裁判官になるにはどうすれば?弁護士・検事と差や司法試験・修習の難易度まで解説!

更新日時 2020/05/09

裁判官に興味があるが、どうすればなれるのだろう。」と考えている方もいるのではないでしょうか。

裁判官は有名な職業ですが、私生活で見かけることはないため不明な点も多いでしょう。

この記事では裁判官のなり方について、弁護士や検察官との違い、司法試験・修習の難易度などを含めて詳しく解説します。仕事内容や年収などにも言及します。

これを読んでご自分の進路を決める参考にして下さい。

裁判官のなり方をざっくり説明すると

  • 裁判官になるには司法試験と司法修習を突破しなければならない。
  • 司法試験を受験するには、予備試験か法科大学院
  • 予備試験や司法試験は超難関なので、予備校の有効活用がおすすめ

裁判官と弁護士

対談する二人 司法試験に合格すると司法修習という1年の実務研修を受けます。その後2回の修了試験に合格すると、初めて法曹になる資格が得られます。最短でも3年という長い勉学が必要です。

法曹の選択肢は裁判官と弁護士、検察官の3つで、これらは法曹三者と呼ばれます。

このうち、弁護士になる人の割合が最も多いです。

例として、69期司法修習修了生の就職状況をみると、弁護士になる修習生の数は全数1,762名のうち1,472名です。その割合は83.5%にも上ります。

次に多いのは判事補採用者の78名であり、これは全体の4.4%を占めます。ちなみに判事補とは判事(一般の裁判官)の前段階の職務です。検事採用者は4.0%の70名でした。

裁判官ってどんな職業?

キーボードとはてな 裁判官は裁判所に所属し、訴訟を裁定する職業です。裁判所には、地方裁判所や家庭裁判所、高等裁判所、そして最高裁判所があります。

裁判官の仕事では、訴訟の際に当事者双方の主張を聞き、公平な立場で紛争を解決することが求められます。

裁判官がどのように法を適用し判決を下すかは、当事者やその家族の人生を左右します。そのためその職務には極めて重い責任が伴います。

中立性が求められる仕事であるため、裁判官には厚い法律上の身分保障があります。しかしその分、常に裁判官であるという誇りを持って自分を律することが求められる職業です。

裁判官は全国に裁判所を数年ごとに移動する職業であり、転勤によって出世していくことが多いです。

裁判官の仕事内容

裁判官の仕事は全国各地の裁判所において、刑事訴訟や民事訴訟などの判決を下すことです。

民事訴訟と刑事訴訟のどちらを担当するかによって仕事内容は変わります

例えば民事訴訟では当事者の和解のために利害調整を行います。一方、刑事事件では被害者感情や被告人の態度などを勘案して刑を量定することが仕事です。

訴訟の種類に関わらず、裁判の前には、事前に提出された資料を入念に読み込むことが重要になります。

裁判では訴訟当事者や弁護士、検察官、証人などの話を聞きます。そして物的証拠などが妥当なものかを検証し、それらを法に照らし合わた上で判決を下すのが裁判官の仕事です。

民事訴訟

民事訴訟は訴訟を起こした側である原告と訴訟を起こされた側である被告による紛争です。裁判官は両者を調停するような役割を果たします。個人や企業間のトラブルを適切に解決することが仕事です。

民事訴訟においては、法を機械的に適応するだけでなく、双方の主張を考慮して妥当な判決を導こうという姿勢も求められます。法律以外に、裁判官自らの良心も重要な尺度になるのです。

刑事訴訟

刑事裁判では、犯罪を犯したとして検察官に起訴された被告人が本当に罪を犯したのかを審理します。さらに有罪の場合、量刑が適切かも判断しなければなりません。

検察官も裁判官と同じくプロの法律家です。そのため自分たちが起訴した事件はプライドをかけて求刑通りの判決を求めてきます。

一方で裁判官は無罪の推定という近代刑法の起訴理念を忘れてはいけません。無罪の推定とは、有罪が確定するまでは被告人を無罪として扱わなければいけないという原則です。

裁判官には、被告人の人権や更生にも配慮した中立的な姿勢が求められるのです。

裁判官の一日に迫る

裁判官の典型的な一日を紹介しましょう。

裁判官の仕事は朝9時頃から始まります。まずはメールチェックや新着訴状の確認です。

その後10時くらいから午前中の公判に臨みます。そこで審理を行うか判決を言い渡します。

お昼休憩を挟んで、午後の公判です。公判では証人尋問を行う日もあります。また資料課で判例を調べるなどの情報収集をすることも裁判官の仕事も一部です。

法廷がない日には、弁論準備手続という訴訟の進め方などに関する手続もあります。

18時頃には帰宅し、夕食や入浴などで心身を休ませます。また自宅で判決文を書くなどのデスクワークを行う場合もあります。

裁判官になるには

アスファルトと風景

裁判官になるための条件を整理すると、次のようになります。

  • 司法試験予備試験に合格する、または法科大学院を卒業する
  • 司法試験に合格する
  • 司法修習をに参加し、二回試験を好成績でパスする
  • 裁判官となるための審査を通過し、判事補となる
  • 各地の裁判所に判事補として配属される
  • 裁判官としてのキャリアを築く

