する法律事務所によっても異なりますが、パートナー弁護士は法律事務所の「役員」のような立ち位置となっています。
つまり、シニアパートナーは最上位の階級に立つ、まさにエリート弁護士といえるでしょう。
アソシエイト・カウンセルの位置付け
アソシエイト弁護士とは、新人や若手の弁護士が就くポジションの弁護士のことを指します。事務的な作業が多く、補佐的な役割を果たすことが多いのが特徴です。
カウンセル弁護士とは、重要なポジションに位置しているアソシエイト弁護士のことを指します。若手のアソシエイトの指導なども行います。
働き方に違いはある?
基本的にアソシエイト弁護士は法律事務所の一人の社員として、法廷に立ったり法律の相談をうけたりして働きます。補佐的な業務も多いです。
シニアパートナーは会社の経営に回るので、法律の仕事以外に人事などの仕事があります。シニアパートナーが開業した場合、失敗するリスクもある反面、働き方も自分で決定できます。
なお、人気ドラマのSUITSでは主人公のマイクがアソシエイト、マイクの上司であるハーヴィーがシニアパートナーでした。
ジュニアパートナーらボス弁と経営を担う
シニアパートナーは、弁護士としてクライアントの問題を解決するというより、法律事務所の経営を管理する仕事を担当します。
シニアパートナー、エクイティパートナー、マネージングパートナー、ジュニアパートナーなどのパートナー弁護士は、ボスとなる弁護士の略称で、「ボス弁」と呼ばれています。
シニアパートナーは、このボス弁と経営と共に経営を担っているのです。
クライアントや顧問弁護士となれる企業の獲得
クライアントや、顧問弁護士としてついてくれる企業を獲得するため、一般的な営業のような職務もあります。
獲得してきた仕事は、部下のアソシエイトに流し、仕事を振り分けます。特に開業する場合は、自らの手で仕事をとってくる必要があるため、営業力は必要です。
新人弁護士の採用
自分の右腕となってくれそうな新人弁護士を自分の目で見極め、採用します。 一般企業でいう人事の仕事といえ、自ら後輩を選ぶのも、シニアパートナーの仕事の一部です。
アソシエイトの中での競争に勝ち抜き、多くの弁護士を見てきた自身の体験を踏まえて採用に関わることもシニアパートナーに求められている重要な仕事となっています。
マスコミ・報道対応
大きな事件裁判を担当することになった場合には、事件関係者だけではなく、弁護士にも注目が集まります。
シニアパートナーは会社の顔として社会に対して向き合う姿勢が求められる場面もあると言えるでしょう。権威あるシニアパートナーが、責任をもった説明を行うことが求められるので、単純な法律知識だけではなく、責任感が必要とされるでしょう。
シニアパートナーになる方法は2つ
シニアパートナーになる方法は以下になります。
アソシエイト弁護士から出世する
シニアパートナーになる代表的な経路がシニアパートナーとなれる制度が存在する法律事務所でアソシエイト弁護士として経験と実績を積み、事務所内でシニアパートナーへのキャリアアップを目指す方法です。
ただし、パートナー弁護士が存在する法律事務所は大きな法律法律事務所であり、そもそも就職することが難しいです。さらに、優秀な弁護士の中から頭角を表しキャリアアップするのは、かなり困難です。
四大法律事務所と呼ばれるような大手事務所では司法試験予備試験や司法試験の合格順位が採用の基準として関わってきます。そのため、まずはしっかりと予備試験や司法試験に向けて学ぶことが必須と言えるでしょう。
自ら法律事務所を開業する
資金さえ用意することが出来れば、開業した自分の会社でシニアパートナーとなることができます。
自分の裁量で法律事務所を経営していくことが出来るため、得られる報酬の大きさや自分が関わりたいと思う案件などを追求していける点が開業の最大の魅力と言えるでしょう。
しかし、一方で事務所を開業した以上、全ての責任を自分で負わなければならないというプレッシャーがかかります。また、自分で案件を獲得する必要があるため、営業力やマーケティングのスキルも求められます。
ほとんどの弁護士事務所は個人経営の中小規模の事務所に留まっているというのが実情です。独立・開業を経て自分の法律事務所をシニアパートナーを名乗れるスケールの事務所へと発展させることは非常に厳しい道と言えるでしょう。
シニアパートナーに必要なスキル
司法試験を突破する
大前提として司法試験を突破する必要があります。大学在学中に予備試験・司法試験に合格することが望ましいですが、基本的に大学卒業後は大学院に進学し、その後司法試験合格を目指すケースが多いです。
また、予備試験や司法試験で上位の成績を残すことで四大法律事務所などの高い難度の法務を扱う法律事務所にアピールすることが出来ます。ただでさえ狭き門である司法試験を、上位の成績で突破することは容易なことではありません。
予備試験や司法試験で高い成績を修めるには3~5年程度勉強漬けの日々を送ることが必須です。また、高い実績を残している予備校や通信講座を有効活用するなど学習効率を向上させる工夫も必要と言えるでしょう。
特にアガルートは従来多くの受講者を集めていた伊藤塾の半額近い費用で受講することができ、近年顕著な合格実績を残しているので、1年でも早い司法試験合格を目指す方には非常におすすめです。
売上実績・営業力も必要
そもそも売り上げ実績がないと会社からは認められないため、シニアパートナーにはなれません。シニアパートナーは事務所の経営も管理するため、アソシエイトとして一定の売上を上げることを必要条件とする法律事務所もあります。
また、自分で開業してシニアパートナーになったとしても売り上げがなかったり、営業力がないために仕事を摘まめないでいると、法律事務所がまわっていきません。
パートナー弁護士が所属するような大手法律事務所で請け負うような案件は弁護士個人や事務所自体への高い信頼に基づいて寄せられると言えます。そのため、弁護士として求められる「営業力」とは弁護士としての優秀さや信頼度を相手に認めてもらうプロセスと換言できるでしょう。
法律以外の専門性も強みに
若い内から自分の得意分野とする法律領域を見つけ、そのエキスパートとなることは自分にとって強みになります。
留学経験があり、ビジネスレベルの英語力があるなどの語学力はもちろん、アメリカの名門ロースクールで海外の法律を修めるなどの素地があると国際的な法務でも活躍することが期待できます。
また、医師の資格や会計士の資格といったような、ダブルライセンスを持っていれば、その分野において活躍が期待できるでしょう。特に公認会計士や税理士などの資格は司法試験に合格していると科目を免除された形で受験することができます。
近年ではベンチャー企業の上場などの案件も増えており、従来本格的に開拓されていなかった上場支援やファイナンスの知識も求められる総合的な法務の場面も増えています。従来司法書士や税理士が請け負ってきたこうした領域でも人一倍の活躍できるようになると弁護士としてのキャリア形成の上でも大きな強みとなるでしょう。
気になるシニアの年収は?
