宅建業法の「報酬」を解説!売買と貸借・代理と媒介を完璧に整理しよう!

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この記事は専門家に監修されています

宅建士

関口秀人

「宅建業法の報酬額・手数料の問題をいつも間違えてしまう」

「代理とか媒介・仲介の問題も、しっかりと覚えられない…」

このようなお悩みをお持ちの方、いらっしゃいませんか?

宅建試験の中でも、宅建業法の科目は得点しやすいためできるだけ高得点を目指したいところです。

特に報酬に関する出題はほぼ毎年あるため、しっかりと対策が必要となります。

こちらの記事では、毎年出題される「報酬」についてや、代理や媒介などの違いを解説していきます!

宅建業法の報酬についてざっくり説明すると

  • まずは報酬に関する制度を完璧に理解する
  • 決まった順番で計算すれば、正解できる
  • シチュエーションが多く、対人関係などについて整理が必要
  • 問題演習を多く積むことが大切

報酬に関する問題の宅建試験での出題数

勉強の風景

報酬に関する問題は、例年2問出題される傾向にあります。

事例が与えられ、それについての選択肢から正解を選ぶものが多いです。

選択肢は、もらえる報酬の額・報酬がもらえるかどうかなどについてのものが多く、問題自体はそこまで難しくはありません。

しかし、制度に関して間違えてしまったり、うっかりしていて計算間違いをすることがあり得るので注意しましょう。

そのため、試験中もしっかりと見直しをして、無駄な失点をしないように心掛ける必要があります。

報酬についての問題の対策の仕方

ノートとペン

報酬に関する問題の難易度は、それほど高くありません。

そもそも、報酬とは簡単に言うと手数料のことです。宅建業者が法外な手数料を請求しないよう、上限額を設けるルールが作られています。

まずは制度を完璧に理解するようにしましょう。その時、代理と仲介・媒介の区別をしっかりつけるようにしましょう。

その上で、市販のテキストや問題集などで計算練習を多くこなせば、問題に慣れることができます。

最後に、消費税等を計算し忘れないようにする練習をしておきましょう。

報酬に関連する出題内容

たくさんの問題

報酬がもらえる条件

まず、報酬額の計算問題に取り組む前に、そもそも報酬がもらえる条件を整理する必要があります。

その条件について、宅建業法においては「宅地建物取引業者の媒介または代理により、売買・交換・貸借が成立した場合、宅地建物取引業者は依頼者に報酬を請求することができる」と規定されています。

それでは、宅地建物取引業者自らが売主または貸主として売買・交換・貸借が成立した場合はどうなるでしょうか?

売主または貸主である宅地建物取引業者は取引当事者の立場にあるので、買主または借主に報酬を請求することはできません。

代金や賃料が宅建業者の収入となります。

報酬は成功報酬であり、原則として売買・交換・貸借が媒介または代理により成立した場合のみ報酬請求権が発生するのです。

「宅建業者が自ら~」 という文言が出てきたら、注意深く問題分を読むようにしてください。

報酬額の上限〜売買の場合〜

売買でも賃貸でも、原則として代理の場合は媒介の2倍の報酬の金額になります。

計算の仕方

計算問題を解くに当たっては、以下に示す計算の順番が大事です。

  • 消費税を除いて本体価格を求める

  • 報酬額を計算する

  • 報酬にかかる消費税をたす(非課税業者の場合は3.2%分を上乗せ)

上から順番に計算を進めていけばOKです。

売買の媒介の報酬額

それでは、報酬額の求め方について見ていきましょう。

報酬額は、200万円までの部分が5%、200万円から400万円までの部分は4%、400万円を超える額は3%となります。

そのため、例えば本体価格500万円の場合、(500-400)×0.03+(400-200)×0.04+200×0.05=21万円となるのですが、このように忠実に計算するのは面倒でしょう。