裁判官になるには、司法試験に合格し、司法修習を終えなければいけませんが、司法試験を受験するには資格が必要です。

司法試験受験資格を得るには、司法試験予備試験に合格するか、法科大学院を卒業することが求められます。司法試験受験資格を得て、司法試験を突破したら、1年間の司法修習です。

その後、2回試験とも言われる卒業試験に合格すると晴れて法曹三者になることができます。しかし裁判官は優秀な人材が任官されることが多いため、修習の試験の成績も上位である必要があります。

裁判官になるための審査には、頭脳の明晰さに加え、人格面の高評価も要します。教官の推薦状から任官されることもあるそうです。そのため常に自己研磨が欠かせません。

長い勉学、研修期間を経て、判事補任官に任官されたら、裁判官としてのキャリアがスタートします。

予備試験に合格するか法科大学院を卒業する

司法試験の受験資格を得るには、司法試験予備試験に合格するか、法科大学院に卒業することが必要です。

司法試験予備試験には受験資格はありません。そのため、大学を卒業していない方や働いていて法科大学院に通う時間がない方でも受験できます。勉強して合格さえすれば誰でも司法試験を受けられるというメリットがあります。

また法科大学院なら2年もしくは3年間通えば、司法試験の受験資格を得られます。こちらはとにかく卒業さえすれば良いという点にメリットがあります。

単位を取るための勉強は、予備試験のための勉強に比べれば負担は軽いでしょう。卒業後は5年度内に3回まで司法試験に挑戦することが可能です。

法学部出身かは関係なくなりつつある

司法試験予備試験には受験資格がないため、法学部出身者でなくても受験が可能です。また、法科大学院には法学未修者向けの3年間コースも存在します。

こうしたルートを辿れば、出身学部を問わず司法試験に挑戦でき、合格なら裁判官になるチャンスがあります

実際、法学に馴染みがなくても、予備校や通信講座の勉強で予備試験や司法試験に合格する実力をつけることは十分可能です。

ちなみに予備試験合格者の方が法科大学院出身者よりも司法試験の合格率が高いと言われています。

司法試験が登竜門

司法試験に合格することで司法修習への切符を手に入れることができます。裁判官を目指すのであれば、ひとまずは司法試験の突破を目標として行動することになるでしょう。

予備校を有効活用する

予備試験や司法試験は最難関の国家資格であり、独学で合格するのは極めて難しいと言えます。ちなみに予備試験の合格率は3%、司法試験の合格率は20%台です。

また予備試験合格者より法科大学院出身者の合格率が低いことを鑑みても、法学部の講義は必ずしも予備試験や司法試験対策としては機能するとは言えません。

そのため、自主的に伊藤塾や資格スクエアといった司法試験予備校・通信講座を利用することも選択肢に入れるべきでしょう。予備校で、予備試験や司法試験対策に最適化された講義や教材を使って、最短で合格し裁判官になる人も数多く存在します

裁判官志望者は司法修習も気が抜けない

司法修習は司法試験合格発表後の12月から1年間全国各地で行われます。

修習には2ヶ月間の座学のほか、10ヶ月の実務研修もあります。

司法修習の最後は「2回試験」と言われる「司法修習考試」の受験です。この試験の合格率は90%以上と言われていますが、5日間に渡って行われる厳しい試験です。

また裁判官の任官には、司法試験と司法修習での好成績や教官の推薦状が有利に働くとされています。知性と人格の両面で優秀な人材が裁判官に選ばれるのです。そのため裁判官志望者は、司法試験合格後も油断することができません。