ここではパートナー弁護士の給与を紹介します。
年収は1000万円~数億円
1,000万以上から数億とかなり幅があります。一般的な弁護士の給与が約1,000万であることと比較しても、高水準であることが分かります。また、企業内弁護士として就職すると年収は1500万円ほどと言われています。
しかし開業して成功したり、事務所に所属したりと様々な種類のパートナー弁護士がいるため、人によって給与の差が大きくなっています。
ドラマ「SUITS」でシニアパートナーを務めていたハーヴィーは、億ションと思われる家に住んでいたり、100万円を超えるスーツを何着も保有したりなど、年収億越え間違いなしの振る舞いをしていました。大手事務所のシニアパートナーともなれば、こうした生活も夢ではありません。
パートナー弁護士の給与が様々である理由
パートナー弁護士の給与が様々である理由を紹介します。
所属する法律事務所の規模が異なるため
法律事務所には、たくさんの弁護士が在籍する大きな法律事務所もあれば、数人の弁護士で業務を回している法律事務所もあります。
たくさんの弁護士を雇っている大規模な法律事務所なら売り上げも大きいため給与が高くなります。
給与が変動しやすい
シニアパートナーは、固定給ではないことが多く、その年の売り上げに応じて給料が分配される仕組みになっています。
その年毎に変動するため給与がいくらだとはっきりとは言えません。
成功すれば高収入になる反面、全く稼げないリスクもあります。個人によって異なりますが、それでもかなり高い水準の給与を手にしている人が多いです。
シニアパートナーからのキャリア形成
シニアパートナーからどのようなキャリア形成が存在するのかを紹介します。
他の事務所でも活躍できる
シニアパートナーまで上り詰めた実績があるため、他の法律事務所からヘッドハンティングを受けることがあることがあります。 また自分が他の法律事務所に魅力を感じた際、今までの実績をアピールすれば転職することも可能です。
新たな会社で一目置かれ、これまでの自分の人脈が仕事につながることは間違いないでしょう。
インハウスや顧問弁護士
大手企業の法務部で働くという選択肢や顧問弁護士となるという選択肢もあります。弁護士は、景気によって生活が不安定になることもあります。
よってライフバランスを重視するために、インハウスになったり、事業再生などの専門分野の知識を身に着けたうえで、大手企業の顧問弁護士になったりする人がいます。
シニアパートナーは今までの実績から信用があるため、転職は他の職業と比べても容易であるといえるでしょう。
独立・開業も視野に入る実力がつく
シニアパートナーとなり経験を積んだら、自分で開業するという選択肢もあります。 実績が確かであれば大幅な収入アップが期待できます。法律事務所に就職し十分に経験を積んだ後に開業することで、シニアパートナーになることが出来ます。
ただ、資金や弁護士としての実績が必須であり、全ての責任を背負う必要があるため責任感が必要不可欠といえます。一人で独立したり、数人で、仲間内で共同となって独立したりと実態は様々です。
しかし、弁護士数が増加し開業弁護士同士の競争の激化していく状況にあってもシニアパートナーまで上り詰めたという実績があれば開業後も一目置かれる存在となることは間違いないでしょう。
シニアパートナーの仕事内容まとめ
シニアパートナーの仕事まとめ
- 他のパートナー弁護士と、経営を管理する
- 難易度は高く、シニアパートナーになるのは簡単ではない
- 実績の信頼から、転職も容易である
シニアパートナーの仕事について基本事項を説明しました。
シニアパートナーはエリート弁護士の中でも最上位の立場なので、シニアパートナーになるのは容易ではないですが高水準の収入とその後も飛躍に向けた多様な選択肢があります。
シニアパートナーというポジションを目指すことも視野に入れ、キャリア形成を練られてはいかがでしょうか。