これらをあらかじめ考慮した計算法があります。

売買代金 計算方法
200万円以下 取引価格×5%
200万円を越え400万円以下 取引価格×4%+2万円
400万円を越える 取引価格×3%+6万円

上に示した表を用いると、計算が一度で済みます。何度も計算問題を解いて慣れるようにしましょう。

また、この金額は契約の媒介をした一方からもらえる額の上限です。

つまり、売買の当事者の一方の媒介をした場合はその額を上限として考え、双方の媒介をした場合は、その額をそれぞれからもらえる額の上限と考えられるので、最大で、一方の媒介をした場合の2倍の金額をもらえることになります。

この論点はよく出題されますので注意してください。

もちろん以上の金額は上限であり、実務上の実際の額は業者と依頼人との話し合いで決まっていきます。

売買の代理の報酬額

代理の場合、媒介の一方からもらえる額の2倍の額が報酬の限度額になります。

この金額は、どちらの代理であったか、双方代理であったか、間にいくつの業者を挟んだかに関わらず宅建業者全員がもらえる額の合計となるのです。

いくつか例示をして考えてみましょう。(AとBは宅建業者ではありません)

  • 例①

Cが売主Aの代理として買主Bと500万円の売買契約を結んだ場合、CはAから42万円を受け取ることができます。

計算式は、(500万×3%+6万)×2で求まります。

  • 例②

Cが売主A、買主B双方の代理人として500万円の売買契約を結んだ場合CはAとBから合計で42万円を受け取ることができます。

また、買主からの承諾があれば売主と買主が支払う代金の合計が42万円になるという条件で双方から代金を受け取ることができます。

計算式は①と同じです。

  • 例③

CがAの代理をし、Bの媒介をして500万円の売買契約を成立させた場合、CはAとBから合計で42万円を、Bからは21万円をそれぞれ超えない範囲で受け取ることができます。

Bに対しては代理でない点に注意しましょう。

  • 例④

CがAの代理をして業者Dの媒介のもとBと契約を結んだ場合、CとDは合計で42万円を、Bからは21万円を超えない範囲でAとBから受け取るこができます。

CとDのそれぞれが受け取る金額の合計が42万円となる点に注意しましょう。

  • 例⑤

AとBの代理、仲介に複数の業者が絡む場合、媒介をした相手からは媒介時の報酬額を、媒介代理どちらの場合も、合計額が(媒介時の報酬額の2倍=代理時の報酬額)を超えない範囲でもらい受け、全ての業者でその報酬を分け合うことになります。

これらの問題の攻略の鍵は過去問を多く解くことです。

交換の場合

不動産の交換の場合は、報酬は高額な方の取引額を売買額とみなして考えていきます。

例えば2,000万円のものと1,500万円のもの+500万円の交換をする場合、高い金額である2,000万円のものの売買と同じ扱いで計算を行います。

報酬額の上限〜貸借の場合〜

賃借の場合は、複雑な計算式は不要です。

代理でも媒介でも、依頼者の双方からもらえる報酬額の合計は、賃料の1ヶ月分+税が限度となります。

中でも、居住用建物の場合は、一方から受け取れる額は賃料の0.5ヶ月分が限度となります。

なお、事前に承諾を受けていれば合計で1ヶ月分を限度にその分け方は半分ずつにしなくともよい規定があります。

原則と例外をしっかりと押さえておきましょう。

権利金の授受がある場合

そもそも、権利金とは契約締結時に支払われる一時金のうち契約終了時に返却されないもので、一般的に保証金や敷金などと呼ばれます。

居住用建物以外(宅地、非居住用建物)では、権利金を代金とみなした場合の売買での報酬額の上限と、貸借での報酬の上限である1ヶ月分の賃料を比較して、高い方を受け取ることのできる報酬額の上限とすることができます。