裁判官となるための審査を通過する

裁判官となるのは、司法試験を上位数%の極めて優秀な成績で合格したトップ層の人間だと言われています。

また、司法修習中に裁判官としての資質があると見込まれた場合、現役の裁判官などから声がかかることもあると言われています。裁判官にならないかというスカウトです。

しかし、実際には司法試験上位合格者の中でも、はじめから弁護士や検察官を志望している人もいるため、上位者以外にもチャンスはあります。

司法試験の成績の他、司法修習中の振る舞いや成績も裁判官となる上での考慮要素です。それを踏まえて司法修習中もアピールしていくことが重要になります。

判事補として裁判所に配属される

司法修習後、判事補に任官されることで裁判官としてのキャリアがスタートします。

判事補とは判事になる前のポストです。全国各地の裁判所で判事の補佐をしながら、判事となるための経験を積む立場です。

判事補としての経験を9年積むとようやく判事となり、裁判官として独り立ちができます。

裁判官は「司法官僚」と呼ばれ、その世界は階級社会だと言われます。9年の見習い期間が終われば、その後の10年で出世できるかどうか決まるそうです。

高裁判官や最高裁などの上位階級はポストも少なく、競争は熾烈です。裁判官になったとしても、出世のためにはやはり気を抜くことはできません。

裁判官に向いている人

裁判官になるためには上位で司法試験を突破し、司法修習でも良い成績を残す必要がありました。

しかし裁判官には、学力だけではなく、裁判官としての適性も求められます。裁判官に向いている人はどのような人でしょうか。

裁判官に求められる第一のことは中立性です。中立性は公平な裁定のためには欠かせません。

また裁判官には素早い判断力が求められます。多忙な中でも的確な裁定をこなしていく必要があるからです。

さらに判例や法の更新に対応するため、不断の勉強も必要です。加えて裁判官は立場上、表舞台に出ることが少ないため、人知れず勉強に励む謙虚さも大切です。

中立的で迅速な判断ができる

裁判官はその職務上、何よりもまず中立的であることが必要です。中立的な立場から証言や証拠に向き合い、法を適用することが求められます

また裁判官は同時に複数の裁判を抱えているのが一般的です。そのため限られた時間の中で紛争を裁定するための迅速な判断力が必要になります。

またその判断は多くの国民が納得するような的確なものでなければなりません。

謙虚な勉強家であること

裁判官に限らず法律家は司法試験合格後も不断の勉強が必要です。

最新の判例の確認や、法の改正への対応、時には法律以外の専門分野の知識が必要となる場面もあります。

特に様々な紛争と向き合う裁判官は、こうした勉強を生涯続けることが求められるのです。

また裁判官は立場上、自由に表現活動をすることがはばかられる場合も多いです。そのため人知れず勉強を続けられる謙虚な資質を要します。

裁判官の魅力と大変な点

笑顔と苦い顔 裁判官は司法試験に合格するという圧倒的な努力を要する仕事であり、その分やりがいや魅力も多いです。しかし大変なこともまたあります。

中立的な法の番人

裁判官は、憲法でも明記されているように独立した立場で職務に向き合える仕事です。

真に中立的な立場で事件に向き合える点は弁護士や検察官にはない魅力であると言われています。

裁判官は中立的に法を適用することを担保するため、給料や勤務形態上、手厚い身分保証がされている点も魅力でしょう。

裁判官の給与は、賞与や諸手当を含めて初年度から年収500万円を超えると言われています。5年目には700万、上位の判事は2000万超えの高い水準です。

また勤務形態上の身分保証とは、裁判官は基本的には仕事を失うことはないという制度になっていることを指します。

裁判官には絶えずプロ意識が求められる

一方で裁判官には大変な点もあります。自由な私生活が制限される場面があるからです。

例えば、裁判官としての勤務時間外であっても、自由に集会に参加したり、SNSで発信することは咎められることがあります

それは品位を辱める行状は懲戒事由になることや、在任中の積極的な政治運動や商業活動は制限されることが法律で定められているからです。

また数年に一度転勤で所属する裁判所が変わるため、環境の変化への順応力も必要でしょう。

私生活での様々な制約を気にせず、高いプロ意識をもって職務の遂行ができる優秀な人材だけが裁判官になれるのです。

裁判官全体の平均年収は約900万円

親指を立てるポーズ 裁判官の給料は「裁判官の報酬等に関する法律」で定められています。

初任給は月収23万円程度ですが、賞与や諸手当を合わせると初年度から年収500万を超えると言われています。これは日本人の平均年収約420万円よりも高い水準です。

30代では月収50万前後、順調にいけば40歳前後で年収1,000万円に到達します。5年目で年収700万円という話もあります。等級が上がるにつれ、年収も上がっていきます。