「高い方」という選択肢が正解で、「低い方」という誤りの選択肢が含まれた問題が過去に出ています。

報酬以外に受け取れる金額

報酬以外にも受け取れる金額が規定されているため、一緒に押さえておきましょう。

売買の場合

媒介をするときに廉価な空き家の現地調査等で費用がかかることがあります。

この場合、依頼者から報酬金額と合計で18万円までは受け取ることができます。

つまり、本体価格が400万円以下の場合ということになります。

60万円の空き家の媒介の場合本来は売主と買主双方から3万円ずつ受け取れる計算になりますが、それに加えて売主から15万円まで(合計18万円まで)は実費相当額を受け取ることができるということです。

なお、代理の場合は媒介報酬の2倍(本来の代理の報酬)に調査の費用を足したものを報酬額とすることができます。

これらは、トラブルを未然に防ぐためあらかじめ同意を得ておくことが必要です。

貸借の場合

賃借の場合は、依頼者の依頼によって行った広告の料金の請求と、遠隔地における現地調査、空き家の特別な調査等の実費の請求をすることができます。

これらは成約に至らずとも受領できますが、依頼者からの事前の承諾が必要となります。

免税業者とは

報酬の計算の仕方の項で出てきた免税業者について解説します。

免税業者とは、課税期間の基準期間(課税期間の前々年度)の課税売上高(課税される取引での売上)が1,000万円以下の業者をいいます。

免税業者については、その取引において消費税額を取引の相手から受け取るかどうかを選択することができますが、宅建の場合は3.2%で計算することが多いです。

試験対策上も3.2%で計算すれば問題ありません。練習問題を多くこなしていくとコツがつかめるでしょう。

また、免税業者は経費に消費税額を計上することができないため、経費に消費税額の計上を希望する場合には自ら税務署に「課税業者となる旨の届出」を行わなければなりません。

この場合、課税業者となるため消費税を徴収しなければならないことになります。

問題を解いていく上でのコツ

問題のコツ

対人関係を整理して表にしてみる

宅建業法の報酬額についての問題は、登場人物が多く複雑です。

そこで、過去問などを取り組むときに、対人関係などを矢印でつないで表にしてみると整理しやすくなります。

また、媒介の場合は赤矢印、代理の場合は青矢印など、自分の中でルールを決めていくとより整理しやすくなるでしょう。(本試験のときも、赤ペンや青ペンなどの持ち込みはできますので、ご安心ください)

ちなみに、 このように対人関係を表や色ペンで整理する方法は民法の問題を解く際にも使えるので、利用してみてください。

疲れたら休む

宅建に合格するためには、概ね300時間程度の勉強が必要と言われています。

働きながら取得を目指す方も多く、短い時間で効率的に勉強する方法などを自分なりに工夫する必要があります。

そこで、オススメなのが勉強をしていく中で集中力が切れてきたときは、しっかりと休むことです。

集中力が切れてきたときに無理に頑張っても、新しい知識が記憶として定着せず、効率的な勉強とはなりません。

休憩時間を決めて、メリハリをつけることで、より脳にインプットできる効率的な勉強ができるでしょう。

宅建業法の報酬額に関するまとめ

宅建業法の報酬額に関するまとめ

  • 報酬に関する制度の内容を理解した上で計算練習を多く積もう
  • 媒介時の報酬額の計算が基本気な計算式となる。代理時の報酬額は媒介時の倍
  • 登場人物が複数人出てきたら、表に書いてみると良い。代理・媒介・賃借の場合などをそれぞれ色分けするとなお良い
  • 大切なのは問題慣れすること。数多くの問題をこなせば次第に苦手意識はなくなる

宅建業法の報酬額の問題は、暗記するだけでは解けないため、苦手意識を持つ人が多いです。

そのため、まずはたくさん問題を解いてみることをオススメします。

重要なのはまず1問、自力で正解することです。それが自信になりますので、その後は完璧に理解できるまで取り組みましょう。

宅建試験は必ずしも簡単な試験ではありませんので、油断せず、1問でも多く正解できるように頑張ってください!

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