また裁判官の最高位である最高裁判所長官の年収はおよそ2,500万円です。月収は205万円で、これは公務員の中で最も高い水準にあります。

裁判官全体で見ると、年収は600〜1,000万円程度が多く、平均年収は900万円です。

弁護士の仕事

クエスチョンマーク ここからは弁護士について解説します。弁護士の仕事は依頼人の弁護が主になります

弁護士の魅力と大変さ

弁護士の仕事には、裁判官とは違う魅力があります。大変な点も異なります。

弁護士は自由がある

国家公務員である裁判官は、私生活が制限されることが大変だと述べました。またその給料も法律によって決められています。

一方で弁護士は国家公務員ではありません。その分、裁判官にはない自由があります。

例えば弁護士は請け負いたくないと思う案件であれば、請け負わないということも可能です。報酬や依頼人との相性などによって仕事を自由に選ぶことができます。

また裁判官や検察官と異なり、給料の上限がない点も魅力であると言えます。平均年収は1,000万円前後で、中には3,000万円を超える弁護士もいます。

仕事の獲得も仕事

仕事が選べるということは弁護士の魅力ですが、それは仕事を獲得しなければならないことも意味します。ここが弁護士の大変な点です。

弁護士には弁護士としての実力だけでなく、仕事を請け負うため、宣伝をしていく力も求められるのです。その点で、法律で身分・給料が保障された裁判官や検察官とは異なります。

個人事務所を開設し、独立・開業する場合、弁護士は常にビジネスセンスが求められることになります。低収入の裁判官や検察官というのは存在しませんが、低収入の弁護士は存在するでしょう。

弁護士でも年収400万円台の方もいるなど、ビジネス能力によって格差が生まれる職業です。

検察官という選択肢

筆記用具とカメラ 司法修習を終えて、検察官になるという道もあります。

検察官は刑事事件が専門です。その仕事は刑事事件を起訴するか不起訴にするかの判断です。起訴した場合は、刑事裁判で被告人を訴追する役目もあります。

検察官の年収は、基本的には裁判官の年収に近いです。平均年収は600万円前後で、最高位である検事総長の年収が1,800万円程度と言われています。

次長検事や東京高等検察庁検事長など高いポストの年収は1,500万円前後です。裁判官よりは少し劣りますが、それでも高い水準です。

全国を数年ごとに転勤するという勤務環境も裁判官と同様です。検察官も転勤によって出世していきます。

検察官になるには、特に正義感の強さが必要です。刑事事件に被告人を訴追する立場から関わりたいという人に向いています。

司法試験に合格するには

教室の風景 裁判官や弁護士、検察官はどれも魅力的な仕事です。

しかし法曹三者になるにはまず予備試験や司法試験という難関をクリアしなければなりません。

先述したように独学での合格は難易度が高く、予備校や通信講座の活用がおすすめです。

司法試験予備試験の難易度

司法試験予備試験の合格率は、近年は4%前後が平均で、難易度の高い試験です。しかし、合格者数自体は増加傾向にあります。

予備試験は、短答式と論文式、口述式の3段階に分かれます。短答式はマークシート形式です。法学問題と一般教養から出題され、合格率は20%程度です。

論文式は分量の多さが特徴で、予備試験の山場とされています。出題科目は同じく法学と一般教養であり、合格率も同じ20%程度です。

口述式は民事実務と刑事実務の2科目から出題され、合格率は9割を超えます。口述式をクリアして初めて、予備試験合格です。

司法試験の難易度

司法試験の合格率は、24%前後が平均です。そのためこちらも難易度が高い試験と言えるでしょう。

しかし予備試験合格者の司法試験合格率はもっと高いです。例えば、平成29年度の予備試験合格者の司法試験合格率は72.5%という高水準を誇ります。

予備試験がそれだけ難関だということも言えますし、試験対策に特化した勉強が有効だとも考えられます。

ちなみに司法試験は4日間にわたる試験で、最初の3日が論文式、最後の1日が短答式です。試験時間は1日7時間にもおよぶこともあります。かなり厳しい試験だと言えるでしょう。

予備校または通信講座での学習が基本

司法試験の難易度を考えれば、予備校や通信講座を利用して学習するのが無難でしょう。

ただし、予備校の場合は近くに校舎がなかったり、仕事の都合で通うことができないという方もいらっしゃるかと思います。

その場合、通信講座であれば場所を選ばずスキマ時間を生かしながら学習を進められるので、こちらを検討するのも非常に良いでしょう。

特に資格スクエアの司法試験予備試験講座であれば、予備試験合格者の3.2人に1人が利用しているなど確かな実績を誇るので、通信講座を検討されていらっしゃる方はぜひ一度チェックされてみることをおすすめします。

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裁判官についてまとめ

裁判官まとめ

  • 裁判官になるには司法試験と司法修習を好成績でクリアすることが必要
  • 予備試験合格者の方が、司法試験に強い
  • 予備試験や司法試験対策には予備校・通信講座の活用がおすすめである

裁判官という仕事について様々な観点から解説してきました。

これから予備試験を経て、裁判官を目指す方は、予備校や通信講座を有効活用して合格を目指して下さい。